脚本 阿井文瓶、監督 藤井邦夫
殺人事件の容疑者の母親を張り込む紅林たち。「今日は母の日ですか。紅林さんや俺には関係ないですね」と叶が呟く。カーネーションを持って現れた容疑者を逮捕したとき、紅林は5歳の頃に分かれたきりの母親を思い浮かべるのだった。
その頃、特命課に紅林がかつて逮捕した男から電話が入っていた。男は妻子とともに焼津で暮らしていたが、紅林が折り返しても連絡はつかなかった。2週間後、その男と妻の死体が発見された。男が上京した理由を知るべく、紅林は焼津に向かう。
夫婦が子供を預けていた親戚を訪ね、子供を肩車しながら両親の死を告げる紅林。紅林の言葉が理解できたのかどうか、子供は駆け回って遊び続けた。その後、葬儀の最中に姿を消した子供を捜す紅林。子供は両親の墓を必死に掘り返そうとしていた。泣きじゃくる子供を抱きしめながら、紅林は我知らず「明日泣くんだよ。今日はこらえて笑って見せるんだよ」と語りかけていた。
夫婦は最近、神社や寺院を訪ね歩いていたと聞き、周辺の寺社を探る特命課。ある神社で男が残した絵馬を発見する紅林。その近くには、紅林の母親が、息子の無病息災を祈願する絵馬が残されていた。「たまたま紅林の母親の絵馬を見つけた男が、他にもないかと周辺の寺社を探したのではないか」と推測する特命課。果たして、もう一枚の絵馬が見つかり、そこには母親の住所が記されていた。
住所をもとに、母親を探す紅林。しかし、母親はすでに亡くなっていた。母親の墓の前で泣き崩れる紅林。両親を失った子供と同様に、思わず墓を掘り返す紅林は、不思議な声を聞いた。「明日泣くんだよ。今日はこらえて笑って見せるんだよ」
知人の話では、以前にも「生き別れた息子だ」と名乗る男が何人も現れたという。いずれも保険金が目当てだったが、そのうち一人は本人しか知らないはずの幼い頃の様子を克明に語ったため、本人だと認められた。その偽者は、母親が育てていた血の繋がらない妹を引き取っていったという。
東京で妹と暮らす偽者を訪ねた紅林だが、偽者の姿はなかった。偽者を“ようやく巡り合えた兄”と信じる妹は、紅林の言葉を容易には信じない。その語の調べで、母親の死を看取った医者が数日前に不審な死を遂げていたと判明。母親は死の直前、医師に息子のことを詳しく語っていたという。神代は「偽者は医師から詳しい事情を聞いて紅林になりすまし、証拠を消すために医師と夫婦を殺した」と推測する。
旅行姿で出かける妹を追う特命課。列車内で妹と落ち合った偽者は、妹から預金通帳を奪うと列車から突き落とそうとする。危ういところを特命課の活躍で救出され、偽者は逮捕された。泣き崩れる妹を助け起こした紅林の口から出た「明日泣くんだよ。今日はこらえて笑って見せるんだよ」との言葉に、妹は「お兄さん!」と応える。それは、幼い頃に別れた母の口癖が、紅林の記憶の片隅に残っていたものだった。
「生き別れの母親を探す」という紅林のサイドストーリーに決着をつけた記念すべき一本。絵馬に無病息災を祈願し、死後に自分を訪ねて来ることを期待して旧姓を墓碑銘に残すなど、紅林を想う母親の気持ちが胸に迫ります。また、残された子供が墓を掘り返すシーンが誠に痛ましく、その後に同じ行為を紅林が繰り返すという演出が、見るものの涙腺を強く刺激します。
なお、偽者を演じるのは伴直弥。今回も出番は少ないですが、犯人役ということで堂々とエンドクレジットの最後を飾っています。ちなみに紅林の血の繋がらない妹を演じるのは、元・藤岡弘婦人(放送当時はまだ婚前)の鳥居恵子ですが、何度かゲスト出演していますが、今回も桜井との接点はなし。そういう取り決めでもあったのでしょうか?
