自動車整備業&車両販売業のCS経営をコンサルタントする TIO21ブログ

自動車整備業、車両販売業のCS経営のためのコンサルティング、現場改善指導、制度設計、社員教育、各種セミナー・講演

コンバージョンEVビジネスを探るー1.コンバージョンEVの背景

2011年02月09日 | 経営・オピニオン全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、コンバージョンEVビジネスを探るー1.コンバージョンEVの背景、です。

コンバージョンEVを語るには、環境問題を抜きには語れない。
昨年3月に当時の環境大臣である小沢氏が、地球温暖化効果ガスの削減に向けた指針
「チャレンジ25」を発表した。

この指針では、CO2を2020年に1990年比マイナス25%削減、2050年では同80%削減を明記している。
40年先では80%の削減は、実質的に100%削減をすることとイコールである。
どんな手立てを講じても、現在の科学ではCO2を排出しないと作れないものもある。例えば鉄などだ。
相当性根を入れて実行していかないと、達成は難しい。

地球温暖効果ガス、いわゆるCO2は、1990年における部門別の排出量は、ものづくり(産業)482万トン、家庭127万トン、
業務164万トン、運輸217万トン、エネルギー転換68万トン、非エネルギー202万トンを排出している。

運輸部門では、2020年には排出量153万トンを目標としていて、約30%の削減を迫られている。
この削減目標を達成していくには、運輸部門の90%を占める自動車からの排出削減が大きなポイントとなる。

掲げた削減目標の達成には、HVを始めとしてPHV、EV、ならびにクリーンディーゼルなどの次世代自動車の
普及が前提条件となる。

CO2がどれくらい削減になるかを軽自動車で比べてみると、
・ガソリン車: 2.3kg-CO2/ℓ÷17.7km/リットル =0.130kg-CO2/km
・EV :0.378kg-CO2/kwh÷10km/kwh=0.0378kg-CO2/km  (※発電所で発生するCO2量に換算して)
以上のように、ガソリン車はEVの約3.4倍の排出量になる。太陽光発電など再生可能なエネルギーを使えば、
CO2の排出は当然「0」になる。

因みに、燃料費を比べてみると、
・ガソリン車: 135円/ℓ÷17.7km/リットル =7.6円/km
・EV : 10円/kwh÷10km/kwh=1円/km  (※アイミーブのモード燃費で計算)
となり、ガソリン車はEVの燃料費の7.6倍になる。(夜間充電9:昼間充電1とした場合のkwhあたりの電気代で求めた)

本指針では、2020年において全255モデルのうち、76モデル(軽EV9車種、乗用EV8車種、乗用HV23車種、
乗用PHV15車種、乗用CDVクリーンディーゼル車2車種、重量HV9車種、重量NGV天然ガス車9車種を目標
としている)を、次世代自動車化し、新車販売約490万台の約51%にあたる250万台を目標としているのだ。

したがって、目標達成には、各メーカーが残された9年間でどれだけの次世代自動車を、
市場に投入してくるかにかかっている。

トヨタやホンダは2012年にEVを国内に投入するとしているし、プリウスの派生車の投入も視野に入っている。
三菱自動車では、2015年までに、HV、PHV、EV車を8車種の投入計画を発表している。

このように新車への買い替えにより、CO2低排出車またはゼロ排出車を普及させることだけではなく、
むしろ保有されている稼働車両の排出削減を、並行して進めることも、全体的な削減には不可欠である。

稼働車両を改造して次世代自動車などにするための、改造キットをメーカーが主体性を持って取り組んで
いくかは大いに疑問が残る。というよりは、可能性は今のところ「0」に等しいではないだろうか。

そこで、ベンチャーに期待するほかはない。
中小企業が単独または連合などによって、改造キットを販売、または改造を手掛ける事になる。

とはいえガソリン車を、HVやPHVに改造するのはとても難しい。
回生モーターやバッテリーの制御技術など、先端テクノロジーが要求されからだ。

こうした中で注目されているのが「改造EV」である。
基本的にモーター、コントローラー、バッテリーの改造御三家が揃えば、ある程度の知識と指導で、誰にでも
ガソリン車をEVに改造することができる。

日本EVクラブでは、16年間で約300台の改造を行っている。ただし、個人が趣味的に行っているので、
ビジネスとはなっていないのが現状のようだ。

また、天然ガス車への改造も比較的容易であり、東京ガスなどが改造をビジネスにしている。
天然ガス自動車は、2010年9月末現在で約39,600台。天然ガススタンドも着々と整備され、全国で342ヵ所
に設置されていて、EVなどよりも先行している。

最近では、天然ガスエンジンに電気モーターを載せた「究極のハイブリッド」と銘打って、盛んに告知を
おこなっているがいま一つ盛り上がりに欠ける点が気になるところだ。

その点EVは、CO2排出「0」でもあり、部品点数がガソリン車よりも1/10ですむなど、シンプルかつ
環境にやさしい自動車が製造できるとして、注目を浴びている。米国のテスラを始め、製造メーカーとしての
ベンチャー企業が世界中で産声を上げている。

前述のように、ガソリン車をEVに改造する場合も、容易にできることもありコンバージョンEVは、
航続距離の課題などがあることも事実だが、ビジネスとして大きく花を開く季節を迎えているといえる。


株式会社ティオ
お問い合わせ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする