敏翁のシルバー談義

敏翁の興味のスパンは広いのですが、最近は健康談義から大型TVを含むITと「カラオケ」「珈琲」にシフトしています。

珈琲抽出量の測定(2)

2012-04-26 08:51:18 | お酒とコーヒー
 前回の報告で数多くの疑問点が生じた。
 主なものは次の二つであろう。
 .抽出液のアロマ成分は カリタ<メリタ<メリタ・敏翁方式 なのに
   抽出液中固形物濃度と固形物総量は
        カリタ>メリタ>メリタ・敏翁方式
   なのは何故か?
 .エスプレッソは、ペーパードリップに比べて
   抽出液中固形物濃度も固形物総量も高いのは何故か?
 
 これらの疑問に答えられる統一的モデルを探索するために取り合えず
 もう少し条件を拡大して検討を行って見る事にした。
 その中で前回求めた「固形物総量」は抽出液中に存在する総量で、
 それは実用的には意味のある数値ではあるが、
 それよりも溶出した総量の方が物理化学的には意味があると
 思われてきたので、それを「溶出固定物総量」とし、その珈琲粉
 に占める重量比(「溶出%」)を求めてみた。
 但し、抽出液中の「固定物総量」は精密に測定可能だが、「溶出固形物総量」は
 抽出後に抽出されないでスラリー状になっている珈琲粉に含まれる液体中の
 濃度を抽出液中濃度と同一と仮定して計算しなければならず、一部推定部分
 が含まれるものである。

 検討結果を下表に纏めた。上の二つ①と②は前回のデータに溶出%を
 加えたものである。

                抽出液中   平均抽出   
                固形物濃度  時間    溶出%   備考

 ①メリタ(湯量150cc)      2.23(%)   88(sec)   22.2(%)  1
 ②エスプレッソ(エチオピア)   6.16     9.8      38.7     2
 
 ③メリタ(湯量100cc)      2.87    ~50       19.1     3
 ④エスプレッソ(ゲイシャ)    3.83     6.3      28.3     4
 ⑤魔法瓶            2.20    180       21.9     5

備考
  1 前回の1.2 メリタ 標準方式のデータ
  2 前回の2.2  KG"4"のデータ
  3 コロンビア サンベルナルド フルシティ・ロースト 15g
    C-90"5"で挽いたもの。
  4 ②が抽出速度の遅い例だが、手持ちの珈琲の中では最も抽出速度の速い
   マラウィのゲイシャ種を②に同じく KG"4"に挽き、その粉13.9g(デロンギ
   のKG364Jはチャージしても粉の出方に不安定さがある。これも15gチャージ
   したもの)を25秒間抽出したもの。抽出液量は80.3cc。
  5 豆は上記3と同じ。ペーパードリップで抽出中における液温低下の影響を
   見るため、予熱した魔法瓶に珈琲粉と90℃の湯150ccを注ぎ3分間後に
   取り出したもの。液温は抽出中84.5~84.1℃とほぼ一定であった。

 以上より、次の事が分かってきた。
  
 1. ①と③より(豆など条件が異なるので厳密な事は言えないが)、
   湯量を減らせば抽出濃度はある程度上げる事が出来るが、エスプレッソの
   域まで上げるのは困難なように思える。
 2. ④より、エスプレッソ抽出時における珈琲粉に湯の流れに対する抵抗が殆ど
   無いように思われていた「ゲイシャ」種(2012-02-01掲載の『「ゲイシャ」のエスプレッソ』)
   でもペーパードリップより抽出濃度も高く、珈琲粉から溶出する割合も多い。
 3. ⑤より高温に長時間保持して抽出しても抽出濃度も上がらず、珈琲粉から
   溶出する割合も多くならない。
 
 これより、小生好みの濃厚な珈琲にはエスプレツソが最適な事がまた確認されたが、
 その物理化学的解釈には道はほど遠く、さらに検討は続く予定である。

珈琲抽出量の測定

2012-04-21 19:49:10 | お酒とコーヒー
 珈琲を抽出した場合の溶け出した量(溶出量と呼ぶ事にする)を測定してみた。
 結果は後で報告するが、想定していたのとは全く異なる測定値なども得ている。

