特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

ファミリー劇場の「デカ劇場」

2010年02月24日 02時25分54秒 | Weblog
ファミリー劇場土曜夜のお楽しみ「デカ劇場」枠で放送中だった「Gメン82」と「俺たちルーキーコップ」が2月末で最終回を迎え、「いよいよ次は特捜か?」と期待していたのですが、残念ながら3月からスタートするのは「大追跡」と「ケータイ刑事銭形海」でした。

特捜の再放送は毎日朝5時のベルト放送枠から、土日深夜に4本ずつの集中放送枠に移動となりました。ちなみに、おやっさん退職編の第430話は3月6日、吉野殉職編の第435話は同7日深夜の放送です。ファミ劇加入者の方はお見逃しなく。

今回も特捜ファンの声は届かなかったようで、誠に残念な限りです。「大追跡」は、故・沖雅也さんファンの私としては嬉しいのですが「ケータイ刑事」は正直どうでもいいです。
先の話をすれば、「大追跡」は全26話、「銭形海」は13話×3シリーズ=全39話(ファミ劇では2本ずつ放送のため20週)と、終了までには約半年を要します。次回改変期を待つしかありませんが、いっそ「太陽にほえろ!」の終了時(残り約80話なので約1年後)を期待すべきかもしれません。

どうもファミ劇での特捜再開は期待薄で、この際、東映チャンネルやディアゴスティーニに期待すべきでしょうか?ともあれ、気長に待つことにしましょう。

※前記事で予告した「叶刑事ボックス」に関する妄想は、もう少しお時間ください。

当ブログの今後につきまして

2010年02月17日 00時35分52秒 | Weblog
ファミ劇での放送終了から早数か月が経ちましたが、ようやく最終話までレビューを書き終えることができました。時間はかかってしまいましたが、「地上げ屋殺し」も含め、前後編に分けてじっくりとあらすじ・感想をまとめることができて良かったと思っています。

2006年10月に256話からスタートしてから3年強、姉妹版ブログで紹介した209話から255話までと合わせて、ちょうど300話(+スペシャル1話)のレビューをまとめることができましたが、まだ全508話のうち200話強が残っており、すべてをやり終えた、という達成感はありません。いずれファミ劇あるいは他のチャンネスで第1話からの放送が再開された折には、引き続き第1話から順にレビューさせていただくつもりです。

まだまだ先は長いですし、いつ放送が再開されるかも分かりませんが、それまでこのブログを休止することは考えておりません。そう頻繁には更新できないと思いますが、DVD-BOXの収録エピソード発表時や、「刑事マガジン」など各種メディアで特捜が採り上げられたときなどには、感想などを述べさせていただきたいと思いますし、それ以外でも、特捜に関する思い付きをダラダラと書き連ねていきたいと思いますので、引き続きお付き合いいただければ幸いです。
取りあえずの予定としては、夏さん追悼記事のコメント欄でも触れましたが、改めて追悼の意を込めて、「叶刑事ボックス」の収録話についての妄想でも書きたいと思います。

最後に、ここまで長きにわたって続けてこられたのは、やはりコメントいただける皆様をはじめ、このブログをご覧になっていただける多くの方々(本当に、予想外に多くの方々に見ていただけているようで、恐縮しきりです)の存在があったからこそであり、皆様に対しては感謝の思いで一杯です。引き続きお付き合いいただき、気が向いたときにはコメントなどいただけましたら、嬉しい限りです。

これでお別れではありませんが、一区切りのご挨拶をさせていただきます。
長い間、本当にありがとうございました。どうぞ今後とも当ブログをよろしくお願いします。

第508話 神代警視正・愛と希望の十字架(後編)

