特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第359話 哀・弾丸・愛 七人の刑事たち!

2007年10月30日 20時59分17秒 | Weblog
脚本 塙五郎、監督 辻理

白昼、猟銃を持った銀行強盗が客や行員らを人質にして篭城。神代以下、特命課が包囲するなか、犯人が要求したコーヒーを持って、看護婦に扮した高杉婦警が銀行内に。
緊迫した状況下、持病の心臓発作が船村を襲う。「いつまでも若いつもりじゃだめだ。足手まといにならんうちに現場を離れろ」と、地方の副署長への転属を促す刑事局長の言葉が、船村の脳裏をよぎる。船村の異変に気づいた桜井は、他の刑事らに告げようとするが、船村は桜井を制し、叶とともに非常階段から突入する。先に突入しようとする叶に対し「これは訓練とは違う。私が撃つ」と陣頭に立つことを主張する船村。吉野らがシャッターを開けようとして強盗の注意をひく間に突入し、強盗の背後から拳銃を向ける船村。だが、船村はなぜか構えた拳銃を下ろす。次の瞬間、強盗の猟銃が火を吹いた。高杉と女子行員が銃弾に倒れるなか、突入した吉野らが強盗を取り押さえる。事情を知らない吉野が「何で撃たなかった!」と叶を殴り倒すのを、船村は呆然と見ているしかできなかった。
高杉は重傷を負い、女子行員は死亡。刑事局長は神代を叱責しつつ、船村の転属を打診する。女子行員の通夜を訪れた船村は、遺族に罵られる。夫と別れた後、女子行員が女手一つで育てていた幼い娘は、まだ母の死を理解できなかった。遺族の怒りを黙って受け止めるしかない船村。やがて、遺族は特命課を告訴する。
特命課では、桜井が発作の事実を明かし「私が止めるべきでした」と詫びるが、吉野は「だったら(船村が)自分で言うべきでしょう」と怒りを隠せない。そんななか、銀行から強盗が奪った現金以外に3千万円が消えていると判明。共犯が存在した可能性も視野に入れ、強盗を尋問する特命課だが、強盗は単独犯だと主張する。一人、その事実を知らされていなかった船村は、連絡しなかった叶を叱責。「お前さん、あたしをかばうほど立派な刑事になったつもりか?10年早いんだよ!」
客も行員も強盗との接点は見当たらなかったが、船村は「強盗に撃たれた者も調べるべき」と主張し、負傷した警備員を調べる。警備員が元警官だと知った船村は、その過去を履歴書に明記していなかったことを追及。警備員は「元警官は世間から色眼鏡で見られるから」と理由を明かす。「やめなきゃ一生気が付かなかった。自分がどこかおかしな人間になっているってことを。あんたも番犬になっちゃいけない、人間でなけりゃ」警備員の忠告が、船村の耳に重く響いた。
そんななか、意識不明のままの高杉を見舞った吉野は、高杉の両親から、婚約寸前になって破談した恋人がいたことを聞かされる。元恋人を探し出し、「見舞ってやってくれないか」と頼む吉野。海外転勤を控えた元恋人は、見舞いを拒み、高杉と別れた理由を明かす。「学生だった弟が、デモで死にました。両親は警察が弟を殺したと思って、警察の人間を憎んでいるんです」特命課に戻った吉野は「警察の人間だっていうだけで人殺し扱いか?」と憤る。そんな吉野を神代が諭す。「私たちは、そう思われても仕方のない仕事をしている。人を殺すことのできる拳銃を持っていることに、決して慣れてはいかん」
一方、桜井と紅林は、夜の街で働く強盗の恋人を訪ねる。強盗はかつて、勤め先で周囲に裏切られたことが原因で人間嫌いとなっていた。他人を寄せ付けない雰囲気と、毎晩夜中に凝視するような異様さが原因で、すでに強盗とは別れたという恋人。その後、恋人のもとに、一千万円の現金が送られてくる。消えた二千万円の半分と思われたが、果たして誰が送ってきたものなのか?また、その後の捜査で猟銃の入手先が判明。強盗がかつて働いていた銃砲店だったが、盗まれた猟銃は2丁。もう一丁はどこへ消えたのか?
さまざまな謎が浮上するなか、船村は消えた二千万円の謎に気付く。強盗がコーヒーを要求する際、あえて以前バイトしていた喫茶店のマスターを指名したことを思い出したのだ。「二千万円は、コーヒーを入れていた籠の中だ!」叶とともにマスターの自宅を強襲する船村。雨の中を逃走するマスターを必死に追う船村だが、再び心臓の発作が襲う。「おやっさん!」「いいから行け、新米野郎!」船村に罵られ、ためらいながらもマスターを追う叶。しかし、マスターの姿は雨の中に消えていた・・・

ファンの人気も高く、傑作選DVDにも収録された7周年記念企画の前後編。脚本・塙+監督・辻の黄金コンビが担当するだけに、冒頭から異様な緊迫感が漂っています。ストーリーも実に濃密で、一つひとつのエピソードが深い奥行きをもっているだけに、ついつい粗筋も長くなってしまいました。評価や感想は来週放送の後編を見てからにしたいと思いますが、ただ一つ言えるのは、吉野に殴られても、おやっさんに罵られ、邪険にされ、新米扱いされても、一切文句を言わない叶は本当にいい奴だということ。さまざまな伏線が後編でどう解決されるのか、期待して待ちたいと思います。

第358話 単身赴任殺人事件!

