能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

「失敗学」畑村教授の最新刊 失敗しても「まあ、いいか」でレジリエンスの力がよみがえります 使える失敗学

2015年01月23日 | 本と雑誌

使える失敗学

畑村洋太郎著 KADOKAWA刊 1400円+税

 

失敗学と言えば、畑村洋太郎東京大学名誉教授。

福島原発の事故調査検証委員会の委員長もつとめられました。

その最新刊が、図解付きで出版されました。見開きで、右ページに解説文書、左側ページに図解があるという親切な構成です。

同書で何回も出てくるのが、「失敗を苦にして人が死ぬことを絶対に防ぐ」ということ。

畑村先生が、日本社会の持つ空気を変えるために打ち出されたシンプルなフレーズ。

本当にそうだと思います。

死んだって何も解決しないのですから・・・その失敗を次に、明日に活かしていく・・・それが世のため、人のためになるのです。

 

この本で、一番おもしろく、心が癒されたのが「失敗に立ち向かえないときに取るべき七つの方法(32~33ページ)」。失敗しても、エネルギーを少しずつ回復させ、自発的に行動するためのコツが記されています。

とても人間的で、しかも畑村先生のお墨付き・・・次の失敗場面では、この7つの順番にやっていこうと思います(笑)。


失敗への「正しい対処」

1.  逃げる

2.  他人のせいにする

3.  おいしいものを食べる

4.  お酒を飲む

5.  眠る

6.  気晴らしをする

7.  グチを言う


ということは、いろいろあった後、「酒飲んで、寝る」というのは、正しい対処ということになります(笑)。

なぜか、失敗学の権威に、背中を押されたようで、何となく嬉しくなります。

 

ちなみに「正しくない対処」は、次のとおりです。

今までの気合いと根性系・・・。

超ストイックです。


1.  逃げない

2.  自分を責める

3.  食事もそこそこ

4.  お酒を飲まない

5.  睡眠を削る

6.  気晴らしをしない

7.  自分でため込む・・・


やせ我慢もスゴイとは思いますが、それが続くとやられます。

やはり、いったん全てを忘れて「酒飲んで寝る」・・・という姿勢が大切だと思います(笑)。

 

目次

ステップ1 失敗に負けない人になる 失敗からの回復

ステップ2 失敗を分析できる人になる 失敗学の基礎

ステップ3 失敗を創造に変える人になる 失敗から創造へ

ステップ4 失敗を活かせるリーダーになる 失敗学応用編

 

同書で興味深かったのが、たくさんの事例。

タコマ橋崩落事件、リバティ船沈没事件、コメット機爆発事件、前田建設事件・・・この本で初めて知った失敗学の事例です。

失敗事例から学べることは、本当に多くのものがあると思います。

 

そして、この本のコアとなるのが、最終章の「失敗を活かせるリーダーになる 失敗学応用編」。

畑村先生の金言が、キラリと光ります。

 

「自分の影(ブロッケン効果)におびえず、変わり続ける」


「魚のいない池から魚のいる湖に向かう大切さ」


「新たな挑戦をするときに覚えておくべき千三つの法則」


「チャンピオンデータは闇夜の灯台になる」


「新規事業は隣接分野でしか成功しない」


「本物のリーダーは失敗から定式化を繰り返す」


「上位概念に上がることで異分野の知識を活用できる」

 

そして、同書の最後には、企業風土を改善するための四つの文化が必要であるということで締めくくられます。

 

企業風土を改善するための四つの文化

1.  自ら意思決定し挑戦する文化

2.  コミュニケーションする文化

3.  マニュアルを磨いていく文化

4.  2.5人称の視点の文化


この四つの文化は、世界最強と言われたニッポン株式会社で持っていた風土、企業文化。

それが、バブル崩壊、リーマンショックなどで次第に消えつつあるように思います。

企業再生も、畑村先生の金言により、もう一度ゼロベースで再構築していく必要があると思います。


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