殺人事件の容疑者の母親を張り込む紅林たち。「今日は母の日ですか。紅林さんや俺には関係ないですね」と叶が呟く。カーネーションを持って現れた容疑者を逮捕したとき、紅林は5歳の頃に分かれたきりの母親を思い浮かべるのだった。
その頃、特命課に紅林がかつて逮捕した男から電話が入っていた。男は妻子とともに焼津で暮らしていたが、紅林が折り返しても連絡はつかなかった。2週間後、その男と妻の死体が発見された。男が上京した理由を知るべく、紅林は焼津に向かう。
夫婦が子供を預けていた親戚を訪ね、子供を肩車しながら両親の死を告げる紅林。紅林の言葉が理解できたのかどうか、子供は駆け回って遊び続けた。その後、葬儀の最中に姿を消した子供を捜す紅林。子供は両親の墓を必死に掘り返そうとしていた。泣きじゃくる子供を抱きしめながら、紅林は我知らず「明日泣くんだよ。今日はこらえて笑って見せるんだよ」と語りかけていた。
夫婦は最近、神社や寺院を訪ね歩いていたと聞き、周辺の寺社を探る特命課。ある神社で男が残した絵馬を発見する紅林。その近くには、紅林の母親が、息子の無病息災を祈願する絵馬が残されていた。「たまたま紅林の母親の絵馬を見つけた男が、他にもないかと周辺の寺社を探したのではないか」と推測する特命課。果たして、もう一枚の絵馬が見つかり、そこには母親の住所が記されていた。
住所をもとに、母親を探す紅林。しかし、母親はすでに亡くなっていた。母親の墓の前で泣き崩れる紅林。両親を失った子供と同様に、思わず墓を掘り返す紅林は、不思議な声を聞いた。「明日泣くんだよ。今日はこらえて笑って見せるんだよ」
知人の話では、以前にも「生き別れた息子だ」と名乗る男が何人も現れたという。いずれも保険金が目当てだったが、そのうち一人は本人しか知らないはずの幼い頃の様子を克明に語ったため、本人だと認められた。その偽者は、母親が育てていた血の繋がらない妹を引き取っていったという。
東京で妹と暮らす偽者を訪ねた紅林だが、偽者の姿はなかった。偽者を“ようやく巡り合えた兄”と信じる妹は、紅林の言葉を容易には信じない。その語の調べで、母親の死を看取った医者が数日前に不審な死を遂げていたと判明。母親は死の直前、医師に息子のことを詳しく語っていたという。神代は「偽者は医師から詳しい事情を聞いて紅林になりすまし、証拠を消すために医師と夫婦を殺した」と推測する。
旅行姿で出かける妹を追う特命課。列車内で妹と落ち合った偽者は、妹から預金通帳を奪うと列車から突き落とそうとする。危ういところを特命課の活躍で救出され、偽者は逮捕された。泣き崩れる妹を助け起こした紅林の口から出た「明日泣くんだよ。今日はこらえて笑って見せるんだよ」との言葉に、妹は「お兄さん!」と応える。それは、幼い頃に別れた母の口癖が、紅林の記憶の片隅に残っていたものだった。
「生き別れの母親を探す」という紅林のサイドストーリーに決着をつけた記念すべき一本。絵馬に無病息災を祈願し、死後に自分を訪ねて来ることを期待して旧姓を墓碑銘に残すなど、紅林を想う母親の気持ちが胸に迫ります。また、残された子供が墓を掘り返すシーンが誠に痛ましく、その後に同じ行為を紅林が繰り返すという演出が、見るものの涙腺を強く刺激します。
なお、偽者を演じるのは伴直弥。今回も出番は少ないですが、犯人役ということで堂々とエンドクレジットの最後を飾っています。ちなみに紅林の血の繋がらない妹を演じるのは、元・藤岡弘婦人(放送当時はまだ婚前)の鳥居恵子ですが、何度かゲスト出演していますが、今回も桜井との接点はなし。そういう取り決めでもあったのでしょうか?