11月5日に大北地区の医師会の集まりで精神科医とかかりつけ医の連絡会議、自殺対策緊急強化事業の講演会が松川村すずの音ホールで開催されました。
国から県におりて来た、わずかばかりの予算で自殺対策というのもおこがましいと思いますが、やらないよりはましでしょう。医療は生活保護よりもさらに下にある最期のセーフティーネットと言う場合もありますから、そこからうまく連携をとり一人でも自殺を減らせればと思います。
自分も先日「かかりつけ医のうつ病対応能力向上講習会」の講師をさせていただきました。
その時は、一般的なことも離しましたが、精神科は何をやっているのか、何が出来るのかということを主にお話させていただきました。抗うつ薬などの向精神薬の使い方。支援をうける事自体に支援が必要なのが精神障害であるということ、リカバリーなどの視点、多方面と連携しての生活再建などなど・・・。
本当は、かかりつけ医が、ゲートウェイとしてワンストップで医療の問題のみならず、よろず相談を引き受けられるようになり、あちこちと連携してパーソルサポートをおこなえるようになればいいのでしょうが・・。
いまの状況で、それをかかりつけ医に求めるのは難しいでしょうか?
(そういえば天理よろづ相談所病院という名前の病院があります。)
自殺はうつ病など病気もありますが、構造不況が続き、生活苦、借金苦などでの自殺も相当多いです。
家族がいなかったり機能していないなどあまりにソーシャルサポートが少ないという場合もあります。
様々な制度の活用、法律家との連携、健全な逃げ場などなどが必要ですが社会にはまだまだ足りないものばかりですね。
セーフティネットとして頼みの綱の生活保護制度は申請主義で隠された制度で、ハラスメントをうけるなど不条理なところも多いですが憲法25条の生存権を体言化した制度であり、生活再建に関しては、いまのところこの制度を使っていくしかないようです。
自殺の問題を考えることは、社会のあり方を考えることだと思います。
さて、地区医師会においても、うつ病の診療・支援基盤の強化事業での自殺対策緊急強化事業「講演会」が、松川村すずの音ホール会議室で開催されました。
講演会は「こころの病のリワーク支援とメンタルヘルス」というタイトルで講師は精神科医でセイコーエプソンの総括産業医である小木曽俊先生にお願いしました。
いろんな年代、バリエーションの「うつ」に関して盛りだくさんの内容で、昨今のリワーク事情に関して産業医の立場からの声も聞けて勉強になりました。
「抑うつ状態」として診断書をもってくる、いわゆる診断書的抑うつ状態には
という産業医的な視点も興味深かったです。
うつ病の療養中も職場側でも休職中でも2週間に1度~月に1度くらいはあうようにしているようです。
なかなか学生気分が抜けず、生活習慣が整わず社会人としての自覚がいまいちだった人が結婚するときちんとしてきたケース。
適応障害をおこしていて、違う職場にうつったら全く問題なく働けているケース。
うつ病に加えアルコール依存症があり自殺してしまったケース。
ボーダーラインパーソナリティ障害で職場が振り回されたケース。
などなど短い時間の間に、とにかく典型的なケースをいろいろ挙げての説明がありました。
後半はいわゆる自責感が乏しく他罰的な「新型うつ病」の話しが中心でした。
新型うつ病は抗うつ薬の効果も限定的で、認知のゆがみ、強いこだわり、人格のこだわりなどへの対応が必要です。
Dysfunctionではなく、そもそものLowfunctionに対しての対応。つまり人を育てるということですかね。大変ですが。
年功序列から成果主義となり、非正規雇用の増加など労働環境が激変しています。
工業高校卒で管理職になる人もいれば、大学院卒でも主任にもなれない人もいます。
産業医、特に精神科の産業医はメンタルヘルスに関わります。
メンタルヘルスの体制がきちんとしている職場は、いい仕事ができるいい職場です。
会議やミーティングが長い職場は問題職場です。つるし上げがおこる職場ではいい仕事はできません。
パラハラをおこしてしまう上司もいて、その人についた部下は必ずぶされるといったこともあり問題となります。
新人や転籍者に関してのOJTが機能し、コーチにあたる人がきちんと役割を果たすことが必要です。
