特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
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第453話 不倫!? 紅林刑事が愛した女!

2008年12月20日 02時07分51秒 | Weblog
脚本 佐藤五月、監督 北本弘
1986年2月20日放送

【あらすじ】
拳銃密売組織を追う紅林の前に、「情報を買って欲しい」という男が現れる。2年前、紅林は誘拐された子供を救出するため、やむを得ず情報を買ったことがあり、男はその情報屋から紅林のことを聞いたという。紅林は「いらんね。そんな話はあれっきりだ」と拒絶し、男を追い払う。
その翌日、特命課に、紅林と女がホテルから出てくる写真とともに「紅林刑事は被疑者の女を食い物にする色魔だ」との告発書が届く。同様の告発は刑事部長にも送られており、神代に事情を問われる紅林。写真の女と知り合ったのは1年前。置き引きの濡れ衣を着せられていた女の無実を証明した紅林は、具合の悪い女を送って行った。たまたま通り掛ったホテル街で女が眩暈を起こし、ホテルで休ませた。写真はそこで撮られたものと推測されたが、それ以来、女とは月に数度会う関係が続いていた。
心配する桜井に、女とは“男女の仲”でないことを明かし、女の営む飲み屋を訪れる紅林。女は3年前から内縁関係にある男の存在を明かす。それは紅林に情報を売ろうとした男であり、告発書の主もその男だった。かつて金で情報を買ったことを含めて、すべてを報告する紅林。神代はその行為を叱責したものの、刑事部長からの休職勧告に対しては「その判断は私にお任せください」と紅林をかばう。
飲めない酒を飲み、自宅で辞職願をしたためる紅林。そこに女が詫びに訪れる。「僕が刑事でいるうちは、君とは会えない」と拒絶する紅林だが、女が貧血で倒れたため、やむなく自室で介抱する。そこに男から電話が入り、再度「情報を買え」と要求。西新宿署の刑事にも情報を売っていることを明かす。紅林は商談に応じると見せかけ、男と会う約束を取り付けるが、電話の間に女は姿を消していた。
翌日、男は約束の場所に現れることなく、その近所で殺害される。事件直前、男が別の男と会っていた目撃証言から、西新宿所の刑事に疑惑を向ける紅林。元西新宿署だった杉によれば、その刑事には黒い噂が付きまとい、昨年、依願退職したという。現場に残されたサングラスの指紋は元刑事のものと合致。特命課の取調べに対し、元刑事は男に金で雇われ、紅林を陥れる電話をかけた。「俺は約束の金が足らなかったので殴っただけ」と殺人を否定し、「金木犀の香水をつけた女が通り掛った。その女を探してくれ」と主張する。元刑事の言葉に、人が違ったように激昂する紅林。金木犀の香水は、女がいつもつけているものだった。
女の飲み屋を訪れ「奴を殺したね?」と問い詰める紅林。「分かるんだよ。俺には、君のすることが何もかも分かるんだ。君が好きだから」哀しい愛の告白に、女は涙で応えた。
取調べに対し、女はすべてを明かす。事件当夜、女は男が元刑事に渡すための金を用意し、現場近くにいた。約束の金に足らなかったため、元刑事は男を殴り倒す。女が近づいたことで元刑事は逃げ去ったが、負傷した男に女は思わず止めを刺した。「あんた、紅林が好きになったから、あの男が邪魔になった。そうじゃないかね?」橘の質問に「冗談言いっこなし。あの人は店の客の一人。それだけよ」と笑ってみせる女。尋問を聞いていた刑事たちの思いを代表するように「そうとしか言えんだろう」と呟く神代だった。

【感想など】
冒頭で桜井から「辞書で“真面目”って引いてみろ、“特命課の紅林”って出てるからな」と評されるほどの堅物、紅林の悲恋を描いた一本。ちょうど1年前、第404話「殺意を呼ぶダイヤルナンバー!」でも、その生真面目さゆえに愛を失った紅林ですが、今回は相手を犯罪者として捕らえねばならないという、さらに辛い立場にさらされます。
相手は第421話「人妻を愛した刑事!」で吉野の片思いの相手であった新井春美さん。都合の良すぎるタイミングでの度重なる貧血、思わせぶりな姿の消し方など、てっきり彼女が男とグルになって紅林を陥れようとしているのかと思いましたが、ラストで明かされるように、彼女の紅林への愛は本物でした。とはいえ、紅林が彼女のどこに惹かれ、どのように愛を育んできたのか、そのあたりの描写に欠けているため、二人の思いにあまり共感できないのが残念に思われました。
ちなみに、西新宿所の元刑事はGメンやウルトラマンレオでお馴染みの藤木悠。刑事部の参事官はキリヤマ隊長こと中山昭ニ。なかなか豪華なゲスト陣の割には、起伏に乏しい、ある意味、陳腐とも言えるストーリー展開。紅林ファン以外にとっては、あまり印象に残らないエピソードではないでしょうか。

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