我々が食べている馬鈴薯のうち、北海道産に多い「士幌農協産」については、アイソトープ(コバルト60)のガンマ線を照射することで、発芽細胞を破壊して、発芽を防いでいることが知られている。
現在も、馬鈴薯の照射発芽抑制を行っている施設は、たぶん士幌農協だけだ。
なぜ士幌だけがやってるのかというと、高価な上、恐ろしく厳重な管理と施設を要求されるアイソトープ=コバルト60よりも、普通のX線による照射でも十分な発芽抑制が可能だからだろう。
なぜ、士幌農協だけが原子炉由来の超危険なアイソトープを使うのか? 特別な理由があるはずだが、調べても分からない。
管理には、難関の一種放射線取扱主任者が必要だが、そんな人材が普通の農協にいるとは思えない。たぶん原子力産業からの求人が引く手あまたのはずだ。
放射線照射食品については、ずいぶん前から安全性への疑問が提起されてきた。
それは、生きた生物細胞にガンマ線が照射されると、フリーラジカル(=活性酸素)という細胞老化・発癌をもたらす物質が生成されるからで、ちょうど野菜に含まれるポリフェノール(抗酸化物質)という健康成分の逆の働きをすることになり、発癌プロモーションとして作用する可能性があると考えられている。
https://www.cremona.gr.jp/medical-check-up/human-dog/free-radical/
ガンマ線照射によって、発芽細胞が破壊され、フリーラジカルが生成された馬鈴薯を食べて、健康障害が起きないのだろうか?
とりあえず、発芽抑制放射線照射の概要を見てみよう。
士幌馬鈴薯照射施設の概要 1999/09/27 林徹
http://www.rada.or.jp/database/home4/normal/ht-docs/member/detail/020191.html
目的 :発芽抑制のために商業規模で馬鈴薯を照射する施設
放射線の種別 :ガンマ線
放射線源 :60Co線源(300,000Ci)
線量(率) :60-150Gy
馬鈴薯の照射は1972年に許可され、1973年に士幌町農業協同組合に馬鈴薯照射施設が建設され、1974年1月より稼働を開始した。(アマ註=2022年現在で、通算46年間)
この施設は300,000Ciの60Coを積載する場合に、1時間に約15トン、1日に約350トンの馬鈴薯を照射し、1年に3ヶ月稼働するとして毎年30,000トンの馬鈴薯を照射するように設計されている。
馬鈴薯1.5トン入りのコンテナ19個を約2時間かけて照射することができ、1日に24時間稼働すると1日に約350トンの馬鈴薯を処理することができる。コンテナが反転するので、コンテナの外側では線量が高く、コンテナの中心部では線量が低くなり、最高線量が150Gy、最低線量が60Gyになるように設計されている。わが国唯一の食品の照射施設である。
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引用以上
馬鈴薯に150グレイ(ガンマ線のシーベルト換算は、1:1なので150シーベルト)のガンマ線を2時間照射して、中にいる害虫や発芽のための細胞を破壊してしまう。
ガンマ線の人間に対する作用は、約4シーベルトを被曝すると半数が死亡し、7シーベルトを被曝すると全員が死亡することになる。
したがって、人間が、士幌農協で馬鈴薯に紛れ込んで照射されたなら、およそ6分間の被曝で7シーベルトの全員致死量に達する。
この照射のなかで生き残れる生物は存在しない。あらゆるバクテリアはおろか、象や鯨でも死亡する。生物最強のクマムシでも死滅するだろう。
コバルト60は、1.33MeVという恐ろしく強力なガンマ線を出すので、これは30センチの遮蔽コンクリートの外側にさえ突き抜けて、周辺にいる人を被曝させるのだ。
だから、照射施設は、原子炉なみの建設基準と管理が必要である。
ガンマ線による被曝を受けた生物は、体内に新たな放射能が生じることはない。ただし、もし放射線源が、中性子を含むアイソトープ=カリホルニウムや、アルファー核種とベリリウムなどであれば、実際に、原子転換が起きて放射能を出すようになる。
しかし、一般的に使われるコバルト60のガンマ線を浴びた生物細胞が放射能に変わることはない。
コバルト60は、原子炉内に鉄の塊を置いて、長期間中性子を当てることで強力なアイソトープに変わるが、その製造コストは、たぶんX線照射施設の比ではないはずだ。
これは、国策によって経済性を無視して無理矢理やるのでなければありえない。
放射線照射、生物毒性の問題は、主にフリーラジカルの問題であるが、実は、もう20年以上前だが、原子炉の使用済み核燃料を食品照射、放射線源に利用するという提案があった。
