日経ビジネス誌2015.1.19号の特集は、「二極化どころか一万極 ナノ市場突破法」。
同誌の「シリーズ 逆転の経済」の一環です。
「ナノ」とは、十億分の一のこと。
ビジネスの枕詞として、「顧客の多様化」「市場のソフト化」などという言葉がありますが、
今では「ナノ」レベル・・・国民一人10通りのカスタマーに対応していかなければならない時代になったということらしいです。
最初には、キャバクラ風の写真が・・・。
「瞬間セレブ」「お姫様需要」ということで、リムジン姫会の紹介。
ドレス貸出料と8メートルのリムジンカーのレンタルで一人9800円とのこと。
「百花繚乱する、多極化する消費」という点からの取材だったと思います。
具体的に、「国内良品回帰」「ネオ・チープ」「新時代リア充」など8つのシーンも取り上げられています。
そして、これらの「迷宮市場」に向き合うために4つの策があると提言しています。
方法論1 愚直に顧客に聞く 事例/旭化成ホームズ
方法論2 現場至上主義 事例/ルミネ
方法論3 データで徹底検証 事例/すかいらーく
方法論4 究極のカスタマイズ 事例/ダイハツ・ハウス食品
そして、
「非常識を見つけて、受け入れる。過去の成功から脱却できずに低迷する企業の逆転劇は、そこから始まる」
と結論づけます。
う~ん・・・いつもロジカルな同誌の特徴とは、かなり異なる切り口と結論。
この特集は、外部にアウトソースした記事かも・・・と感じた次第です。
(そういえば、最近、同誌の広告量が減少しており、薄くなっているような・・・)
ドラッカー博士も言ったように、今ある些末な事象が未来の端緒になっている可能性もあるとは思いますが、
中には、一過性、ブーム性、一発性のものも多々含まれており、帰納的に結論づけることには無理があります。
また、方法論として、「ナノ市場となる」という前提が正しいとして、そこへの切り込みが方法論1~4でブレークスルー出来るか?というとこれもまた疑問です。
膨大なマーケティングリサーチをして多量のエクセルデータ、パワポを作って結論として駅前で広告入りティシュを配りましょうというマヌケな広告代理店に近いものがあります。
特に、企業内で新しいチャレンジがなかなか進まないのも、過度な!?内部統制、ピンボケのインディケータ、コンサバティブなマネジメント、極端なリスク排除・・・などの「壁」が主因。
リーマンショック以降、多くの会社が、「何でもアリ」でやっていた過去のニッポン株式会社とは違う会社になってしまったのです。
個人的には、ICTの進歩によるビッグデータ、コトラー博士の言うマーケティング3.0・・・ソーシャルマーケティングの方向に向かうのが妥当解ではないかと考えています。
一発屋のミュージシャンではなく、大ヒットはないけれど多様なファンに支えられているミュージャンを目指すべきではないかと考えているところです。
ジョブズのような天才を目指すことは無謀だし、社会に向かった地道な努力をしていれば、たまたま長打がでるかもしれない・・・。
社会に対する大義名分、錦の御旗、ビジョン・・・それを統計的データと結び付けていくことが必須だと考えています。