敏翁のシルバー談義

敏翁の興味のスパンは広いのですが、最近は健康談義から大型TVを含むITと「カラオケ」「珈琲」にシフトしています。

エスプレツソ 自製粉の微粒子

2011-03-30 13:07:06 | お酒とコーヒー
 前々回に、イリー(illy)社のエスプレツソ用粉からは
殆ど微粒子は出ないが、自製粉では、「コーヒーカップの底に
多少微粉が残っていて、最後の一口は舌にざらつきが残る」と
いう事をお話しました。
 この自製粉からの微粒子をさらに減少させる検討を行いましたので
今回はそのお話をします。
 先ず予備知識として、エスプレッソマシンに掛けるフィルターと
フィルターボルダーの写真をご覧に入れます。


左のフィルターは、底が平らになっていてステンレス薄板の中央直径約30mm
に約300μΦの孔を1.5mmピッチで開けたものです。
 この中に珈琲粉をチャージ後右に示したフィルターホルダーにセツトし、さらにそれを
マシンにセットします。

 1.このフィルターに、先ずイリー粉を半分程度チャージ、プレッサーで
   押し固めた後、自製粉をチャージし再度押し固めたものを使ってみました。
   固められたイリー粉が自製粉の微粒子を阻止する事を期待したのです。
   しかし、結果は自製粉の微粒子を阻止する事は出来ない事がわかりました。
   これから言える事は、前回お話した仮説即ち「微粒子(<100μΦ)を阻止する
   力は正常な珈琲粉(>400μΦ)との結合力」である事を示しています。
   前々回まで「塊状の粉体による濾過」モデルを考えた事も有りましたが、
   そのモデルは間違いでした。
   
 2.自製粉の微粒子を阻止するには濾紙を使うしか無いと判断し、
   テッシュ一組(薄い2枚重なったものを"一組"と言うらしい)を30mmΦより
   やや大きく切り取ったものをフィルターの底に敷き、その上に自製粉を
   チャージしてみました。
   テッシュを底に敷いた状態の写真をご覧に入れます。

この方法で、自製粉の微粒子を完全に阻止出来る事が分かりました。
香味にも悪影響は無さそうです。
   
これは私の場合は実験的試みであって重ねて常用する事は考えていませんが、
自製粉の微粒子が気になる方にはお勧め出来る方法だと思います。



コーヒー微粒子の研究

2011-03-29 16:03:44 | お酒とコーヒー
  研究と言うと少し大げさですが、微粒子発生の
 本質、と言っても現象論に留まりますが、に
 迫ってみたいと思ったわけです。

 検討に使った仕組みの写真を下に示します。


 ネットを使ったドリッパーは、金メッキした金網を使ったものとプラスチック網を使ったものが
 市販されています。
 私は、お茶に使うセレック社のVフィルター(フィルター部はポリエステル製)を持っていて
 そのメッシュサイズは約130μです。
 以下はそのVフィルターを使った検討です。
 左図のカップの上に乗せたものがVフィルター。右図ではVフィルターはメリタの
 アロマフィルター1X2の中に収まっています。
 (1X1には旨く収まりません)
 
 メッシュのサイズは、ポケット顕微鏡(私のは安物でスケールは入っていません)の視野に入る
 メッシュの数を、先日求めたJIS基準の300μの篩と被測定網で測定し、それから推定したものです。
 市販の金網も、先日ラゾーナの「ロフト」、「ユニデイ」 にあるもののメッシュサイズを測定
 してきました。
 棚にある製品を手にとってポケット顕微鏡で覗いている人間など私以外には多分居ないでしょう。
 それらのいずれも約130μで、私のプラスチック網と殆ど同じとしてよい事を確認して有ります。

 上図で
 ①左図は、Vフィルターを使った「カリタ」方式のドリップを検討するのに使ったアレンジで、
 ②右図は、Vフィルターを「メリタ」のアロマフイルター1x2の中に入れてメリタ・敏翁方式の
     ドリップを検討するのに使ったアレンジで、左上に伸びているのがストップコックに
     しているアルミ線です。
 
 粉は、自製の粗引きとイリーの極細挽きです。
 検討結果を参考の為、既にお話しましたが、③エスプレツソマシン、
 ④フレンチプレス、⑤濾紙ドリップ(メリタとカリタ)の場合も含めて下表に纏めました。

      自製粉   イリー粉
   ①   s      -
   ②   m      L
   ③   s      vs
   ④   L      -
   ⑤   0      0