これだと話が違う。使用済み核燃料には中性子が含まれていて、それを照射源にすれば、照射食品は放射能を持つようになってしまうのだ。
いつのまにか立ち消えになったので、たぶんアイソトープに無知な役人の思いつきだったのだろうが、ときどき無知による恐ろしい錯誤が現実化する可能性もあるので、警戒が必要だ。アイソトープ関係者が全員、放射線取扱主任者ではないので、レベルの低い危険なアイデアも実施される可能性がないわけではない。
現在のところ、食品への放射線照射は、馬鈴薯の発芽抑制だけ承認されていて、他の食品には認められていない。
馬鈴薯は、保管中に日光に当たったりすると発芽緑化し、ソラニンという有毒成分を持つようになり、商品価値が下がるためにガンマ線照射によって発芽抑制を行うが、日本で認可されているのは、士幌農協だけのようだ。
アメリカでは、1960年代から鶏肉や農産品などの多くの品目で行われているとのことで、馬鈴薯は照射食品の代表格になっている。目的は、発芽抑制だけでなく、害虫駆除が含まれている。
米国産馬鈴薯の主要輸出先に日本が含まれている。
https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_08-03-02-06.html
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/kaigaijoho/1702_kaigaijoho02.html
ガンマ線を大量に照射された馬鈴薯には、どんな毒性が生じる可能性があるのだろう?
ガンの恐れがある放射線照射食品が日本のスーパーで増加する可能性が。遺伝子組み換えだけじゃない!日米TAGが私たちの食卓に及ぼす影響とは。
https://macrobiotic-daisuki.jp/tag-2-177440.html
放射線検査を始めとする日本の食品安全基準の甘さは、海外でも知られ、日本の農産物に輸入規制がかかる事態が起きています。
一方で日本は今、TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)やEPA(日本・EU経済連携協定)などの自由貿易協定発効により、外国産の安全性が不確かな食品が大量に輸入され始めています。
TPP11では、加盟国や多国籍企業に日本の食品表示や安全基準に意見する権限が与えられています。TPP11では、私たちの健康に影響を及ぼす食品が輸入されても、科学的に因果関係が立証されなければ、規制を行うことができなくなっているのです。
TPP11協定の内容は、アメリカがTPP12脱退前の条件がそのまま残されたものです。
また昨年9月に日本は、アメリカとの日米物品貿易協定(通称TAG)交渉開始を発表しました。
今後もアメリカは、日本に対して、更なる関税撤廃や市場解放を迫ってくる可能性があります。その権限が、私たち日本人の食の安全や主権を脅かしていることに多くの消費者は気づいているでしょうか?
TAGは、アメリカでは「米日貿易協定(USJTA)」と呼ばれ、関税を含め、様々なサービスやルールの変更も視野にいれています。
トランプ大統領は、2月6日に行った所信表明演説で、アメリカの貿易赤字解消に意欲を示したところです。この所信表明演説で、トランプ大統領は、他国からの関税措置への報復と、アメリカの関税強化に対し大統領権限を強める法案への呼び掛けを行っています。
現在進められているアメリカと中国の貿易交渉により、3月に先送りとなったTAGの交渉がスタートすれば、アメリカは日本に対して、大幅な市場解放を迫ってくる可能性があります。
このアメリカのとの貿易交渉により懸念されることのひとつに、食品への放射線照射規制緩和があります。今回は、アメリカにおける食品放射線照射の実態と、今後の日本への影響についてお伝えします。
食品への放射線照射にはどんな危険があるの?
現在、日本で食品への放射線照射が認められているのは、北海道士幌農協が扱っているジャガイモのみです。
ソラニンという毒素を持つジャガイモの芽の発芽抑制を目的に、ガンマ線を照射することが認められているのです。
このガンマ線は、コバルト60という放射性物質を発する放射線です。
科学技術省が1971年に発表した報告書によれば、放射線を照射したジャガイモを食べたラットには以下のような変化がみられています。
盲腸の重量増加(盲腸異常、ガンなど)
発育不良(体重増加率の抑制)
卵巣重量の変化
早期死亡率の上昇
この実験報告書では、当初はマウスによる実験で問題がなかったとされていましたが、その後国会質問でマウスの実験データが存在しなかったことが指摘されています。
違法な放射線照射が行われた食品は、既に日本の市場に流通していた!?
