敏翁のシルバー談義

敏翁の興味のスパンは広いのですが、最近は健康談義から大型TVを含むITと「カラオケ」「珈琲」にシフトしています。

珈琲粉を乳鉢で擦る

2012-02-23 17:10:47 | お酒とコーヒー
 前回お話したミルのクリーニングの件では、
 刃が詰まった状態で得られた珈琲粉のエスプレッソ抽出時の湯の通過に対する
 大きな抵抗特性は、私の開発した「2層ブレンド法」を活用するには極めて
 有用な特性ですが、それはミルの安定動作条件では得られない事が分かった
 という事でした。

 それで、ミルの安定条件で極細挽きした珈琲粉を更に乳鉢で擦ってみたら
 大きな抵抗特性が得られるのではないかと言う事を思いついたのです。

 アマゾンで安い乳鉢セット(乳棒付き、送料無料で630円)を購入、本日到着。
 鉢の内径~70mmΦ、棒長~100mmのM型ですが、今考えると一回り大きい方が
 良かったようです。

 前回も触れたブラジル イエロー・ブルボンを~9gづつ2回細挽き後、各々を
 乳鉢で更に2回に小分けて擦りました。(ここが一回り大きい方が良さそうな理由)
   .擦り時間 2分間
   . 〃    5分間
 これらの粉についてエスプレッソ抽出量(25秒間)を測定した結果を示します。

   擦り時間    抽出量   備考
    0(分間)    46.5(cc)  前回記述済み
    2        27.1
    5        11.3

 これより、5分擦ったものは初期の目的を達成している事が分かりました。
 5分間x2回擦るのは少し疲れますが、一度作れば、2層プレンドの下層としては
 ~2gあれば良いので、4回は使える事になり、実用性はあると言えると思います。




珈琲ミルのお手入れ

2012-02-20 22:20:43 | お酒とコーヒー
 私の使っている珈琲ミルはカリタ・電動セラミック・ミルC-90です。
 このミルは、上下2枚のセラミック製カッターで豆を挽くものですが、
 2枚のカッターのギャップを調整する事ができる仕掛けになっています。
 ただその調整は、分解・クリーニング毎にギャップが微妙に異なる恐れが
 あると思いあまりクリーニングは行いませんでした。
 しかし、使っているうちに刃に珈琲微粉がこびり付き、それによって
 粉砕した粉の粒度にも影響がある事が判明してきました。
 今回はこの問題に関して特にエスプレッソ用に極細挽き(C-90で目盛り"1")を
 行った場合についてのお話です。

 少し前に、エチオピア・モカのメディアム・ロースト品を極細挽きした時に
 刃が詰まって挽けなくなった事とその挽けた部分をエスプレッソ機に掛けたところ
 全く湯が通らなくなった事をお話しました。
 その後、そのような事は無かったのですが、今回ワイルド珈琲から新しく購入
 した生豆「ブラジル イエロー・ブルボン<ニュークロツプ>」のフルシティ・
 ロースト品で再び刃が詰まってしまう事態が発生しました。それでも挽けた部分
 をエスプレッソ機に掛けた抽出量は全くの"0"ではなく8.4ccでした。

 ここで、久しぶりにC-90の分解・クリーニングを行いました。
 刃には珈琲粉が頑固にこびり付いていてそれを取るのに難航する状態でした。
 そしてクリーニング後再び同じブラジル品を極細挽きしたところ、すんなり
 挽けて抽出量も46.5ccと通常の値を示しました。
 刃が詰まった状態で挽いた粉は、豆種にもよると思いますが、この場合は
 異常に細かい微粉になっていたと思われます。

 それで残っていた上記のエチオピア品(焙煎後の時間が経過しているので同様に
 扱って良いか疑問はありますが)もすんなり極細挽きが出来、抽出量は何と
 61ccという大きな値を示しました。

 以上から次の事が言えると思います。
   少なくともC-90による極細挽きについては、豆依存性もあると思うが、
   挽きの状態(粒度など)は刃の状態(詰まりの状態)に強く依存する。
   それを避けるにはより頻繁に分解・クリーニングを行う必要がある。

