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トランプ新大統領の目は消えたように思えるが……

2024年08月05日 | これから何が起きるのか?

 認知症気味のバイデンに代わって副大統領のカマラ・ハリスが民主党候補になった。
 銃撃事件でアメリカンタフネス(ガッツ)を演じて見せて米国人の心をつかみ、次期大統領の座を確定させたかに見えたトランプだが、その後、カマラハリスが候補者を交代して、ハリスに対する批判が、あまりに幼稚なもので、大統領としての資質が疑われることで、優位性を失っているように見える。

 異例の短期戦、アメリカ大統領選の勝敗を分けるポイントは? トランプ氏を猛追するハリス氏に泣きどころ 2024年8月4日
  https://www.tokyo-np.co.jp/article/344976

 トランプの幼稚な失言

 ① ハリスは、突然黒人になった。
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/344519
 「(以前は)インド人ということだけをアピールしていた。数年前に黒人になるまで、黒人だということを知らなかった」と述べた。
 「今は黒人として見られたがっている」とも語り、選挙目的との持論を展開した。「私はリンカーン大統領以来、黒人にとって最高の大統領だった」と強調。

 米CNNテレビなどの最新の世論調査では、ハリス氏は黒人有権者の78%の支持を集め、トランプ氏は15%にとどまる。バイデン大統領の撤退表明前の23%から支持率が落ち込んでおり、ハリス氏に押されている。

 一方、共和党では副大統領候補のバンス上院議員も、過去に保守系メディアでハリス氏ら出産経験のない女性を「子どもがいない惨めな人生を送るキャット・レディー(猫好きの女性)」と呼んだことが批判を呼んでいる。

 ② 女性の非白人議員に対して「元の国に帰れ!」
   「もとの国に帰れ」 「ゴー・ホーム」……私たちもそう言われた 2019年7月17日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49002177
https://www.khb-tv.co.jp/news/15372657

 ③ トランプは女性の妊娠中絶権利を否定した
 トランプは前回在任中、最高裁判事を共和党思想に都合のよい保守的(プロテスタント福音派思想の)判事ばかりを任命することで、1973年の「ロー対ウェイド判決」を破棄して合憲とさせ、アメリカの、アラバマ、アリゾナなど保守強硬派の州で、人工妊娠中絶を禁止させた。

 このため、これらの強硬派保守の州を脱出して、女性の人権を容認する州への数万人単位の大規模な移住が続いている。
 (アラバマ、アーカンソー、アイダホ、インディアナ、ケンタッキー、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、ノースダコタ、オクラホマ、サウスダコタ、テネシー、テキサス、ウェストバージニアの14州から脱出して、フロリダやカリフォルニア、ニューヨークなどへの移住。しかし税率の高い州は、節税対策から敬遠されている。)

 https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/feature/2022/11/04/26691.html

  https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/06/de6b67a9fb714dca.html

 https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2022/08/18/24402.html

 今回、ハリス対トランプの選挙戦で、もっとも大きな争点が、この女性の妊娠中絶権利である。トランプは、保守強硬派=福音派の価値観に沿って、女性の人権を大きく制限し、これに対して、トランプ陣営への激しい嫌悪感が拡大している。
 トランプは、選挙対策のため、「妊娠中絶権利は各州の判断に委ねる」と主張を変えたが、相変わらず、強硬な保守価値観を持った福音派への迎合姿勢が続いている。

 ④ トランプ自身は、前回在任中に、娘婿クシュナーの指示によりユダヤ教徒に改宗していて、シオニストとしての立場を鮮明にしている。イスラエルの「嘆きの壁」をユダヤ教徒として参拝し、「ゴラン高原はイスラエルのもの」と発言することで、ネタニヤフを喜ばせ、ゴラン高原をトランプ高原と改名するとまで発言させた。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E9%AB%98%E5%8E%9F

 トランプは、2023年10月7日以来の、ネタニヤフによるガザ大虐殺を支持している。
  トランプ氏、ハマス掃討作戦「仕上げるべきだ」…イスラエルが奇襲受けたのは「バイデンのせい」2024/03/30
 https://www.yomiuri.co.jp/world/20240330-OYT1T50178/

 https://jp.reuters.com/world/us/DURY22OAT5KW3OXHNFBCWAAXQA-2024-04-26/

 これに対し、アメリカのインテリ学生たちは、ガザ侵攻を激しく糾弾し、トランプを強く批判しているが、トランプ支持者は彼らを冷笑している。
  https://president.jp/articles/-/81621?page=1