   上表で抽出液中の微粒子含有程度は
   0 : ゼロ   vs : 極小   s : 小
   m :  やや多し   L :  多し
   - :  未検討

  以上の結果を統一的に説明できるモデルは次の様なものになると考えられます。
  微粒子(粒径は100μ以下)は、珈琲粉(粒径は400μ以上)に結合していて
  湯中ではその結合が解けて行く。
  イリー粉の結合は強いが(③エスプレッソ)、微粒子の含有量は多く、結合は
  多分1分以内に解けてしまい②では大量の微粒子を抽出液に出してしまう。
  ④フレンチプレスでは自製粉が大量の微粒子を抽出液に放出するが、これは
  網の目が粗いためではなく、4分間(フレンチプレスの標準抽出時間)に
  結合が解けて仕舞う事による。

  この仮説によれば、充分にアロマを抽出し、且つ微粒子の混入を防止
  するには、濾紙の使用は避けられない事が分かります。
  私の考えた「メリタ・敏翁方式」、及び「メリタ・敏翁方式R」はこの観点
  から優れたものと言えるでしょう。



エスプレッソ  微粉問題など

2011-03-27 13:37:53 | お酒とコーヒー
 ここのところお話している微粉問題ですが、
 珈琲抽出液中の微粉を気にしだすと、エスプレツソも気になりだしました。
 私は、デロンギ社のエスプレツソ・マシンを使っていますが、
 このマシンは、①「カフエ・ポッド」といわれる挽いて計量されたコーヒー粉を
 濾紙でパックしたもの(市販品)、及び②粉を直接金属フィルターに
 チャージして使う事が出来ます。
 いずれも、フィルターホルダーにセツトしてからマシンに掛ける事になります。
 ①を使う場合は、粉は濾紙に包まれていますから微粉が抽出液に出てくる
 事は有りませんが、②は問題です。
 金属フィルターは、ステンレス薄板に300μの孔を1.5mmピッチで開けたものです
 から、孔径はフレンプレスと大差ないものです。(フレンチプレスは金網ですが)
 
 しかし、自前の粉の場合でも本機で抽出した液はフレンチプレスほど粉っぽい事は
 ありませんので今までは気にして居なかったのです。
 今回良く調べてみるとコーヒーカップの底には多少微粉が残っていて、最後の一口
 は舌にざらつきが残るものでした。
 フレンチプレスとの差は、マシンは、フィルターに粉をプレッサーと称する板
 で強く押し固めてからマシンに掛けるので、この押し固められた「塊状の粉体」が
 全体として微粉に対してフィルター作用をしているのではないかと思われます。
 
 しかし分かってみるとこの微粉が気になり、市販のエスプレッソ粉を使った場合の
 微粉の状態を知りたくなったのです。

 コーヒー粉は、レギュラー・グラインドのものは数多く市販されていますが、
 エスプレッソ粉は、イタリーのイリー(illy)社のものぐらいしか見当たりません。
 極細挽きのエスプレッス粉は、空気中の酸素で酸化されやすく取り扱いが難しい
 為でしょう。
 因みにイリー社は、カフエ・ポッドで個別包装したもの(a)、ポツド18個を缶詰
 にしたもの(b)、及びエスプレツソ用粉250グラムの粉を缶詰にしたもの(c)を
 販売しています。
 
 価格は、楽天で購入した場合送料別で、aが@84円、bが@55円、cが一缶1280円
 でこれは一回(7g)当たり41.3円となります。
 種類はノルマルローストとダークローストの2種類があり、私は既にbを使っていて
 タークローストが気に入っていました。
 しかし、粉は使用期間中の劣化が気になり購入は躊躇していたのですが、先日
 「オリンピック」で1020円で売っているのを発見し思い切って購入しました。
 そうなると、先日お話した窒素中保存法を実行したくなり、脱酸素剤とシリカゲル
 をアマゾンで購入し、実行しました。
 その写真をご覧に入れます。
 
 右端が250gが入っていた缶で、この各々約100gを二つのフラスコに入れ、
 脱酸素剤とシリカゲルを入れ、窒素を封入した状態の写真です。
 二つのフラスコの上部に差異がありますが、それは昔揃えた部品を探したのですが、
 2方コックが一つしか見当たらなかったので、ひとつはクリップで代用したものです。
 もうひとつ付け加えるとすれば、各端口3つは「チェックバルブ・注射器式排気システム」、
 小型窒素ボンベ、圧力計に繋がるのですが、それらはルアー・ロックシステムを使っていて
 写真に写っている端口はすべて「オス」端口で、「メス」端口をつけた圧力計などに
 押し付け90度回転で簡単に取り付け・取り外しが出来るようになっている事です。