 溶出量には揮発成分も含まれている筈だが、その測定は簡単ではない。
 ここでは、溶出量中の固形物の部分のみを測定する事とした。
 それでも揮発部分もなるべくは残したいと思い、珈琲抽出液から5ccほど取り出して
 大気中屋外で乾燥させてみたが、少し乾燥すると粘性が増すためか、乾燥速度が
 極めて遅くなり、一日かけても乾燥が完了しないのである。
 (一日中晴天の日が中々無い事もあったが)
 それで、いろいろと試みたが、穏やかな熱源で乾燥させる事とし、その熱源に
 低Wの電球を用いてバラックセツトを作る事にした。


 その為、低Wの電球を求めて川崎ラゾーナのビックカメラに行き、一番低Wの中国製("アサヒ"マーク)の20W電球を見つけ差込式のソケツトと一緒に購入した。

 ご覧に入れるのも恥ずかしいようなものだが、そのバラック組み立ての写真を左図にご覧に入れる。
 「カップめん」のカップ2つを繋いで、その中で電球を灯し、上に目的の抽出液を入れたポリエチの容器を載せただけのものである。
 これで、5ccの抽出液は2時間余りで乾燥させる事が出来た。





 測定結果1.ペーパードリップ
  ブラジル イエローブルボン フレンチロースト豆 15gをカリタ・セラミックミル C-90目盛り"5"(中挽き)で挽き、
  湯150ccを用いて抽出を行った。
  抽出後、抽出液(この液量も測定)から約5ccを注射器で抜き、ポリエチ容器に入れその量および溶出固形物の精密測定は電子天秤で行った。
  その結果と共に、前にお話した「平均抽出時間」も下表に纏めた。



                 抽出液中   固形物  平均抽出
                 固形物濃度  総量   時間
   1.1 カリタ 標準方式   2.55(%)   3.02(g)  38(sec)
   1.2 メリタ 標準方式   2.23     2.55     88
   1.3 メリタ・敏翁方式   1.93     2.41    >200

   固形物総量とは、15gの珈琲粉から流出した固形物の総重量である。
   全く想定外だったのは、固形物濃度も固形物総量も平均抽出時間と
   逆比例関係にある事だった。
   珈琲抽出液のアロマは1.3>1.2>1.1 となっていると思われるので、
   その解釈に苦しむところである。
  
   理由は全く解らないが、一旦溶出した固形物が時間と共に再び珈琲粉に
   吸着される事などが考えられると思っている。
   いずれにしても、抽出のプロセス中には実に複雑な現象が起こっている
   らしい事を伺わせる検討結果である。
   
 測定結果2.エスプレッソ
   上記測定に条件を合わせる為に、2杯用のフィルターを用いて
   15gの珈琲粉について測定を行った。
   前回「エスプレッソの平均抽出時間」でお話した値は
   2杯用フイルターの容積は42cc
それに15gの珈琲粉を装填した場合の含水量(Vi)は21cc
   スィツチ・オン後抽出開始までの時間(t0)は約5秒であった。
   珈琲豆は上記1.に合わせたかったが、ブラジル豆が足りなくなって
   しまったので、ブラジル:インド:ケニア=1:1:1
   のブレンドにした。
   
              抽出液中   固形物  平均抽出
      グラインド  固形物濃度  総量   時間
   2.1  KG"3"    7.56(%)   3.95(g)   26.9(sec)
   2.2  KG"4"    6.16      4.61    9.8

   グラインドは、デロンギ・コーヒーグラインダーKG364Jで
   目盛り"3"と"4"で挽いたものである。
   (KGには実際には目盛りの番号は付いてなく、細かい方から"3"または"4"番目
   の目盛りという意味)
   尚、その"4"はカリタC-90の極細挽目盛り"1"に相当し、
   "3"はそれより一段細かい挽きである。

   これより、抽出液中の固形物濃度はエスプレッソがドリッパー
   より3倍ほど高い事が分かる。
   しかし、平均抽出時間との関係は、全くの想定外とまでは言えないが、
   平均抽出時間を相当延ばしても固形物濃度はさして増加せず、
   固形物総量はむしろ減少しているのである。

 測定結果3.フレンチプレス
   また豆が足りなくなり、コロンビア サンベルナルドをフルシティ・ロースト
   したもの15gをカリタ・セラミックミル C-90目盛り"9"(最粗挽き)で挽き、
   湯150ccを用いてフレンチプレス抽出を行った。
   平均抽出時間は240秒である。
                      抽出液中    固形物  
                      固形物濃度   総量   
   3.1 フレンチプレス直後       2.96(%)   3.70(g)
   3.2 その抽出液の上澄み      2.27     2.83
   3.3 抽出液をティッシュで濾過   2.46     3.07