 今後、分解・クリーニング後の経過をもう少し定量的に調べて見ようと
 思っているところです。



モカ 抽出抵抗の推定

2012-02-10 17:21:24 | お酒とコーヒー
 先ず題名の説明をしましょう。
 ここでは「モカ」とは、前回もお話したエチオピア・モカ・イルガチェフG1
 を意味しますが、さらにテーマをミディアムロースト品に絞ります。
 抽出抵抗とは、エスプレッソ抽出時の湯の流れに対する抵抗で、
 先にエスプレッソにおける「2層ブレンド」の解析を「直列抵抗モデル」
 で行った場合の抵抗Rの事です。
 
 前回、モカのミディアムローストを細挽き後(これをここではモカ粉と呼ぶ事にします)
 エスプレッソ機に掛けた場合、抽出が全く行われなかった事の定量的検討を行いました。
 今回は、そのお話です。
 残りの粉は脱酸素保存されていました。

 8.5gでは湯が通らなかったので、その量を大幅に減らし、そのままでは厚さが薄すぎて
 マシンのスイッチを入れたとき層が乱れてしまう事を恐れ、その上に抵抗の少ない珈琲粉
 を載せ、「2層ブレンド」の形にして抽出量を測定してみたわけです。

 ①モカ粉を脱酸素処理したもの 1.65g
 ②ハイチのブルー・パイン・フォレスト ミディアムロースト豆 7.00g
 
 エスプレッソ用金属フィルターに先ず①を入れ30Φの棒で押します。
 次いで②を細挽きした粉を載せスタンパーで押します。
 次いでこれをエスプレッソ機に掛け25秒間の抽出量を測定しました。
 抽出量は6.1ccでした。

 これを元に前にお話した「直列抵抗モデル」の式を使ってR値を求めました.
 この次元は敢えて記せば(25・sec/cc)/8.5g という判り難いものになりますが
 比較の為にR値の2,3の例を示します。
 (計算の過程は省略します)
 
            R値    抽出量
 ①粉         0.800    ----
 ブラジル粉(*)   0.174     5.46cc
 ②粉         0.003    82.3 cc


 以上より、本品の湯の流れに対する抵抗は、従来最も抵抗が大きかったブラジル粉(*)
 に比べて 0.80/0.174 = 4.6倍にも達するものである事が判りました。
 
 この粉は前回お話したように挽き難いものですが、これだけ大きな特徴を持つ粉は
 さらなる応用に繋がるように思えます。

*:ブラジル ブルボン・アマレロ ボンジャルディン ミディアムロースト
  細挽き後脱酸素処理をしたもの



スーパー・マイルド・エスプレッソ

2012-02-09 13:10:17 | お酒とコーヒー
 この命名は我ながら悪乗りの感がありますが、
 前報のスーパーエスプレッソでエスプレッソの苦味の究極を追求した
 ついでに、そのマイルドさの究極も追求したくなったのです。

 以下の様に制限条件と達成目標を設定してみました。
 
 1.主体となる珈琲種としては、メディアムローストが最適焙煎度
   に近いカリブ海系のものとしたい。
 2.25秒間の抽出量が20cc程度以下である事。
   なるべく濃厚な抽出液としたいのです。
 3.カリブ海系だけでは2.の条件が達成できない場合、
   ブレンド(2層ブレンドを含む)に用いる珈琲種の
   推奨焙煎度はメディアムローストを含む事。 
 4.マイルドさを高めるためのミルクの添加は可とする。

 これは既にお話しましたが、カリブ海系豆は、そのまま
 又は脱酸素処理をしても条件2.には程遠いものばかりです。(*)
 それら以外に、パナマのチリキ県・ボケテ地区(エスメラルダ農園の「ゲイシャ」
 が超有名)にあるベルリナ農園のティピカ種も試して見ましたが、
 これも同様ほど遠いもの(抽出量 焙煎後77.5cc/脱酸素処理後54.9cc)でした。
 (チリキ県は、パナマの分水嶺の太平洋側にあり、カリブ海系とは言えないと思いますが)
 
 それで前回お話したように脱酸素効果が顕著だが、推奨焙煎度にメディアムローストを含んでいる
 エチオピア・モカ・イルガチェフG1でテストしてみました。
 前回は、本品のフレンチローストが条件2.を満足している事をお話しましたが、
 実は推奨焙煎度はフルシティ(フレンチの一つ手前)までです。
 前回は苦味の追及であえてその上の焙煎度にしてみたわけです。
 尚、イルガチェフ村で作られている品種は、ティピカ主体のところとブルボンのところが
 あるようですが、本品ははっきりしません。