 缶には約50gが残ったことになりますが、それを使い終わったら一つのフラスコから
 50gを缶に移し(このフラスコは窒素を再封入する)・・・・と考えています。
 これにより、一日一回標準の7gより少し多め(私の好み)9gを使うとして6日
 程度の大気露出に止める事が出来る事になります。

 さて、この粉を使った結果ですが、コーヒーカップの底には殆ど微粉は残り
 ませんでした。
 ポケット顕微鏡で観察したところでは、粉の平均粒径は、300μよりはるかに小さく
 それは私のミルによる粉と大差は無いように見えました。
 ただ粉全体のしっとり感が自前のものより強いように思えました。
 それが、「塊状の粉体」の結合を一層強固にして微粉の通過を阻止しているのかと
 思われます。
 この粉末製造のノウハウを知りたいところです。



アロマの研究-濾紙はアロマを吸収するのか?

2011-03-23 09:13:25 | お酒とコーヒー
  前回、
 ①フレンチプレスは粉ッぽいが、アロマは
 ②メリタ・敏翁方式より強い事を話しました。。

 ここで仮説を立ててみました。

 1.アロマは油分と結びついている。その油分は微粒子に
   吸着された形になっていて、微粒子を濾過しすぎると
   アロマも減少してしまう。
   この仮説なら、①のアロマは常に②を越えている
   事になる。
 2.そうではなく、アロマ/油分は濾紙に吸収される。
   そして、この吸収は②操作で飽和の方向に近づく。
   この仮説なら、濾紙を繰り返し使えば②のアロマは
   ①に近づく筈である。

 この二つの仮説の当否を検討するために、②で使用した濾紙を
 洗浄、乾燥した後再度②で使用してみました。

 その結果は、私の思い入れが強いためか、今までに無い
 アロマを得る事が出来たように感じました。
 仮説2が当たっていて、且つ一回使用でかなり飽和に近づいている
 のではないかと思われます。

 この濾紙再利用を加えた②を
 ”メリタ・敏翁方式R”と呼ぶ事にしたいと思います。
 ”R”はreuse のrのつもりです。

 検証実験を試みる人が現れれば、良いのですが、そういう人は
 中々居ませんね。
 
 

フレンチプレス-微粉問題

2011-03-22 06:38:01 | お酒とコーヒー
  前回も触れたフレンチプレスですが、やっと製品が到着し
検討しましたのでそのお話です。
 先ずそれをご存じない方の為に、簡単に紹介します。
 その主要部分の写真をご覧にいれます。


 このガラスコップに珈琲粉と熱湯を入れ、4分ほど抽出後
金網付きプランジャーを静かに押し下げ、粉と湯を分離させる
ものです。
 珈琲粉に含まれる油脂分も旨く取り込め独特の香味を持つが、
微粉が混じり粉っぽさが難点で好みは解れるとされているものです。

 私の求めたものは、本方式の開発者であるデンマークのボダム社の
ものですが、生産地は中国でそのせいか、金網の目をポケット
顕微鏡で見たところ全く不揃いで、荒いところは300μ以上もありそうな
ものでした。

 私の好みでは、呑んでいる時の香味は今までに無い濃厚さを持っている
様にも感じましたが、呑んだ後に舌の奥から喉越しに残る粉っぽさが気になり、
このままでは続けて飲みたい気分にはなれないものでした。

 それで、微粉の検討を始めました。
 ① 微粉の量の測定
   本方式の抽出液をカリタのドリッパーで濾過し、濾紙に残る
   微粉量を測定してみました。
   微粉が濾紙に詰まり濾過には10分以上もかかりました。
   カリタ単体でドリップの時も微粉量は同じ筈なのに短時間で濾過される
   のは微粉が粗粒と集合体を構成している為かと思われます。
   濾過後乾燥秤量したのですが、10グラムの粗引き珈琲粉を用いた場合、
   濾過された微粉量は約0.38グラムでした。
   この≦4%という値は、元の微粉(前々回「珈琲の微粉問題」でお話した~12%)
   の約1/3が通過したものと考えられる事を示しています。
   
