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精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

「ロボット」心理学

2007年01月23日 | Weblog
「ロボット」心理学(佐々木正悟)という本を読んだ。

古い漫画本や少年小説のような装丁の本。
しかし、内容はひさびさの大ヒットだ。
ネオフィリアとロボットという概念で人間の特性を見事に切っている。

ここでいう、ネオフィリアとは進んで新しいもの、違うものを求めるという性質のこと。
そして、ロボットという概念は人間の学習能力のこと、心理学的には「自動化」であり複雑な一連の作業を楽々とこなせるようになるための、複雑な記憶力の産物だ。人間は新しい技術を獲得した成果をロボットにして装備する。ロボットによりピアノが弾けるようになったり、自動車を運転できるようになったり、外国語を話せるようになったりする。

ロボットの上手な使い方、ネオフィリアであることの価値。ネオフィリックな社会であるアメリカ・・・。
一読をオススメする。

さて、この本を読んで考えたこと。

世の中には主に自分の中にロボットをつくるか、自分の外にロボットをつくるかという2種類の人がいるようだ。(もちろんその割合は人それぞれでスペクトラム(連続体)を形成していると思われる。)

自分の中にどんどん新しいロボットを作れる人は優秀な人だ。
しかしそういう人は他者にも、つぎつぎと新しいロボットを作ることを強要する。あらゆることに平均的な能力をもとめる。自らが変わることで変化に対応しようとする。変化に対応できない時代遅れのシステムに対してすらかたくなに適応することを求める。
その姿は精神論的ですらある。
実際、個人レベルでは相当なスーパーマンなのだろう。
でも、その人がいなくなればすべておしまい。

一方、能力の発達が凸凹であり、自分の中にロボットを作れない人は苦労する。
それでも仲間の力を借りたり、環境ややり方を変えることでものごとに対応しようとする。
他人や道具の能力を上手く引き出すことができ自分の外にロボットをつくることができるなら(機能の外部拡張という。)変化に応じて環境を変え、システムを作っていける。
それぞれの能力を最大限発揮できる環境をつくることができる。

以前のジェネラリストとスペシャリストという話にもつながるだろう。

歴史上の人物をみるなら、能力ははるかに高いのだが冷酷で個人の能力を頼んだ項羽と、他者の能力を引き出すことのできた劉邦。日本で言うなら人は城、人は石垣の信玄と毘沙門天の謙信か。

いろんな人がいるから世の中は面白い。
人の面白さをどんどん引き出して、面白きこともなき世を面白くしていきたい。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
突然ですが・・・ (ノース)
2007-07-19 09:19:15
一風変わった脳内構造のホームページがあるのですが、よろしければ、ご批評願えないでしょうか?
返信する
Unknown (といぴ)
2007-01-27 18:41:45
自分にとってはDiversity と Society for All!
がこれからのキーワードです。
返信する
必然 (こぼね)
2007-01-23 10:47:16
こんにちは。
といぴさんにとって、この本との出合いは
【必然】ですね。^^

>いろんな人がいるから世の中は面白い。

どちらかというと
「自分の外にロボットを作る」派の私は、
そう思います。
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