   3.1の抽出液は相当量の微粉を含んでいる。それを30分ほど静置してその
   上澄みから5ccを採取したのが3.2で、3.3はだいぶ前2011-04-19に掲載した
   『フレンチプレスの微粒子処理に成功』なるタイトルで掲載したティッシュ一枚
   (一組ではない)で抽出液中の微粉を濾過したもの。
   3.1と3.2乃至3.3との固形物の差は微粉によるものとして良いと思う。
   
   当時気になっていたのは、3.3のプロセスで微粉は取れるが、アロマを
   含んでいるコロイドなども濾過してしまっているのではないかという事だった。
   この3.2及び3.3も良く観察すると少量の微粉を含んでいて、むしろ
   3.2の方が微粉は少ないらしく、3.3による有効成分の濾過は考えなくて
   良いらしい事がこの測定により明らかになったとして良いと思う。

   
   以上、新しい測定を始めた事により結果3.の様に明らかになった事象もあるが、
   結果1.に示した様に抽出現象の複雑な森の中にさらに一歩踏み入れる事になった
   ものもある。
   それらについては、現在は暗中模索の段階だが、またいろいろと検討を進めて
   ゆきたいと思っている次第である。


「反原発」の不都合な真実

2012-04-16 11:37:27 | 真面目な話
 3月11日には、本ブログに東日本大震災で亡くなられた方のご冥福を祈って
 『ケセン語訳新約聖書を聴く』を掲載しました。
 今回は少し遅くなりましたが(理由は後述)、その時起こった原発事故に関連した書き込みです。

 掲題は、藤沢 数希著の本、新潮新書 457 700円(税込) 2012年2月発行の
 書籍のタイトルです。

 本の表紙裏のキャプションは


 この本を知ったのは、読売新聞の書評(3月11日)でしたが、横浜市図書館にも一冊しか
 備えがなく、待ちくだびれて数日前に購入したわけです。
 テーマがテーマだけあって著者のあとがきでも、はじめに企画した出版社で
 発行が中止になってしまい、新潮社に拾ってもらったとしてあります。
 ウェブにも彼に対する罵詈雑言が溢れています。
 横浜市図書館にも一冊しか無い理由も選定者たちに逡巡が有ったのだろうと
 推察しています。本当なら各区の図書館に置くべき書籍だと思います。
 しばらく本屋にも無かったのですが、購入したのは第4刷で、広告は殆ど
 有りませんが、売れ出しつつあるのではないかと思います。
 
 しかし本書は重要な提言、視点を提供している問題書だと思います。
 
 また本人の経歴には不明な点があります。
 
 『藤沢 数希(ふじさわ かずき)は、日本のブロガー。
本職はアメリカ系投資銀行勤務であるとしているが、実際の人物詳細は非公開である。
経歴 出版著作における著者紹介の内容は次の通り:
(1) 日本の大学の理数系学科を卒業、
(2) 欧米の研究機関にて博士号を取得(計算科学)、
(3) 世界的な学術雑誌に多数の学術論文を持つ、
(4) 欧米の大学院で教鞭を執る、
(5) その後、外資系投資銀行にクオンツ(証券アナリストの一種)として就職、
(6) 日本国内外のヘッジ』(ウィキペデァ)
 
   著書は、『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』ダイヤモンド社など
 私の考えでは、「数希」は筆名だと思います。私の持っている名簿などでは
 見つける事ができませんでした。
 話は飛びますが、私も「数」をつけた「号」を用いていた事がありました。
 「敏翁」の前に用いていた「東磁数」(としかず)です。
 「東磁」(”東芝セラミックス”に掛けている)に居る数える事が大好きな者
 というほどの意味でした。
 それから「数希」とは数える能力希(まれ)なる者というほどの意味か
 などと勝手に想像しているところです。

 以下本書の主張の何点かを紹介します。



彼はマスメディアを殆ど信用していません。
読売新聞は書評に取り上げたほか、社会時評(外部の人による)でも取り上げていますが、
もうひとつ私の取っている朝日新聞には紹介の影も形も見当たりません。


しきい値なし比例モデルとは、低いレベルの被爆には、自然治癒などでしきい値が
あるという論拠・学説も多々あるが、そうでないという主張も強く、それを完全に論破する事は
統計上も難しいので、ワーストケースとして本モデルを取っているものです。

