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コンバージョンEVビジネスを探るー2.コンバージョンEVのビジネス化

2011年02月10日 | 経営・オピニオン全般

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、コンバージョンEVビジネスを探るー2.コンバージョンEVのビジネス化、です。

国土交通省関東運輸局の野津真生部長は、昨年12月に電気自動車普及協議会主催で開催された
「2010 APEV東京シンポジウム」において、「コンバージョンEVが普及するには、安全性・信頼性の確保が
前提になる。中古車を利用した環境対策としても有効なコンバージョンEVを日本で育てて、APEVの規格を
アジア諸国と共同で国際標準化し、世界に向けて輸出していけることを目指したい」と抱負を述べている。

こうした行政サイドからの方向付けと同時に、コンバージョン基準が示されたことにより、「コンバージョンEV」の
ビジネス化に向けた動きがここにきて、活発になってきた。


コンバージョンEVをビジネスにするには大きく分けて、
 1.コンバージョンをビジネスにする
 2.コンバージョンキット販売をビジネスにする
の二つがある。

整備工場が手掛けるビジネスとしては、「1」のコンバージョンをビジネスにすることが望ましいと考える。
その理由は、以下の4つに優れているからだ。
・コンバージョンに必要な設備投資が不要=既存の設備・機械で対応できる
・分解・組み付けなどに慣れている=改造時間が短くでき、安定した品質が保てる
・認証資格を有している=重要保安部品の分解整備が可能である
・改造申請登録などに慣れている=多少の知識補給が必要であるものの慣れている

「2」についてもビジネス化の可能性は大いにあるが、各パーツの専門知識や仕入先の開拓など、
それなりのハードルがある。

現在のキット販売の多くが、改造に必要なモーターやコンバーターなどのパーツと、配線図をセットに
仕立てているだけだ。これらに改造経験で得た、その他の必要な加工品などをキットにする工夫
によって、後発組でもチャンスは広がるものと思われる。

改造対象の車種ごとにマウントやジョイントなど様々に加工が必要である。この加工品も含めて
キットにして販売していければ、整備工場の特性を生かせる独自のキット販売が可能ではないかと思う。

さて、コンバージョンをビジネスにしていくには、改造を望んでいるユーザーを探さなくてはならない。
コンバージョンEVの実航続距離はおおよそ50km程度だから、一日の走行距離がこれ以下の
ユーザーが望ましい。

または、50km以上走る場合でも、途中で充電ができるような業種が該当する。
例えば、建築工事関係であれば、建築現場に到着してしまえば、工事が終わるまで基本的に
クルマは使わないから、その間に充電してしまえばいいのだ。

郵便事業会社が、約一千台をコンバージョンEVにするというニュースに触れた方も多いと思うが、
こうした企業なり個人オーナーが対象となる。つまり、軽自動車がいまのところ最適な対象車種になる。
法人需要としては、地域内の配達車両や運搬車両となる。例えば、デイケアサービスの送迎車両などが
思いつく。

改造費用一式で100万円から150万円が必要である。軽自動車の新車が購入できる額に、
顕在需要は微々たる数であろう。おおよその目安として、自社の車検台数の1~3%程度が今の需要
ではないだろうか。目標と言ってもいいかもしれない。

改造台当たり粗利益としては、25万円前後になると思われる。改造日数としては、メカ2名で
2日から3日程度と聞く。一日8時間労働として16時間から24時間の時間がかかる。

レバレート8千円としたら、8千円×16時間=12.8万円、24時間としても19.2万円だから、レバレート
換算からすれば、割がいいことになる。メカ二人で計算すると、最低でも二日間で改造を仕上げなくては
ならない計算になる。

したがってある程度数をこなして改造のコツを覚え、それをマニュアル化するぐらいにしていくことで、
改造日数の合理化を進めて、儲けられるビジネスにすることが必要だ。

私は、こうした改造から得られる直接利益だけではなく、改造を手掛けることで得られる間接利益に
期待したいと考えている。

得られる間接利益は、3つあり、「自社客作り」、「イメージアップ」そして「社員の活性化」だ。

改造したお客さまは、改造車を乗っている期間は「自社客」であり続ける。これは、とても
貴重なことである。保有台数が減る。つまり顧客の数が減る中で、顧客の数をキープするなり
増やすことは金と知恵と時間がかかる。

それがコンバージョンEVで、利益を取りながらできることは、整備工場経営にとっは一石二鳥であって、
願ってもないことである。

また、地域において先行してビジネスを手掛けることで「企業イメージ」の向上も大きく期待できる。
今であれば、地域のマスコミも取り上げてくれるので、パブリシティーを利用して、企業イメージを
高められる。

今の現状からして、コンバージョンによる利益で蔵が建つことはない。むしろ当分は持ち出しになる。
でも、私はビジネスとして一歩を踏む出すことが必要と思う。

何もしなければ、何も変わらない。現在の整備工場経営を続けていくならば、間違いなくジリ貧になる。
それは、需要が減るからであり、そのことで価格競争は今以上に激しくなると予想する。

こうした土俵に立って勝利するには、よほどの体力と知恵が必要である。
コンバージョンEVという新しい土俵を作って、別次元の競争をするところに、整備工場経営の活性化が
もたらせられる。

社員にも新しい希望を持たせることもできるし、勉強の目標を持つこともできる。働く上でのモチベーションを
高める効果もあるはずだ。中には、うちの社長なにやっているのー?と不安がる社員もいるとは思うが、
これらは少数だろう。
多くの社員は、刺激を受けて目覚めてくれるはずだ。

既に、専門工場を建てて本格的にビジネスに挑戦している整備工場も出てきている。
こうした拠点も含めると全国で約200拠点が稼働中だと聞く。群馬県の整備振興会では支部単位で
コンバージョンEVの講習会を開催したようである。千葉県の整備振興会も先日開催した。

色々お膳立てが整ってきた。さぁーあなたはどうされますか?


株式会社ティオ
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