特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第352話 レイプ・赤い靴の女!

2007年10月08日 20時28分07秒 | Weblog
脚本 佐藤五月、監督 辻理

聞き込みで立ち寄ったホテルで、悲鳴を上げて助けを求める女に出くわした橘。女はホテルの一室でレイプされかかり、必死に逃げてきたと訴える。女から聞いた犯人の年恰好をもとに、ホテル近辺で若い男を逮捕する橘。男を所轄署に引き渡したものの、改めて女の様子を思い出してみると、乱れた着衣のわりに靴は履いたままだったことに不審を抱く。
女の証言によると、男は「ホテルの一室で洋服のバーゲンをやっている」と誘い込み、部屋に入るなり襲い掛かってきたという。しかし、男は「スナックで女の方から誘ってきた。部屋に入るなり女が出て行ったので、からかわれたと思ってホテルを出た」と否認する。男が有名病院の院長の息子だったことから、多くのマスコミが飛びつくなか、橘は特命課で調べ直すよう神代に申し出る。「女が乱暴されたと訴えるのはよくよくのことでは?」「たかが男と女の揉め事でしょう」と反対する刑事たちに、橘は「万が一誤認逮捕だったら、俺たちは彼を社会的に抹殺することになる」と主張。神代は捜査に乗り出すことを認め、真相が明らかになるまで記事を書かないようマスコミに釘を刺す。
男の身柄を引き取り、改めて事情を聞こうとする橘だが、男はふて腐れたように協力を拒む。「親の権威を笠に着た甘ったれ」と愛想をつかす刑事たちだが、橘はひたすら真相を究明せんと、真摯な態度で問い掛け続ける。だが、報せを聞いて特命課を訪れた家族や上司が、自分らの世間体だけを気にすることで、男はさらに意固地になり、あてつけのように自分の罪を認める始末だった。
そんななか、橘は女が寒い日にもかかわらず上着を着ていなかったことに気づく。ホテルに確認したところ、女は一階のトイレにコートを忘れており、事件後に夫が代わりに取りに来たという。夫に確認したところ、そんな事実はなかった。だが、事件の直前まで、仕事のためそのホテルのロビーにいたという。橘は、男とホテルにいたのを夫に見られたと思った女が、咄嗟に狂言を働いたのではないかと推測する。
事件前の様子を再確認する橘だが、男はわめき散らして証言を拒む。橘に「甘ったれるな!」と一喝され、男は泣きながら告白。男は女に誘われベッドを共にしたものの、それが初めてだったため思うようにいかなかった。男の財布から現金とともに名刺を抜き出し、「一流の会社に勤める若い人って、勉強はできても肝心なときに駄目なのね」と嘲笑する女に、男は「名刺を返してくれ」と追いすがった。女はフロントに降りたところで慌てて方向転換し、一旦部屋に戻ったという。その後、女は一階のトイレで上着を脱ぎ、自分でブラウスを引き裂きフロントに駆け出したのだ。
夫の代わりにコートを取りに来たのはスナックのマスターであり、女と組んで売春を繰り返していたことを白状する。特命課に連行された女は、マスターの姿を見て観念する。そこに怒り心頭で特命乗り込んできた夫に、開き直って悪態をつく女。事件解決後も、先走って記事にしようとした新聞社を止めるべく走り出す橘。その姿に、男は思わず「僕のために・・・」と呟くのだった。

ありふれた婦女暴行事件の陰に隠れた真実と、その背後に潜む人間心理を描いた一本です。
自分の恥をさらけ出すのが嫌でふて腐れる甘ったれた男。自分たちの世間体しか考えない家族。家庭生活の鬱憤を売春で晴らす女。妻を自分の奴隷か家畜とでも勘違いしている夫。読者の反響しか考えていないマスコミ。どいつもこいつもどうしょうもない連中ばかりですか、それでも橘らは自分の仕事に誇りをもち、真相追及に奔走する・・・というのが本編のテーマなのでしょうが、こう言っては何ですが、絵に描いたようなステレオタイプの善人ぶりに、やや興ざめしてしまったのも事実です。
どうしょうもない容疑者のために奔走する橘、というシチュエーションをはじめ、第256話「虫になった刑事」を思わせるシーンが多々見受けられますが、捜査に取り組む姿勢や信念を印象深い台詞で描き切った同作に比べれば、どうにも説得力に欠けるように思えるのは私だけでしょうか?