エスプレッソの平均抽出時間

2012-04-13 13:39:59 | お酒とコーヒー
 先に、ペーパー・ドリップの抽出に関して
 「平均抽出時間」(以下τと略記)という概念を導入しました。
 それは、抽出過程における湯が珈琲粉に接している時間の平均です。
 そして、代表的なペーパードリップ法である「カリタ」
 と「メリタ」の比較を行い、各々のτについて
 38秒と88秒という値を得、さらにメリタ・敏翁法を開発して
 τを200秒以上にまで伸ばす事が出来ています。

 今回、この概念をエスプレッソと私の開発した
 「2層ブレンド」を用いた「濃厚エスプレッソ」の検討にも
 拡張を試みたので報告する。

 下図を用いて説明する。

 (A)図は、エスプレッソに用いる金属フィルターの断面図である。
 ① 先ずこフィルターのa--a面までの容積を測定した。
   (下の穴をビニールテープで塞ぎ、水を満たして重量法で測定)
   一杯用のフィルターの容積は32ccであった。
 ② これに珈琲粉を~8.5gチャージ、適当な圧でプレス後の粉の上面は
   b--bのあたりになる。
   これに水を加えてa--a面まで満たした場合、水の量(Vi)は20ccであった。
   粉はデロンギKG364Jで目盛り"1"と"4"で挽いた粉を用いて測定していたが、
   いずれの場合もViは20ccと変わらなかった。




 (B)図は、エスプレッソ抽出時のa--aを過ぎる湯量と抽出液量の
   エスプレッソ機スィツチ・オン後の時間依存性
をモデル的に示したものである。
 ③ スィツチ・オン後t0後から抽出が始まる。
   t0はほぼ2秒程度である。
   この初期段階の実際は見えないので詳細は不明だが、
   t0間に90℃、9気圧の湯が珈琲粉の隙間に浸透すると仮定した。
   抽出後取り出したフィルターはスラリー状の珈琲粉でa--a面まで
   満たされている事は確認されている。
 ④ このViに満たされた湯が下の穴から抽出液として流出し、見合う湯量が
   a--a面を通過してフィルターに入ってくるとする。
 ⑤ そして最終的には、抽出時間t2後に、抽出液Vextを得る事になる。
 ⑥ この場合、始めのViが排出される時間をt1とすると
   t0~t1間の平均抽出時間τ1は
   Vi/(t1-t0)=Vext/(t2-t0)
   τ1=(t1+t0)/2
 ⑦ t1~t2間の抽出時間τ2は総て一定でt1-t0の筈である。
 ⑧ そして全体としての平均抽出時間τとしては次式を得る。
   τ={τ1・Vi+τ2・(Vext-Vi)}/Vext

  計算結果を下表に纏めた。
            t2(sec)     Vext(cc)    τ(sec) 備考
  標準エスプレッソ  25       30      11.6
  2層エスプレッソ1  60       27.6     27.7   *1
  2層エスプレッソ2  60       17.7     31.0   *2

備考
*1  前回報告の① 下層はブラジル豆を"1"で挽いた1.5g
      上層はブラジル豆3.1g + ケニア豆2.4g + インド豆2.5g
      を"4"で挽いた粉
  *2   前々回報告した例 下層はブラジル豆を"1"で挽いた1.9g
      上層はケニア豆4g + インド豆4gを"4"で挽いた粉
      この場合は、Vext<Viなので、τは単純に(t0+t2)/2 となる。

 これより、「2層ブレンド法」において、下層にデロンギ・コーヒーグラインダー
 KG364Jの目盛り"1"で挽いた粉を用いると、平均抽出時間を標準エスプレッソ法の
 約3倍程度に延長出来る事が解った。
 これは、メリタ法をメリタ・敏翁法にする事による延長の程度とほぼ等しいものと
 言えると思う。

 これで平均抽出時間の概念をドリツプ法からエスプレッソ法に拡大する事が
 出来た事になる。
 平均抽出時間の長い珈琲の好みは個人差が大きいと思う。
 ドリップ法で言えばカリタの方がメリタより好きだと言う人の方が多いかもしれない。
 珈琲屋バッハの考えもカリタ的であると思う。
 しかし、平均抽出時間の長い珈琲が好きな人も居る筈で、
 今回の拡張は、その人たちに向いたエスプレッソ開発時の目安の一つとして使える
 ものとなればと思う次第である。

