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平成22年度整備売上概要-3.生産性と給与

2011年02月25日 | 業界動向

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、平成22年度整備売上概要の生産性と給与、です。

先ずは、整備要員関係を見てみる。
整備要員数は、401,03人となり、前年よりも4,874人(+1.2%)の増加となった。
整備士数は342,897人、前年と比べると1,319人減少した。

これは、多分に工場数455工場の増加の多くが車体整備工場であったことと、団塊の世代の整備士が
定年退職を迎えていることとと思われる。

このことは、整備要員の年齢にも表れている。
専業工場は47.4才(前年ー0.1才)、兼業工場は42,7才(同0.4才)となり、両業態ともここ5年間で
初めて年齢が若くなった。高齢者が退職したので、平均年齢が下がったということと思われる。

一方のディーラーは32.5才(同+0.1才)であった。
これは、統廃合による平均年齢の上昇と、新規採用が少なかったのではないかと推察する。

整備要員一人あたりの生産性である整備売上高は、
            整備売上高/年
・専業工場    9,698千円(99.4%)
・兼業工場   10,609千円(97.7%)
・ディーラー  22,622千円(99.1%)
となった。ご覧のとおり、ディーラーの生産性と専業・兼業の生産性の差は2倍以上になる。

ディーラーは確かに残業が専業工場などから比べて多いが、それでも2倍の差はありすぎる。
これでは、労働分配率が高くなり、健全経営が危ぶまれるところである。

この生産性に対する年間の給与は、次の通り。
            年間給与額         1歳当たりの給与額
・専業工場   3,468千円(100.0%)    73.1千円(100.1%)
・兼業工場   3,651千円(98.5%)     85.5千円(99.4%)
・ディーラー  4,050千円(98.3%)    124.6千円(98.0%)

ディーラーの1歳当たりの給与額は、専業工場の約1.7倍、兼業工場の約1.5倍となっている。
専業工場は、50歳一歩手前の年齢で年間の給与が約350万円では、共働きをしないと生活に
余裕が持てない額ではないだろうか。

平成21年の国税庁による年収データ45歳から49歳の平均年収は、男性で620万円となっている。
このことを考慮しても1才10万円の給与を支給していなかいと、人材確保もままならないことになる。

以上のデータをもとに推定の労働分配率を、整備売上の65%を粗利益率として計算すると次の粗利益になる。
この粗利益に対する労働分配率も計算してみた。
           整備売上高   推定粗利益額    年間給与     労働分配率
・専業工場    9,698千円    6,304千円    3,468千円      55.0%
・兼業工場   10,609千円    6,896千円        3,651千円      52.9%
・ディーラー  22,622千円   14,704千円        4,050千円      27.5%

専業・兼業工場は、危険水域とまでいかないまでもかなり高い水準である。
できれば、50%を切る分配率を目指すべきである。

そのためにも、生産性をもっと上げる努力が必要である。
専業工場の生産性の目安は、月額整備要員あたり整備売上高を100万円にすることだ。
1か月で計算すると、現在よりも約19万円のアップになる。

月間稼働日数を22.5日で計算すると一日当たり8,400円のアップになる。
ザックリ言って、レバレート8,000円として1時間の作業時間を確保することだ。

そのためにも、問診を充実させて、提案整備を推進し、お客さまの合意を得つつ、追加整備を
取っていくことだ。

こうした一方で、定期点検整備の掘り起こしを徹底することではないだろうか。
全車種で平均の点検実施率は50%に満たない状況である。

これを、80%程度に引き上げることで、生産性は大きく変わる。
私の試算では、整備要員一人分の年間給与に若干足りないが、300万円を超える
売上が実現する。

保有台数が減る中で、生産性を上げるには、点検を伸ばすことだ。


株式会社ティオ
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