特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第481話 連続爆破・共犯者は街に溢れる!

2009年07月15日 01時52分34秒 | Weblog
脚本 藤井邦夫、監督 天野利彦
1986年9月4日放送

【あらすじ】
交番やパトカーを標的にした連続爆破事件が発生するなか、特命課に一本のビデオテープが届けられる。そこには爆破現場の映像とともに、ビルの一室に仕掛けられた大量のダイナマイトが映されていた。「次は明日午後五時に都内のビルを爆破する。今度は一般市民にも犠牲者が出る。止めて欲しければ5千万円を用意し、明日の正午、この刑事に新宿駅に持って来させろ」とのメッセージの後に映っていたのは、私服姿の杉だった。
指示通り、軽装で新宿駅に現金を持参した杉を、桜井以下の刑事たちが遠巻きに見守る。最初に接近してきたサラリーマンは、杉にメモを渡して立ち去る。メモにしたがって構内を移動した杉を待っていたのは若い娘だった。杉は「爆弾はどこだ?」と娘を問い詰めるが、娘は事情を知らないらしく、「私はその鞄を持ってくるよう頼まれただけ」だという。やむなく、現金の入った鞄を娘に渡し、特命課が尾行する。鞄は娘からバイクの青年に、そして女へと託される。
その間、特命課は鞄と引き換えに報酬を受け取った娘や若者を取り調べる。しかし、いずれもアルバイト雑誌で雇われただけで、犯人とは無関係だった。だが、彼らを取り調べるために、刑事が一人、また一人と離脱していく。それこそが犯人の狙いなのか。
一方、時田と紅林は、映像に入っていた踏切や電車の音から路線を特定し、爆弾が仕掛けられたビルを探して路線沿いをしらみつぶしに捜索する。しかし、懸命の捜査にモ関わらず、爆弾は発見されない。踏切や電車の音は、捜査を混乱させるための犯人の細工ではないのか?
その頃、電車に乗った女は網棚に鞄を残して電車を降りる。鞄を持ち去ったサングラスの男は、タクシーで電車を乗り換えると、同様に網棚に鞄を残して立ち去る。誰も鞄に手を触れる者はなく、やむなく叶が確認したところ、中身は空だった。男こそ犯人であり、タクシー内で現金を詰め替えたのだ。特命課がしてやられたかに見えたが、タクシーに預けていた現金を受け取る男を杉が尾行していた。
同じ頃、神代はビデオテープに映っていたテレビ映像にフェーディング(電波干渉)を発見。爆弾を仕掛けたビル上空をヘリが飛んでいたと推測し、その航路を調べてビルを割り出すよう、橘に指示を出す。同じ頃、アルバイトの運び屋たちに渡したメモに残った指紋から、犯人の身許が判明。報せを受けた時田と紅林が犯人の自室に踏み込むと、そこは特命課に送られてきたビデオのマザーテープが。そこから爆弾を仕掛けたビルを示す手掛かりを捜し求める。
男=犯人の尾行を続ける杉は、男が新宿駅で最初に接触してきたサラリーマンだと気づく。隙をつかれて川に落とされながらも、懸命に男を追う杉。駆けつけた桜井と叶の協力もあって男を逮捕するが、男は「俺はまだ負けちゃいない!」と強がる。「爆弾はどこだ!」特命課に連行して男を尋問する桜井たち。男は爆弾については沈黙し、杉への恨みを明かす。男は数ヶ月前、サラ金ジャックの現場に客として居合わせ、杉の取調べを受けたため、周囲に借金がバレて生活に窮していたのだ。
ヘリの航路、マザーテープの映像、そして「俺をここから出せ!死にたくない!」と喚き立てる男の態度、それらが指し示す爆弾の仕掛先は、特命課ビルに他ならなかった。爆破予告時刻が迫るなか、神代以下、ビル内を探し回る刑事たち。爆破3分前、神代と杉が爆弾を発見。神代自らが爆弾を解除し、ギリギリのところで爆破は防がれた。暑く、長い一日が終わり、ようやく安堵の息をつく刑事たちの額を汗が照らしていた。

【感想など】
犯罪とは無関係の一般市民が、わずかな報酬のために、無自覚に犯罪の片棒をかついでしまう恐ろしさを描いた一本。なのでしょうが、こうした狙いは江崎の台詞で唐突に提示されるのみなので、今ひとつ視聴者に伝わってこないように思われます。むしろ、杉を中心とした汗まみれの追跡劇が他の刑事ドラマを想起させ、時間帯変更前からの視聴者は「特捜の汗臭さはもっと別ものなのに・・・」と違和感を覚えるのではないでしょうか。
爆弾を巡るサスペンスや、犯人の巧妙な仕掛け、巧みな連携と執念でそれらを一つひとつ解き明かしていく特命課、というストーリーの流れには引き込まれるものがありますが、「何で犯人は最初に杉の前に現れたのか?」「犯人に川に突き落とされる杉はあまりに迂闊では?」とか、細かい粗(と言っては気の毒か?)が気になり、それなりに楽しめた一本、という以上に特段の評価はありません。