脚本 佐藤五月、監督 宮越澄
1987年1月8日放送
【あらすじ】
新年早々、あるアパートで殺人事件が発生。被害者は指名手配中の強姦殺人犯だった。捜査にあたった特命課は、目撃者の証言から、犯行時間近くに老婆が通り掛っていたことをつかむ。老婆はいつも決まった時間に街を散歩することから「時計婆さん」とあだ名されていた。
叶が探し出したところ、老婆は無意識のうちに防止を万引きしたり、死んだ主人を生きていると主張したり、ボケている様子。犯人を目撃した可能性は高いものの、まともな証言は期待できなかった。
一方、特命課は動機を怨恨と見て、被害者に殺された女性の遺族を訪ねる。父親は「この手で殺してやりたかった」と語ったものの、アリバイは確かだった。また、婚約者も会社の同僚と一緒というアリバイがあった。
やはり老婆の証言に頼るしかなかったが、老婆は叶の質問にトンチンカンな対応を繰り返すのみ。「私の祖父もボケていましたが、好きなことについては記憶がはっきりしていました」との江崎の言葉をヒントに、老婆から証言を得ようと奔走する叶。自他ともに老人の扱いが得意と認める紅林も協力する。
最近の老婆の興味と言えば、老人会のリーダー格で、町内の老婆たちの憧れの的である老人だった。老人とともに老婆を訪ね、明日の写生会への参加を呼びかけたところ、まともな反応を見せる老婆。しかし、肝心の目撃証言となると、やはりまともな回答は得られなかった。老婆に哀れみを感じる叶だが、紅林は「ボケた方が勝ちってこともある。あのお婆さんにとっては、その方が幸せかもしれん」と応じる。
そんななか、特命課に匿名の封書が届く。そこには「老人を調べてみてください」と綴られていた。老人と事件の関わりを調べてみると意外なことが分かる。老人は被害者に殺された女性を子供の頃から知っており、孫娘のように可愛がっていたのだ。叶は桜井とともに老人を訪ねる。老人は犯行現場を通り掛っただけだと判明するが、現場付近で若い男を見たと言う。「犯人らしい男を見て、なぜ届けなかったんです?」桜井の追及に、老人は重い口を開く。若者は女性の婚約者に似ており、「自分の代わりに仇を討ってくれた」ように思えたのだという。
婚約者を問い詰めたところ、犯行とアリバイ工作を認める。仕事中に偶然、被害者を見つけた婚約者は、悩んだ末に殺意を抑え、自首させようとアパートへ行った。しかし、被害者が開き直って暴力を振るったため、格闘の末に死なせてしまったのだ。
一方、叶は封書の筆跡が老婆のものだと気づく。叶の追及に対し、老婆はボケを装っていたことを認める。老婆は犯行現場で老人を見て、犯人だと思い込み、慕っている老人をかばう一心で、ボケを装ったのだ。だが、老人が別の老婆と仲良くしているのを見て嫉妬心にかられ、思わず封書をしたためたのだ。「もう、あの人には会えない・・・」と後悔する老婆を励まし、老人のもとへ連れて行く叶。躊躇する老婆の背中を押し、老人と仲直りさせる叶。老人は老婆の謝罪を快く受け入れ、ボケてなかったと喜ぶ周囲の仲間たちとともに、老婆を暖かく迎え入れるのだった。
【感想など】
老いてなお恋心を忘れない老婆と、周囲の老人たちとの交流を描いた一本。殺人事件はもはや添え物に過ぎず、刑事ドラマというよりも、刑事を主役にしたご町内の人情ドラマという趣すらあり、何とも批評のしようがありません。中盤での叶と紅林の会話などに、老人に厳しい社会への皮肉のようなものが伺えますが、そうしたテーマ性も、老人たちの時に可愛らしく、時に鬱陶しい演技が前面に出ているため、さほど印象に残りません。
正月一本目ということもあってか、いつもの極端なばかりの佐藤脚本の持ち味は抑えられていますが、残念なことに、これが特捜では最後の佐藤脚本となってしまいました。長坂氏の著書によれば、佐藤氏はこれが最後とは知らなかったらしく、もし知っていれば、もっと凄い話を書いてくれたのではないかと、今さらながら残念でなりません。
1987年1月8日放送
【あらすじ】
新年早々、あるアパートで殺人事件が発生。被害者は指名手配中の強姦殺人犯だった。捜査にあたった特命課は、目撃者の証言から、犯行時間近くに老婆が通り掛っていたことをつかむ。老婆はいつも決まった時間に街を散歩することから「時計婆さん」とあだ名されていた。
叶が探し出したところ、老婆は無意識のうちに防止を万引きしたり、死んだ主人を生きていると主張したり、ボケている様子。犯人を目撃した可能性は高いものの、まともな証言は期待できなかった。