⑤ トランプの選挙公約
 トランプは、二期目の当選公約として、関税爆上げとともに、数百万人の米移民を強制追放することを掲げた。また連邦政府職員を自分の息のかかった者だけを残して、言うことを聞かない者は追放すると述べている。(つまりユダヤ教と福音派の思想に忠実な者だけで政府を独占することだ)

 関税引き上げから不法移民送還まで、トランプ氏「2期目」の公約 By James Oliphant, Gram Slattery 2024年5月24日
 https://jp.reuters.com/world/us/TYL73AJVMFP5XGFMF5V6O5JCWM-2024-05-24/

  [ワシントン 21日 ロイター] - トランプ前米大統領は、今年11月の大統領選で返り咲いた場合に数百万人の移民を強制送還し、高額な関税で世界貿易を再編成するとともに、ホワイトハウスを忠実な支持者で固める計画だ。

 ◎貿易
 トランプ氏は、全ての輸入品に10%以上の関税をかける案を示している。貿易赤字を無くすためだとしているが、消費者物価の上昇と世界経済の不安定化を招くとの指摘もある。
 米国からの輸入品に関税をかけている国に対して、より高い関税をかける権限を自身が持つべきだとも述べている。一部の輸入車には200%の関税を課すと脅している。

 特に標的にしているのは中国で、電子機器、鉄鋼、医薬品など中国からの輸入を4年間で段階的に削減することを提案。中国企業がエネルギーやハイテク分野で米国のインフラ所有を禁止しようとしている。

 ◎連邦政府職員
 トランプ氏は、数千人の連邦政府職員を再分類して解雇できるようにする大統領令を通じて「ディープステート」の撲滅を図ろうとしている。
 同氏は、密かに自分たちの目的を達成しようとしている連邦政府のキャリア職員らを想定してディープステートと呼んでいる。

 これは法廷で争われる可能性が高い。トランプ氏は、国家安全保障に携わる腐敗した人々を解雇し、政敵を「根絶やしにする」と宣言している。
 トランプ氏は、全ての連邦政府職員に、自らが作り出す新たな公務員試験への合格を義務付けると述べているが、そのための実際的な権限は限られている。

 同氏の側近も、政策の実行に当たる公務員志願者を吟味するだろう。トランプ氏は、2020年の選挙が不正選挙だったという自身の信念に、公務員は従わなければならないと示唆している。
 トランプ氏は、通常は法律で保護されている連邦政府の内部告発者を弾圧し、米情報機関を「監視」する独立機関を設立するだろう。

 ◎政敵の捜査
 トランプ氏は何度か、連邦の法執行機関を使って政敵を捜査すると誓ったことがある。
バイデン大統領を調査するため、特別検察官の任命を検討するとも述べているが、調査の根拠は明示していない。

 トランプ氏はまた、一部の地方検事が違憲の選択的強制執行を行っているため、司法省が調査するとも述べている。
 自身の命令に従わない検事の解任を検討するとも話しており、これは、連邦法執行機関の独立という長年の米国の方針との決別を意味する。

 トランプ氏の盟友らは、司法省の独立性を削ぎ、同省を大統領に忠実な政治任用者だらけにする計画を練っている。

 ◎エネルギー
 トランプ氏は、掘削許可プロセスを緩和し、天然ガスパイプラインの新設を奨励することで、化石燃料の生産量を増やすと宣言している。

 また、世界的な温室効果ガス排出量削減の枠組みであるパリ協定から再び離脱し、原子力エネルギーの増産を支持すると述べている。バイデン大統領が導入した電気自動車(EV)への移行義務付けや、自動車による排出量削減を目的としたその他の政策も撤回するだろう。

 ◎経済
 トランプ氏は、雇用創出を制限していると自身が考える連邦規制の削減を約束している。大統領在任中の2017年に署名した広範な減税措置の継続も約束。同氏の経済チームは、1期目に実施した個人・法人減税の拡大について議論している。
 同氏は、米連邦準備理事会(FRB)に利下げを迫るだろうとも述べた。

 ◎移民政策
 トランプ氏は、不法移民を標的とした第1期の政策を復活させ、バイデン氏の親移民政策を後退させて抜本的な新規制を進めると宣言した。
 メキシコ国境における亡命を制限し、米国史上最大の強制送還に乗り出すと公約している。しかし、これは法的正当性が問われ、議会民主党からの反対にも遭うだろう。