6 コメント

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はじめまして (貴公子じゅにあ)
2010-11-12 19:32:41
いつも面白く拝見させていただいています。
説得力に欠ける?そんなことはありませんよ。
ふてくされる一人の男のために一生懸命になる橘警部はかっこいいし、この話は悪くないですよ。
ただ、女が化粧をするシーンで流れた杏里の「悲しみがとまらない」だけは不可解でしたが・・・

これからもよろしくお願いします。
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片桐つながり (コロンボ)
2010-11-15 22:21:48
そういえば冒頭のシーンで橘&吉野が男に職質をかける場所は渋谷ですね。

昔の東急本社があった、現在のセルリアンタワー東急ホテル前がロケ地なんですよ(確か別エピソードで船村が歩くシーンでも使用)。ちなみに「特捜」でのゲスト出演歴がある剛たつひと(中沢治夫)さんは70年代の青春ドラマ「飛び出せ!青春」の片桐役が印象深いのですが、その同窓会もこのホテルで行われました。生田みどり役の大田黒久美さんも出席されてるのを某ウェブ上で確認。ファンです(^^)。いつか彼女の主演ドラマ「ワン・ツウ・アタック」を見てみたい・・・ため息。

#294「母のメロディが聞こえた!」や#372「老刑事スニーカーを履く!」でのふてぶてしい(褒めてるんです)役どころについては割愛(笑)。

一連の東宝系の学園ドラマに「泣くな青春」という作品があるんですが、まあ「特捜」メンツがいっぱい!

柴田恍彦さん 「光無き娘へのハレルヤ」 安部徹さん(桜井のオヤジ) 三ツ木清隆さん(バリコン爆弾魔)&藤田三保子さん(「判決・横須賀ドブ板通り!」)は生徒役 さらに校長はわれらが神代課長!etc

>袋小路さん

某情報筋からのタレコミで、何とコロンボが視聴を熱望していた、にっかつロマンポルノ「女子高生レポート 夕子の白い胸」が12月に衛星劇場にて放映されるとの事!!!「兜町・コンピューターよ演歌を歌え!」の片桐夕子さんのデビュー作なので今から楽しみでなりません。きっとより深く「特捜」を鑑賞できる事でしょう(爆)。
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はじめまして (袋小路)
2010-11-17 22:36:45
貴公子じゅにあさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。本ブログの管理人、袋小路と申します。
せっかくのコメントに返信が遅くなってしまって恐縮ですが、今後ともよろしくお願いします。

お名前はエンケン演じるところのカクレンジャーの敵幹部ですね。ずいぶんと懐かしい響きに、つい微笑んでしまいました。
本編の評価については、個人的に大好きな「虫になった刑事」との類似が気になるあまり、ついつい辛口になってしまったようです。本編だけを見れば、貴公子じゅにあさんが仰る通り、悪くない作品だったと思います。それにしても、挿入歌って大切ですよね(笑)。


>コロンボさん
いつもコメント欄のフォローありがとうございます。
例の日程の件、今しばらくお待ちください。
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特捜にはまった理由 (貴公子じゅにあ)
2010-11-27 12:32:29
こんにちは。
返信ありがとうございます。
私が特捜にハマった理由は、母方の祖父(残念ながら昨年春にお亡くなりになりました)が夜に特捜をよく見ていたことを母から聞かされ、どんなドラマか気になったからです。実際に見てみると、特捜はアイキャッチ(特に53話から最終回まで使用された矢印のもの)が新鮮で、「フィルム作品なのにここまで凝っているとは・・・」と感動しました。
アイキャッチの時の音楽も好きで、「デレレレレーン!」のオルガンのような音やホラー映画風味のものがお気に入りです。
アイキャッチ、挿入歌についての書き込みがあまり少なかったため投稿させていただきました。
特捜万歳!
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返信遅くなりました (袋小路)
2010-12-30 01:33:51
貴公子じゅにあさん、こんばんは。
しばらくブログを放置してしまっており、1ヶ月も遅れての返信となってしまいました。誠に申し訳ありません。

亡きお祖父様にとって、特捜がどれだけ大切な番組だったのだろうかと、勝手ながら想像させていただきました。その番組を、お孫さんである貴公子じゅにあさんが楽しみ、その魅力を語っているというのは、何と素晴らしいことでしょうか。まさに「世代を超えて語り継がれる番組」ですね。

アイキャッチの劇伴は耳に残るものですが(特に仮面ライダーとかガンダムとか)、そう言えば本ブログではあまり言及されていませんでした。
今後とも少し違った視点からのご意見をお待ちしております。それではまた。
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Unknown (Unknown)
2022-01-23 05:18:31
貴公子ジュアさん
おじいさんがお亡くなりなんて変ですよ。身内に対しては亡くなったです。日本語は正しく使おうね
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