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精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

誰のための医療圏?

2012年01月19日 | Weblog
病院再構築と地域医療再編についての県のヒアリングがあった。
診療時間内に万障繰り上げの上出席したが、県の担当者が病院に来て、地域医療再生計画の報告と少々の質疑応答があっただけだった。

安曇総合病院がどういう方向をめざすのかということに関して重大な局面を迎えている。
地元の病院は地域住民にとって可愛いし、うちこそが基幹病院だ、急性期だと言いたい気持ちはわからなくもない。
しかし中途半端な規模と陣容の病院がいくつもあるということは結局住民にとっても不利益になる。
限られた医療福祉資源をもっとも有効に活用できるように急性期医療、高度医療に関しては集約化とネットワークを力強くおしすすめていきつつ、生活期の支える医療に関しては(僻地ほど)充実したシステムを作っていく必要があるのだが、このことは実はかなり難しい。

地元の県議会議員も医師会も首長も未だ「おらが町にも何でもできる大病院を。2次医療圏内での出来る限りの完結を。」というレベルから脱却できていない。
某議員は「自分が持ってきた地域医療再生基金なのに病院からお礼も言いに来ない。」などと言っていて、あきれてしまった。

それにしても、そろそろ画一的な医療圏という考え方はやめたらどうだろうかと思う。
4疾患5事業というが、稀な難病患者さんや医療へのアクセスが限られ上手に医療を利用できない身体・精神の障がいをもつ方の目には医療圏はどのように映っているだろうか?
本年3月頃公表されるという国の第6次保健医療計画の指針の内容に期待したいところであるが・・。



県の担当者も「保健所も入って病院さんの間で話し合いをしてもらって・・・、地域医療再生計画推進会議で話し合っていく・・・。あくまで施設整備のお金でありまして、赤字がでても補填はできない・・・。」と煮え切らない様子で、有識者からなるという医療再生計画推進会議といっても諮問機関にすぎないようであり強制力はないようだ。

わかったことは、すべての病院が公立病院でもないし、行政がスーパーパワーで地域の複数の病院間の役割分担を采配することに期待するというのは無理らしいということだ。

結局は我々にできることは目の前の患者さんにベターな医療を提供しつつ、市民に対して情報公開を徹底的にすることで医療従事者も地域住民が自ら考えていける土壌をつくることにつきるのだと思う。

悪夢の地域医療破壊計画
2次医療圏とがん診療

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