水徒然2

主に、水に関する記事・感想を紹介します。
水が流れるままに自然科学的な眼で解析・コメントして交流できたらと思います。

再生可能なエネルギーに係る記載(その25:日本とドイツのエネルギー関係データの比較)

2013-10-31 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

’13-10-31投稿

一年前の既報日本の再生可能なエネルギーの現状に係る記載(その4:「再生可能エネルギー」最新記事一覧)('12-10-29)に記載しましたが、 なかなか統計をとるのが難しいと思われますが、再生可能エネルギーによる発電量がどのように、現状の数%からどのくらい増加推移しているか掲示板、等での「見える化」によって国民がわかるようなシステムがほしいところです。

 2012年度のわが国の普及率がどのようであったのか調べました。また、ドイツの普及率を調べて比較してみました。

ソフトエネルギー
http://greenpost.way-nifty.com/softenergy/2013/07/201216-1880.html

2012年度の総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、日本1.6%

「2012年度の総発電電力量に占める、再生可能エネルギーの割合は1.6%だったということです。

 このデーターは、総合資源エネルギー調査会の総合部会、第4回会合が6月27日に開催され、エネルギー政策を議論する上での論点整理のための資源エネルギー庁が作成した事務局資料「【生産・調達段階における論点】 再生可能エネルギーの拡大」が提示されたものです。
 2009年11月の太陽光の余剰電力買取制度の開始、2012年7月の固定価格買取制度の施行により、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーは拡大し、2012年度の大型既存水力を除いた発電量は、おおよそ150億kWh/年レベルに達しました。・・・」という。

  では、2012年度はどのような動向であったのだろうか?

 スマートジャパン
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1212/25/news009.html
2012電力トレンドまとめ読み(1):
エネルギー政策:原子力から火力と再生可能エネルギーへ
(一部割愛しました。)

東日本大震災を機に露呈した旧態依然の電力供給体制を変革するために、国のエネルギー政策が大きく方向転換した1年だった。電力会社を中心に原子力発電を長期的に拡大していく従来の方針から一転して、再生可能エネルギーと火力発電の増強へ舵を切り始めた。

2012年度の国のエネルギー政策は主に2つの方向に集約できる。1つは再生可能エネルギーを長期的に拡大するために、7月から固定価格買取制度を開始する一方、補助金の創設などを通じて新しい技術開発を促進する。もう1つは原子力発電に依存しないエネルギー供給体制に向けて、火力発電を含めた将来のロードマップを描くものである。

 果たして政権が交代する2013年のエネルギー政策は、2012年の延長線上を進むのか、あるいは大きな方向転換があるのだろうか。

2012年の「エネルギー政策」:スマートジャパン関連記事

 熱を利用した再生可能エネルギーの導入加速へ、40億円の補助金制度が始まる(6月1日掲載)

太陽熱やバイオマス、さらには地中熱や雪氷熱など、自然の熱を利用した再生可能エネルギーの拡大計画が動き出す。経済産業省が民間企業や地方自治体などを対象に、40億円の補助金制度を5月30日から開始した。

本日6月18日に法令が施行、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(6月18日掲載)

太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス、の5種類による再生可能エネルギーを電気事業者が固定価格で買い取る制度に関して、本日6月18日に関連の法令が施行された。これにより7月1日からの制度開始に向けた準備が整い、再生可能エネルギーの市場拡大が本格的に始まる。

2030年に再生可能エネルギーを25~35%へ、発電コストは1.8倍に上昇(7月4日掲載)

我が国のエネルギー供給体制の将来計画を策定する政府の「エネルギー・環境会議」が2030年に向けたシナリオを3つのパターンで提示した。いずれのシナリオも再生可能エネルギーの比率を大幅に高める内容だが、同時に発電コストが上昇することも指摘している。

2030年に向けたエネルギー戦略、無理が多い政府の素案(7月20日掲載)

内閣の国家戦略室が中心になって策定を進めている2030年に向けたエネルギー戦略に関して、問題点の指摘が相次いでいる。原子力発電の比率を削減する3つのシナリオを国民に提示して意見を募っているところだが、シナリオを実現するための具体策には無理な点が多く見られる。

4つの再生可能エネルギーに注力、環境省が2030年の拡大戦略(9月4日掲載)

政府は9月中に公表する予定で2030年に向けたエネルギー戦略を策定中だが、それに呼応するように環境省が新たな再生可能エネルギーの拡大戦略を発表した。一般的な注目度が低い洋上風力、地熱、バイオマス、海洋エネルギーの4つに関して、具体的な方針と目標値を設定した。