アメリカは、放射線照射が世界第2位の国で、2013年には約す10万tの生産物に、放射線照射が行われています。
日本では現在、北海道産ジャガイモ以外の食品に対する放射線照射は禁止されていますが、海外から違法に放射線照射が行われた食品が輸入されるケースは後を絶ちません。
以下がこれまで海外から日本に輸入された放射線照射食品です。
出典:放射線と産業, 121号, pp. 38-41 食品照射を巡る最近の状況
http://foodirra.taka.qst.go.jp/osirase/006001003077b.html
放射線照射が行われた農産物や食品は、検査方法が確立されておらず、生産者による表示がなければ、非照射の食品と判別がつきません。
危険な放射線照射食品推進!?主導しているのはアメリカ?
食品への放射線照射が危険であるという話は耳にしますが、日本でこうした技術を推進しているのはどの省庁でしょうか?
農水省や厚労省でも食品への放射線照射を検討していますが、主に放射線照射を推進しているのは、内閣府原子力委員会に設置された「食品照射専門部会」です。
食品への放射線照射は「原子力政策大綱」に基づいて検討が進められてきました。日本に食品照射専門部会が設置されたのは、アメリカに放射線照射食品の専門委員会を設けられ、馬鈴薯へ照射が許可された翌年です。また国際的な放射線照射の規格は、アメリカも参加しているコーデックス委員会により定められています。
こうした流れを受けて、全日本スパイス協会など、国内の団体も食品への放射線照射の認可を求めて活動を行ってきました。
日米TAGが発効されれば、アメリカは、自国の農産物や食品を日本に輸入する為に、次々と放射線照射の認可基準や表示の撤廃を求めてくるかもしれません。
日本とアメリカの間で貿易協定が結ばれれば、放射線照射への規制が緩和されることにより、外国産の食品や農産物はもとより、日本国内でも食品に対する放射線照射が増加する可能性が高まります。
放射線照射食品や、不安な野菜から身を守る方法とは?
では、放射線照射食品が一般のスーパーで出回る可能性が高い日本で、これから私たちは一体どうしたらいいのでしょうか?
自分たちの身を守る方法を、消費者自身が知る必要があります。
微生物や菌の繁殖を防ぎ、腐敗を遅らせる名目れている食品への放射線照射は、ガンなどの影響を及ぼすだけでなく、多くのエネルギーを必要とします。
それだけで原発やメガソーラーなど環境に影響を及ぼす技術にも繋がりかねません。
こうしたエネルギーに依存しなくても、私達日本人には自然の力で腐敗を防ぐ知恵があります。
自然農で栽培された野菜で干し野菜なら、腐敗を防ぎ、保存期間を伸ばすことができます。またぬか漬けなど、微生物や菌の力を活かした加工方法も、健康維持につながります。
こうした伝統的な食生活を見直すことが、放射線照射などリスクが高い技術に安易に頼らずに生きていくことに繋がります。また、安全性の高い商品を、信頼できるところから取り寄せるのも一つでしょう。
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引用以上 一部省略
科学技術庁の1971年、研究結果では、上に書いてあるような危険性が明らかになったが、現在の厚労省の文書では、危険性を示したデータに一切触れないで、「何の問題も起きなかった」と、危険性を矮小化し、隠蔽する表現に終始している。
「大地を守る会」でも、放射線照射馬鈴薯への反対表明を行っている。
https://www.daichi-m.co.jp/corporate/business/action/irradiated_food/
ただし、私は、大地を守る会がエートス運動を容認していることを知って、信用しなくなった。
市民運動のなかには、原子力産業の作り出したものがあり、私は、反原連(首都圏反原発連合)や大地の会、それに日本共産党のような「エートス容認」団体には、眉に唾をつける必要があると考えている。
原子力産業は実に狡猾だ。例えば、ビルゲイツ・アルゴアらダボス陰謀団は、原発開発の正当性として「二酸化炭素地球温暖化説」を持ち出して、グレタ・トゥンベリを国連に送り込んで、大宣伝させている。
環境保全派の市民団体の中にも、資金源の不審な団体がたくさんあって、多くが原子力産業が作り出した「両面プロレス」といわれる。
つまり、ヒールとベビーの二種類の主張をする市民団体を原子力産業が秘密裏に作り出し、相争うように見せかけて、巧みに世論を誘導するのだ。
いずれにせよ、我々に放射線照射馬鈴薯は必要ない。例えフリーラジカルの毒性が限定的であっても、健全な普通の馬鈴薯を食べたい。
放射線馬鈴薯が登場した本当の理由は、「原発が世間に役立っている」という虚偽の理解を世間に広めるためのものであり、士幌農協は、原子力産業によって無理矢理作り出された有害で無用の虚構なのである。
馬鈴薯は、自分で作ればいい。私も毎年必ず作っている。