特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第366話 44,000人の標的!

2007年12月03日 23時24分10秒 | Weblog
脚本 藤井邦夫、監督 宮越澄

3名の警官が連続して射殺された。犯人から特命課に「1億円を渡せば、警官殺しを止める」との脅迫電話が入る。都内4万4千人の警察官の命を救うための身代金というわけだ。
犯人から受け渡し役に指名された桜井は、翌朝、指定された新宿のホテルに向かう。桜井に接近した若い女は売春婦だった。事情を知らぬまま、犯人から託されたテープレコーダーを桜井に手渡す売春婦。桜井は録音されたメッセージに従い、新宿の街を歩く。人通りの激しい交差点で「無線機と警察手帳を捨てろ」との指示が再生される。無視して歩き続ける桜井だが、銃声が響き、信号を打ち抜いた。犯人は桜井を監視しているのだ。
無線機と手帳を捨て、テープの指示に従って走る桜井。気づかれぬよう桜井をガードする特命課だが、次第に振り切られてしまう。ビルの屋上へと急ぐ桜井。1億円を入れた鞄に仕込んだ発信機をもとに、橘が後を追う。指示に従い、屋上から地上のゴミ捨て場に鞄を投げ落とす桜井。後を追ってきた橘は、鞄を追って地上へ急ぐ。「これでゲームは終わりだ」ほくそ笑むようなテープの声に従い、隣のビルに視線を向ける桜井。そこにはライフルを構えた犯人の姿があった。銃弾が桜井を襲う。防弾チョッキに救われる桜井だが、犯人はさらなる犯行を示唆して姿を消す。ビルの間を飛び越え、単身で犯人を追跡する桜井。
一方、慌てて地上に降りた橘だが、すでに鞄は持ち去られた後だった。ライフルを持った犯人以外に共犯がいるのか?鞄に仕込んだ発信機を追う特命課。ようやく発見した鞄はゴミ集取車の中にあった。犯人の目的は金ではなく、桜井自身にあったのだ。神代の指示で、紅林は桜井が過去に手掛けた事件を追う。
路地から路地へ、犯人と桜井の追走劇が続く。倉庫に追い詰めたかに見えた桜井を、二人組のチンピラが襲う。撃破したチンピラから「2時5分に渋谷の道玄坂に来い」との犯人のメッセージを受け取る桜井。その場所と時間に、桜井はある事件を思い出す。
一方、犯人が売春婦に残した遺留品から、犯人の指紋が検出される。それは、かつて桜井のライバルと目された元エリート刑事のものだった。去年のある日、2時5分。元刑事は道玄坂で麻薬中毒者を逮捕した。そこに、麻薬中毒者に妻を殺された男が包丁を持って襲い掛かった。止めに入った警官にまで切り付けた男を、元刑事は射殺。現場に居合わせた桜井が元刑事の行為を非難する証言をしたため、元刑事は懲戒免職となった。
道玄坂に到着した桜井に、包丁を持って襲い掛かる影。それは元刑事に女房を人質にとられた無関係の男だった。拳銃を構えながらも引き金を引こうとせず、足を刺される桜井。「どうして撃たなかった?」桜井から拳銃を奪った元刑事が問う。「俺は貴様とは違う」「自分がどうなってもか?」「俺は刑事だ」桜井の答に「警察官というのは命がけの商売だ。牙を向いてくる奴には、恐ろしさを思い知らせてやらねばならん」と自己の正当性を主張する。「警官の職責を全うした俺がクビになり、無能な警官が、無能なるがゆえに制服を着続けていられる」と拗ねる元警官に、桜井は「それが警官を射殺した理由か・・・」と哀しげな目を向ける。突きつけられたライフルを奪い、反撃する桜井。逃走を図る元刑事を傷ついた足で追う。「貴様ほどの刑事が・・・」格闘の末に、桜井から奪った拳銃を突きつける元刑事。「殺してやる」勝ち誇ったように引き金を引く元刑事。だが、そこに銃弾は込められていなかった。愕然とする元刑事に、桜井の怒りの鉄拳が炸裂する。
駆けつけた特命課によって連行される元刑事。長かった一日がようやく終わり、大の字になって倒れる桜井。磨り減った靴を手に、桜井は元刑事と肩を並べて走った日々を、苦い思いで振り返るのだった。

アクション俳優、藤岡弘、(当時は「、」はありませんが)の魅力が爆発する一本。スピーディーな演出と脚本が冴える好編ですが、いかんせん犯人の設定や動機、桜井の対応まで、すべてが第287話「リミット1.5秒」の焼き直し。桜井のライバルと目されるエリート刑事には、ろくな奴はいないということでしょうか?同僚時代の二人の信頼関係がしっかりと描かれていれば、ラストの余韻もまた違ったものになっていたのではないかと思われ、重ねて残念に思われました。とはいえ、「リミット1.5秒」を見ていなければ、なかなか楽しめる一本ではないかと思います。

2 コメント

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楽しめました (ですとら)
2008-03-09 23:14:13
昨日から引き続いて見ております。
藤井邦夫脚本と思いきや長坂秀佳脚本のような誘拐物のような展開で、287話を見ていない私としては楽しめました。
ただ、桜井刑事と元刑事の関係をもっと掘り下げてくれればラストシーンの余韻ももっと味わい深いものになったと思います。
それと現在勤務地が新宿なので、24年前の新宿西口の変わりように驚きますね。キャッツシアターあったなぁとか、京王プラザの前のオフィスビルは昔小学校だったんだとか。そういう面でも楽しめました(苦笑)。
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新宿ですか (袋小路)
2008-03-10 21:46:37
長坂脚本の影響は否めませんが、確かに藤井脚本としては楽しめる一本だったと思います。機会があれば、287話と見比べてみても面白いかもしれません。
それはともかく、ですとらさんは新宿勤務ですか。私も新宿にはクライアントが多く、頻繁に行ってますので、新宿駅近辺が舞台になると少し嬉しく思っています。意外と、どこかですれ違っていたりするかもしれませんね。
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