不可解な点が残る、国のエネルギー戦略検討案(9月4日掲載)

2030年に向けたエネルギー戦略の検討が大詰めを迎える中で、中心的な役割を担う国家戦略室の「エネルギー・環境会議」が9月4日に開催された。その説明資料を見ると、原子力発電の依存率、再生可能エネルギーの増加分と省エネによる減少分など、数字の整合性に疑問が残る部分がある。

エネルギー構造改革に4000億円、2013年度予算の概算要求(9月11日掲載)

各省庁による2013年度予算の概算要求がまとまり、注目の資源・エネルギー関連で経済産業省が1兆円規模の予算案を提出した。その中で「新たなエネルギー需給構造の構築」に最大の4025億円を要求して、省エネ対策の強化や再生可能エネルギーの開発に注力する姿勢を明確にした。

バイオマスで政府が拡大戦略、廃棄物をエネルギーに変換する技術開発を加速(9月12日掲載)

再生可能エネルギーのひとつであるバイオマスの利用拡大に向けて、農林水産省など7つの省庁が連携して「バイオマス事業化戦略」を策定した。2020年度にバイオマス関連産業を5000億円の規模に拡大することを目標に、各種の廃棄物をエネルギーに変換するための技術開発を加速させる

原子力に依存しない「革新的エネルギー・環境戦略」が決まる(9月12日掲載)

政府は2030年に向けた「革新的エネルギー・環境戦略(案)」を正式に決定し、原子力に依存しないエネルギー供給体制を構築する方針を明確にした。節電・省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの拡大に加えて、コージェネレーションを含む火力発電の拡充も戦略に組み込んだ。

・・・

わずかに前進した「グリーン政策」、成長シナリオは依然見えず(11月27日掲載)

我が国のグリーン・エネルギー拡大に向けたロードマップを示す「グリーン政策大綱」の骨子が発表された。政府が9月にまとめた「革新的エネルギー・環境戦略」に即した内容で、目新しい点は少なく、2030年に向けた成長シナリオは具体的に見えていない。」という。

一方、ドイツはどのようであったのだろうか?

ドレスデン情報ファイル
http://www3.ocn.ne.jp/~elbe/kiso/atomdata04.html
ドイツのエネルギー関係データ

 再生可能エネルギー拡大目標と達成状況
ドイツは2050年までにエネルギー消費を2008年の半分に削減する一方、脱原子力とエネルギー転換を進めて、最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を60%に引き上げ、温暖化ガスの排出量を80~95%削減するすることを目標としている。

表 エネルギー転換の現状と目標
  2011 2020 2030 2040 2050
 温暖化ガス
  温暖化ガス排出量 (1990年比) -26.4% -40% -55% -70% -80%~-95%
 エネルギー効率.
  一次エネルギー消費 (2008年比) -6.0% -20% .-50%.
  エネルギー生産性 年2.0%
2008-10
年平均2.1% (2008-2050)...
  電力総消費量 (2008年比 ) -2.1% -10% -25%
  発電に占めるコージェネの割合 15..4%
(2010)
25% -
 住宅のエネルギー効率.....
  熱必要量 n.a. -20% -
  一次エネルギー必要量 (2008年比) n.a. - -80%前後
  改修 年約 1% 年 2%
 交通部門.....
  最終エネルギー消費 (2005年比) 約-0.5% -10% -40%
  電気自動車保有台数 約6,000台 100万台 600万台   .
 再生可能エネルギー.
  電力総消費量に占める再生可能エネルギーの割合 20.3% >35% >50% >65% >80%
  エネルギー総最終消費に占める再生可能エネルギーの割合 12.1% 18% 30% 45% 60%
 
資料:連邦経済省/連邦環境省、第1回モニタリング報告書"Energie der Zukunft"

電力の総消費量に占める再生可能エネルギー電力の割合を2020年までに「少なくとも35%」に引き上げるのが目標で、2012年には20.3%にまで上昇し、予想をやや上回るペースで増加している。

 電力に占める再生可能エネルギーの割合

資料:*2012年までのデータ:エネルギーバランス作業グループ(AGEB)"Bruttostromerzeugung in Deutschland von 1990 bis 2012 nach  Energietraegern
*2020年の目標:連邦政府エネルギーコンセプト
注1)2012年は暫定値。
注2)2012年の種類別内訳はこちら

⇒ドイツの再生可能なエネルギー転換時における助成金による電気代の負担増を国民が耐えて成し遂げた結果と思われます。

 大局的には、脱原発に対する民意の結果か?
 わが国の場合は民意は再生可能なエネルギーへの期待大きいと思われますが、反映されていないのだろうか?如何せん1.6%とはこれから先が思いやられます。