2007年10月29日 00時27分21秒 | Weblog
脚本 佐藤五月、監督 藤井邦夫

紅林の行きつけの小料理屋の女将が殺された。所轄署は、女将の死体の側で凶器を持ったまま立ち尽くしていた男を逮捕。それは小料理屋の常連で、大阪から単身赴任してきた会社員だった。
必死に犯行を否定する男だが、凶器に男の指紋しかついてないことから、所轄署は男を犯人と断定。男が単身赴任の寂しさから女将と男女の仲となり、それがこじれて殺したものと決めつける。小料理屋で男と顔見知りだった紅林は、男が大阪に残してきた妻子のことをどれだけ思っているかを知っていた。「あれほど家庭を大切にしていた男が、家庭を壊すような真似をするだろうか?」と疑問を抱いた紅林は、独自に捜査を開始する。
男は女将との仲を否定していたが、紅林が男の同僚に確認したところ「二人がホテルに入るところを見た」との証言が。男と同様、広島から単身赴任の同僚は「あいつは1年以上も奥さんに会ってない。寂しくもなりますよ」と同情気味に語った。
紅林に問い詰められた男は「一度だけ、寂しさに耐え切れずに・・・」と告白。「一度家庭の温もりを知った者には、単身赴任の寂しさは耐えられない」と言い訳する。「あんたは大阪にいる奥さんを愛していないのか!」と責める紅林に、「私は女将に惹かれたが、妻も愛している。男は強くなくちゃいけないんですか?」と開き直る男。しかし、男の逮捕を知った妻が上京し、所轄署に離婚届を託す。
一方、紅林は女将と親しかったスナックのママから、女将の亭主が若い女を愛人にしていることを聞き込む。亭主に疑惑を向ける紅林だが、亭主は愛人と口裏を合わせてアリバイを主張する。その後の調べで、亭主が女将を生命保険に入れた上に、女将に黙って小料理屋を不動産屋に売りに出していたことが判明。亭主を追及すると、あっさり愛人が口裏合わせを暴露する。しかし、亭主は愛人に内緒でトルコに行っていただけであり、やはりアリバイがあった。
振り出し戻ったかに見えたが、愛人は女将が何者かと口論しているのを目撃していた。「いつまでも金を返さないなら、広島の奥さんに返してもらうわよ」愛人が聞いた女将の言葉が決め手となって、男の同僚が真犯人と判明し、事件は解決。釈放された男は「もう一度、女房との生活を取り戻して見せます」と紅林に語り、新幹線で大阪へと向かった。
数時間後、祝杯をあげる特命課に、大阪から電話が掛かってくる。それは、妻に愛人がいると知った男が、妻を殺したことを告げる電話だった。

単身赴任者の悲哀をテーマにした一本。いかにもな関西弁を操る単身赴任者を演じるのは小林稔侍。いつになく善人っぽい演技が微笑ましい。なお、クレジットの最後に出てくる岡崎次朗とは、早川健の友人飛鳥五郎のことでしょうか?おそらく女将の亭主役だと思うのですが、合ってますか?
ストーリー的には、起伏のない平板な印象ですが、ラストで一変。救いのないショッキングな展開に唖然とさせられます。だからといって前半の退屈さが解消されるわけではないですが、稔侍の印象と相俟って、記憶に残る一本となることは間違いないでしょう。
あと、今回からタイトル後に脚本、監督がクレジットされるようになりました。これも脚本家の待遇改善の一環でしょうか。

第357話 OL・疑惑の完全犯罪!