 同氏は、目的達成のために州兵や、必要であれば連邦軍を動員すると述べており、強制送還のために収容所を設置する可能性も排除していない。
 移民から生まれた子どもが自動的に市民権を得られる制度を廃止するとも述べているが、これは長年続いてきた合衆国憲法の解釈に反する動きだ。

 ◎中絶
 連邦最高裁判事のうち、人工妊娠中絶の権利は憲法で守られているとの判断を覆した多数派に属する3人は、トランプ氏が任命した人物だ。同氏は今後も中絶制限を支持する連邦判事を任命し続けるだろう。

 同時に同氏は、連邦政府による中絶禁止は不要であり、この問題は州レベルで解決されるべきであるとも述べている。共和党の一部で支持されている妊娠6週以降の中絶禁止は厳しすぎるとし、レイプや近親相姦、母体の健康を考慮した例外規定を設けるべきだと主張。
 また、アリゾナ州で裁判所が認めたさらに厳しい禁止令にも反対を表明している。
 とはいえトランプ氏は、各州が選択すれば、女性の妊娠を監視し、許可された期間以降に中絶手術を受けた場合は起訴することができるとも述べている。

 ◎外交
 トランプ氏は、ロシアとの戦争を巡る米国のウクライナ支援に批判的であり、当選すれば24時間以内に戦争を終結させることができると述べている。ただ、その方法は示していない。

 また、米国は北大西洋条約機構(NATO)の「目的と使命」を根本的に見直すとも述べている。具体的な政策提案はほとんど行っていないが、昨年のロイターのインタビューでは、ウクライナは和平合意のために領土をある程度割譲する必要があるかもしれないと語っている。

 トランプ氏はウクライナに対する610億ドルの支援策に数カ月間反対し、共和党議員の一部も反対した。議会は4月末、ついに支援策を承認し、トランプ氏はそれ以来、ウクライナの安全保障は米国の重要な国益であると示唆している。
 トランプ氏は、イスラム組織ハマスと戦うイスラエルを支持する一方、ネタニヤフ首相の初期対応を批判している。また選挙戦では、麻薬カルテルと戦うためにメキシコに軍隊を派遣することも提案している。

 ◎教育
 トランプ氏は、大学に「米国の伝統と西洋文明を守る」ことを義務づけ、多様性プログラムを廃止すると公約した。また、人種差別を行った学校に対する公民権訴訟を司法省に指示すると述べた。
 幼稚園から高校卒業までの教育期間については、保護者が公的資金を私的または宗教的な教育に使えるようにするプログラムを支持するとしている。

 ◎犯罪
 トランプ氏は、人身売買や麻薬密売を行う犯罪者に死刑を科すと述べている。また、小売店で略奪を行った者はその場で射殺する可能性も示唆している。
 米国の都市で凶悪犯罪が減少しているという連邦統計については、信じられないと発言。また、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件に関連して有罪判決を受けた者全員の恩赦を検討すると述べている。
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 引用以上

 以上が、トランプの選挙公約で、当選した場合、トランプはこれを実行してしまう可能性が非常に高い。
 アメリカ連邦政府の職員は、トランプ思想を強く支持する者でないかぎり、基本的に追放される。トランプに反対したバイデンのような政治家は、強制捜査され起訴される。

 また、女性の妊娠中絶権利も拒否されることになる。
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5922352.html
 移民は、過去数十年に移民した者たち、数百万人が強制送還される。
 トランプは、人種差別主義者であり、KKK団のような暴力団体を復活させる可能性がある。実際に、連邦議会占拠事件の殺人犯罪者たちを免罪することまで口にしている。

 「もしトラ」が実現した場合、日本への最大の影響は、トランプが前回在任時から口にしてきた、日米安保条約の不平等を是正するため、米軍の安保経費を日本に負担させること。(年間数兆円規模)
 安保条約による参戦義務を廃止し、国際紛争をすべて交渉取引で行うこと。
 つまり、尖閣諸島領有権について、安保義務を拒否することで、台湾侵攻中断と引き換えに中国に売り渡す取引を行う可能性がある。

 トランプは、ロシアとの戦争を巡る米国のウクライナ支援を全面否定している。当選すれば24時間以内に戦争を終結させることができると述べている。
 米国によるウクライナ支援を停止し、クリミア半島をロシアに引き渡すことを示唆している。