既報再生可能なエネルギーに係る記載を調べました。(その11:ドイツの現状の問題点)(2012-11-13)によれば、東京新聞 2012年5月30日 夕刊

・・・ドイツは、東京電力福島第一原発事故を受け、二〇二二年までに国内十七基の原発を全廃する脱原発政策を決定。再生エネの電力比率も、現在の約20%から二〇二〇年に35%まで引き上げる計画だ。太陽光発電の能力も昨年までの二年間で約千五百万キロワット増強し、計二千五百万キロワットとしている。

 ただ、太陽光発電は従来の電力買い取り制度が、安価な中国製発電パネルに対抗する競争力向上を妨げている上、電力価格の上昇につながるとの指摘が政府内で噴出。メルケル首相は三月、太陽光発電への補助の大幅削減を連邦議会(下院)で可決させた。しかし、連邦参議院(上院)は、太陽光発電メーカーの破綻を招き、エネルギー転換が進まなくなるとの立場から削減を承認していないという。(現状は個人的には不明)

 意外なことに、既報再生可能なエネルギーに係る記載(その22:日本の太陽光市場1位に 13年、2兆円規模に)再生可能なエネルギーに係る記載(その21:「太陽光発電」と「農業」のとってもいい関係 農電併業とは)日本の再生可能なエネルギーの現状に係る記載(その4:「再生可能エネルギー」最新記事一覧)(2012-10-29)など如何にも再生可能なエネルギー化が順調に伸びているかの錯覚に陥らざるを得ない現状。

既報今までの「再生可能なエネルギーに係る投稿」の整理('11-5-21~'12-2-29)に記載しましたように、
 10数年前、技術的に優位に立っていたわが国の再生可能なエネルギー技術は量産化技術の立ち遅れ、恵まれない気象条件、島国のためヨーロッパなどと比べて電力の融通性に欠けること、原子力関連への偏重予算に加えて、大手電力会社になどによる発電事業者への電力買取拒否などからみて、および、ドイツ、中国などに後塵を浴びている現状から、再生可能なエネルギーの進展に係る積極的な政策誘導的な支援の成果すら見えません。

既報脱原発と大幅な省エネ・節電で、再生可能エネルギー100%の安全な未来を!という。路線に乗り遅れないようにするためには、「見える化」によって国民がわかるようなシステム、および、動機付けがほしいところです。

関連投稿:
再生可能なエネルギーに係る記載(その19:再生エネの進展には普及状況の見える化と国
民総意が必要か?)

再生可能なエネルギーに係る記載(その20:再生エネの進展の立ち遅れの挽回に係る雑感)


再生可能なエネルギーに係る記載(その24:世界初の浮体式洋上風力発電「ふくしま未来」 実証実験へ)

2013-10-05 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

’13-10-05投稿

 エネルギー産業はその時々の社会の求める環境保全、エネルギー確保に係る安全性によって石炭火力→大規模水力ダム→天然ガス、原子力と盛衰してきましたが、

原子力発電は1000年に一度という大地震・大津波による3.11後の放射能漏洩事故によって全く安全ではないこと、また、一度、破損事故が起きれば今なおその収束がされない現状から明らかです。

参考関連投稿:
脱原発と大幅な省エネ・節電で、再生可能エネルギー100%の安全な未来を!という。(2013-07-24)

>>引例を詳しくみる(WWF)

 

 脱原発に向けて、現状の普及率について不詳ですが、少しづつ再生エネが進展しつつあるようです。

関連投稿:
今までの「再生可能なエネルギーに係る投稿」の整理('11-5-21~'12-2-29)

 

gooニュース

洋上風力発電:「ふくしま未来」を公開http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/nation/20131005k0000m040076000c.html
毎日新聞 2013年10月4日(金)20:36
(一部割愛しました。)
「福島県楢葉町沖約20キロの太平洋に風車を浮かべた世界初の浮体式洋上風力発電設備「ふくしま未来」が4日、報道陣に公開された。浮体式洋上変電所も併設。海底ケーブルを東京電力広野火力発電所(同県広野町)につないで、11月にも発送電の実証実験を始める。

 経済産業省資源エネルギー庁の委託事業。土台から先端までは超高層ビルに匹敵する約120メートルで、総重量約2500トン。長さ約40メートルの羽根3本を回し、最大出力は2000キロワット。東北電力を通じ、約500~600世帯に電力を供給する予定だ。