   抽出液にこれだけ入っていると微粉も良い意味でも香味に寄与していると
   見てよいかも知れません。
   因みに、濾過した後の抽出液の香味は、前回お話したメリタ・敏翁方式
   によるものと同じ様に思えました。油分が濾紙に吸収されたものと思います。

 ② 微粉の除去の試み
  2.1 篩
   これも前々回にお話した300μの篩で微粉を篩い落としてから本機にかけたものです。
   未処理のものと比べると粉っぽさは減少はしましたが、気になる程度に残っていました。
  2.2 濾紙の追加
   プランジャーの金網をメリタの濾紙を繰りぬいたもので覆ってトライしてみました。
   結果は2.1と大差の無いものでした。
   この場合、微粉が濾紙を通過する事は無い筈で、微粉はプランジャーとガラスコップの
   摺り合わせをすり抜けたものと考えられます。
   これを防止するには現在の金網が直接摺り合わせになっている構造を止めて大改造を
   行わない限り無理だと思います。
   今回のトライでも、摺り合わせ部分も完全に濾紙で覆った積もりですがそれでは駄目で、
   注射器のような精密摺り合わせの構造が必要だと思います。
   しかしそれを本機のようなかなり大きな口径で実現し、且つより細かい(どこまで必要かは
   ?)金網をプランジャーに漏れが無い様に装着する構造を安価には実現するのは困難なように
   思えます。
  2.3 珈琲粉の冷水洗浄
   挽いた珈琲粉を茶漉しに入れて冷水で数回洗浄してみました。
   洗浄でだいぶ微粉は取れると同時に珈琲分も相当溶け出したように
   見えました。
   しかし結果は、粉っぽさは2.1&2.2と大差なく、且つ香味も
   薄味になってしまっているようでした。

   以上から、現在手持ちの機器/部材では微粉の除去は困難だとの
   結論に達しました。
   ただ、ミルを高級機にすれば、微粉量を減少できる可能性は
   あります。その高級機を購入する積もりはありませんが、
   今後市販の粗引き粉を購入してトライはしてみるつもりです。
   

 以上の検討の結果、手前味噌ながら充分なアロマを手軽に追求するには前回紹介した
メリタ・敏翁方式がベストとの確信を強めた次第です。

   
 ボダム社によると、同社が現在までに製造したフレンチプレスはなんと約1億個にも
及ぶという事ですから、これで満足している人も多いのでしょうが、
私としてはその人たちがメリタ・敏翁方式を知ったならばどう評価するかが大いに知りたい
ところです。








メリタ方式の改良 抽出時間の大幅延長

2011-03-16 10:42:41 | お酒とコーヒー
  前回お話した珈琲の抽出時間の大幅延長法と思われる
「フレンチプレス」の器具は、販売業者に尋ねてみましたが、
 地震の為に何時届くか分からない状況にあります。

 それで色々と考えているうちに妙案(?)を考え付きました。
 メリタドリパーの排出孔を一定時間閉めておくというアイデアです。
 その写真をご覧に入れます。
 

 珈琲粉は、前回実験測定に使ったものと同一品です。
 左に細い線状のものが写っていますが、これが直径2ミリのアルミ
 線で、その先端付近にラップを巻いてストップ栓にしている
 ものです。
 アルミ線は軟らかいので、垂直に開けられている排出孔と、メリタ
 ドリッパー内壁との角度に合わせて先端約2cmほどを曲げています。
 
 このアレンジで、湯を一気に注ぎ、3分間放置後アルミ線を
 抜くのです。
この過程で湯の排出が容易になったのか、排出は栓を抜いた後
 1分強で完了しました。

 これで、前回定義した「平均抽出時間」は、凡そ
 ( 180 + 250 ) / 2 = 215秒となり、メリタの標準工程による88秒
 に比べて大幅の延長が可能になりました。
 この改良法によるものの風味は、今迄で最高のアロマを感ずるものでした。
 更にいえば、この方式に合う珈琲粉の粒度はもう少し粗いところにある
 筈と思いますが、その最適化は微粉処理なども含めて「フレンチプレス」
 とも比較しながらこれからゆっくりと行うつもりです。

 この改良方法は線(棒)状のものがあれば簡単に出来る方法で、あらためて
 「メリタ・敏翁方式」と名付ける事にしたいと思います。
 果たして流布するかは?ですが。

 同好の士のトライをお勧めするものです。
 尚、上述のアルミ線は東急ハンズで昔購入したもので、軟らかいので
 簡単な構造物を構築する時などに便利に使っているものでした。
 


 

