今年はじめての書き込みは、このブログを始めた頃の中心話題のひとつだった
簡易代謝測定装置開発の現状報告にしたいと思います。
私の開発中の測定器は、呼気中の酸素と炭酸ガスを吸収させて、その圧力変化からそれら
の濃度、延いては代謝量を測定するものです。
現在の試作品をご覧に入れます。
![](http://www3.yic.or.jp/~abe/blog/h08-01a.jpg)
赤く囲った部分は、私の友人鈴木一也氏のアイデアと設計による「カム式チューブ弁」と言えるものです。
当初はシステムの自動化の為、ソレノイドバルブの採用を検討したのですが、いずれもかなりのリークがあり、
シリコーンチューブをカムで押し潰す事によりガス流を制御するこの方式を採用する事にしたのです。
しかし、この測定装置全体を構成している数十個のジョイント (硬質プラスティック管をシリコーンチューブ
で連結したものが主)に微小なリーク (0.2気圧の減圧下で0.0001~0.0003CC/分/ジョイント程度)が
あり、それを安価な技術では止める事が出来ない事が段々に分かって来たのでした。
そのリークの簡易測定法の確立にも手間取りましたが、さらに使用しているデジタル圧力計(上図にも写っています)
にもその程度のリークがある事が分かり、業者に2回取り替えてもらいましたがリークは止まりませんでした。
このリークは、減圧の程度に比例する事もわかり、炭酸ガス測定は短時間で吸収される事と
減圧の程度も小さい(~△0.04気圧)事から問題にはならず、減圧が大きく(~△0.2気圧)、吸収に
時間がかかる酸素の測定が問題でした。
以上書けば簡単ですが、ここまで分かるのに時間がかかり、昨年末までかかってしまったのでした。
今年の正月も、試作装置を自宅に持ち込み種々実験を重ねましたが、そこで新現象が発見されたのです。
それは、上記の微小リークは、その殆どが酸素であるという新事実です。
その実験データの一部をご覧に入れましょう。
酸素濃度測定験開始後の時間 圧力(水柱、マイナスcm)
1分 130.9
10分 148.7
15分 148.7 圧力減が止まる
ここでエアポンプを止める
20分 145.4 毎分0.66cmのリーク
ここでエアポンプ再稼動
25分 148.7 と元に戻る。
これは、リークしたのが殆ど酸素だけであり、それが吸収されたとする以外には説明できません。
この現象の真の理由はまだ不明ですが、酸素と窒素の分子サイズの違い(酸素分子が3.8x2.8Å
窒素分子が4.2x3.0Å)によるのかも知れないと思っています。
いずれにしても、この現象の発見で、酸素濃度測定の難点は回避出来た事になります。
リークを考えなくて良いからです。
これで開発には弾みが付く事になり、本ブログへの書き込みも増えると思います。