 風車は千葉県市原市の工場で組み立て、洋上変電所は横浜市で建設。えい航やケーブル敷設を担う清水建設などの共同企業体(JV)の担当者は「福島の復興と再生可能エネルギーの光に」と期待を込めた。

 現地付近の海上では来週、いわき市漁協などが東日本大震災以降では初となる試験操業を予定している。【森田剛史、中尾卓英】

 

この記事の内容に類似する記事

 
     ・・・」という。
 
 
再生エネルギーへの進展を今まで以上に期待している一人ですが、

 10数年来、数多くの方法が提案されている再生可能なエネルギーですが、量産化、コスト的にも見合って、一応それなりの商品化の目処が立っているのは太陽光、風力、バイオマス、小規模水力、地熱と想っていますが、如何せん、わが国の主導的な再生エネルギーの導入促進への際立った動機付けは見られません。

 海外諸国に目を向けると、
チェルノブィリ原発事故で悲惨な思いをしたヨーロッパ諸国のみならず、PM2.5で話題となった中国は再生エネの進展に力を入れていることが見受けられます。中国にGDPで追い越されたように、日本発の再生エネ技術は他国に利用されて、その普及度においての立ち遅れが目立ちます。

また、米国では「・・・1978年の公営事業規制政策法(PURPA)成立に見るように分散化電力への道を広げることになり、後者は「安くて安定している」という原発のメリットを完全に否定される結果となった。これにより、電気事業者側が原発を建てるメリットが少なくなり、市民も「夢の発電施設」原発への信用をもたなくなったのである。

 スリーマイル島原発事故やチェルノブイリ原発事故以前に、原子炉の発注がゼロになったと言うことはそういう点が大きく影響していることを示している。これにアメリカならではの強い市民運動と、多くが自治体の公営電力会社であったことに加えて、「核廃棄物処理(※2)が未だ技術化されていない」という問題はその処理(埋める)の影響を被る各州政府・自治体も原発の必要性と経営陣の行動を疑問視し、電気事業者も「不安定」「非効率」「高価格」な原発に二の足を踏むようになり原子力ブームは終わりを告げる。・・・」という。

>>引例本文を詳しくみるアメリカの原発事情

 

関連投稿:
世界各国のエネルギー需給状態に係る記載(2013-07-15 )

太陽熱温水器の普及率の高さ。次世代の太陽熱利用を制するのは中国か?2013-07-14)

 そろそろ、過去の遺産を払拭して本腰をいれて再生エネへの進化に取り組まなければならない時期に達していると思われます。何よりも、再生エネの普及および稼働率の向上の「見える化」が必要か?

参考関連投稿:
再生可能なエネルギーに係る記載(その19:再生エネの進展には普及状況の見える化と国民総意が必要か?)

 ・再生可能なエネルギーに係る記載(その20:再生エネの進展の立ち遅れの挽回に係る雑感)

再生エネの発電量(単位の一元化)、普及率と稼働率(単位などによって錯覚しないように)などを一般庶民が見てもわかり易く整理された「見える化」(グラフ化掲示)を期待しています。
 
 

佐賀大のインド洋上で海洋温度差発電から10年。 2014年米・中で出力10MWのプラント建設という。

2013-08-19 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

 '13-08-19投稿、一部修正

 将来のわが国の発展のためには、世界第6位の排他的経済水域を日常茶飯に利用して、海域全体を有効利用しなければならないことは自明なことですが、現状、海を持て余しています。

 機会があれば、格安料金パックにて喜々として海外旅行をする国民性?ですが、未曾有の天災によって今なお3.11福島原発の放射能漏洩の収束がままならないこととか、水域境界問題など海域全体に目が届いていないのでは?と個人的には思っています。

 既報将来、わが国の先端技術を集結した水陸両用車が普及することを望みます。(2011-11-07)に提案しましたが、
 将来の農産物・海産物などの自給自足率の向上を目標において、受け継がれた伝統・技術を継承して、従来の観光のみならず、昨今の異常気象よる土砂崩れ、水害などの天変地異時の救済、農林水産生産物、資源、等の搬送など目的に応じて水陸両用車の普及を以前から期待しています。

 技術的に優位に立つわが国の太陽電池など再生可能なエネルギー、低コストな二次電池(バッテリー)を活用して、先端技術を集結した水陸両用車(望ましくは、電気自動車)を開発して、排他的経済水域の200海里の諸島まで有効かつ広範に公共の場で活用してゆくことを期待しています。

 