カリタとメリタ、コーヒードリッパー比較

2011-03-14 12:22:44 | お酒とコーヒー
 珈琲の飲み方で、インスタントを除き現在最も
 標準的な飲み方は、ペーパーフィルターを使った
 ドリップという方式です。
 昔は私もネルを使っていましたが、今は使い捨ての
 ペーパーです。
 そのペーパードリツプでは、カリタ方式とメリタ方式が
 異なるコンセプトで両立しています。
 他にも「コーノ式」や「ハリオ式」がありますが、これらは
 コンセプトとしては、カリタ式に準ずるものとして良いと思います。
 いずれも少量の湯で30秒程度蒸らした後湯を注ぐのですが、
 カリタ式では、4~5回に分けて湯を注ぐのが、
 メリタ式では、一気に湯を注ぐのです。
 この両者のドリッパーの写真をご覧に入れます。
 いずれも一人分抽出用のドリッパーです。
  右:カリタ コーヒードリッパー 101-D
  左:メリタ アロマフィルター 1x1


 抽出孔が分かり難いので、そこに楊枝を挿して撮影したものです。
 カリタ(右)は底に3つの孔があり、排出速度を大きくする事に留意した
 構造になっていますが、メリタ(左)では、一つ孔で底から約1/7の高さに
 排出口があって、一気の注湯と併せてじっくりと抽出させる構造に
 なっています。
 メリタの製品は「アロマフィルター」と名付けドリッパーとは称せず
 独自性とアロマを強調しています。

 両者を飲み比べて見ました。
 カリタは実にすっきりした風味で、メリタはより複雑な風味で比べれば
 アロマをより感ずる事が出来ます。
 好き好きは人によると思いますが、私はメリタの方を好むものです。

 これからが、技術者としての私の検討が始まりました。
 湯が珈琲粉に接している平均時間を「平均抽出時間」と名付けて、
 それを測定してみる事にしたわけです。
 その検討状況を纏めたpdfを添付します。
 クリックすればご覧になれます。
  カリタとメリタ ドリッパー比較

 結果は下表の様になり、メリタの平均抽出時間は、カリタに比べて
 2倍以上ありそうな事が分かりました。
                  カリタ  メリタ
     平均抽出時間(秒)   38    88
        比率         1    2.3


 これが分かると、この平均抽出時間を更に伸ばす方式を考えたくなります。
 探して見ると、それは最近流行りつつあるらしい「フレンチプレス方式」
 である事が分かりました。
 この方式は、粗引きの粉を湯に3分程度浸漬した後、金属フィルターで
 急速に濾過するものです。
 早速、楽天で頼みましたが、この大地震で配達が遅れているようです。
 これもテストしたらまたお話したいと思っています。
 

珈琲の微粉問題

2011-03-10 18:10:00 | お酒とコーヒー
珈琲に関する一連のワークの中で、焙煎、ドリップ
については、プロセスもほぼ定着しつつあるが、
コーヒーミルによる挽き豆のプロセスには問題が多い。
 問題は微粉の発生で、これがあると
『抽出速度が遅くなり、液体全体に重い香味が混ざりこむ
可能性がある。気になる時は茶漉しで軽くふるって微粉を
落とせばよい。(中略)粉の量の5%程度の微粉を除けば
きれいな香味のコーヒーになる。』(堀江俊英「珈琲の教科書」
新星出版社)

 ミルにより、微粉の発生量も変わるようで、安物のプロペラ式
は一番多いらしい。
 私もプロペラ式(カリタOT-40)から臼(セラミック)式のもの
(カリタC-90)に切替えているが、その効果などもチェックしたいところであった。
 粉砕後の粒度と抽出方式との関係は次のようなものになっている。
(ウィキペディア)



 それで、0.3ミリ開口の篩を購入してその篩下を微粉として
測定を行って見た。
 その結果を次に示す。
 この測定が可能なのは、1mg測定可能な電子天秤を持っているから
である。(これも「簡易代謝測定装置」開発で購入したもの)
 粉2g程度を篩う事で簡単に求める事が出来た。
                      微粉含有量
 1. 市販のレギュラードリップ用珈琲粉      6.5(%)
 2.OT-40 20秒粉砕 粉             12.3
   〃    〃  壁について落ちないもの  41.3
 3. C-90  目盛8粉砕 粉            11.7

拡大鏡で観察しても市販のものは粒が揃っているようである。
精密な粉砕機で大量処理しているものと思われる。
 市販粉は、焙煎時期も不明であり、粉砕後窒素中保存はしていても
保存が長すぎると思うが、粉砕状態だけは家庭用ミルのものより
はるかに優れているようである。
 
