特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第473話 原宿・ハウスマヌカン夢芝居!

2009年06月25日 03時01分31秒 | Weblog
脚本 石松愛弘、監督 北本弘
1986年7月10日放送

【あらすじ】
死んだ友人の妹が原宿でハウスマヌカン(ブティックの店員)をしていると知って、江崎婦警を伴って会いに行く犬養。「引っ込み思案な泣き虫」という印象しかなかった妹が、店の常連である女流スター相手に堂々と接客する姿を、犬養は感慨深く見守る。
その翌朝、所轄署から犬養に連絡が入る。妹が殺人容疑で逮捕されたというのだ。所轄署で事情を聞いたところ、妹は昨夜、刺殺死体の側で座り込んでいるところを発見され、その手には凶器が握られていたという。被害者は最近まで妹と付き合っていた男で、妹の疑いは濃厚だった。だが、妹は黙秘を決め込み、犬養の名だけを口にしたという。
犬養に事情を語る妹。男の浮気が原因で別れ話を持ち出したところ、逆上した男がナイフを振りかざし、もみ合ううちに刺してしまったのだという。妹の涙ながらの告白を信じ、神代に捜査の許可を求める犬養。神代は単独での捜査を許しつつ、「彼女への先入観は捨てろ」と忠告する。
懸命の聞き込みの結果、ようやく目撃者を発見する犬養。「女の悲鳴を聞いた」との証言が決め手となって、妹の正当防衛が立証される。釈放された妹を祝う犬養だが、そんな二人を時田が尾行していた。特命課が妹への疑惑を解いていないことを知り、激昂する犬養。神代は犬養を諭すように、疑問点を示唆する。「一度は結婚まで約束した男の死を、そう簡単に割り切れるものかね?」
疑惑はまだあった。正当防衛の決め手となった目撃者は金に困っており、買収された疑いがある。また、悲鳴を聞きながら通報していないのも妙だった。目撃者を尾行する犬養が見たものは、目撃者の車に乗り込む妹の姿だった。犬養は車を見失ってしまうが、その翌日、目撃者はモーテルで死体となって発見される。
妹を詰問する犬養。目撃者との関係は「たまたま近所で出会って、証言してくれたお礼を言っただけ」と釈明。アリバイとして、女流スターの兄である芸能プロ社長と一晩中一緒だったと語る。ショックを受けながらも社長に確認したところ、社長は妹との仲を認める。
だが、二人はグルだった。真相は、妹と社長の仲を知った男が逆上して二人に襲い掛かり、社長が返り討ちにしたのだ。妹はとっさに社長を逃がし、自ら容疑者として逮捕され、その裏で社長が目撃者を仕立て上げたのだ。妹はしたたかにも、この事実をネタに、自分にブティックを持たせるよう社長を脅迫する。
その夜、疑惑を拭いきれず、妹の部屋を訪ねる犬養。「君は華やかな生活を知って、かつての恋人に物足りなくなったんじゃないのか?」犬養の言葉に、妹は憤りを見せる。「いつまでも田舎にいた頃の、世間知らずな良い娘でいろというの?貴方はそんな女でいて欲しいんでしょう?私が変わったのを怒っているんでしょう?私は一生懸命生きてきただけなのに・・・」言葉に詰まりながらも、刑事としての責任感から、捜査のカギとなる情報を明かす犬養。「死んだ証言者が持っていたはずの札束が消えている。それが見つかれば、犯人は明らかになるはずだ」
妹から連絡を受けた社長は、早速、札束を処分しようと銀行を訪れる。だが、その背後には特命課の眼が光っていた。その札束から被害者の指紋が検出され、社長の自白によって、妹の目撃者殺しと、男殺しの真相が明らかになる。「恐ろしい女ですよ・・・」という社長の言葉が、犬養の胸をえぐる。やるせない思いを抱え、ブティックを訪ねる犬養。社長の自白を知った妹が流す涙。そこには、どんな想いが込められていたのだろうか?

【感想など】
虚飾に満ちた華やかな世界に生きようと足掻く女の哀しみを描いた一本。かつて妹のように可愛がっていた「世間知らずな良い娘」が、いつの間にか計算高い「悪女」に変わってしまう。そんな事態に戸惑いを見せる犬養が本編の主人公ですが、事件解決にはほとんど役に立ってなく、正直言って刑事としては無能の謗りを免れません。画面上でも犯人の独白的に真相が明らかになるため、刑事ドラマの本筋=捜査による真相究明を期待している視聴者にとっても、肩透かし的な印象が残ったのではないでしょうか?犯人側のドラマをメインに描く手法としてはアリだと思うのですが、犬養視点なのか、妹視点なのかが終始曖昧なため、どっちにも感情移入しづらい展開になっているのが残念です。

とはいえ、万全に表現できたかどうかはともかくとして、脚本家が描こうとしたドラマ自体には、共感できる面もあります。男にとって変わってしまう女を見るのは(それがどんな変わりようであれ)辛く、切ないものですあり、友人の妹、というどこか甘酸っぱさが伴う関係が、その辛さ、切なさを増幅させます。
これは私を含めた男性視聴者からの視点でしょうが、一方の女性視聴者からの視点に立てば、また違った感慨があるのではないでしょうか?あらすじに掲載した台詞のやり取りや、ラストシーンを見て感じたのですが、「変わってしまう女を見る男」だけが辛く、切ないのではなく、「変わってしまう女」自身も、実は辛く、切ないのではないでしょうか?ラストの妹の涙が、ただ逮捕される辛さや、華やかな世界の住人となれなかったことの悲しさによるものだけとは、私には思えません。
私の個人的な評価としては、決して褒められたものではない本作ですが、女性視聴者から見れば、また違った評価が出るような気もする、そんな一本でした。

2 コメント

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間違いではないようです (袋小路)
2009-06-27 17:00:34
特オタさん、お久しぶりです。
ファミ劇のHPで確認したところ、以下のようなお知らせがありました。

「6/27(土)に放送を予定しておりました特捜最前線#485は、原版素材不良の為、欠番として放送を見送らせて頂くことになりました。申し訳ありませんが、ご了承下さい。この時間は内容を変更し、特捜最前線#1「愛の十字架」をお送り致します。」

来週以降は、引き続き第486話から放送するようですが、第1話を見れるのは貴重な機会ですし、今夜が楽しみです。それにしても、視聴不可能らしい第485話のレビューはどうしたもんでしょうか・・・
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ええと・・・ (特オタ)
2009-06-26 23:11:16
上記の作品とは関係ないんですが、第1話からやるっぽくないですか??
それとも間違いなんでしょうか???間違いにしちゃ、凄いけど・・・。
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