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『おはなしおはなし』 河合隼雄

2007年07月20日 | エッセイ


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本書の著者、元文化庁長官で、臨床心理学者の河合隼雄さんが亡くなられたそうです。巨星堕つ、本当に残念です。謹んでご冥福をお祈りします。

実にたくさんの著作があり、どれほど多くの人の心を癒したことでしょう。河合氏の本を読んで、心理学を志そうと決意した若者も多いと聞きます。

今、アマゾンで “河合隼雄” の名前で検索したら、なんと410件!(41冊でも多いと思うのですが…)。小学生にもわかるような本から心理学の専門書までありますね。

私が読んでいるのはせいぜい10冊程度ですが、書籍という形以外でも、氏の書いた文をいろいろなところで目にしています。おそらくみなさんもそうではないでしょうか。


著作の多さも信じられないほどですが、活動も多岐に渡っており、「日本ウソツキクラブ会長」 なんていう肩書きまでご自分で作られています。また、心理療法の “箱庭療法” を完成・普及させたのも河合氏だそうですね。


本書は朝日新聞に毎週掲載されていた氏のコラムをまとめたものです。中学生でも読めるほど平易な言葉をあえて使っていますが、内容はどこまでも深く掘り下げることができるような気がします。

一つ一つの話は短いので気軽に読めますし、目次を見て興味のあるところだけ読むこともできます。でも、きっと最後は全部読みたくなる、そんな一冊だと思います。“人”には “おはなし” がどれほど重要かを教えてくれます。 そして河合氏こそ、まさに、おはなしの達人だと確信させられます。


目次は以下のようなものです。

明恵三題
うちの話
主人公
男と女
ただ座っていること
自己実現
サンタクロース
白鳥のお話
マージャン
ガムラン音楽
大和魂
おくればせ
安部公房さんの思い出
神話を語る
がんとクロッパー先生
魔法のまど〔ほか〕


河合氏は、代表作のひとつ、『昔話と日本人の心』で大佛次郎賞を取っています。私も大変感動した一冊ですが、しかし、以前ご紹介した小谷野敦氏の 『バカのための読書術』 の中で、小谷野氏がその本を “学問的意味のない思いつき” として、読んではいけない本リストに入れているのを見て、びっくりしたのを思い出します。


また、一年以上前にこのブログで取り上げた、個人的に忘れられない一冊が、私が10年ほど前に入院したおりに読んだ、『心理療法個人授業』 です。

南伸坊さんを生徒役に、河合氏が心理学(療法)について、専門的なことをわかりやすく解説したものです。医学部や心理学関係に進学を希望している生徒にぜひ読んでもらいたいと思う内容です。


本書でも『心理療法個人授業』でも読んで感じるのは、その底知れぬ知識や教養の高さと、わかりやすさ、プラス、優しいユーモアのセンスです。河合氏の跡を継ぐような方がたくさんいて欲しいと願うばかりです。




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