2010年02月13日 19時48分42秒 | Weblog
【あらすじ(後編)】
神代の暴挙にもかかわらず、政治家たちは被害届を出さないばかりか、口止めすらしていた。「まるで、課長が一生懸命事件にしようとしているように、やられたほうが消して回っているみたいだ・・・」政治家たちは、事件がマスコミに騒がれ、同じく神代の襲撃を受けた日将連との関係を追及されることを恐れているのだ。そして、両者のつながりには西岡も絡んでいる。「あのとき、奴は妙なことを言った・・・」江崎の存在に大げさに反応した西岡の態度を思い出す橘たち。「婦警を連れてきては不都合なことがあった・・・」「江崎じゃなきゃできんこと・・・」「女の人の身体検査!」特命課は政治家の女性秘書に目星をつける。
同じ頃、西岡は政治家のもとにいた。特命課が取ろうとした捜索令状を握りつぶしたと、手柄顔で報告する西岡。「奴らは私が抑えます。先生は神代の方を一つ・・・」「まるで私が探し出す力でも持っているような言い方だね」と惚ける政治家。やはり、西岡は政治家の走狗なのか?
翌日、特命課は政治家の事務所を強襲。女性秘書がペンダントにして隠し持っていたカギを奪い、金庫を開ける橘。そこには「日将連忘年会」と記された一本のビデオテープが隠されていた。テープの映像を消そうと、秘書が大きな磁石を押し当てる。
課に戻ってテープを再生したところ、そこには来賓として挨拶する政治家、そして新宿東署署長の姿があった。だが、磁石のせいで映像が乱れ、署長の顔ははっきりと確認できない。「まさか、警察の人間が・・・」と驚く紅林に、桜井が言う。「いや、それが出席していてもおかしくないんだ」桜井の調査によれば、日将連のバックには財界の大物、さらには東署署長の先輩に当たる本庁幹部たちがいるという。「課長はこの事件をきっかけに、どでかい大掃除をやろうとしているんですよ!」「暴力団と政界、そして一部警察の癒着。課長は最後の仕事として、ここに世間の目を向けさせようとした・・・」だが、証拠となるテープが不完全な状態では、もはや打つ手はなかった。悔しさをにじませる刑事たちの背後から、力強い声が響く。「まだやりようはある」一同が振り向く先には、神代がいた。「テープが消されたことを知っているのは、お前たちだけだ」やつれた様子でソファーに倒れ込む神代を取り囲む刑事たち。「課長!」「寝かせてくれ。二晩寝ていないんだ・・・」
テープの無事だった箇所をプリントして、東署に乗り込む刑事たち。顔色を変える署長に見せ、新聞社に電話をかける。「今回の不祥事に対し、はっきりと責任を取ると言え。でなけりゃ・・・」「君ら、脅迫する気か・・・」ついに署長を追い詰める特命課。そこに、課に残してきた犬養から無線が入る。「大変です!課長がテープと一緒に消えました!」
その頃、西岡は神代の伝言を政治家に届けていた。「テープは終わりまではっきり映っている。あれがマスコミに流れたら・・・」「神代の要求は?」「職を追われて金が必要らしい」そこに、神代本人から電話が入る。
神代の身を案じ、車で出動しようとする特命課。そこに無線が入る。「神代より各車」「課長、どこです!」「政治家との取引に成功した」「取引?テープが無傷だと思わせたんですか?バレたらどうするんですか!」ハッタリがバレるということは、神代の生命の危機を意味する。「今どこですか!」「現在地を!」「課長ぉぉぉ!」刑事たちの絶叫に、神代はようやく取引場所を明かす。「箱根だ」
