特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第482話 警官失踪・闇に哭く銃声!

2009年07月22日 00時05分06秒 | Weblog
脚本 押川國秋、監督 三ツ村鐵治
1986年9月11日放送

【あらすじ】
ある夜、二人組の強盗がスーパーを襲撃。緊急配備についた若い警官から「逃走車両を発見した」との無線連絡が入る。その後、再び警官から連絡が入るが、通信は銃声とともに途絶え、警官は姿を消した。夜を徹しての捜査にも関わらず、警官と強盗は見つからず、特命が捜査に乗り出す。
銃声を聞いた付近の住人の証言から、発砲現場を絞り込む橘たち。付近には、日頃から警官が気にかけていた高校生が住んでいた。病気で入院中の母親を支え、アルバイトで生計を立てる高校生を、警官はいつも励ましており、事件当夜も励ましの声を掛けて行ったという。やがて、発砲現場と見られる操車場から血痕が発見されるが、警官の姿は無い。血痕近くに停めてあった貨車は、すでに東北に向けて出発していた。橘は、犯人が警官の銃を奪って警官を撃ち、貨車に放り込んだとみて、貨車の行方を調べる。
同じ頃、警官の乗っていたバイクが上野駅近くで発見される。目撃者によれば、中年の男が乗り捨てたらしい。さらに、上野駅から血の着いた一万円札が発見され、指紋から強盗の片割れだと判明。駅員の記憶から、その男は青森行の切符を買っていた。一方、桜井らの捜査により、強盗の共犯として、被害に遭ったスーパーをクビになった若者が浮上する。
やがて、貨車から警官が重態で発見されるが、拳銃は所持してなく、やはり犯人が持って逃走しているものと思われた。青森行の電車に乗ろうと上野駅にやってきた男を逮捕する橘だが、男は拳銃を所持してなかった。さらに若者も逮捕するが、こちらも拳銃は持っていない。果たして拳銃の行方は?
若者の証言によれば、車を発砲現場付近に走らせたのは男の指示であり、車を捨て後は別々に逃げたという。橘は、男が現場付近に同郷の誰かを訪ねてきたのでは、と推測し、現場近くで青森出身者を探す。すると、例の高校生の別れた父親が青森出身だという。もしや、と思って高校生に男を確認させるが、高校生は「知らない人です」と証言。だが、その態度から、橘は二人が親子だと確信する。
「親子で会っていたんだな?」との橘の追及に、男は重い口を開き「息子には会っていない」と主張。拳銃を奪って警官を撃ち、拳銃は下水に捨てたと言うが、金の行方だけは口をつぐんだ。
その夜、高校生の部屋を訪ねた橘が見たものは、拳銃で自殺を図ろうとして果たせず、泣き崩れる高校生の姿だった。やはり二人は会っていたのだ。事件当夜、高校生は男に電話で操車場に呼び出された。そこに警官が現れ、逃走する男を追跡。警官が男に拳銃を向けたとき、高校生は「撃たないで!」と警官に飛びかかり、はずみで放たれた銃弾が警官を撃ち抜いたのだ。兄のように慕っていた警官を襲ってしまったショックで自殺しようとする高校生から、男は拳銃を取り上げ「撃ったのは父さんだ。今夜のことは忘れろ」と言い聞かせる。自分の犯した罪を明かし、奪った金を託そうとする男だが、高校生は金を拒否し、「これを父さんに渡したら、何をしでかすかわからない」と、拳銃を持って立ち去ったのだ。
自分も、父親も許すことができず、自殺を図った高校生だが、病気の母親を思うと、死ぬことはできなかった。そんな高校生に、橘は語る。「あの警官は君に何と言っていた?身体に気をつけて、頑張るんだ。そう言ってたんだろう・・・」
取調べに対し、「どうしても父を許せない」と語る高校生だが、男が奪った金を母親の入院する病院に送ったことを聞かされ、男は男なりに、家族を思っていたのだと知る。取調べを終えて連行される途上、言葉を交わす親子のもとに、警官が奇跡的に命を取りとめたとの連絡が入る。高校生の、そして男の瞳から、大粒の涙が零れ落ちるを見て、橘は二人の間に親子の絆が甦ったことを確信するのだった。

【感想など】
妻子との絆を取り戻すために犯罪に手を染めた男と、兄のように慕った警官を撃ってしまった息子との哀しい再出発を描いた一本。この強引なまとめ方を見ても、いかに取り止めのない話だったかが分かろうというものですが、一体どこにドラマの焦点を置こうとしたのか、描写や演出が中途半端なために、見事なまでに心に響いてこないのが痛々しいほどです。
脚本は久々の押川國秋氏ですが、誠に失礼ながら“ローテーションの谷間”という印象が拭い難く、今回もその印象を再認識するだけでした。ちなみに、今回がラストの特捜脚本ですが、押川氏の代表作って何だろう?と考えても、首をかしげるしかありませんでした。

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