濃厚エスプレッソの追求(2)

2012-04-11 13:36:18 | お酒とコーヒー
始めると止まらなくなるのが私の悪い癖。
 前回の終わりに記した項
 『今後、下層のブラジルの量をさらに下げる、上層の粉をさらに粗くする
  事に加えて・・・・』
 を検討した結果、一先ずの結論らしいものが捉えられたので、それをお話します。
 
 ブレンドの組み合わせと使用した豆は、前回と同じ、総て「2層ブレンド」です。
 (0)前回の結果再録
   下層 ブラジル "1"グラインド粉 1.9g
   上層 ケニア豆4g + インド豆4g
      を"4"グラインドした粉
   抽出量は 1分間 17.7cc

 以下今回の検討結果
 ① 下層 ブラジル "1"グラインド粉 1.5g
   上層 ブラジル豆3.1g + ケニア豆2.4g + インド豆2.5g
      を"4"グラインドした粉
   抽出量は 1分間 27.6cc
 ② 下層 ブラジル "1"グラインド粉 1.05g
   上層 ブラジル豆3.0g + ケニア豆2.6g + インド豆3.0g
      を"4"グラインドした粉
   抽出量は 1分間 38.6cc
③ 下層 ブラジル "1"グラインド粉 1.0g
   上層 ブラジル豆3.1g + ケニア豆2.4g + インド豆2.6g
      を"5"グラインドした粉
   抽出量は 25秒間 27.8cc

 以上を要約すると次の事が言えそうです。
 .2層ブレンドの下層としては、ブラジル豆を"1"グラインド粉の
   量は1.0g程度までに抑える事は可能。
 .2層ブレンドの上層の粗さは"4"が限度で、"5"にすると
   私の考えている「濃厚エスプレツソ」とは言えないものになる。

濃厚エスプレッソの追求

2012-04-10 15:12:09 | お酒とコーヒー
 デロンギのコーヒーグランダーKG364Jで
 エスプレッソに対するフレキシビリティが
 大幅に増加したので、それを利用して
 エスプレッソの濃厚さの限界を追求してみる事
 にした。

 試み1.
 ブレンドの組み合わせは、珈琲屋バッハの「深煎りブレンド」
 にあわせて、ブラジル+インド+ケニアとした。
 もっともその比率はバッハは2:1:1なのだが、それには
 拘らない事とした。
 ブラジル4g、インド2.8g、ケニア2.2gのいずれもフレンチロースト豆
 をブレンド後KG364Jの目盛り"2"で挽きエスプレッソ機EC200Nに掛けた。
 抽出速度はかなり遅くなっていて、1分間で16.2ccの抽出液を得た。
 (標準は25秒間で30cc)
 少量のミルクと砂糖を加え電子レンジで80℃程度に加熱したもの
 を賞味した。
 非常に濃厚だが、私個人の印象だが雑味が多いのか飲んで心地よく
 感じられなかった。

 試み2.
 上記試み1.の雑味は、細かい粉を長時間抽出した事によると推定し、
 それを前にお話した「2層ブレンド法」により、回避できないか試みた。
 2層の下層には、ブラジルを目盛り"1"で挽いた細粉を1.9g詰め、
 上層にはインド4g、ケニア4gをブレンド後目盛り"4"で挽いたものを詰めてみた。
 (前回お話したように目盛り"4"は、カリタのミルC-90の最細挽きの細かさに相当)
 一分間の抽出液は17.7ccと試み1.とほぼ同じ、これを試み1.と同様に
 手を加え賞味した。
 雑味は殆ど感じられず、濃厚で且つ飲んだ後味もさわやかに近いもの
 であった。
 
 今後、下層のブラジルの量をさらに下げる、上層の粉をさらに粗くする
 事に加えて、ブレンドの組み合わせも含め、私好みではあるが
 究極の濃厚エスプレッソを追求してみたいと思っている。
 



デロンギのコーヒーグラインダー(2)

2012-04-07 16:42:31 | お酒とコーヒー
  掲題についてのその後の検討結果を纏めて紹介します。

  珈琲豆としては、
  ①ブルボン種の代表として
  ブラジル イエローブルボン種、フレンチロースト
  これは、抽出速度の遅い代表、
  ②ティピカ種の代表として
  キューバ クリスタル・マウンテン、メディアムロースト
  これは、抽出速度の早い代表として選び、
  本機で挽きの粗さを変えた場合の抽出量を検討してみました。
  