最後の闘いを前に、神代は影の協力者である同期の方面本部長に別れを告げていた。「お前を止められん自分がもどかしい。お前が今、やろうとしていることは、俺の願いでもあるからだ・・・」「若い者のことは頼む」盟友に後事を託し、神代は一人、死地に赴く。
箱根へと懸命に車を飛ばす特命課の前に、西岡が現れる。「西岡、貴様!」色めき立つ特命課に、西岡は意外なことを告げる。「俺も一緒に行くはずだった。土壇場ですっぽかされた」「要点を言え!」「本当のことを言う。俺と課長はグルだった」「ふざけたるな!」咄嗟に殴りかかる叶。「ふざけちゃおらん!」すぐさま殴り返し、吠える西岡。「嘘でこんな涙が出るか!」気づけば、西岡の頬を大粒の涙が伝っていた。「俺も一緒に連れて行ってくれ!神代さんはな、死ぬ気なんだ・・・」
暴力団と政治家、警察上層部の腐敗を正すべく、神代と西岡が長い戦いを決意したのは、特命課創設に先立つ13年前のことだった。西岡は敵の懐にもぐりこむべく、あえて周辺に黒い噂をばら撒いていたのだ。「神代さんは、一番大きな不正は警察の不正だという考え方の人だ。警察が曲がったことをしたら、世の中は腐るとね」「課長は今、何をしようとしている」「使い物にならなくなったテープの代わりに、新しい証拠を作ることだ」「どういうことだ?」「それは・・・自分が殺されて見せることだ!」「何だと!」神代の真意を知った刑事たちに衝撃が走る。「なぜ課長が死ななければならん!」「これは愛だ。神代さんの大きな愛だ。神代さんはそれを、最後の仕事にしようとしているんだ」
その頃、神代は箱根山中に車を止め、防火耐震装置付きのビデオカメラに語りかけていた。「これから私とこの車に起こることを、しっかりと見届けてください。そして、何故こんなことが起こったのかを、しっかりと考えていただきたい」神代の車をめがけて、黒い車が迫りつつあった。車はビデオテープ、そして神代の命を狙っている。差し向けたのは政治家に他ならない。神代は自らが政治家に殺されるシーンを映像に残すことで、政治家と日将連、警察幹部たちとの黒い関係を明らかにしようというのだ。「どんな小さな不正であろうと、警察の不正を見逃してはいけない。そして、政治家の不正も見逃してはいけない。そういうものに隠された、物事の本質を見極めてほしい。私の死を思い出すたびに、そのことを考えて下さい。そしてそれは、真実に目を向ければ、日本中で起こっていることなのです・・・」生命の危機を前にして、ひたすらビデオに語り続ける神代。それは、一人の男が死を賭して訴えかける、社会へのメッセージに他ならなかった。
ぐしゃり!黒い車が神代の車に追突。神代を乗せたまま、車は崖下に滑り落ちていく。危ういバランスで崖の中腹に止まった車中で、神代は流血し、運転席にうずくまっている。刺客は止めを刺さんと、黒い車から降りて銃を取り出す。そこにサイレンを鳴らして到着する特命車両。殺し屋は止めを諦めて身を隠し、神代はサイレンの音を耳にしつつ、意識を失う。車は不安定なまま、今にも崖下に落ちそうだ。「課長!」橘、桜井、紅林、叶、時田、犬養、杉、そして西岡。車から飛び出した刑事たちが、必死の形相で神代を救出する。
・・・そして、事件解決後、警視庁4課に特別室が新設され、西岡が室長に就いた。さらに、紅林、時田を率いて橘が特命第1課の課長に、叶、犬養、杉を率いて桜井が特命第2課の課長に就いた。この両課を統括する特命捜査部の部長は、もちろん神代だ。満足げに、そして誇らしげに、見つめ合う刑事たち。その胸には、社会に巣食う悪との終わりなき闘いへの誓いと、心強い仲間たちへの確かな信頼があった。
《特捜最前線:完》