 またプロペラ式でも粉砕後、壁についているものが混入しないように
気をつければ臼式と同程度に納まりそうであるが、
それを混入した場合の全体としての微粉量を推定してみたが、約14%程度
になる事が分かった。

 次に、微粉除去の効果について試して見た。

 私の焙煎豆22グラムをC-90で目盛8(レギュラーに合わせたつもり)で
粉砕後、2つに分け、一つはそのまま、残りは篩って(13%除去)から
 いずれも、メリタ・アロマフィルターでドリップし(各120cc)、
 ミルク(50cc)を加えた後、電子レンジで約80℃に加熱してから、そのまま
及び甘味料パルスイート(小さじ1杯)を加えて賞味してみたのである。
 上記の「珈琲の教科書」で堀江氏が、5%云々と言っているのは、多分
氏は、業務用の微粉が5%程度しか出ない高級なミルを使っているからの言だと思う。

 結果は、呑んでいる時の感覚は殆ど同じで差を認める事は出来なかったが、
呑んだ後、10秒ほど後の舌の奥の感覚が、そのままでは何か僅かに苦い(?)
刺激が残るように感ずるが、篩ったものはそれが無くさわやかに感じた。
 これは呑み比べると分かるもので、ただ飲んでいる分にはそれほど
気にする事は無さそうなレベルである(私より感覚の鋭い人は?)。
 但し、OT-40のものを、壁に付いた微粉までドリップに使用したものは呑んだ時から
明らかにC-90によるものより香味に劣る事が分かっている。
 これでOT-40は当分お蔵入りのつもりだったが、昨夜の「ためしてがってん」
で、茶葉をOT-40のような器具で粉砕したものがカテキン、βカロチンいずれも
飛躍的に増大する事を知り、この方面の検討に使ってみたい。

 

コーヒー粉(豆)の窒素中保存

2011-03-07 09:18:49 | お酒とコーヒー

珈琲に対する技術者としての検討はまだ続いていますが、今回は、掲題のテーマ
についてお話ししましょう。
 コーヒー粉は、挽いた後数日で香味が劣化するが、窒素ガス中に保存すれば、かなり
長持ちするという事になっていて、市販のコーヒー粉は窒素封入容器に詰められている。
 しかし、その容器を開けた後は急速に劣化が進む筈だがそれには目を瞑っている。

 私は、生豆で購入、焙煎後は一ヶ月以内に毎日呑む分だけを挽く事を原則にしているが、
珈琲に関する検討を進める中で、挽いた粉をそのままに近い状態で保存する必要性が生じてきた。
 例えば、専門店に焙煎と粉砕の期日入りの粉を購入して、それと自製の粉との比較を行いたい
時などがその一例である。

 それで、珈琲粉(又は焙煎後の豆)を窒素中に保存するシステムを試作して見たので簡単に報告する。
 添付pdfに試作装置について簡単な説明がある。(下記下線部をクリックして下さい)

窒素中保存システム

 用いた部品などは、2年ほど前まで開発を行っていた「簡易代謝測定装置」の為に集めたもの
ばかりである。

 鍵になるのは、チェックバルブと注射器を用いて減圧するところにある。
 この場合、プランジャーの往復回数と、減圧の程度の関係は
 n回往復した後の容器内圧力 Pn は、容器の内容積をV、注射器の内容積をvとすると
  Pn=(1-v/(V+v))^n atm となり、
 図に示すV=300cc、v=50cc とすると
  n=10で    P10=0.214
  n=20で    P20=0.0458 となる。

 使用した実験用の窒素ボンベ(5.8リットル入り)の純度保障は
 95%だが、私の測定(光明理化学工業㈱製のガス検知管使用)では残留酸素は1%以下のよう
だったので、理論的にはプランジャーを20回往復すればよい事になる。
 さら窒素封入後再度減圧・封入を繰り返せばより完全に近くなると思う。

 それでも気密容器の微小リークが気になるのであれば、容器に脱酸素剤を入れれば良いと思う。
 尚、このボンベはテックジャムで購入したものだが、1本638円でこの方法なら十数回は使用
できると思われるので、実用にも充分耐えられる方式だと思う。
 添付資料にはさらに窒素ガスを安価に入手するための方法(空気中の酸素をホツカイロの粉で除去する方法)も参考までに記しておいた。