一方、特命課は動機を怨恨と見て、被害者に殺された女性の遺族を訪ねる。父親は「この手で殺してやりたかった」と語ったものの、アリバイは確かだった。また、婚約者も会社の同僚と一緒というアリバイがあった。
やはり老婆の証言に頼るしかなかったが、老婆は叶の質問にトンチンカンな対応を繰り返すのみ。「私の祖父もボケていましたが、好きなことについては記憶がはっきりしていました」との江崎の言葉をヒントに、老婆から証言を得ようと奔走する叶。自他ともに老人の扱いが得意と認める紅林も協力する。
最近の老婆の興味と言えば、老人会のリーダー格で、町内の老婆たちの憧れの的である老人だった。老人とともに老婆を訪ね、明日の写生会への参加を呼びかけたところ、まともな反応を見せる老婆。しかし、肝心の目撃証言となると、やはりまともな回答は得られなかった。老婆に哀れみを感じる叶だが、紅林は「ボケた方が勝ちってこともある。あのお婆さんにとっては、その方が幸せかもしれん」と応じる。
そんななか、特命課に匿名の封書が届く。そこには「老人を調べてみてください」と綴られていた。老人と事件の関わりを調べてみると意外なことが分かる。老人は被害者に殺された女性を子供の頃から知っており、孫娘のように可愛がっていたのだ。叶は桜井とともに老人を訪ねる。老人は犯行現場を通り掛っただけだと判明するが、現場付近で若い男を見たと言う。「犯人らしい男を見て、なぜ届けなかったんです?」桜井の追及に、老人は重い口を開く。若者は女性の婚約者に似ており、「自分の代わりに仇を討ってくれた」ように思えたのだという。
婚約者を問い詰めたところ、犯行とアリバイ工作を認める。仕事中に偶然、被害者を見つけた婚約者は、悩んだ末に殺意を抑え、自首させようとアパートへ行った。しかし、被害者が開き直って暴力を振るったため、格闘の末に死なせてしまったのだ。
一方、叶は封書の筆跡が老婆のものだと気づく。叶の追及に対し、老婆はボケを装っていたことを認める。老婆は犯行現場で老人を見て、犯人だと思い込み、慕っている老人をかばう一心で、ボケを装ったのだ。だが、老人が別の老婆と仲良くしているのを見て嫉妬心にかられ、思わず封書をしたためたのだ。「もう、あの人には会えない・・・」と後悔する老婆を励まし、老人のもとへ連れて行く叶。躊躇する老婆の背中を押し、老人と仲直りさせる叶。老人は老婆の謝罪を快く受け入れ、ボケてなかったと喜ぶ周囲の仲間たちとともに、老婆を暖かく迎え入れるのだった。
【感想など】
老いてなお恋心を忘れない老婆と、周囲の老人たちとの交流を描いた一本。殺人事件はもはや添え物に過ぎず、刑事ドラマというよりも、刑事を主役にしたご町内の人情ドラマという趣すらあり、何とも批評のしようがありません。中盤での叶と紅林の会話などに、老人に厳しい社会への皮肉のようなものが伺えますが、そうしたテーマ性も、老人たちの時に可愛らしく、時に鬱陶しい演技が前面に出ているため、さほど印象に残りません。
正月一本目ということもあってか、いつもの極端なばかりの佐藤脚本の持ち味は抑えられていますが、残念なことに、これが特捜では最後の佐藤脚本となってしまいました。長坂氏の著書によれば、佐藤氏はこれが最後とは知らなかったらしく、もし知っていれば、もっと凄い話を書いてくれたのではないかと、今さらながら残念でなりません。
ところでDVDのVol.9が発売決定になったようですね。
ラインナップから推測するにVol.10までの発売は ほぼ確実とみていいと思いますが、同時にVol.10で打ち切りの可能性も現実的になってしまったような。。。
以前、ここで推させてもらったエピソードも30本近く未収録のままなんだけどな~
それにしてもファミリー劇場のホームページ、来月分の番組表がなかなか発表されませんね。まあ、数年前に第104話で終了してしまったときと放送パターンが似ているので あまり期待はしてませんけど。。。
せっかくダメ元でリクエストしたんだから、また第1話から放送してくれ~!
坂井寿美江さんについては、人の顔や声を見分けるのが苦手なもので、申し訳ないですが、お役に立てそうにありません。どなたか、お分かりの方がいらしゃれば、ご教示ください。
DVDについては、情報ありがとうございます。Vol.9のラインナップには、今さら特段の感想もありませんが、ラリぞーさんと同様の懸念も含めて、後日、簡単にでも投稿させていただきます。