【感想など】
最終三部作の結末は、神代課長が己の命を賭けて送る、私たちへのメッセージで締め括られました。警察や政治家の不正から、目をそむけてはいけない。社会のあちこちで、今も行われている不正に対し、怒りを忘れてはならない。課長のメッセージは、放送から20年以上を経た現在もなお、いや、放送当時以上に、私たちに大切なことを訴えているように思われます。もちろん、市井に生きる私たち一人ひとりの力は、巨悪に対してあまりに小さい“蟷螂の斧”でしかありません。しかし、それでもなお、権力者の不正に馴れてはいけない。諦めてはいけない。目を逸らしてはならない。不正の事実を知ろうとすること、そしてその不正に対して怒りを覚えること、何故そんな不正が生じるのかを考えることを、やめてはならない。それだけが、私たちが巨悪に立ち向かう術だからです。

神代課長は、私たちに「真実を見極めろ」「不正を見逃すな」と語るのみで、決して「巨悪に立ち向かえ」とは語りませんでした。前話で桜井弁護士が語ったように「それは警察の仕事」だからです。しかし、だからといって、私たちが無関心でいることは許されない。不正を許さない風土、悪を憎む気風が社会の根っこにあって、はじめて警察の中の正義が力を発揮する。そう神代課長は訴えているのだと、私は思います。たとえ、大きな行動には移さなくとも、社会に生きる一人ひとりが、不正を許さず、悪を見逃さず、他者への愛情と思いやりを忘れずに日々を暮らしていくこと。それが社会正義を実現する第一歩に他ならない。振り返ってみれば、この最終回のみならず、これまで特捜最前線で描かれたドラマの一つひとつが(もちろん例外はありますが)、そう私たちに訴え続けてきたのではないでしょうか。

番組終了後、神代課長以下の刑事たちが一列に並び、「この10年間にわたって、特捜最前線をご支援いただき、本当にありがとうございました」と、視聴者に向かって深々と頭を下げられました。もちろん、台本にはありません。これはもう、想像というより妄想の領域ですが、このシーンはラストカットの撮影が終了したあと、出演者の皆さんのなかから、誰からともなく「最後に是非、視聴者の皆さんに挨拶がしたい」との声が挙がったことで、実現したのではないでしょうか。そんな妄想を抱かせるほど、出演者一人ひとりの演技からは、特捜最前線という番組や、そこで描かれるドラマ、そこに込められた社会への熱いメッセージに対する真摯なまでの責任感が伝わってくるのです。彼らが10年間にわたって送り続けてくれたメッセージを、私たちは確かに受け取りました。そのメッセージをどう受け止め、どう活かし、どんな世の中を作っていくか、それは私たち一人ひとりに委ねられています。

幸いなことに、放送から20年以上が経過しても、特捜最前線を愛する声は途絶えることなく、CS放送やDVDを通じて、新たに特捜最前線の魅力に触れる人は増え続けています。出演者の皆さんをはじめ、脚本家の皆さん、スタッフの皆さんが心血を注いで私たちに送り続けてくれたメッセージは、そうした視聴者たち一人ひとりの胸に、今も確かに息づいているものと信じています。そう思えば、頭を下げて御礼を述べるのは、むしろ我々の方ではないでしょうか。このブログの(取りあえずの)締め括りとして、まことに僭越ではありますが、皆さんを代表して御礼を述べさせていただきます。
10年間にわたって、すばらしいドラマを提供していただき、本当に、本当にありがとうございました。皆さんが生み出したドラマを、そしてそこから受け取った感動を、私たちはこれからも後世に語り継いでいきます。

特捜最前線よ、永遠なれ。

第508話 神代警視正・愛と希望の十字架(前編)