 このイルガチェフG1のメディアムロースト品には驚かされました。
 この焙煎豆は見たところ何の変哲も無いのですが、カリタC-90セラミックミルで
 挽いたのですが、ミルの刃に詰まってしまい旨く挽けないのです。
 これは始めての経験でした。何か粉を集合粘結させる物質が豊富に含まれている
 事を示唆していると思われました。
 それでも挽けた部分をエスプレッソ機に掛けたのですが、ここでまた驚きました。
 全然抽出液が出て来ないのです。勿論これも始めての経験でした。

 それで、同時にメディアムローストしてあったクリスタルマウンテンと1:1
 の割合でブレンドしたものを細挽きし、半分はそのままエスプレッソ機
 に掛け、残りは脱酸素処理し24時間後にエスプレッソ機に掛けました。
 そのままの抽出量は、25.7cc
 脱酸素処理後の抽出量は、15.3cc
 となり、これで制限条件の元で目標を達成できたわけです。

 そのままの25.7ccにミルクと砂糖を入れたものは実にまろやかで
 スーパー・マイルド・エスプレッソと言っても過言では無いと思いました。
 但しこの名称は、厳密にはミルクが添加されているので
 スーパー・マイルド・マキアートと言うべきだとも思いますが、
 マキアート(イタリア語"macchiato"は「汚れた」という意味)は当初の
 エスプレッソに少量のミルクを添加というものから、エスプレッソの上に
 フォームドミルクで画像を表現するものに変化してしまっている状況なので
 エスプレッソとしておきました。

 以上からスーパー・マイルド・エスプレッソの種々の可能性の道が開けたと
 思います。
 思いつくままに例を二つばかり挙げてみます。
 ① イルガチェフのメディアムロースト豆と、カリブ海系豆(*)メディアムロースト
   品を1:1程度にブレンドし、細挽き後エスプレッソ機に掛ける。
   これでほぼ満足できると思えますが、本検討の様にさらに細挽き後脱酸素処理
   を加えてさらなる濃厚抽出を狙うのも良いと思います。
   またイルガチェフの比率をもう少し高め、脱酸素処理後の抽出量として10cc以下
   を狙うのも下記②の可能性を広める意味で面白いでしょう。
 ② ①の脱酸素処理粉と、任意のカリブ海系豆(*)ロースト品を挽いた
   粉を使って2層ブレンド法を行う。


 *:  カリブ海系珈琲           抽出量(焙煎後 / 脱酸素処理後 cc)
  ジャマイカのブルーマウンテン      89.5 / ---
  キューバのクリスタルマウンテン     88.8 / 69.0
  ハイチのブルー・パイン・フォレスト    82.3 / 86.0


スーパーエスプレッソ

2012-02-07 23:11:16 | お酒とコーヒー
 掲題は私の勝手な命名で、
 エスプレッソの苦味の究極を狙った試みに
 つけた名前です。

 要は、
 ① 焙煎はフレンチロースト以上
 ② 脱酸素処理で、25秒間の抽出量を極端に下げる
   -->極端に濃厚にする。
 ③ 抽出液に40度の焼酎を加える。
 ④ ミルクの添加は行わない。

 と言うものです。

 実際は、エチオピアのモカ・イルガチェフを
 フレンチロースト、細挽き後、さらに脱酸素処理したものを使用、
 25秒間の抽出量は僅か9.5ccだったので、さらに10秒間の抽出を
 追加して17.9ccの抽出液を得ました。
 それに私の愛用している焼酎「蔵・純粋」(41%)約10cc
 及び砂糖小匙山盛り一杯を添加、電子レンジ30秒加熱後
 味わったのでした。

 これはオーバーに言えば口が曲がるほど苦味が利いていて
 予想以上の「スーパーエスプレッソ」でした。
 ご参考まで。

エスプレッソ 抽出量制御の一方法(濾紙利用法)

