リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

医療業界は他業種から学ぶべし。

2006年08月31日 | Weblog
 ビジネス雑誌という雑誌のジャンルがあって最近相当はまっている。THE21、プレジデント、ハーバードビジネスレビュー、日経ビジネスなどいろいろあるが、そのなかでもお気に入りは、「日経ビジネスAssocieだ」。
 
 アソシエは若手向けのビジネス雑誌でスマートで実用的で、ちょっとおしゃれな感じがいけている。惰性で買い続けている最強の現実逃避アイテム、エコ、アウトドア系ファッション雑誌の「Be-pal」、それからいつかは投稿したい似非文化人御用達の評論雑誌「文芸春秋」などとともに最近よく購読するようになった。

 これらのビジネス雑誌は企業家などの連載や、経営者のインタビューが中心。やはり社長や経営者など企業を引っ張るビジネスリーダーとものなるとただ者ではない。迫力のある言葉や実践があふれている。同世代の人も相当活躍していたりしてすごいなーと思う。

 それからいろんな実用的なテクニック特集がたいてい毎号ある。。「カイゼン」や「見える化」「ヨコテン」などのトヨタ式。それからITの活用。「時間管理術」「手帳術」「コミュニケーション術」「整理術」「健康管理術」「問題解技法」、「書類作成術」「人脈術」「コーチング」「アサーティブ」などから「キャリア戦略」「転職法」まで・・・・

 ビジネス法則や、方法論は相当わかってきたが、知っているのと実際にやるのは別もの。みんな迷いや不安がありながら、夢を追いかけ、成長できる場をもとめて・・・苦労しているんだなぁと感じられる。

 なかなかカッコいいリーダーたちのように目標を決めて、計画を立て、On/Offもはっきりさせ、夢に向かって突っ走るなんてことは難しい。自分のミッションを理解し、頑張れるフィールド、スペシャリティをもつことが重要なのだろう。

 さてビジネス雑誌を読んでいると他業種とくらべて、マネジメント、サービス等において医療業界は、なんと遅れているのかと感じられる。
 もちろん一般企業とは違うし、医療や病院は、みんなで大切に育て使うべき地域社会の限りある資源であり、究極のところ医療はサービス業だとは思わない。(では医療とは何か?という問いには「愛」というのが今のところの答えだ。)

 人間ドック部門や、差額ベッド中心の一部のゴージャス系病院など一部の富裕層を相手にした医療や病院はたしかにキレイでサービスも良いのだろうが、地域全体を相手にしている逃げ場のない地方の病院ではそうもいってられない。そもそも病院にかかるのは貧困や社会的問題をかかえた人が多く、医療費を払えない人も多いが追い出すわけにもいかない。(結局病院が損をかぶることもしばしば。)どんなに大変な人、困った人でも最後まで付き合わなくてはいけない。しかし、社会から委託された生存権を保障する社会の最後の安全装置だという自負はある。なんとかニーズ(わがままではなく)にこたえようと頑張っている。それが社会から理解されないひどい仕打ちに現場は泣いているのだが・・・。いつも社会と医療従事者のギャップを感じながら、ギリギリのところでやっている。

 しかし、である。業務効率化、マネジメント、サービス、質管理等においては、あまりに医療現場はひどすぎると思う。医療マネジメント学会などもあるが、医療業界のなかだけでああだこうだ言ってないで、他業種からもっともっともっともっと学ぶべきではないだろうか。

 やっと、サービスに関してはCS(顧客満足)、ES(雇用者満足)なども病院内でも言われ始めたが、ディズニーリゾートなどのテーマパーク、リッツカールトンなどのホテル、一流の旅館や料亭、レストラン、あるいはコンビニやファーストフードのチェーン店などからも学べるだろう。
 
 マネジメントにしてもカルロスゴーンの日産や松下幸之助の松下、Canonなどの企業。最近ならリゾナーレやアルファトマムなども再生したリゾート再生請負人の星野佳路(星野リゾート社長)」なんかから学ぶことは相当多いと思う。

 業務カイゼンや安全管理などでは医療評価機構の審査を受けるために形だけはそろえたが、上も下も意義を理解せず形をそろえるので満足したため、業務はよけいに煩雑になっただけだった。QCサークルや看護研究などもおこなわれているが、洗練度や盛り上がりにはやや欠ける。

 トヨタ式、TQM(Total Quality Mangement)や標準化としてのISO、WEBベースの情報システム、POSなどの流通のシステム。交通システムや原子力などのインフラの安全管理など、さまざまな手法や方法論を他の業界から取り入れるべきではないのか。
 
 そんな病院再生請負をビジネス(地方では、ほとんど地域再生とイコールだろう。)としてできないかなぁと思う。
(と思ったら、麻生グループは麻生飯塚病院での病院改革のノウハウ、いろんな業種の経営経験を活かしてコンサルタント事業などもやっている。さすがです。)

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4 コメント

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はじめまして (そらそら)
2006-09-03 22:11:33
お医者さんがやっているブログを探していたら、といびさんのブログを見つけました。佐久病院は以前、母がお世話になった事があるので身近に感じます。

お医者さんのブログは本当に少なくて、探すのに苦労しました。といびさんは病院関係者の方には怒られないんですか?

人の為に出来る仕事って良いですね。激務で身体を壊さないようにご自愛下さい。

また、来ても良いですか?
Unknown (といぴ)
2006-09-03 23:18:30
はじめまして、こんにちは。



そらそらさんは、どうしてお医者さんのブログをさがしていらっしゃったのでしょう?



このブログは医療内部からの発信が少ないというところからスタートしているので、医療のあり方などをめぐって、率直なコミュニケーションができ、ギャップを埋めていければいいかなと思ってます。



発信して、未来に向かって変わって行く実感がないと気が狂いそうなこともあったので。

怒られたり励まされたりいろいろです。



いい病院、医療、地域をつくっていくためにいっしょにやっていきましょう。



「どんな仕事でも、人のためにならない仕事なんてないとおもうよ。普通に子供産んでそだてるだけでもすげーよ。」とは友人の弁です。



よろしかったら、また、来てみてください。
再び (そらそら)
2006-09-03 23:54:15
私、不妊治療してるんです。(原因不明)

普通に子供産みたいんですけどね

私には不妊治療をしてる先生達のやる気があまり感じられなくて

やっぱり、不妊って病気じゃないし、お医者さんから見たら、いまいちテンション下がるのかな~?と感じたんです。

で、ふと「医者になる第一志望が不妊を無くす」って先生はいない気がしたんです。

そしたら、お医者さんの気持ちが気になって、知りたくなっちゃったんです。

不妊治療って医療業界ではどんな位地付けなんでしょうか?

でも、お医者さんのブログが少なくてびっくり。忙しくて無理なんでしょうねきっと。

ストレスたまりますよね~。

お疲れのとこ長いコメントですいません。

私の自己紹介はおいおいさせて頂きます。
Unknown (といぴ)
2006-09-04 00:09:23
失礼いたしました。



地方では産婦人科の医者は少なく追い詰められているから、不妊治療ばかりに力をいれているているわけにはいかないんでしょうね。

 都会でなら不妊専門で熱心にやっている医者もいるのかもしれませんが、長いかかわりになるし自費になるので通うのも大変でしょうし御苦労はお察いたします。



 しかし患者さんにとっては唯一の主治医でも、うっかりすると忙しい医者にとってはOn of themになってしまいそれが態度にもでてしまうのかもしれません。

気をつけなくてはいけませんね。

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