情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

朝日新聞社説に見る「国」の使い方~ちょっとこだわってみたい

2008-03-27 01:32:00 | メディア(知るための手段のあり方)
3月26日付朝日新聞社説は、NHK経営委員長の「国際放送で国益を主張せよ」との発言をとりあげ、「何が日本の国民にとっての利益になるかは、幅広い論議と慎重な吟味が必要だ。政府と異なる考えが国益にかなうこともある」と指摘した。この点は、私も同様に考える。しかし、「国」についてちょっと気になる表現があった。

問題の部分は、

【公共放送であるNHKは、国民から集める受信料で運営される。国家権力からの独立を保障し、さまざま情報を多角的に伝えるための仕組みである。ここが政府の宣伝機関とは決定的に異なる。

 このことは海外向けの放送でも同じだろう。日本の政府の主張だけを色濃く反映していたとしたら、だれがその報道を信じるだろうか。日本とは利害が反する国の主張も公正に伝えてこそ、その放送は権威あるものと認められる。

 国際放送の長い歴史を持つ英国放送協会(BBC)が高い評価を受けているのは、自国に不利なことでも公正に伝えようと努力してきたからだ。 】

という文脈での「自国に不利なことでも公正に伝えようと努力してきたからだ」という表現だ。

 「国益」について多義的だという以上、「自国に不利」かどうかも多義的なはずだ。

 少なくとも、朝日新聞が指摘する「英国放送協会(BBC)が(中略)自国に不利なことでも公正に伝えようと努力してきた」場面において、BBCのスタッフは、自らが伝えようとすることが明らかになることは、「自国にとって有利になる」と信じているはずだ。
 
 すなわち、ここでいう「自国に不利なこと」とは「政府の不正」だったり、「企業の違法行為」だったりするのだと思うが、BBCのスタッフはそれらを報道することで、よりよい政府、よりよい企業を実現できると考えているはずなのだ。つまり、「自国に有利なこと」だと考えて報道しているはずなのだ。

 それを安易に「自国に不利なこと」って書かれると、本来書かなくていいことを書いているように受け止められてしまう。それでは、記者の士気は上がらない。

 朝日新聞に所属する記者にエールを送るためにも、「国」にちょっとこだわってみました。










★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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