2007年10月25日 00時51分27秒 | Weblog
脚本 石松愛弘、監督 山口和彦

ある夜、橘とともに張り込み中の叶は、孤児院の後輩が彼女連れで歩いているのを見かけて声をかける。「長距離トラックの運転手が、一流企業のOLを彼女にした」と、嬉しそうに橘に語る叶。しかし、二人の仲は順調ではなかった。
数日後、叶は彼女から相談を持ちかけられる。二人は結婚を約束していたが、彼女の両親が反対しており、不安にかられた後輩は彼女の気持ちを疑うようになり、とうとう「一緒に死んでくれ!」と自殺を図ったのだという。「一度話してみる」と約束したのもつかの間、後輩は仕事中にトラックを乗り捨て、城ケ崎から身を投げる。
彼女とともに後輩を弔う叶だが、泣きながらも化粧を気にする彼女の姿に不信感を抱く。運送会社に確認したところ、その日の仕事は後輩が自分から志願したものだという。「責任感の強いあいつが、そんなことをするはずがない」後輩の死は自殺に見せかけた殺人だと見た叶は、神代の許可を得て彼女を調べ始める。
彼女の勤務先を聞き込んだところ、彼女はかつて妻子ある上司と不倫関係にあり、上司は責任を問われて大阪に左遷されていた。居づらいはずの職場に居座り続ける彼女に「図太い女だねぇ」と、嘆息する船村。橘は単身赴任中の上司が東京に戻っていたところをつかまえ、事情を聞く。上司の語るところでは、不倫関係が明るみに出た原因は彼女に会った。幾度も上司に離婚を迫り、それが聞き入れられないと知ると、上司の留守中に自宅を訪れ、上司の妻に離婚を迫ったというのだ。
彼女が上司と別れたのは、後輩と付き合い始める直前らしく、叶は「失恋のショックを紛らわしたかっただけなのでは?」と疑念を抱く。自らの疑惑を確かめるべく、彼女を食事に誘う叶。「よくこういう店に来るの?」「上司と別れて平気だった?」「相手は誰でもよかったんじゃないの?」と、挑発するようにネチネチと嫌味を言う叶だが、女は巧妙に受け流し、決してボロを出さない。
その後の調べで、彼女に別の男がいることが判明。スーパー経営者の息子で、後輩と違って将来性は充分だ。「これで動機が明らかになった。後は証拠だ」と、男を揺さぶる特命課。「彼女には殺人容疑がかかっている」と知らされ、怖気づいた男は「あんたも事件に関係しているんじゃないか?違うというなら言うとおりにしろ」と叶に脅され、隠しマイクを仕込んで彼女と会う。男から別れを切り出された彼女は「私はあなたのために生きてるのよ」と元上司にも言った台詞をぶつけるが、男は「笑わせるなよ」と相手にしない。隠しマイクから聞こえる彼女の言葉に怒りを募らせる叶だが、いまだ何の証拠もない。
失意の彼女は、一人で城ケ崎に向かう。そこは彼女と後輩が出会った思い出の場所だった。一人断崖を見つめる彼女に歩み寄る叶。自暴自棄になった彼女は、あっさりと犯行を告白。「君がそうまでして得ようとしたものはなんだ?」叶の問いに対する答えは、上司の奥さんを見返したかったからだという。離縁を迫りに行った際、「こんなことばかりしてると、幸せな結婚はできないわよ」と言われたのが、許せなかったのだという。「勝手なことを言うな!」と怒りをぶつけ、「君が何をしようと止めはしない」と自殺を勧める叶。断崖へと歩み寄る彼女の前に、「自分が犯した罪を償うんだ」と橘が立ちはだかるのだった。

石松愛弘4連発の最終作。執拗に流れた挿入歌のタイトル(悪女の子守唄)どおり、4本とも悪女(もっと言えば、あらゆる女がもつ聖女と悪女の二面性。ただし本作は除く)がテーマでしたが、今回の悪女を演じたのはピンクレディーの元片割れである増田恵子さん。お世辞にも達者な演技とは言えませんが、それ以上に脚本に問題があるように思われてなりません。
まず、彼女の行動が理解できません。たかが別れ話のために、何で殺人犯になるリスクを犯すのか?何の証拠もつかまれてないのに、性根の腐った男に振られたくらいで自供するのは何故?そもそも、上司の奥さんの至極当たり前の言葉に、何でそこまで腹を立てるのか?石松氏は「女の身勝手さ」を描きたかったのかもしれませんが、少なくとも私には単なる描写不足にしか見えません。(せめて彼女が金持ちとの結婚にこだわる生い立ち上の理由などでも描写されていれば、まだ説得力があったかと思うのですが・・・)挿入歌を無理に入れるのに必死で、そこまで頭が回らなかったのか?と、妙に挿入歌を敵視してしまいますが、それだけ鬱陶しかったということで、ご容赦ください。
もう一つ違和感があったのが、特命課の強引過ぎる捜査です。叶ファンの方には不愉快な粗筋だったかもしれませんが、今回の捜査はちょっとひどすぎ。当初から予断と偏見に満ちた捜査で、実際に彼女が真犯人だったからよかったとはいえ、人権侵害もはなはだししい捜査振りにはちょっと興ざめ。ラストも「なんだそりゃ」という印象で、しばらく石松氏の脚本は遠慮したい気持ちになりました。

第356話 ある主婦の殺意!

