能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

マーケティングの父フィリップ・コトラー博士自伝-金儲けだけではなく、より良い企業、社会を創るために-

2014年11月18日 | 本と雑誌

マーケティングのフレームを築き上げたフィリップ・コトラー博士。


ビジネスパースンであれば、ドラッカー博士と同様、誰もが知っているビッグネームです。


そのコトラーさんも83歳。


今年、日本経済新聞の「私の履歴書」に1か月間、その自伝を執筆されました。

「私の履歴書」への登場は、その方のピークを過ぎた偉人、ライフサイクルで言うと、成熟期から衰退期に入ったという見方も出来ます。

でも、まれに、そこから再び偉業を成し遂げる人もおり、人生様々の様相を呈しています。



「マーケティングとともに フィリップ・コトラー自伝」
フィリップ・コトラー著 田中陽・土方奈美訳
日本経済新聞出版社 1800円+税



同書は、「私の履歴書」をベースに、単行本に編集した一冊。
「履歴書」を毎日読んだ人も、通しで読むことで再度の発見があると思います。

目次
・家族 両親はウクライナ移民
・青年時代 教養の宝庫、古典を学ぶ
・シカゴ大学からMITへ 資本主義理論に心酔、博士号を取得
・結婚 クレオパトラに恋
・インド生活
・学ぶテーマ確信 ハーバードで高等数学
・ケロッグ校時代 新たな視点で教壇へ
・処女作 顧客を意識、執筆に2年
・名声について その光と影を知る
・社会問題の解決へ
・NPOとの出会い 経営的発想で質向上へ
・ドラッカーと マネジメントの父から学んだこと
・企業の社会的責任
・政府と地域 公共サービスを改善
・日本への想い 安く良い製品で圧倒
・趣味 根付、鍔
・日本の思い出 お客様に学ぶ商人道
・コトラーデー 北欧に根付く私の提唱
・イノベーション 次世代を生き抜くカギ
・世界の教え子たち より良き社会を先導
・コンサルティング 真剣勝負の疑似討論
・富と貧困
・平和 資本主義をさらに磨く
・変わる米国
・マーケティングの未来 消費者主導への転換
・世界マーケティングサミット
・感謝 経済的繁栄、多くの人に

この目次の構成を読むだけで、コトラー博士の半生を大きくとらえることが出来ます。
資本主義の研究から入り、マーケティングの世界へ、そしてそのマーケティング理論を非営利組織、社会、地域、国へと発展、展開・・・。


そして、世界の富と貧困という格差問題の解決、世界の平和へと昇華させていきます。
文系のドラッカー博士、理系のコトラー博士・・・という感じでしょうか。

同書の中に、その著もあるコトラーの成長戦略が出ています。
低成長時代に生き残る8つの戦略です。

1.マーケティングシェアを築いて成長する。


2.コミッテッドカスタマーやステークホルダーを増やして成長する。


3.強力なブランドを築いて成長する。


4.新製品、新サービス、そして経験を確信して成長する。


5.国際展開による成長


6.合併、買収、アライアンス、そしてジョイントベンチャーによる成長


7.社会的責任の卓越した評判で成長する。


8.政府及びNPOとの提携による成長


そして、コトラー博士は釘を刺します・・・戦略の選択を間違ってはいけない・・・まさにそのとおりです。

ドラッカー博士同様、日本の文化に強い関心を持たれていたコトラー博士。


日本人の私さえ、根付という日本的道具を始めて知りました。


ドラッカー博士が日本の書や絵画のコレクションを持たれていたように、

コトラー博士もかなりの日本コレクションを所有されているようです。


経営学、マーケティングと日本文化・・・動と静、陽と陰、和魂洋才。

・・・これらのことも日本に両博士の熱狂的ファンが多い理由かもしれません。



時代は、マーケティング3.0の時代。
ソーシャル」が主要舞台の今、コトラー博士のたどったマーケティング研究の足跡をたどることは意義あることだと思います。
マーケター、マーケティングに携わる方、ソーシャルビジネス、ソーシャルデザインをしている方に読んでいただきたい一冊です。


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