結局コミュニケーションの問題に行き着くのですが、アサーション教育なども考えているようです。
メンタルヘルスの体制がきちんと取られており、休職中も面倒をみてくれ、リワークに適したルチーンワークなどもあり、育ててもらいながらリワークしていけるというのは恵まれた企業だと思いました。
いわゆる雰囲気づくりや、適材適所、リミットセッティングなど構造に対する働きかけは確かに精神科産業医が活躍できそうです。
臨床研修指導医講習会でも問題研修医の扱いなどで話題になっていましたがは研修医教育なんかでも全く同じことが言えそうですね。
しかし同じ「うつ」になるにしろ、どんな職場にいたかよって全然扱いが変わります。
診療していて公務員や大企業などはやはり恵まれているなぁと思います。傷病手当金などの休業補償もそうですが、復職にあたり様々な職場や仕事をもっていますから・・。
しかし非正規雇用(意味不明)も増えた現在、職域ではなくて社会がリワークまでサポートできるような仕組みが必要なのだと思います。
だれもが自分の能力を活かして活躍できる社会。
一人で苦しみ自殺に至ることなく健全な逃げ場があり、そこからリカバリーしていける社会。
「能力に応じて働き、必要に応じてとる、必要な時に必要なだけのサポートが得られる」社会を作っていきたいものです。
ケアする人のケア、ドロップアウト研修医のリカバリーなどは自分のテーマでもあるので、メンタルヘルス、パワーハラスメント、モラルハラスメント、組織論(経営学)、職場でのコミュニケーションなどについては前の職場にいたときに相当自分でも興味を持って相当、勉強と研究をしました。
特に荒井千暁氏の本はおすすめです。
国から県におりて来た、わずかばかりの予算で自殺対策というのもおこがましいと思いますが、やらないよりはましでしょう。医療は生活保護よりもさらに下にある最期のセーフティーネットと言う場合もありますから、そこからうまく連携をとり一人でも自殺を減らせればと思います。
自分も先日「かかりつけ医のうつ病対応能力向上講習会」の講師をさせていただきました。
その時は、一般的なことも離しましたが、精神科は何をやっているのか、何が出来るのかということを主にお話させていただきました。抗うつ薬などの向精神薬の使い方。支援をうける事自体に支援が必要なのが精神障害であるということ、リカバリーなどの視点、多方面と連携しての生活再建などなど・・・。
本当は、かかりつけ医が、ゲートウェイとしてワンストップで医療の問題のみならず、よろず相談を引き受けられるようになり、あちこちと連携してパーソルサポートをおこなえるようになればいいのでしょうが・・。
いまの状況で、それをかかりつけ医に求めるのは難しいでしょうか?
(そういえば天理よろづ相談所病院という名前の病院があります。)
自殺はうつ病など病気もありますが、構造不況が続き、生活苦、借金苦などでの自殺も相当多いです。
家族がいなかったり機能していないなどあまりにソーシャルサポートが少ないという場合もあります。
様々な制度の活用、法律家との連携、健全な逃げ場などなどが必要ですが社会にはまだまだ足りないものばかりですね。
セーフティネットとして頼みの綱の生活保護制度は申請主義で隠された制度で、ハラスメントをうけるなど不条理なところも多いですが憲法25条の生存権を体言化した制度であり、生活再建に関しては、いまのところこの制度を使っていくしかないようです。
自殺の問題を考えることは、社会のあり方を考えることだと思います。
さて、地区医師会においても、うつ病の診療・支援基盤の強化事業での自殺対策緊急強化事業「講演会」が、松川村すずの音ホール会議室で開催されました。
講演会は「こころの病のリワーク支援とメンタルヘルス」というタイトルで講師は精神科医でセイコーエプソンの総括産業医である小木曽俊先生にお願いしました。
いろんな年代、バリエーションの「うつ」に関して盛りだくさんの内容で、昨今のリワーク事情に関して産業医の立場からの声も聞けて勉強になりました。
「抑うつ状態」として診断書をもってくる、いわゆる診断書的抑うつ状態には
1.典型的なうつ病(過剰な業務負担からうつ病に)
2.活動制の低いタイプ→上手く使ってあげれば良い
3.パーソナリティに問題のあるタイプ→BPD人間関係依存症、ナルシストタイプ