 北大西洋条約機構の「目的と使命」を根本的に見直すとも述べている。つまり、共同防衛義務を廃止し、すべて取引交渉で問題を解決すると表明している。
 トランプ当選を、世界でもっとも大きな期待を持って願っているのは、間違いなくプーチン大統領だろう。ロシアは、再び、大統領選に大規模介入する可能性がある。

 まだ、たくさんあるが、トランプの問題は、上のロイター論評が簡潔に指摘している。
 これだけ見れば、トランプを支持する米国民は時代錯誤の人々ばかりであって、劣勢に違いないと思うのだが、一方で、バイデンから代わったカマラハリスにも問題がある。

 カマラ・ハリス、5つの重大問題「優勢報道でも、大統領には選ばれない」…16年にトランプ当選を予言した政治アナリストが断言 7/31
 https://news.yahoo.co.jp/articles/5a22398ad7db4016fbc22e53f3de4b315425443a

 バイデン大統領が党内圧力に屈し次期大統領レースから辞退した。そして、民主党の新たなライジングスターとしてカマラ・ハリス副大統領が取り上げられている。米国のリベラルメディアはハリスを救世主のように取り上げ、日本メディアはそのリベラルな米国のメディアの論調を相も変わらず垂れ流している。

 1.カマラはカリフォルニア出身
 ハリスの弱点の一つは彼女がカリフォルニア出身で、学生時代の一部をモントリオールとワシントンD.C.で過ごし、再びカリフォルニア州でキャリアを積んできた人間だということだ。
 これは中西部や南部の接戦州の人間にとって、彼女がハナにつく経歴を持つ人物であることを意味する。同州の過剰にリベラルなポリティカル・コレクトネスは接戦州の住民にとっては必ずしも羨望の対象ではない。

 たとえば、ハリスにはハリウッドスターらの多数の賞賛のコメントが寄せられている。一見すると、それは世論を動かす力があるように錯覚しそうだ。しかし、ヒラリー・クリントンは2016年大統領選挙でハリウッドスターの華やかな人脈を見せびらかしたが、ラストベルトの労働者にそのようなキラキラリベラルの政治姿勢は拒否された。これはカリフォルニアのリベラルな文化が選挙戦で逆作用した事例であった。

 バイデン大統領は自らの経歴の中で、ペンシルベニア州で過ごした時代を強調してスピーチをしてきた。ハリスのキャリアで地方の労働者と向き合った事例は、ホワイトハウスで労働者団体との会議を開いたことくらいだ。
 ハリスは副大統領候補者に接戦州の知事を据えることで自らの弱点を補おうとしているが、接戦州での劣勢を跳ね返すほどのインパクト及び知名度を持った副大統領候補者は見当たらない。

 2.副大統領就任当初の「国境管理」に関する象徴的な失敗
 ハリスはバイデン政権発足直後に「移民」「国境管理」に関する役割を担わされた。彼女は党内左派に配慮して国境管理を緩めるか、それとも厳格な管理を行って同派からの不興を買うかの二択を迫られた。
 そして、当然に国境管理について明確な成果を得ることができないまま失敗した。それどころか在任後に国境地帯に長期間足を運ばなかったことでも批判されたこともある。

 3.接戦州で不利に働くカマラ・ハリスのキャリアの履歴
 ハリスの過去の実績で問題となるものは「国境管理の失敗」だけではない。彼女の検事、上院議員、副大統領としての履歴は、接戦州で不利となるネガティブキャンペーンのネタばかりだ。

 ハリスはミルウォーキーでの集会で、トランプを犯罪者と揶揄し、自らの検察官としてのキャリアを誇示した。カリフォルニア州で検事のキャリアを積んだハリスの犯罪に対する厳しさの評価は実は定まってはいない。
 共和党は、警察官を殺害した犯罪者に対する甘い求刑、犯罪を助長した可能性がある刑務所改革、警察官に対する過剰な負担を強いる警察改革などを批判するものと推測される。
 当然にハリス側も反論するだろうが、犯罪に甘い左派からの全面支援を受けるハリスの言葉をそのまま有権者が信用するかは不明だ。これは犯罪の多発に悩む多くの接戦州では致命的な問題となる。