2007年10月23日 00時05分26秒 | Weblog
脚本 石松愛弘、監督 天野利彦

悪徳サラ金業者の取立てによる一家心中が頻発。その背後には暴力団の存在があり、特命課が摘発に乗り出す。取立人をマークする船村と吉野は、非道な取立てに苦しめられる主婦と出会う。病気で入院している夫の治療費を借りたところ、気が付けば金利が膨らみ、返済のメドが立たなくなっていた。二人の子供を抱えて途方に暮れる主婦に、船村は同情を隠せない。
取立ては入院中の夫にまで及び、「お前が死ねば保険金が入るだろう」と責め立てる。主婦とともに見舞いに訪れた船村が取立人を追い返すが、その夜、夫は病院を抜け出し失踪する。「夫は死ぬつもりなんです!」主婦の報せを受けて、夫を探す船村。ようやく駅のホームに佇む夫を発見したときには、電車が間近に迫っていた。「奥さんを泣かせんなよ」船村の言葉が届いたのか、自殺を果たせずホームにひざまずく夫に、主婦は泣きながら駆け寄った。
末期のガンで自らの死期を悟った夫は、主婦に「俺を殺してくれ」と依頼する。「今、俺が死にさえすれば、万事解決する。けど、いざとなれば一人では死ねなかった。子供たちのためだと思って、力を貸してくれ!」夫の気持ちが痛いほどに分かりながらも、やはり受け入れることはできない主婦。だが、その夜、自宅で子供たちの寝顔を見つめる主婦の目には、ある決意が宿っていた。
翌日、主婦は取立人を自宅に誘い、自分の身体を餌に「夫の自殺を手伝って」と持ち掛ける。夫を見舞った夕方、主婦は「屋上に子供たちがいるから」と嘘をつき、夫を屋上へと送り出す。慌てて帰宅する主婦とすれ違うように、病院を訪れる船村。そのとき、待ち受けていた取立人の手で、夫は屋上から転落死を遂げる。
夫の首筋に残った引っかき傷から、自殺に見せかけた殺人とにらむ船村。屋上では夫のパジャマのボタンが発見され、何者かと争ったことが推測された。通夜の席に訪れた取立人を「出てってよ!人殺し」と追い返す主婦。「たいした役者だ」という取立人の呟きを耳にした船村は、主婦への疑問を募らせる。
借金は返済したものの、「夫を殺した報酬を払え」と取立人が主婦に迫る。ホテルに連れ込まれた主婦は、支払いを拒んで取立人に乱暴される。主婦は花瓶で頭部を乱打して取立人を殺害するが、正当防衛として不起訴処分に。悪徳サラ金も摘発され、事件は解決したかに見えたのだが・・・
子供を連れて九州の実家に帰ることにした主婦を訪れた船村は、「ご主人は自殺ではなく殺された。殺したのは取立人で、奴に依頼したのは奥さん、あなただ」と自分の推理を明かす。「いくら刑事さんでも、ひどい!」と憤る主婦に「どこか間違っていますか?」と冷静に問い返す船村。「何の証拠があるの?」と答えたとき、すでに勝負は決していた。「自首して欲しい。自首が嫌なら、私は刑事として、いずれあんたを逮捕しなければならない」主婦の答えを聞くこともなく、一礼して立ち去る船村。心配そうに見つめる子供たちを抱きしめる主婦の胸には、果たしてどんな想いが去来しているのだろうか。

石松愛弘シリーズの第3弾。またも繰り返される挿入歌「悪女の子守唄」は、もはや嫌がらせの域に達しています。よほど売り出したかったのでしょうが、鬱陶しいくらいに連発させるのは逆効果でしかありません。せめて台詞を喋っている最中にかけるのはやめて欲しい。また、その歌手を無理やり出演させるために、全く脈絡なくクラブを訪れさせるのもやめて欲しい。
肝心のストーリーは、見る人によって評価が分かれるのではないかと思います。池波志乃演じる平凡な主婦が、追い詰められた果てに悪魔のような完全犯罪を働く。苛酷な運命に翻弄されるひ弱な女と、取立人や警察を欺き殺人計画を冷静に実行する女。一人の女の中に同居する二面性を、矛盾に満ちた人間性の描写と見るか、不自然な演技・展開と感じるかは、人それぞれでしょう。ラストについても、余韻を残したと見るか、中途半端と感じるか、意見が分かれるのでは?私としては、主婦がどんな決断を下し、その決断をおやっさんがどう受け止めるかを見たかった。
そうした不満もさることながら、「警察は民事不介入じゃないのか?」「自殺でも保険金がもらえるのか?」など、余計なことが気になって仕方なく、あまりドラマに没入できなかったのも事実。また、中盤で「悪徳金融を潰す手がない・・・」と言っておきながら、主婦が取立人を殺した後、「利息制限法違反並びに暴行傷害恐喝容疑」で金融会社を摘発する特命課の態度も疑問です。取立人が(借金と関係なく)主婦を襲ったことが、どうして摘発を可能にするのか、さっぱりわかりません。演出の流れ的には、世論の後押しがあったから、と見えなくもないですが、そんなことが摘発の理由になるのでしょうか?
いろいろ苦言を呈しましたが、改めてドラマの流れを追ってみれば、そんなに悪い話ではありません。夫の苦しみを知りながら、夫を手にかけることができない主婦の苦しみ。自らを罰するために取立人に身体を許し、自らの手を血で汚す主婦の哀しみ。そんな主婦の胸中を知りながら、あえて刑事の立場を貫くおやっさん。と見所は充分あるのですが、個人的には、どこか納得できないものがあります。主婦に殺してくれと頼む夫も卑怯なら、自分ができないからといって取立人を利用する主婦も卑怯だと思ってしまうのは、第三者ゆえの傲慢でしょうか?どうにも評価が難しい一本でした。

