前回の報告で数多くの疑問点が生じた。
主なものは次の二つであろう。
.抽出液のアロマ成分は カリタ<メリタ<メリタ・敏翁方式 なのに
抽出液中固形物濃度と固形物総量は
カリタ>メリタ>メリタ・敏翁方式
なのは何故か?
.エスプレッソは、ペーパードリップに比べて
抽出液中固形物濃度も固形物総量も高いのは何故か?
これらの疑問に答えられる統一的モデルを探索するために取り合えず
もう少し条件を拡大して検討を行って見る事にした。
その中で前回求めた「固形物総量」は抽出液中に存在する総量で、
それは実用的には意味のある数値ではあるが、
それよりも溶出した総量の方が物理化学的には意味があると
思われてきたので、それを「溶出固定物総量」とし、その珈琲粉
に占める重量比(「溶出%」)を求めてみた。
但し、抽出液中の「固定物総量」は精密に測定可能だが、「溶出固形物総量」は
抽出後に抽出されないでスラリー状になっている珈琲粉に含まれる液体中の
濃度を抽出液中濃度と同一と仮定して計算しなければならず、一部推定部分
が含まれるものである。
検討結果を下表に纏めた。上の二つ①と②は前回のデータに溶出%を
加えたものである。
抽出液中 平均抽出
固形物濃度 時間 溶出% 備考
①メリタ(湯量150cc) 2.23(%) 88(sec) 22.2(%) 1
②エスプレッソ(エチオピア) 6.16 9.8 38.7 2
③メリタ(湯量100cc) 2.87 ~50 19.1 3
④エスプレッソ(ゲイシャ) 3.83 6.3 28.3 4
⑤魔法瓶 2.20 180 21.9 5
備考
1 前回の1.2 メリタ 標準方式のデータ
2 前回の2.2 KG"4"のデータ
3 コロンビア サンベルナルド フルシティ・ロースト 15g
C-90"5"で挽いたもの。
4 ②が抽出速度の遅い例だが、手持ちの珈琲の中では最も抽出速度の速い
マラウィのゲイシャ種を②に同じく KG"4"に挽き、その粉13.9g(デロンギ
のKG364Jはチャージしても粉の出方に不安定さがある。これも15gチャージ
したもの)を25秒間抽出したもの。抽出液量は80.3cc。
5 豆は上記3と同じ。ペーパードリップで抽出中における液温低下の影響を
見るため、予熱した魔法瓶に珈琲粉と90℃の湯150ccを注ぎ3分間後に
取り出したもの。液温は抽出中84.5~84.1℃とほぼ一定であった。
以上より、次の事が分かってきた。
1. ①と③より(豆など条件が異なるので厳密な事は言えないが)、
湯量を減らせば抽出濃度はある程度上げる事が出来るが、エスプレッソの
域まで上げるのは困難なように思える。
2. ④より、エスプレッソ抽出時における珈琲粉に湯の流れに対する抵抗が殆ど
無いように思われていた「ゲイシャ」種(2012-02-01掲載の『「ゲイシャ」のエスプレッソ』)
でもペーパードリップより抽出濃度も高く、珈琲粉から溶出する割合も多い。
3. ⑤より高温に長時間保持して抽出しても抽出濃度も上がらず、珈琲粉から
溶出する割合も多くならない。
これより、小生好みの濃厚な珈琲にはエスプレツソが最適な事がまた確認されたが、
その物理化学的解釈には道はほど遠く、さらに検討は続く予定である。
主なものは次の二つであろう。
.抽出液のアロマ成分は カリタ<メリタ<メリタ・敏翁方式 なのに
抽出液中固形物濃度と固形物総量は
カリタ>メリタ>メリタ・敏翁方式
なのは何故か?
.エスプレッソは、ペーパードリップに比べて
抽出液中固形物濃度も固形物総量も高いのは何故か?
これらの疑問に答えられる統一的モデルを探索するために取り合えず
もう少し条件を拡大して検討を行って見る事にした。
その中で前回求めた「固形物総量」は抽出液中に存在する総量で、
それは実用的には意味のある数値ではあるが、
それよりも溶出した総量の方が物理化学的には意味があると
思われてきたので、それを「溶出固定物総量」とし、その珈琲粉
に占める重量比(「溶出%」)を求めてみた。
但し、抽出液中の「固定物総量」は精密に測定可能だが、「溶出固形物総量」は
抽出後に抽出されないでスラリー状になっている珈琲粉に含まれる液体中の
濃度を抽出液中濃度と同一と仮定して計算しなければならず、一部推定部分
が含まれるものである。
検討結果を下表に纏めた。上の二つ①と②は前回のデータに溶出%を
加えたものである。
抽出液中 平均抽出
固形物濃度 時間 溶出% 備考
①メリタ(湯量150cc) 2.23(%) 88(sec) 22.2(%) 1
②エスプレッソ(エチオピア) 6.16 9.8 38.7 2
③メリタ(湯量100cc) 2.87 ~50 19.1 3
④エスプレッソ(ゲイシャ) 3.83 6.3 28.3 4
⑤魔法瓶 2.20 180 21.9 5
備考
1 前回の1.2 メリタ 標準方式のデータ
2 前回の2.2 KG"4"のデータ
3 コロンビア サンベルナルド フルシティ・ロースト 15g
C-90"5"で挽いたもの。
4 ②が抽出速度の遅い例だが、手持ちの珈琲の中では最も抽出速度の速い
マラウィのゲイシャ種を②に同じく KG"4"に挽き、その粉13.9g(デロンギ
のKG364Jはチャージしても粉の出方に不安定さがある。これも15gチャージ
したもの)を25秒間抽出したもの。抽出液量は80.3cc。
5 豆は上記3と同じ。ペーパードリップで抽出中における液温低下の影響を
見るため、予熱した魔法瓶に珈琲粉と90℃の湯150ccを注ぎ3分間後に
取り出したもの。液温は抽出中84.5~84.1℃とほぼ一定であった。
以上より、次の事が分かってきた。
1. ①と③より(豆など条件が異なるので厳密な事は言えないが)、
湯量を減らせば抽出濃度はある程度上げる事が出来るが、エスプレッソの
域まで上げるのは困難なように思える。
2. ④より、エスプレッソ抽出時における珈琲粉に湯の流れに対する抵抗が殆ど
無いように思われていた「ゲイシャ」種(2012-02-01掲載の『「ゲイシャ」のエスプレッソ』)
でもペーパードリップより抽出濃度も高く、珈琲粉から溶出する割合も多い。
3. ⑤より高温に長時間保持して抽出しても抽出濃度も上がらず、珈琲粉から
溶出する割合も多くならない。
これより、小生好みの濃厚な珈琲にはエスプレツソが最適な事がまた確認されたが、
その物理化学的解釈には道はほど遠く、さらに検討は続く予定である。