ソチオリンピックが開催されている今日この頃ですが、私は報道にウンザリしております。
どうしても報道のやり方に疑問を感じざるを得ない。
特定のメダルが期待できる選手に対しての過剰な取材や、競技前にも関わらずさも「メダル確実」みたいな報道。
そしてメダルが取れなかった時の敗因の粗探し…
そして何より報道の中途半端感が私をモヤモヤさせます。
特に私が気になっているのが、スキージャンプの報道の在り方です。
はっきりいって高梨沙羅に集中しすぎでそして過剰。
さも「金メダル確実」みたいな報道には違和感がありました。
確かに高梨沙羅の今季のワールドカップ(W杯)の成績はずば抜けているところはある。ほぼ表彰台をキープしていることはすごいことだと思う。
ただ他に有力選手がいないわけではなかった。
それこそ今回優勝したフォークト(ドイツ)だってW杯優勝経験はないものの常に上位に絡む選手であるわけだし、
銀メダルのダイエラ・イラシェコ(オーストリア)なんて昨シーズンだったか?に怪我をしていた選手で今季も多少出遅れてた感はあったけど、
ベテランでかつて世界選手権も勝ったことなど実績も十分、そして直前のW杯も優勝するなど十分警戒する選手であった。
銅メダルのマテル(フランス)もW杯で上位に絡む選手である。
それに報道では「ライバルはサラ・ヘンドリクソン(アメリカ)」ともよく言ってたけど、それも「確かにヘンドリクソンも警戒すべき選手だけど、それよりも警戒する選手はいるんじゃないの」と思わざるを得なかった。
そして何よりスキージャンプは天候も関係する競技だし、ちょっとのミスで結果を左右する繊細な競技だと思う(私は競技経験ありませんので、実体験では言えませんが)。
それなのにあまりに競技前に「メダル確実」「高梨に敵なし」みたいなことを言いすぎていたと思うのです。
そして男子ノーマルヒル・女子ノーマルヒルが終わってから感じるのが、ジャンプの得点についての報道の中途半端さ。
スキージャンプは飛距離点と飛型点で競われるもの、
かつてはそうだったけど、今回のオリンピックからは「ウインドファクター」「ゲートファクター」が採用されている。
「ウインドファクター」は何か所かに設置された計器で風向き・風量を計測し点数化するもので、
ジャンプに有利な向かい風の場合は減点・不利な追い風の時は加点される。
これによって選手ごとに変わる風による不公平さを少しでも緩和する役割がある。
「ゲートファクター」はスタートゲートの位置により加点・減点するものである。
この二つのものができたことでかつては競技中の天候の変化によって、途中で風を長時間待ったり、途中でキャンセルして既に終わった選手の競技をやり直し(飛び直し)することが減った。
(途中でスタートゲートを変更すれば上げたら減点、下げたら加点すればよい。風はウインドファクターで加点・減点すればよい。)
もちろんこれでスキージャンプの競技がすべて公平になるということはないけども、競技の進行は確実にスムーズになり、選手も観客も長時間拘束されるということは減ったのではないだろうか。
ただ、どうも報道を見ていると「ウインドファクター」「ゲートファクター」についての報道が少なく、そして報道したにしても説明・解説が少なくわかりにくさが付きまとっているように感じる。
例えば男子ノーマルヒルの葛西紀明の場合、飛距離は2本とも100mを超えている。飛距離だけ見ると2位の成績である。
ただし結果は8位、これはウインドファクターが大きく関係している。
上位の選手はウインドファクターで加点されているのである。特に銀メダルのプレブス(スロベニア)の2回目は私の記憶では5点ほど加点されていたのではないだろうか。
それが報道されていないために、「なぜ葛西の方が飛んでいるのに順位が低いんだ、採点で日本人に不利な採点がされているんじゃないか」みたいな根拠のない採点に対しての批判や
「ウインドファクターがなければ葛西の方が上位なのに…」みたいな言い分をテレビやネットで最近見ることがある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140213-00000529-sanspo-spo
今日はこんな記事があった。
この記事、ちょっと勉強不足じゃないの?と思いました。
なんだか「ウインドファクターが悪のルールだ」みたいな言い方をしていて不愉快だった。
確かにかつての「飛距離点+飛型点」での採点方法よりはわかりにくいところはある。
じゃあこの記事書いた人は、
・ジャンプ競技が風待ちや途中でキャンセルになってやり直しといったことで寒い中で長時間になっていいのだろうか。
・風によって選手ごとに有利・不利の要素があまりに大きくなっていいんだろうか。
もちろんウインドファクター・ゲートファクターによってすべての選手が公平になるということにはならない(屋外競技では完全に公平なんてないでしょ)。
ただ、どうしてもこの記事は「たられば論」になっている気がしてならない。
今回のノーマルヒルについては葛西にしても高梨にしても入賞はしたもののメダルには届かなかった。
その理由は本人たちが言っているようなことですよ。「踏み切りのタイミングが合わなかった」ということを2人とも言っていたでしょう。
実力も実績もある本人が言っているんですから、そうなんですよ。
要はそれがうまくできたらもっと良い結果を得られたということなんです。
葛西の場合は2回とも100mを超えたけど、あの条件だったらもっと飛んでいなければならなかった。上位の選手は不利な条件でしっかり飛んでいたということなんです。
高梨も不利な条件だったけど、しっかりタイミングを合わせて飛んでそしてテレマークを入れればメダルが取れたんじゃないかと私は思います。
(恐らく高梨の場合は踏み切りのタイミングが合わなくて、それを挽回しようと1mでも遠くまでと粘ってテレマークを入れられなかったんだと思います。タイミングを合わせて飛んでいればテレマークを入れる余裕をもって着地できたのではないかと思います。)
あくまで見ているだけの素人考えかもしれませんが、私の考えをまとめてみました。
いろいろと言いましたが、私としてはもう少し報道の在り方を考えてほしい・報道するならもう少し詳しく報道してほしいと思うのです。