刑事マガジンVの特捜最前線関連記事

2007年10月19日 02時29分05秒 | Weblog
創刊以来購読している『刑事マガジン』の最新号を書店で発見(定期発行ではないので見つけるのが大変)。表紙に並んだ見出しを見て「今回は特捜の記事はないのか・・・」と思いきや、恒例の70年代刑事ドラマ特集で、スタッフインタビューとして田中秀夫監督、深沢道尚プロデューサー、宮越澄監督が登場し、特捜について語っておられました。
深沢氏の記事ではレギュラー脚本家への要望が興味深く、宮越監督の記事では書き込みつきの台本なども公開されており、予想以上に読み応えがありました。別に辰巳出版の回し者ではありませんが、興味のある方は是非ご一読を。

特捜と関係ないですが、『大根刑事』も最高でした。ネットで第1話の映像も視聴できますので、是非ともチェックを!

第355話 トルコ嬢のしあわせ芝居!

2007年10月16日 01時15分11秒 | Weblog
脚本 石松愛弘、監督 宮越澄

雪の降る朝、桜井は街頭の募金箱に千円札を入れる女と出会う。女のヒモらしきヤクザが、「もったいないことをするな」と叱り飛ばすのを制止する桜井。何度も頭を下げながら男とともに去っていく女を、桜井は溜息混じりに見送った。
数日後、桜井はヤクザを殺した犯人として女が逮捕されたことを知る。女の優しさを知っているだけに、半信半疑で所轄署に出向いた桜井は、女が犯行を否定しながらも黙秘を続けていることを知り、捜査を開始する。女が勤めるトルコでは、誰もが女に同情し、ヤクザを殺されて当然だと語る。女のアパートで発見したマッチから、会員制クラブを調べたところ、女がそこで銀行員と会っていたことが判明。銀行員に問い質す桜井だが、銀行員は「偶然クラブで知り合って飲んだだけで名前も知らない」という。
そんな桜井を、トルコで出会った出前持ちの青年が尋ねてくる。青年は女と同郷の友人で、偶然東京で再会して恋仲となり、事件当夜も女とホテルにいたという。青年の証言で女のアリバイは証明され、釈放される。
その後、新たに殺人事件が発生。殺されたのは銀行員と同僚の若い女で、不倫関係が噂された銀行員が取り調べられる。だが、銀行員には確かなアリバイがあった。動機をもつ容疑者にアリバイがある二つの事件を「交換殺人の可能性がある」と指摘する神代。トルコを辞め、青年とともにラーメン屋の開業を目指して働いている女を探し出した桜井は、第二の事件当夜のアリバイを確認。女は「青年と一緒だった」と語り、青年もそれを認めるが、青年の態度は不自然だった。疑惑を確かめるべく、女と銀行員の接点を探す桜井。女と青年が利用していたホテルを聞き込んだところ、以前、銀行員が被害者と痴話喧嘩を起こし、その様子を女が見ていたとの情報を得る。
女は密かに銀行員に連絡。特命課に疑われていることを告げ、口止め料を要求する。いずれ両者が接触すると見て張り込みを続ける桜井。肩を寄せ合って生きる女と青年の姿に、思わず仏心を起こした桜井の胸中を見透かしたように、船村は「見逃してやりたいねぇ」と呟く。執拗な張り込みを続けるなか、ついに銀行員は女を呼び出し、郊外のホテルに連れ込み殺害を謀る。「お前はひどい女だ!お前が殺した女より、もっとひどい!」交換殺人は、女から銀行員に持ちかけたものだった。危ういところを特命課が踏み込み、二人を逮捕。女は桜井の頬を張り「あんたさえ邪魔しなければ・・・」と吐き捨てると、桜井の胸にすがりつき、憑き物が落ちたように泣きじゃくる。苦い表情で女を見つめる桜井の脳裏には、街頭で出会ったときの女の優しい笑顔が浮かんでいた。