2012-02-06 23:03:43 | お酒とコーヒー
 メディアム・ローストなど浅い焙煎度がお勧めの
 珈琲種であるジャマイカのブルーマウンテン、キューバの
 クリスタルマウンテン、ハイチのブルー・パイン・フォレスト
 などカリブ海系と呼ばれるものはそのままでは抽出量が大きすぎて
 エスプレッソには不向きな事、またこれらの珈琲種は「脱酸素処理」
 の効果もあまり期待できない事は既にお話しました。
 このカリブ海系のものはすべて「ティピカ」種であります。
 また、「ゲイシャ」種はさらに極端に抽出量が大きくなってしまう
 事もお話しました。
 
 それで「2層ブレンド法」を開発したりしましたが、その場合の
 抽出量を抑制する為に下層に入れる珈琲種として見つけたものは
 ブラジルの「ブルボン」種などでこれらは浅い焙煎度は勧められて
 いません。
 (現在も浅煎りがお勧めで且つ抽出量を脱酸素処理で大幅に圧縮できる
 品種の探索は続けています)

 
 それで、異なる抽出量制御のもう一つの方法をテストしています。
 まだ必ずしも満足はしていませんが、その状況をお話しましょう。
 
 エスプレッソ機の金属フィルターの底に濾紙を敷いて抽出量を制御
 しようという試みです。

 メリタのフィルター紙から直径~34mmの円板を切り取って、それを
 金属フィルターの底に敷き、その上に珈琲粉(~8.5g)を詰めるという簡単な
 方法です。

 しかし予想とは異なる結果が得られました。
 珈琲種は抵抗成分が私が知っている限りでは一番少ないゲイシャ・マラウィ
 を選び、濾紙の枚数を変えて抽出量を測定しました。

 濾紙枚数  抽出量(25秒)
  0      109cc (前回報告済み)
  1      36cc
  2      39cc
  4      65cc

  濾紙1枚の効果は抜群ですが、さらに濾紙枚数を増やすと抵抗が小さくなる
  結果が得られ、その解釈に頭を悩ませています。
  濾紙のセッティングに問題があったのかと思い、4枚のテストは再確認して
  いますが、66ccと同様な結果が得られています。
  多分、濾紙枚数を増やすと、湯はバイパスを作って濾紙の横から
  洩れてしまうのではないかと想像していますが、対策はまだ見つけて
  いません。

  しかし、濾紙1枚で36ccという値は充分使える値で、30ccにしたければ
  抽出時間を縮めれば良い訳です。

  これで、純粋な浅煎りエスプレッソが飲めるようになりました。
  本日はこのテストで4回呑んだ事になり、若干食傷気味になっていますが。




「ゲイシャ」のエスプレッソ

2012-02-01 10:37:03 | お酒とコーヒー
 前報のゲイシャ種でエスプレッソにトライしてみて驚きました。
 細挽き粉8.5g強をエスプレッソ機(デロンギ)に掛けたのですが、
 25秒間の抽出量が108.8ccなのです。
 これは、珈琲粉を詰めない空の金属フィルターの場合の湯の通過量
 109.1ccと殆ど変わりません。
 と言う事は、ゲイシャ粉は湯の流れに対する抵抗成分を殆ど持っていないと
 言う事を示しています。

 珈琲粉は大なり(例えばブラジル ブルボン・アマレロ 抽出量~10cc)、
 小なり(例えばクリスタル・マウンテン 抽出量は69cc)抵抗成分を持っていますが、
 (以上は焙煎後、脱酸素処理無しの値)
 ここまで抵抗成分の少ない珈琲種がある事を初めて知りました。
 これがゲイシャ種の特徴で、この抵抗成分の希少さが呑み口の透明さに
 繋がっているのかも知れませんが、珈琲種としては極めて特殊なものと
 言えると思います。

 次にこの細挽き粉を脱酸素処理に掛けてみました。
 24時間処理後の抽出量は89.7ccでした。

 これより、脱酸素処理効果はわずかはある事になります。

 脱酸素処理効果を発現する物質の量が、エスプレッソ抽出時の
 抵抗(2011-12-19掲載の『エスプレッソ 新たな抽出量制御法 『2層ブレンド法』』
 中に示した「直列抵抗モデル」計算式中のRi)に
 比例すると仮定して計算して見ます。

 その結果は(ここでは計算の過程は省略)、
 ブラジル・ブルボン・アマレロのミディアム・ロースト(脱酸素処理後の
 抽出量が4.2cc)と比較してゲイシャ・マラウイのハイ・ローストの
 脱酸素処理効果を発現する物質の量は1/100以下である事が分かります。