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観光集客のカギは「写真映えする風景」/観光地奈良の勝ち残り戦略(120)

2018年03月25日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
奈良新聞(3/3付)に「奈良の観光課題分析 奈良高生徒研究発表会」という記事が出ていた。2月17日(土)、奈良市北部会館市民文化ホールで行われた発表会の模様である。記事には、
※トップ写真は、南都銀行本店屋上から撮影

先進的な理数教育を実践する文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている、県立奈良高校(安井孝至校長)の生徒研究発表会が、奈良市右京1丁目の市北部会館で開かれた。

同校は平成16年度からSSHに指定され、毎年発表会を実施。今回は校内の選考会を経て2年生の5グループと科学技術系の3クラブが発表した。

このうち堀口真生さん(17)らのグループは「奈良はどうすれば観光面で京都に勝てるのか」をテーマにした。奈良、京都両市で観光客約220人に行った観光やSNS(ソーシャルネットワークサービス)などに関するアンケートの結果を分析。

奈良が京都に集客力で及ばない要因の1つに、「写真映え」する場所の数の差があると推論した。堀口さんは「奈良よりも京都の観光地の方がカラフルで写真映えする。今後もいろいろなアンケートを行い、奈良の観光客を増やしたい」と話した。




奈良と京都の集客力の差は、「写真映えする場所の数の差ではないか」という。そこでこのたび奈良高校にお願いして、発表会当日(2/17)に配布された資料を入手した。A4版資料の4ページにわたって、今回の研究結果が紹介されている。抜粋すると

1.要約
私たちは奈良を訪れる観光客が少ない原因は写真映えするスポットがほとんどないからではないかと仮説を立てた。写真映えとは、SNSに写真を投稿した際、見映えがするということである。この仮説を検証するために、実際に京都と奈良で観光客に対してアンケート調査を行った。その結果、観光客は半数以上がSNSに写真を投稿していることが分かった。したがって、観光客を増加させるためには、写真映えするスポットを重点的にアピールする必要があるだろう。

2.緒言
奈良市の平成28年の観光入込客数は11,154万人、観光消費額は約1,013億円であった。(中略)京都市の観光入込客数は5,522万人、観光消費額は約1兆861億円と、いずれも奈良を大きく上回っている。


そこで京都(清水寺前・祇園周辺 2017年7月29日[土])と奈良(近鉄奈良駅前・東大寺 同年10月21日[土])でアンケート調査を行った。京都は82人、奈良は142人で、男女別では女性が多い。年代では20代が多い。研究を行った奈良高校のメンバー5人は全て女性なので、このような結果になったのだろう。

「その日の目的」(複数回答)では京都・奈良とも「歴史・文化観光」が計144人と圧倒的に多い。「写真撮影」は計40人と少ない。「その日の観光をSNS等に投稿するか」では京都47人、奈良64人(計111人)が「投稿する(写真有り)」と答えた。「投稿しない」は、京都33人、奈良70人(計103人)。京都は「投稿する」の比率が高い。

「その日にどんな写真を撮ったか」(複数回答)では、京都は風景63人、人物59人、神社仏閣40人がベスト3。奈良は人物74人、神社仏閣74人、動物59人。「写真撮影」が目的は計40人と少なかったが、結構みんな写真を撮っているのだ(人数でいうと、京都では95%、奈良では80%の無人が写真を撮っている)。しかし風景を撮った人は、京都59人(77%)、奈良39人(27%)と大きな差がある。

5.考察
先行研究で観光地決定におけるSNSの重要性が明らかになっていることから、SNSにアップロードされた写真が観光地決定において重要な役割を果たしていると推測される。また、京都と奈良の結果を比較すると、京都の観光客は奈良の観光客よりも写真撮影を意識しており、SNSへの写真投稿にも積極的であると言える。(中略)以上より、京都に奈良よりも多くの写真映えするスポットがあり、それが集客の差を生む要因の1つになっているということが考えられる。

6.まとめと今後の課題
京都に奈良よりも多くの写真映えするスポットがあり、それが集客の差を生む要因の1つになっている推測された。今後は、京都と奈良の観光アピールの差を指摘した人が多かったことをふまえ、観光アピールも重視していきたい。


若い女性の回答が多かったのでやや偏りがあるが、「写真撮影」を目的とした人は少なかったのに、写真をたくさん撮っていることや、SNSに「投稿する(写真有り)」は約半数を占め、しかし風景写真を撮った人は京都59人(77%)、奈良39人(27%)と大きな差があることなどが判明した。

観光客を引きつけるには、写真映えのする「奈良の風景」をもっとアピールしないといけないのだ。研究に取り組まれた奈良高校の皆さん、どうもありがとう!

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