4話連続で送る石松愛弘シリーズの第2弾。前回と同じ会員制クラブが登場し、前回同様に挿入歌が流れますが、特に事件との関連性はなく、唐突で無理やりな印象は否めません。石松脚本はあと2話続くのですが、歌詞も歌い方もチープなこの挿入歌は、引き続き登場するのでしょうか?エンディングに珍しく挿入歌がクレジットされていることから考え、何らかのタイアップとは思われますが、だったらもう少しうまくドラマとからめてもらいたいものです。(4話目で種明かしがあれば納得するのですが・・・)
タイトルの「トルコ嬢」が問題となって地上波では欠番扱いとなっていることで、放送前から注目を集めていた本編ですが、良くも悪くも普通の話。「交換殺人」というプロットには興味をそそられましたが、展開としては謎解きもくそもない平板なものでした。とはいえ、トルコ嬢のキャラクターは出色。田舎から都会に出てきて汚れた女という、ありがちなフォーマットながら、天使のような優しさと悪魔のような狡猾さが同時に存在する女(というか人間そのもの)の怪しさを独特の無表情で演じた佳村萌(愛川欽也の娘さん)の演技が絶妙でした。また、出前持ちの青年役の柳沢慎吾も、心配したほどには浮いてなく、まずまず楽しめる一本でした。

第354話 証言台の女秘書!

2007年10月15日 02時34分37秒 | Weblog
脚本 石松愛弘、監督 村山新治

巨額汚職事件のカギを握る存在として、地検特捜部の取調べを受けていた大手商社の専務が死体で発見された。現場の状況は自殺だと示していたが、特命課は口封じのための殺人と見て捜査に乗り出す。
専務と男女の関係にあった女秘書を尋問し「専務は政界への金の流れ示したメモが残していた。貴方はその所在を知っているはずだ」と問い詰める神代。女秘書は専務から死の直前に貸し金庫の鍵を託されていたが、「私はただの秘書ですから」とシラを切る。神代は「専務の口を封じた連中が次に狙うのは貴方だ。我々には貴方を守る義務がある」と告げ、その身辺をガードする。
神代の予想通り、怪しい影が女秘書を襲撃。橘らが救出して事なきを得るが、その直後、女秘書のもとに「あれは警告だ。1億で専務のメモを渡せ。メモが特命の手に渡ったら命はない」との脅迫電話が入る。脅迫者の魔手は女秘書の弟の身辺にも伸びる。両親を失った後、女秘書が親代わりとなって育てた弟は、今や唯一の生き甲斐だった。そんな弟の命を的にされ、やむなく脅迫者に鍵を渡す女秘書。だが、密かに弟をガードしていた特命課によって窮地を脱出。弟の説得もあって、鍵は特命課の手に渡る。
専務のメモが白日の下にさらされたことで、大物政治家たちに捜査の手が伸びる。だが、裁判の証言台に立った女秘書は「あのメモの内容はフィクション」と証言し、その信憑性を否定。検察側は大打撃を受ける。「あの女、俺たちをダシにして、被告側から報酬を吊り上げやがった」と憤る特命課。神代は女秘書を訪れ、「君はもう安全だと思っているかもしれないが、私が被告側なら今のうちに君を消す」と忠告する。
その言葉どおり、弟と一緒の女秘書に、チンピラを装った刺客が襲い掛かる。橘らの制止も間に合わず、弟は帰らぬ人に。「弟を殺したのは私・・・」責任を感じた女秘書は、買収の証拠となる1億円の小切手を神代に託す。小切手の振り出し先は、被告の息のかかったシンクタンクであり、神代は女秘書とともに事務所に乗り込む。隣接するビルからライフルスコープが女秘書を狙う。所長の態度から不穏な空気を嗅ぎ取った神代がとっさに女秘書をかばう。狙撃はそれたが、その隙をついて隠し持っていたナイフを取り出す女秘書。神代が止める間もなく、女秘書は所長を刺殺。改めてメモの信憑性を証言した後に、拘置所に送られる。
拘置所に面会に訪れた神代に、「こうして生き恥をさらすのは、神代さんのせい」と語る女秘書。一時は弟の後を追って死のうと考えていた女秘書だが、これからは神代を憎むことだけが生きる意味だと言う。「私はいくら憎まれようとかまわない、それで君の役に立てるのなら」と微笑する神代に、微笑を返す女秘書。その笑顔は、どこか儚く、切なげだった。

