特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第355話 トルコ嬢のしあわせ芝居!

2007年10月16日 01時15分11秒 | Weblog
脚本 石松愛弘、監督 宮越澄

雪の降る朝、桜井は街頭の募金箱に千円札を入れる女と出会う。女のヒモらしきヤクザが、「もったいないことをするな」と叱り飛ばすのを制止する桜井。何度も頭を下げながら男とともに去っていく女を、桜井は溜息混じりに見送った。
数日後、桜井はヤクザを殺した犯人として女が逮捕されたことを知る。女の優しさを知っているだけに、半信半疑で所轄署に出向いた桜井は、女が犯行を否定しながらも黙秘を続けていることを知り、捜査を開始する。女が勤めるトルコでは、誰もが女に同情し、ヤクザを殺されて当然だと語る。女のアパートで発見したマッチから、会員制クラブを調べたところ、女がそこで銀行員と会っていたことが判明。銀行員に問い質す桜井だが、銀行員は「偶然クラブで知り合って飲んだだけで名前も知らない」という。
そんな桜井を、トルコで出会った出前持ちの青年が尋ねてくる。青年は女と同郷の友人で、偶然東京で再会して恋仲となり、事件当夜も女とホテルにいたという。青年の証言で女のアリバイは証明され、釈放される。
その後、新たに殺人事件が発生。殺されたのは銀行員と同僚の若い女で、不倫関係が噂された銀行員が取り調べられる。だが、銀行員には確かなアリバイがあった。動機をもつ容疑者にアリバイがある二つの事件を「交換殺人の可能性がある」と指摘する神代。トルコを辞め、青年とともにラーメン屋の開業を目指して働いている女を探し出した桜井は、第二の事件当夜のアリバイを確認。女は「青年と一緒だった」と語り、青年もそれを認めるが、青年の態度は不自然だった。疑惑を確かめるべく、女と銀行員の接点を探す桜井。女と青年が利用していたホテルを聞き込んだところ、以前、銀行員が被害者と痴話喧嘩を起こし、その様子を女が見ていたとの情報を得る。
女は密かに銀行員に連絡。特命課に疑われていることを告げ、口止め料を要求する。いずれ両者が接触すると見て張り込みを続ける桜井。肩を寄せ合って生きる女と青年の姿に、思わず仏心を起こした桜井の胸中を見透かしたように、船村は「見逃してやりたいねぇ」と呟く。執拗な張り込みを続けるなか、ついに銀行員は女を呼び出し、郊外のホテルに連れ込み殺害を謀る。「お前はひどい女だ!お前が殺した女より、もっとひどい!」交換殺人は、女から銀行員に持ちかけたものだった。危ういところを特命課が踏み込み、二人を逮捕。女は桜井の頬を張り「あんたさえ邪魔しなければ・・・」と吐き捨てると、桜井の胸にすがりつき、憑き物が落ちたように泣きじゃくる。苦い表情で女を見つめる桜井の脳裏には、街頭で出会ったときの女の優しい笑顔が浮かんでいた。

4話連続で送る石松愛弘シリーズの第2弾。前回と同じ会員制クラブが登場し、前回同様に挿入歌が流れますが、特に事件との関連性はなく、唐突で無理やりな印象は否めません。石松脚本はあと2話続くのですが、歌詞も歌い方もチープなこの挿入歌は、引き続き登場するのでしょうか?エンディングに珍しく挿入歌がクレジットされていることから考え、何らかのタイアップとは思われますが、だったらもう少しうまくドラマとからめてもらいたいものです。(4話目で種明かしがあれば納得するのですが・・・)
タイトルの「トルコ嬢」が問題となって地上波では欠番扱いとなっていることで、放送前から注目を集めていた本編ですが、良くも悪くも普通の話。「交換殺人」というプロットには興味をそそられましたが、展開としては謎解きもくそもない平板なものでした。とはいえ、トルコ嬢のキャラクターは出色。田舎から都会に出てきて汚れた女という、ありがちなフォーマットながら、天使のような優しさと悪魔のような狡猾さが同時に存在する女(というか人間そのもの)の怪しさを独特の無表情で演じた佳村萌(愛川欽也の娘さん)の演技が絶妙でした。また、出前持ちの青年役の柳沢慎吾も、心配したほどには浮いてなく、まずまず楽しめる一本でした。

コメントを投稿