  この両者を掲題の機器KG364Jで目盛りを変えて挽き
  その~8.5gをエスプレッソ機 EC200Nで25秒間抽出した場合の
  抽出量を測定したわけです。
  その結果を下図に示します。

  エスプレッソ抽出の標準を25秒間で30ccの抽出量とすると
  ブラジルは目盛り"4"、クリスタル・マウンテンは"2"で
  挽くのが良さそうな事が解り、後は多少の抽出時間の調整を
  行えば良いと思います。
  
  カリタ・コーヒーミルC-90目盛り"1"(極細)による両者の抽出量は
  ブラジルが30.0cc、クリスタル・マウンテンが69.0cc
  でしたから、
  C-90の目盛り"1"は、ほぼKG364Jの目盛り"4"に相当するらしい
  事が分かりました。
  尚、殆どの珈琲豆の抽出特性は、両者の間に入ると考えて良いと
  思います。
  
  最後にブレンド品のデータを一つ紹介します。
  ブラジル4.0g、インド2.7g、ケニア2.5g、いずれもフレンチロースト、
  これを目盛り"3"で挽いたものの抽出量は25秒間で15.7ccでした。



デロンギのコーヒーグラインダーは強力

2012-04-05 10:56:37 | お酒とコーヒー
 私は暫らくカリタの電動セラミックミルC-90を使ってきましたが,
 エスプレッソ用としてはもう少し細かく砕けるものが欲しく、
 乳鉢で擦るとかいろいろと試みてきました。
 世の中にはエスプレッソ専用のセラミックミルがありますが、
 業務用で安いものでも5万円程度します。
 そこで、探しているうちに掲題のミルを見つけて購入したのです。
 正しくは「デロンギ コーン式コーヒーグラインダー KG364J」と言います。
 アマゾンで9153円(送料無料)でした。
 
 本機は粒度を14段階に変える事ができるものです。
 この1~3がエスプレッソ用、4~11がペーパードリップ用、12~14がサイフォン用など
 となっています。(尚、本機には目盛りの数字はありません)

 それで早速、ブラジル イエローブルボン フレンチロースト豆を
 目盛り"1"で挽き、~8.5gをエスプレッソ機(デロンギEC200N)に掛けました。
 しかし25秒間の抽出量は30ccとc-90の目盛り"1"による値29ccと変わりません。
 他の豆もトライしましたが、いずれもc-90と変わらないのです。

 それで、デロンギのサービスセンターに電話して相談したところ、調整は可能だとの事で、
 可能な限り細かくと要望してお願いしました。
 ユーパックが3月31日(土)に取りに来て、今朝調製品が戻ってきました。
 デロンギのサービスはクイックで良く出来ていると思いました。
 (EC200Nの時も1回お世話になっていてその時も同様でした)

 それで早速検討に取り掛かりました。

 上記ブラジル豆を目盛り"1"で挽いた粉は見ただけでも相当細かくなっている事
 が解り、エスプレッソ機に掛けたところ何と!、25秒間で1滴しか出てこないのです。

 これは素晴らしいと、次にc-90では100ccも抽出液が出てしまったマラウィの
 ゲイシャ(私の経験では一番抽出量が多い品種)で試してみました。
 それが何と!、これも25秒間で全く出てこないのです。(これは全く想定外でした)
 
 次に上記ブラジル豆を目盛り"3"で挽いて見ました。
 25秒間の抽出液は6.3ccでした。
 このブラジル豆の最適目盛りはもう少し大きいところにあるようです。

 現在検討はここまでですが、これで総ての豆のエスプレッソが飲める事に
 なったようで、私がやっていた2層ブレンドとかは全く不要になった訳です。
 現在、これで一段理解が進んだという満足感と、今までの検討のかなりの部分が
 無意味になってしまったという虚しさとが入り混じった複雑な心境です。
 
 尚、購入時の調整が粗い方にしてあるのは、多分この調整ではエスプレッソの
 抽出が出来ないクレームの続出を恐れたのと、本機の「挽き刃」は鋳鉄製で
 この調整では刃の寿命には悪いのではないかなどの理由によると想像しています。
 それで出来るだけはc-90を使うようにして行きたいと考えているところです。
 
 とにかく、デロンギのコーヒーグラインダーは強力で素晴らしく、
 エスプレッソを極めるには必需だと思っているところです。