今回から石松愛弘が4話連続で脚本を担当。「挑戦」三部作や「面影」三部作など、神代課長をメインにした脚本で知られる石松氏だけに、一本目の主役はやはり神代です。范文雀演じる女秘書との大人の会話が実にムーディーな雰囲気をかもし出しており、いつもと違った趣があります。新聞記事で事件の経過を示す手法や挿入歌の使い方など、全般的に一昔前の刑事ドラマ風の演出が目立ちますが、それも悪くない味付けに思われました。
興味深いのは、女秘書が弟に向ける愛情。幼い頃、自分の不注意による事故で弟の足が不自由になったことで、今も自分を責め続け、その罪滅ぼしのように無償の愛情を注ぎ込む女秘書。しかし、そのために妻子ある専務と男女の仲になった自分を「弟は優しいから何も言わないけど、こんな私を軽蔑しているはずよ」と自嘲するなど、その愛情は非常に屈折しています。実際には、姉に対して感謝の想いしかなかった弟ですが、被告側の買収に応じたとき、初めて姉を非難します。「俺が足のせいで姉さんに甘えすぎていたから、姉さんを汚らしい人に変えてしまった」そう語った矢先に、刺客の手に掛る弟。その死が女秘書の自暴自棄に駆り立て、殺人を犯させるという皮肉な展開が素敵です。
一時は死を決意した女秘書が、唯一の生きる糧としたもの。それは憎しみという名を借りた神代への想いでした。そんな重たい思慕を大人の態度で受け止めることができるのは、これまで多くの哀しみを背負ってきた神代だからこそ。女秘書が皮肉めかして言った「正義のため」などではなく、そんな哀しみから多くの人を守るために、神代たち特命課は日々戦い続けているのです。長く神代の哀しみを見つめてきた視聴者ほど、ラストの彼の微笑に深い感慨を覚えるのではないでしょうか。

第353話 特別病棟の女!

2007年10月09日 20時12分41秒 | Weblog
脚本 宮下潤一、監督 藤井邦夫

中東某国の要人が単身で急遽来日し、政府の指示で特命課が警護の指揮を取る。だが、救急隊員を装ってホテルに侵入した一団が要人を拉致。要人の部屋には赤ん坊を抱いた和服姿の女性の写真が残された。麻酔で眠らされた警護陣の証言から、犯行グループに女がいたことが判明する。
事件は某国の反政府グループの犯行と推測され、その黒幕は5年前のクーデターで失脚し、現在はパリに亡命中の前大統領と目された。彼らは6日後の革命記念日に何かを企んでいる。そこに要人の姿がなければ大衆の動揺は計り知れず、反政府グループにとって千載一遇のチャンスとなる。だが、何故そんな時期に要人が来日したのかは謎のままだった。
救急車の逃走経路を絞り込んだ特命課は、都内有数の病院に疑惑を向ける。院長は渡米中で、代わりに応対した女医は「院内に外人の患者はいない」と関わりを否定。患者のプライバシーを盾に入院患者リストの提出を拒む。女医こそが犯行グループの女ではとにらむ特命課だが、女医を見た叶の脳裏には幼き日の記憶が蘇っていた。女医は叶と同じ孤児院で生まれ育った少女が成長した姿だった。
孤児院、夜間学校、医大と、女医の過去を追う叶。料亭の仲居の私生児として生まれた彼女は、幼くして母親を失い、「海外で医者として働きたい」という目標のため、苦労して医大に進学。後ろ盾を得るため肉体を武器にしてまで教授に取り入った。その教授は中東某国の大学に招かれ羽振りが良かったが、クーデター以降は失脚したという。同じ頃、神代は政府筋から、その教授が犯行グループの首謀者との情報を得る。
女医の母親の親友を見つけ出した叶は、女医が医者を志した理由を知る。女医の父親は、中東某国から来た医学留学生だった。もしやと思って要人の写真を見せた叶の直感は的中する。要人こそが女医の父親だったのだ。父親が死んだと聞かされていた女医は、亡き父の祖国で、父と同様に医者として働くことを夢見て、医者の道を選んだのだ。
院内に要人がいる証拠を掴むべく、病人を装い潜入する叶。昏睡したまま特別病室に隔離される要人を発見したものの、教授の配下によって眠らされる。「しのぶちゃん。指の怪我、大丈夫・・・」叶のうわ言で正体を知った女医は、叶を逃がそうとする。「君も一緒に逃げるんだ」叶の言葉に、女医はメスを要人の首に当てて拒絶する。「やめろ!その人を誰だと思っている!」要人が死んだはずの父親だと知り、愕然とする女医。母と自分を捨てたことへの憎しみと、幼い頃から募らせてきた思慕との間で揺れる女医。「思い出せ!何のために医者になろうと思ったんだ?」叶の言葉に、女医は組織を裏切る決意を固め、昏倒したままの要人を連れ出そうとする。追っ手のナイフから要人をかばって刺される女医。駆けつけた特命課によって要人は保護される。自分をかばって倒れた女医の素性を知り、絶句する要人。その胸の中で、女医は叶への感謝の言葉を残し、息を引き取るのだった。

国際的な謀略事件を背景に、叶の幼い恋心の悲しい結末が描かれた一本。冒頭の叶の「どこだ、ここはどこだ・・・」というナレーションに、「またも叶が拉致されたのか?」と、どきどきしました。回想シーンで描かれた、砂遊び中の指のケガですが、これをもっとドラマに絡めることはできなかったのか?と少し残念。また、偶然にもほどがある展開を「これも運命か・・・」の一言で片付けられるのも疑問が残ります。国際的な背景がなければ、余り語りどころが無いというのが正直な感想です。

第352話 レイプ・赤い靴の女!