4.モチベーションに問題のあるタイプ(学生気分が抜けないなど)
5.その他、統合失調症、アルコール依存症など
2.活動制の低いタイプ→上手く使ってあげれば良い
3.パーソナリティに問題のあるタイプ→BPD人間関係依存症、ナルシストタイプ
4.モチベーションに問題のあるタイプ(学生気分が抜けないなど)
5.その他、統合失調症、アルコール依存症など
という産業医的な視点も興味深かったです。
うつ病の療養中も職場側でも休職中でも2週間に1度~月に1度くらいはあうようにしているようです。
なかなか学生気分が抜けず、生活習慣が整わず社会人としての自覚がいまいちだった人が結婚するときちんとしてきたケース。
適応障害をおこしていて、違う職場にうつったら全く問題なく働けているケース。
うつ病に加えアルコール依存症があり自殺してしまったケース。
ボーダーラインパーソナリティ障害で職場が振り回されたケース。
などなど短い時間の間に、とにかく典型的なケースをいろいろ挙げての説明がありました。
後半はいわゆる自責感が乏しく他罰的な「新型うつ病」の話しが中心でした。
新型うつ病は抗うつ薬の効果も限定的で、認知のゆがみ、強いこだわり、人格のこだわりなどへの対応が必要です。
Dysfunctionではなく、そもそものLowfunctionに対しての対応。つまり人を育てるということですかね。大変ですが。
年功序列から成果主義となり、非正規雇用の増加など労働環境が激変しています。
工業高校卒で管理職になる人もいれば、大学院卒でも主任にもなれない人もいます。
産業医、特に精神科の産業医はメンタルヘルスに関わります。
メンタルヘルスの体制がきちんとしている職場は、いい仕事ができるいい職場です。
会議やミーティングが長い職場は問題職場です。つるし上げがおこる職場ではいい仕事はできません。
パラハラをおこしてしまう上司もいて、その人についた部下は必ずぶされるといったこともあり問題となります。
新人や転籍者に関してのOJTが機能し、コーチにあたる人がきちんと役割を果たすことが必要です。
結局コミュニケーションの問題に行き着くのですが、アサーション教育なども考えているようです。
メンタルヘルスの体制がきちんと取られており、休職中も面倒をみてくれ、リワークに適したルチーンワークなどもあり、育ててもらいながらリワークしていけるというのは恵まれた企業だと思いました。
いわゆる雰囲気づくりや、適材適所、リミットセッティングなど構造に対する働きかけは確かに精神科産業医が活躍できそうです。
臨床研修指導医講習会でも問題研修医の扱いなどで話題になっていましたがは研修医教育なんかでも全く同じことが言えそうですね。
しかし同じ「うつ」になるにしろ、どんな職場にいたかよって全然扱いが変わります。
診療していて公務員や大企業などはやはり恵まれているなぁと思います。傷病手当金などの休業補償もそうですが、復職にあたり様々な職場や仕事をもっていますから・・。
しかし非正規雇用(意味不明)も増えた現在、職域ではなくて社会がリワークまでサポートできるような仕組みが必要なのだと思います。
だれもが自分の能力を活かして活躍できる社会。
一人で苦しみ自殺に至ることなく健全な逃げ場があり、そこからリカバリーしていける社会。
「能力に応じて働き、必要に応じてとる、必要な時に必要なだけのサポートが得られる」社会を作っていきたいものです。
職場はなぜ壊れるのか―産業医が見た人間関係の病理 (ちくま新書) | |
荒井 千暁 | |
筑摩書房 |
人を育てる時代は終わったか | |
荒井 千暁 | |
PHP研究所 |
こんな上司が部下を追いつめる―産業医のファイルから (文春文庫) | |
荒井 千暁 | |
文藝春秋 |
ケアする人のケア、ドロップアウト研修医のリカバリーなどは自分のテーマでもあるので、メンタルヘルス、パワーハラスメント、モラルハラスメント、組織論(経営学)、職場でのコミュニケーションなどについては前の職場にいたときに相当自分でも興味を持って相当、勉強と研究をしました。
特に荒井千暁氏の本はおすすめです。
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