特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第479話 テレクラ嬢殺人事件・亡霊からのラブコール!

2009年07月08日 00時03分01秒 | Weblog
脚本 宮下隼一、監督 北本弘
1986年8月21日放送

【あらすじ】
妻と子供が里帰りし、一人で寝苦しい夜を送る時田。深夜に掛かってきた電話は、若い女の声で「助けて・・・」とだけ言って切れた。一体誰が、何の目的でかけてきたのか?
そんななか、白い服の女に、男がカッターナイフで喉を切られて殺されると言う事件が続発する。現場にはいずれもテレホンクラブのチラシが落ちていた。捜査に当たる特命課に、昨夜の女から時田宛の電話が入る。マヤと名乗るその女は、「時田さん、どうして助けてくれなかったの?恨みを晴らしてやったわ・・・」と告げて電話を切った。時田はようやく心当たりに気づく。
半年前、時田は若い警官が少女を保護する現場に出くわした。マヤと名乗る少女は施設育ちであり、両親のいない寂しさからテレクラを使って買春を繰り返していた。似た境遇の警官は、少女を気遣い、少女の姉代わりである女性保護司に「きっと私が更正させる」と誓い、時田も「私もできるだけのことはする」と約束していた。
少女を連続殺人の容疑者とみた時田は警官を訪ねるが、そこで意外な事実を知る。少女はすでに死んでいると言うのだ。1週間前、少女はラブホテルで喉を刺されて殺された。犯人は買春客と見られたが、いまだ特定されていなかった。時田もその事件は知っていたが、本名で報じられたため、被害者がマヤとは気づかなかったのだ。警官は少女の葬儀の場で、女性保護司から「貴方にそんな資格はない!」と追い返されたと言う。保護司にとっては、犯人だけでなく、「更正させる」との約束を果たせなかった警官も、恨みの対象らしかった。
殺された男たちは、少女の買春客として取り調べを受けていた。犯人の狙いは、少女の仇討ちだと思われたが、その対象は少女を殺した犯人だけでなく、少女を買った男すべてに及んでいるらしい。時田は少女の葬儀の翌日から姿を消している保護司が怪しいとにらむ。しかし、時田に電話をかけてきた声は、保護司のものではなく、むしろ少女に似ていた。偶然か、それとも亡霊の呪いか、時田の喉も痛み始める。
捜査を続けるなか、時田は保護司らしき白い服の女を追って、ロープで首を吊り上げられて、絞殺されそうになる。危ういところを駆けつけた警官に助けられるが、時田は警官と同様に、自分もまた保護司の恨みの対象なのだと知る。
声帯を痛めて入院する時田のもとに、またも若い女の声で電話が入る。「もう一人殺してやるわ。邪魔しないで・・・」入れ違いにかかってきた電話は警官からだった。「保護司に呼び出されて廃ビルに行きます。」時田は警官が危ないとみて、伝言メモを残して病院を抜け出す。やがて、時田の不在に気づく特命課だが、メモが風邪に飛ばされたため、行方がつかめない。一方、橘らは、ようやく電話の声の主を女子大生と特定する。「保護司に頼まれて電話したのか?」と女子大生を追及するが、依頼主は若い男だったという。
同じ頃、廃ビルにかけつけた時田は、縛られた保護司を発見。背後から迫る白い服の人影は、女装した警官だった。困惑する時田に、警官は勝ち誇ったように真相を語る。少女に誘われるがままに関係を持った警官は、怖くなって少女に金を渡した。しかし、少女が友人たちに「セコい警官と寝た」と吹聴するのを聞き、昇任の妨げになることを恐れて少女を殺害。その後、警官の仕業と気づいた保護司に問い詰められたため、今回の計画を企てたのだと言う。
保護司をかばう時田に、警官のカッターナイフが迫る。危うい所を、ようやく駆けつけた特命課が救出。事件は解決する。取調室で、警官は少女が保護司に当てた手紙を見せられる。そこには、少女の警官に対する恋心と、金を渡されたときのショック、そして、警官の迷惑にならないよう、すべてを忘れようと決意していたことが綴られていた。後悔と自責の念にかられて涙を流す警官を、時田は保護司とともに見つめるのだった。

【感想など】
亡霊からの呪いの電話という、怪奇モノ仕立ての導入とは裏腹に、意外に真っ当なストーリーだった一本。ラストで再び悪夢の始まりを思わせる電話がかかってくるのですが、怪奇モノらしいラストと見るか、蛇足とみるかは、人それぞれでしょう。警官の心理も、少女の真意も、それぞれ納得いくものであり、序盤から二転三転する展開も見応えがあってよいのですが、かといって深く胸に響いていくるものはなく(もちろん、今回の脚本はそうしたドラマ性に重点を置いていないわけですが・・・)、普通に楽しめた一本、というの印象です。まったくの余談ですが、個人的には、女装した警官が長島☆自演乙☆雄一郎(K-1 MAXにも出場したコスプレ格闘家)みたいだったのが、一番印象に残りました。