 また、彼女の履歴は大統領選挙を左右する天王山であるペンシルベニア州において特に問題となる。シェール関連事業に必須となる水圧破砕法に関するネガティブな履歴は同州の労働者から高報酬の雇用を奪うことを意味する(バイデンよりもハリスのほうが環境左翼だと認知されている)。
 経済手腕については何ら証明された実績はない

 バイデン政権は同州に再エネ関連補助金をつぎ込むことを決定したが、それで同州から失われる票を補うことができるだろうか。さらに、左派に配慮したハリスがイスラエルのネタニヤフ首相の直近の演説をボイコットしたことは、ペンシルバニア州やネバダ州に住むユダヤ人コミュニティにも影響を与えることにもなる。

 4.ハリスの経済手腕に関する実績の欠落
 ハリスは副大統領候補者として経済政策全般に主導的な役割を果たしてこなかった。彼女には州知事経験もないため、その経済手腕については何ら証明された実績はない。彼女の父親はスタンフォード大学名誉教授(経済学)であり、彼女の最初の学位も経済学ではあるが、それは家族や学生時代の話に過ぎない。

 一方、彼女の副大統領在任期間中は株高や強い雇用が実現されたことも事実だ。しかし、有権者の多くは、家計を襲った深刻なインフレ(特にエネルギー価格上昇)について、バイデン政権の経済運営の失策と見る向きも少なくない。実際、大半の世論調査でバイデン政権の経済運営に関する評価は低水準に留まっている。

 インフレ対策遅滞に関する経緯は経済的実績を誇るトランプ陣営に対して極めて不利な論点となる。ハリスは今後1~2か月以内に包括的な経済政策を提示することになるだろうが、それはバイデン政権と同一か、よりインフレ的な左派色が強い政策となるだろう。有権者はハリスの経済政策に納得するであろうか。

 5.米国のリベラルメディアの影響力の激減
 上述の①~④の理由で、多くの弱点を抱えるハリスは共和党にとって対処しにくい相手ではない。トランプ陣営はバイデンのネガティブキャンペーンには資金を抑制的にしか投下してこなかったが、ハリスについては積極的にネガティブキャンペーンを展開していくと明言している。

 それに対して、現在、米国のリベラルメディアは上記の一連の弱点についての弁解記事を山ほど生産しているところだ。しかし、それらのハリス擁護の党派的報道が接戦州の有権者に「刺さるか」は別問題だ。米国ではリベラルメディアの影響力は激減しており、選挙戦における支配的地位は既に失われている。

 もちろんハリス陣営も若者向けのSNS対策などを既に進めており、リベラルメディアの情報にリーチしない層に向けたマーケティングを活発化させている。ただし、それは共和党陣営も同一であり、SNS上での民主党陣営の圧倒的な優勢が確立されているとは言い難い。

 ラストベルトなどの接戦州で展開されるネガティブキャンペーンに対して、ハリス陣営は有効に対応していくことは可能だろうか。エリート臭が漂うポリティカル・コレクトネスが蔓延するハリスや民主党陣営が本当に労働者に対して会話できる言葉や方法を持っているかが問われている。
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 一部引用以上

 上の論評は、残念ながらピンと来ないものばかりで、カマラ・ハリスに対する不人気の本質を言い当てているとは思えない。
 しかし、彼女がいわゆるエリート特権階級の立場に埋もれて、アメリカの底辺民衆に向き合った実績がないことを指摘していることは正しいだろう。

 アメリカ人は、自分との連帯性、自分の価値観との共有を極めて重視する人が多い。トランプが前回大統領に就任し、今回も大きな力を持っている最大の理由は、トランプがプロテスタント福音派の価値観を共有しているということだ。

 だが時代は、「より合理的な方向を向いて」進む。女性の中絶権利問題は、年々リベラルな方向に向いて進化していて、古い時代の共和党の価値観を、若者たちは支持しなくなっている。
 有権者が、不正のない選挙で、より合理的な候補者を支持するとすれば、80歳近い古い観念、人種差別を残した傲慢な老人のトランプを支持するようには思えない。
 自然な流れでいえば、トランプに勝ち目はないと思う。

 もし、トランプが勝利できるとすれば、ロシアの工作を借りた不正選挙だけだ。トランプは安倍晋三と同じで、不正に対する倫理的抵抗が存在しないのだ。
 だがアメリカは、ハッキングの本場であり、深い知識を持った人々がたくさんいて、日本のムサシのような選挙不正ができない仕組みになっているのだ。