喜寿祝い(数え)の同級会から帰って以来、1ヶ月間小銭入れがなくなっていた。
最後の記憶は会からの帰り、運転席で助手席の同級生からお釣りを受け取った時のこと。
その後は彼を自宅まで送り届け、帰る途中でスーパーに寄ったけれど、支払いはスマホで済ませた。
車の中でポケットに入れたのが浅くてポロリと落ちたとしか考えられなくて、車中はしっかり捜索した。
中の金額は、500円玉があったのを記憶していて、それが惜しい、というのもあるけれど、財布が気に入っていた。
車に乗るたびに何となく運転席あたりを探ったりして1ヶ月、嫌な気分をずっと引きずっていた。
そうして昨日、たまには玄関先を掃こうなどと考えて、雪囲いをしたままの勝手口の物陰に箒を差し入れた時に、びっしょり濡れた小銭入れを見つけた。
同級会から帰って、鍵を開ける時、必要以上に身体を片側に寄せつつポケットを探ったものと思われる。
鍵を取り出すと同時にポロリと落ちて、バウンドなどしない形状ながらなぜか距離を稼いだに違いない。
物が失せる時というのは、想定外の何かが重なって、そんなことになるものなのだろう。
813円と歯医者でもらった痛み止めが1錠でしかないけれど、1食分に余る金額と気に入り財布が戻って嬉しい。
小銭入れのないのが不便で、すでにあまり気に入らないまま百均にて三日前に購入したのだったが、濡れた財布を乾かして元通りとする。
畑の草取りをしていてまたベッコウハゴロモ(鼈甲羽衣)の幼虫を見つけた。
妖精も跳び回っているうちに尻の飾りが貧弱になり、すっかり容姿が衰えている。
もうすぐ成虫へと変態するのか、たぶん不完全変態なので蛹にならず、ある時、急にじわじわ最終の姿になり始めるものと思われる。
そんな変身の姿を観察できるチャンスは、飼育しながら定点カメラを設置するでもしない限り不可能だ。
観てみたいが、それにかまっている暇はなく、今のところ初めから諦める。