広島で芝居を楽しむためのブログ

広島での観劇レビューや日々思うこと徒然と。芝居で生の驚き、生の迫力、生の感動を多くの人に知ってもらいたい。

公演名:ボス・イン・ザ・スカイ

2009年05月21日 | 観劇レビュー
日時・会場:
 2009年5月20日(水)19:00/NTTクレドホール
作・演出:
 上田誠
出演:
 石田剛太・酒井善史・諏訪雅・角田貴志・土佐和成
 中川晴樹・永野宗典・西村直子・本多力・山脇唯
感想:
 う~ん、内容的には2,800円ぐらいでした。(笑)
でも、全国ツアーで広島公演に来てくれているうえ
ワンディ公演なので1,000円程度のアップは
”許容範囲内ではあります”といった感じの舞台評価です。
いきなりですが、総評は、ずばり”C”です。
確かに芝居に”のれる”か”のれない”かは
内容などによって差が少なからずあると思います。
しかし、今回の舞台はちょっと”難あり”でした。
脚本的にも世界観を理解するには前半がちょっと・・・。
ストーリー展開と落ちについても後半がちょっと・・・。
良くも悪くも学生演劇って”におい”が強かったです。
知識などを共有できているだろうという条件付脚本のことです。
その縛りが今回”ファミコン系ゲームのファンタジー”だったので
ゲームをしない中高年層やおねぇちゃん層には見えない壁が!?
ということで誰にでも無条件に薦められる芝居ではありませんでした。
前作品の”タイムマシン~”とか”ゴーレム~”が
そのへんを考慮して作成されていた作りだっただけに残念でした。
以後の広島公演の観客動員に影響がなければいいですが。
しかし、今回の客層は若い!!まさに、その一言でした。
服装や雰囲気も小じゃれたとは言いませんが
地味でもなく派手でもなく平凡な人が多かった。
横川駅近くのピッツァリーヴァにピッツァでも食べ行く?って感じの
こだわりはあるけど人にまで主張はしないって感じの人達です。(笑)
この舞台には向いている客層だったのは救いでした。
もしかするとこの客層に向けての芝居で
プロモーターの思惑どおりなのかもしれません。
その場合、一般向けじゃないと書いているこのレビューは・・・!?(笑)
まぁ、どっちでもいいですけどね。
さて、脚本ですが会話やテンポなどはいいです。
適度な緩急と適度な展開はいい感じです。
でも、やっぱり内容が少しわかりずらい
日常にファンタジーが溶け込んでいる設定はいいのですが
それがわかっていても開幕当初は何が!?何やら!?
そして、”話の落ち”がない・・・。
ファンタジーの日常を描いているとしても
話の盛り上がりや落ちがないとさすがにちょっと弱いですね。
なんとなく始まりなんとなく終わる。
”ありなし”で言えば”あり”ですが
”なしなし”で言えば”なし”ですから。
舞台セットは中央に舞台があり四方を観客が囲む。
中央舞台に3段程度の足場が組んであり
一番上に”グリーンドラゴン”が!!
この物理的制約が逆に物語的制約になっちゃって・・・な感じはありました。
また、ストーリーも直接的なボスがイン・ザ・スカイしてませんでしたし
チラシのあおりどおりに「魔王」に戦いを挑んでませんでした。
看板に”偽りあり”とまでは言いませんが
題名やチラシポップとは若干の乖離が若干ありました。
でも、まぁ、舞台ってそんなことはよくあることですからいいですし、
その違いが”面白い”ほうに転がっているとベターなのですが。
そのへんは映画化したり再演される作品は
やっぱりちゃんとエンターテイメントしているわけで。
そうそう、後は役者ですね。
のほほんとした舞台にのほほんとした役者ということで
ちょうどバランスがいい。
これ以上うまくてもへたでも劇団ヨーロッパ企画はなりたちません。
このアンニュイさが持ち味ですから。
もちろん、ひとりひとりの役者技量もアベレージって感じです。
まさに”可も不可もなく”、そして、”特記すべきこともなし”です。
最後にひとこと!?
公演時間が100分ほどでした。
登場人物が多いのですからもう20分増量して
その部分に話の山場を作れば面白い舞台になったような気がします。
”中央舞台”があり”ボス・イン・ザ・スカイ”であることが
繰り返しになりますが自らの手かせ足かせになってしまったかなぁ。
それに芝居自体が急ごしらえだったような気もするのは気のせい!?
構想5年製作3年みたいにやってほしかったなぁ。
もちろん、無理だとはわかっていますが。(笑)
チャレンジや発想、企画は面白いと思うので
この作品をじっくり寝かしてスクラップ・アンド・ビルドするのか、
この経験を生かして新しい舞台を作るのか
個人的にはこの形態の舞台にもう一度チャレンジしてほしいですね。
がんばれ!劇団ヨーロッパ企画、期待しているぞ!劇団ヨーロッパ企画。