2010年02月05日 01時59分59秒 | Weblog
脚本 長坂秀敬、監督 宮越澄
1987年3月26日放送

【あらすじ(前編)】
特命課の奮闘と桜井弁護士の尽力により、新宿東署の悪行は白日の下に晒され、多数の不正警官が摘発された。だが、警察組織に根を張る腐敗の闇はなお深い。捜査の強引さと越権行為を問われ、査問を受ける神代。「警察内部の腐敗を見逃すようでは、市民の信頼を失います」毅然として持論を述べる神代だが、上層部にエリート署長の責任を問うつもりはなかった。
同じ頃、警視庁内にある噂が流れていた。神代がクビを切られ、特命課が廃止されるというのだ。さらに、捜査4課に特別室が新設され、その室長には特命課と因縁浅からぬ西岡刑事が就任するとも囁かれていた。「納得できません!私たち、正しいことをやっちゃいけないんですか!」江崎の涙を、沈痛な思いで見守る刑事たち。そこに神代が現れる。いつものスーツ姿でなく、珍しくジャンパー姿の神代は、心配げな部下たちに一瞥も与えることなく、自らの拳銃を取り出して何処かへ出かけていく。
「課長が東署に乗り込み、署長を殴っただと!」報せを聞いた橘たちは、慌てて新宿東署に駆けつける。そこには、頬を腫らせた署長とともに、なぜか西岡の姿があった。「なぜ、ここにいる?」橘の問いに「4課は暴力事件が担当だ。某課長のご乱心にも、むろん駆けつける」とうそぶく西岡。「ここで何が起こった?」「逆上と、愚拳だ」神代は署長の責任を問い質し、「上の決定に従う」との返事を聞くや、いきなり殴りかかったのだという。「課長職を追われるというので、よっぽど血迷ったらしい」「もう一度言ってみろ!」署長の暴言に、温厚な紅林までもが逆上する。だが、神代の暴挙はそれだけではなかった。東署の資料室から暴力団関係の資料を強引に持ち出し、制止する署員らに銃を向けたという。一体、神代に何があったのか?あまりのことに呆然とする刑事たち。
神代が資料を持ち出したのは、5つの新興暴力団だった。神代の真意をつかむべく、暴力団と署長のつながりを調べ始める特命課だが、神代はさらなる行動にでる。暴力団事務所に次々と殴り込みをかけたのだ。むろん、神代とて無傷ではすまない。その夜、神代夏子の墓前には、手負いの獣のような神代の姿があった。
「桜井よ、いろんなことがあったな・・・」同じ頃、橘と桜井は、神代の身を案じ、特命課で夜を明かしていた。二人の脳裏を、さまざまな事件の記憶が通り過ぎる。「俺たちの特命課が、消える・・・」「どうせ課がなくなるなら、こいつを叩き返して、課長のように暴れまくりますか」警察手帳を机に置く桜井だが、橘が制する。「だが、こいつがなけりゃ、俺たちには何もできん。刑事でいる間は、刑事でいよう。課長もそうしている」橘は、神代の暴挙が、刑事としての、そして特命課の課長としての行動だと信じていた。そして、自分たちにもまだできることがあると。「最後の仕事だよ。桜井」
神代が殴り込みをかけたのは、5つの暴力団だけでなく、暴走族、新興宗教、過激派にまで及んだ。これらの組織を調べたところ、その背後には「日本の将来を考え守る連合国民会議(略称:日将連)」なる正体不明の組織があると判明する。そこに、神代のさらなる暴挙の報せが入る。あろうことか、政治家の事務所に殴り込んだというのだ。現場に駆けつけたものの、事務所員らの白眼に耐えかね、なす術なく引き上げる特命課。そこに江崎の姿もあるのを認めた西岡は、何故か「婦警まで連れて、何をしに来た!」と血相を変えて咎め立てるのだった。
その後、桜井は保釈中の父親を、橘は拘置所の巡査(=前々話の犯人)を訪ね、それぞれ決意を新たにする。そして紅林と叶は、特命課を去った仲間たちに想いを馳せる。「二人の刑事が死んで、三人が辞めた・・・」涙ながらに退職を報告する高杉婦警、市民を守るために自らの命を散らせる津上、新たな人生を選択する滝、非情の銃弾に倒れる吉野、そして、最後の坂道を神代とともに歩む船村・・・そんな刑事たちの側には、つねに神代の姿があった。その神代は今、どこにいるのか?数々の暴挙の裏には、どんな狙いがあるというのか?そして、もはや風前の灯と化した特命課の運命は?(後編に続く)

【感想など】
ついに、10年にわたる特命課の歴史に終止符が打たれるときが来ました。最終三部作の、そして全509話(スペシャル含む)の悼尾を飾るエピソードは、あの「凶弾・神代夏子死す!」での乱心ぶりを彷彿とさせる課長の暴挙で幕を開けます。特命課消滅という最大の危機を前に、緊迫感あふれるスリリングな展開は、さすがに最終回。詳細な感想は、例によって後編でまとめさせていただきますが、一つ指摘しておきたいのが、特命課を去った刑事たちの回想シーンです。
皆さんもお気づきの通り、幹子の退職シーンはどう考えても高杉刑事(西田敏行)の退職シーンの間違い。実際、長坂氏の著書「術」に掲載されている脚本を見ても、やはり「高杉刑事」と記されています。もちろん、「間違い」ではなく、たとえば肖像権など「大人の事情」の可能性もありますが・・・長く特捜を見続けている視聴者からすれば、まさに“感極まる”シーンだけに、「あれ?」と思わされ、せっかくの感動に水をさされた(ちょっと大げさですが)のが残念でなりません。もちろん、幹子の退職シーンがあること自体には異論はないので、できれば幹子と高杉、両者の退職シーンを揃えて欲しいところでした。