脚本 大久保昌一良、監督 村山新治
ある夜、吉野は顔見知りのセールスマンが酔った勢いで喧嘩を引き起こす場面に出くわす。助けに入った吉野に、セールスマンは妻に逃げられたことを明かし「俺なんか死んだほうがいいんだ」と口走る。「一緒に奥さんを探してやる」と励ましつつ、酔いつぶれたセールスマンを介抱する吉野だが、少し目を放したすきに、セールスマンは姿を消していた。
翌日、セールスマンと飲んだスナックの付近で、主婦の絞殺死体が発見された。聞き込みの結果、被害者は近くのラブホテルで浮気相手らしき男と一緒だったことが判明。男のモンタージュ写真をもとに捜査を開始しようとした矢先、吉野にセールスマンから電話が入る。酔っているらしく要領を得ないため、苛立った吉野は電話を切る。
出張から戻った被害者の亭主を迎えた吉野は、妻の裏切りと死を受け止めきれずに錯乱する亭主の姿に、やりきれない思いを抱く。その思いを紛らわせようと飲みに出た吉野は、泥酔してタクシーに轢かれかけるセールスマンを発見。行きがかり上、やむなく自宅まで送っていく。逃げた妻についての愚痴を聞かされ、閉口する吉野。妻は勤め先の上司から紹介された元ホステスだったが、セールスマンは妻を溺愛しており、逃げられた今でも未練が尽きない様子だった。
その後、被害者の亭主が依頼していた探偵社の調査結果から、浮気相手が被害者のかつての勤め先の上司だと判明。上司を取り調べたところ、被害者との関係は認めたものの、犯行時刻には帰宅していたと主張。駅員の証言で上司のアリバイは証明されるが、新たな容疑者として、上司が見かけたという酔っ払いが浮上する。犯行時間近くに、その近くで姿を消したセールスマンに疑惑をいだく吉野だが、セールスマンは犯行を否定する。念のために尾行した吉野が見たものは、妻の行方を突き止めようと、かつて勤めていたキャバレーを訪ねるセールスマンの姿だった。見かねた吉野の助力もあって、妻が浮気相手らしき男を会っていた料理屋を突き止める。
その頃、船村は現場近くで凶器と思われるネクタイを発見。その裏に縫い取られた名前はセールスマンのものだった。同情心を隠して逮捕に向かう吉野だが、セールスマンは姿を消していた。セールスマンの勤め先を訪ねた吉野は、同僚の証言から、妻を紹介した上司こそが浮気相手だと知る。
一方、料理店の店員から真実を聞かされたセールスマンは、上司の自宅に踏み込む。そこでは妻と上司がベッドを共にしていた。妻につかみかかろうとするセールスマンを、駆けつけた吉野が取り押さえる。「放してください、僕はもう一人殺してるんだ!」と叫ぶサラリーマンに、「あんたみたいなノロマに、よく人が殺せたわね」と毒づく妻。「そんな奴は厳罰にしてくださいよ」とふてぶてしく言い放つ上司に、吉野の怒りが爆発する。「こいつは確かに人を殺した。しかし、奴の心は貴様らのように腐っちゃいない。俺が奴だったら、同じようなことをしたかもしれん」
仕事もうまくいかず、妻には裏切られ、何をやってもうまくいかない男。何よりの悲劇は、「女は男を裏切るもの」という当たり前の事実を受け入れられなかったことでしょう。吉野がラストで言い放ったように、こんな女は殺されて当然。いや、むしろ殺すべきでしょう。とはいえ「吉野さんから見れば、俺なんか男のクズでしょうね」などの甘えたことを抜かす男に同情の余地はありません。吉野のあきれるほどの面倒見の良さに、微笑ましさと同時に、「甘すぎる」という苛立ちを覚える私でした。
ある夜、吉野は顔見知りのセールスマンが酔った勢いで喧嘩を引き起こす場面に出くわす。助けに入った吉野に、セールスマンは妻に逃げられたことを明かし「俺なんか死んだほうがいいんだ」と口走る。「一緒に奥さんを探してやる」と励ましつつ、酔いつぶれたセールスマンを介抱する吉野だが、少し目を放したすきに、セールスマンは姿を消していた。
翌日、セールスマンと飲んだスナックの付近で、主婦の絞殺死体が発見された。聞き込みの結果、被害者は近くのラブホテルで浮気相手らしき男と一緒だったことが判明。男のモンタージュ写真をもとに捜査を開始しようとした矢先、吉野にセールスマンから電話が入る。酔っているらしく要領を得ないため、苛立った吉野は電話を切る。
出張から戻った被害者の亭主を迎えた吉野は、妻の裏切りと死を受け止めきれずに錯乱する亭主の姿に、やりきれない思いを抱く。その思いを紛らわせようと飲みに出た吉野は、泥酔してタクシーに轢かれかけるセールスマンを発見。行きがかり上、やむなく自宅まで送っていく。逃げた妻についての愚痴を聞かされ、閉口する吉野。妻は勤め先の上司から紹介された元ホステスだったが、セールスマンは妻を溺愛しており、逃げられた今でも未練が尽きない様子だった。
その後、被害者の亭主が依頼していた探偵社の調査結果から、浮気相手が被害者のかつての勤め先の上司だと判明。上司を取り調べたところ、被害者との関係は認めたものの、犯行時刻には帰宅していたと主張。駅員の証言で上司のアリバイは証明されるが、新たな容疑者として、上司が見かけたという酔っ払いが浮上する。犯行時間近くに、その近くで姿を消したセールスマンに疑惑をいだく吉野だが、セールスマンは犯行を否定する。念のために尾行した吉野が見たものは、妻の行方を突き止めようと、かつて勤めていたキャバレーを訪ねるセールスマンの姿だった。見かねた吉野の助力もあって、妻が浮気相手らしき男を会っていた料理屋を突き止める。
その頃、船村は現場近くで凶器と思われるネクタイを発見。その裏に縫い取られた名前はセールスマンのものだった。同情心を隠して逮捕に向かう吉野だが、セールスマンは姿を消していた。セールスマンの勤め先を訪ねた吉野は、同僚の証言から、妻を紹介した上司こそが浮気相手だと知る。
一方、料理店の店員から真実を聞かされたセールスマンは、上司の自宅に踏み込む。そこでは妻と上司がベッドを共にしていた。妻につかみかかろうとするセールスマンを、駆けつけた吉野が取り押さえる。「放してください、僕はもう一人殺してるんだ!」と叫ぶサラリーマンに、「あんたみたいなノロマに、よく人が殺せたわね」と毒づく妻。「そんな奴は厳罰にしてくださいよ」とふてぶてしく言い放つ上司に、吉野の怒りが爆発する。「こいつは確かに人を殺した。しかし、奴の心は貴様らのように腐っちゃいない。俺が奴だったら、同じようなことをしたかもしれん」
仕事もうまくいかず、妻には裏切られ、何をやってもうまくいかない男。何よりの悲劇は、「女は男を裏切るもの」という当たり前の事実を受け入れられなかったことでしょう。吉野がラストで言い放ったように、こんな女は殺されて当然。いや、むしろ殺すべきでしょう。とはいえ「吉野さんから見れば、俺なんか男のクズでしょうね」などの甘えたことを抜かす男に同情の余地はありません。吉野のあきれるほどの面倒見の良さに、微笑ましさと同時に、「甘すぎる」という苛立ちを覚える私でした。