2007年10月08日 20時28分07秒 | Weblog
脚本 佐藤五月、監督 辻理

聞き込みで立ち寄ったホテルで、悲鳴を上げて助けを求める女に出くわした橘。女はホテルの一室でレイプされかかり、必死に逃げてきたと訴える。女から聞いた犯人の年恰好をもとに、ホテル近辺で若い男を逮捕する橘。男を所轄署に引き渡したものの、改めて女の様子を思い出してみると、乱れた着衣のわりに靴は履いたままだったことに不審を抱く。
女の証言によると、男は「ホテルの一室で洋服のバーゲンをやっている」と誘い込み、部屋に入るなり襲い掛かってきたという。しかし、男は「スナックで女の方から誘ってきた。部屋に入るなり女が出て行ったので、からかわれたと思ってホテルを出た」と否認する。男が有名病院の院長の息子だったことから、多くのマスコミが飛びつくなか、橘は特命課で調べ直すよう神代に申し出る。「女が乱暴されたと訴えるのはよくよくのことでは?」「たかが男と女の揉め事でしょう」と反対する刑事たちに、橘は「万が一誤認逮捕だったら、俺たちは彼を社会的に抹殺することになる」と主張。神代は捜査に乗り出すことを認め、真相が明らかになるまで記事を書かないようマスコミに釘を刺す。
男の身柄を引き取り、改めて事情を聞こうとする橘だが、男はふて腐れたように協力を拒む。「親の権威を笠に着た甘ったれ」と愛想をつかす刑事たちだが、橘はひたすら真相を究明せんと、真摯な態度で問い掛け続ける。だが、報せを聞いて特命課を訪れた家族や上司が、自分らの世間体だけを気にすることで、男はさらに意固地になり、あてつけのように自分の罪を認める始末だった。
そんななか、橘は女が寒い日にもかかわらず上着を着ていなかったことに気づく。ホテルに確認したところ、女は一階のトイレにコートを忘れており、事件後に夫が代わりに取りに来たという。夫に確認したところ、そんな事実はなかった。だが、事件の直前まで、仕事のためそのホテルのロビーにいたという。橘は、男とホテルにいたのを夫に見られたと思った女が、咄嗟に狂言を働いたのではないかと推測する。
事件前の様子を再確認する橘だが、男はわめき散らして証言を拒む。橘に「甘ったれるな!」と一喝され、男は泣きながら告白。男は女に誘われベッドを共にしたものの、それが初めてだったため思うようにいかなかった。男の財布から現金とともに名刺を抜き出し、「一流の会社に勤める若い人って、勉強はできても肝心なときに駄目なのね」と嘲笑する女に、男は「名刺を返してくれ」と追いすがった。女はフロントに降りたところで慌てて方向転換し、一旦部屋に戻ったという。その後、女は一階のトイレで上着を脱ぎ、自分でブラウスを引き裂きフロントに駆け出したのだ。
夫の代わりにコートを取りに来たのはスナックのマスターであり、女と組んで売春を繰り返していたことを白状する。特命課に連行された女は、マスターの姿を見て観念する。そこに怒り心頭で特命乗り込んできた夫に、開き直って悪態をつく女。事件解決後も、先走って記事にしようとした新聞社を止めるべく走り出す橘。その姿に、男は思わず「僕のために・・・」と呟くのだった。

ありふれた婦女暴行事件の陰に隠れた真実と、その背後に潜む人間心理を描いた一本です。
自分の恥をさらけ出すのが嫌でふて腐れる甘ったれた男。自分たちの世間体しか考えない家族。家庭生活の鬱憤を売春で晴らす女。妻を自分の奴隷か家畜とでも勘違いしている夫。読者の反響しか考えていないマスコミ。どいつもこいつもどうしょうもない連中ばかりですか、それでも橘らは自分の仕事に誇りをもち、真相追及に奔走する・・・というのが本編のテーマなのでしょうが、こう言っては何ですが、絵に描いたようなステレオタイプの善人ぶりに、やや興ざめしてしまったのも事実です。
どうしょうもない容疑者のために奔走する橘、というシチュエーションをはじめ、第256話「虫になった刑事」を思わせるシーンが多々見受けられますが、捜査に取り組む姿勢や信念を印象深い台詞で描き切った同作に比べれば、どうにも説得力に欠けるように思えるのは私だけでしょうか?