NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「ディスカバー!奈良」を連載している。11月15日(木)付で掲載されたのは「山の神に感謝 桜井市の亥(い)の子の暴れ祭」、執筆されたのは当会の名物男で桜井市在住の雑賀耕三郎さん。雑賀さんはこのお祭りをご自身のブログでも詳しく紹介されていた。
このお祭りは当地の「山口神社」(もと石寸山口神社)の祭礼である。『大和・紀伊寺院神社大事典』の「石寸山口神社 いわれやまぐちじんじゃ」によると
[現]桜井市大字谷 谷集落の西部、菰(こも)池の北に鎮座。旧村社。大山祇(おおやまつみ)神を祀り、「延喜式」神名帳十市郡の「石寸山口神社大、月次新嘗」に比定されるが、異説もある。石寸は「石村」「石根」とも書く(「延喜式」享保板本)。式内石寸山口神社は飛鳥京・藤原京の周りに鎮座する大和六所山口神の一。
「大和志」には「今称双槻神社」とみえ、当社はもと双槻(なみつき)神社と称し、池の南に鎮座していたと伝える。近世の当社は荒廃し社地も狭小であったが、現在、木材業者の信仰を集めて復興されている。
小さな神社と聞いていたが、式内社とは驚いた。では、雑賀さんの記事全文を紹介する。

御仮屋暴れ
桜井市高田で毎年12月の第1日曜に「亥(い)の子の暴れ祭」が行われます。村人を見守っている山の神に感謝する祭りで、子供たちが思い切り暴れ回って、元気な姿を山の神に示すという行事です。
祭りは「御仮屋(おかりや)暴れ」から始まります。青竹で作られた御仮屋に吊り下げられた木づち、わらじなどのミニチュアの農具を子どもたちが奪いあいます。続いて御膳を蹴りあげ、茶わんやお椀を蹴り飛ばす「御膳暴れ」です。さらにわら束を祭壇の燈明(とうみょう)に投げつけて火を消し、大人が再び火をつける、またわら束で火を消すという「燈明消し暴れ」が行われます。

御膳暴れ
元気に子供たちが暴れるほど山の神が喜ぶとされ、子供たちはこの時ばかりと大暴れです。村人はその姿を見て、1年の無事と豊作を感謝し、新年の準備を始めるのです。今年は12月2日、午後2時から高田集荷場で実施されます。
■メモ JR・近鉄桜井駅から多武峰方面行バスで10分「聖林寺(前)」バス停下車徒歩15分(奈良まほろぼソムリエの会副理事長 雑賀耕三郎)。