 そのためには、排他的経済水域の随所にインフラ(ステーション)を配備することが必要ですが、わが国の将来におけるエネルギー問題の解決のため現状抱えている問題点を的確に捉えている記述を再掲しました。

海を利用した再生可能なエネルギーについて調べました。(2010-11-17)で引用した
OPRF 「海洋温度差発電の胎動」
http://www.sof.or.jp/jp/news/51-100/88_3.php ) によれば、 

 

「海洋温度差発電は、自然エネルギーの切り札としてその行方が大きく注目されている。
・・・日本の技術が中心となっている。

今、世界各地で実用化に向けた動きが進む中、これまで以上に多くの分野の技術集約が必要となってくる。 なぜ今海洋温度差発電か?

 近年、温室効果ガスによる地球温暖化および化石資源の枯渇がますます懸念される中、「持続可能なエネルギーシステムへの転換」がグローバルな流れとなっている。
 また、エネルギー供給に関してその8割以上を海外に依存しているわが国においては、「安定したエネルギー供給の確保」は以前より最重要の命題とされてきた。

 今後アジア地域を中心とした開発途上国におけるエネルギー需要の増大、北米、北海地域における石油の供給能力の減少等、石油需要の逼迫が予想されることを考えれば、石油代替エネルギーの開発・導入を一層推進し、石油依存度を低減することが不可欠である。 ・・・・・

しかしながら、自然エネルギーの多くは再生利用が可能で環境に与える負荷が少ない反面、不安定性と負荷変動への対応が難しいという面を持ちあわせている。

 一方、海洋温度差発電(OTEC; Ocean Thermal Energy Conversion)は、

 安定性と負荷変動への対応性の点で非常に優れた特徴を持っていることから、石油代替エネルギー源の中心的な役割を担う技術としてその実用化を急ぐ必要がある。・・・

 地球上の約7割を占める海洋の表面を太陽が温めることで蓄えられた膨大な熱量冷たい深層水との温度差を利用するもので、海と太陽がある限り利用可能な再生可能エネルギーである。・・・

 1881年に、フランスの物理学者ダルソンバール(J. D'Arsonval)が考案したものが最初である。・・・1973年の第一次オイルショックをきっかけにして、OTECは石油の代替エネルギー候補として日本と米国で本格的な研究が行われるようになった。・・・

「そんな小さい温度差を利用できるのか?」という疑問を持たれるかもしれない。それを可能にしたのが、佐賀大学の上原教授を中心とした研究グループが開発したウエハラサイクルである。作動流体に純物質を用いる従来のランキンサイクルに対し、ウエハラサイクルではアンモニアと水の混合媒体を用いる。このことで、相変化(蒸発および凝縮)中に温度変化を伴うために、サイクルで得られる仕事量が増加し熱効率が向上するのである。 ・・・・・」という。


  (google画像検索から引用)

 

話が少しそれますが、

 既報未知なる猛暑への突入。2013年は過去最高の暑さになる(NASA発表)という。にて記載しましたが、
米航空宇宙局(NASA)によると、
「2012年の世界の平均気温は統計を取り始めてから9番目に高い14.6度で、20世紀の平均より0.6度高かった。20世紀平均を上回るのは1976年から36年連続。統計の始まった1880年以来、世界の平均気温は0.8度上昇して
 
海洋が暖まっている。これは地球がバランスを失っていることを示している。放出されるエネルギーより入るエネルギーの方が多くなっている。それゆえ、今後10年間が過去10年間より暖かくなることを確信を持って予測できる」という。

 今まで以上に地殻表面から大量な水が蒸発し続けて、未曾有のゲリラ豪雨、大型停滞台風、はたまた、猛暑・旱魃、砂漠化・沙地化が進むのも当然のことかと個人的には思われます。

  昨今多発している未曾有のゲリラ豪雨、大型停滞台風などによる冠水・沈没、および、水害もしくは、旱魃による世界的な食糧飢饉・水不足の対策のためにも、臨機応変に水陸両用車を活用して、世界をリードする技術を確立する方向に進化してもらいたいと常々、思っています。

 奇想天外なこの提案を達成させるためには、海洋に水陸両用車の給電ステーション、自然条件に比較的影響を受けない?海洋温度差発電の分散設置が必要ですが、海水表面温度の上昇が避けられない現状から、排他的経済水域の海水温度が上昇して有望な再生エネとして、理論どおりのコストパーフォーマンスが達成されることを期待しています。

話を戻して、

本件、海水表面温度が高いインド洋で実験が10年ほど前に開始されたという。

その内容は

タイトル 

海洋温度差エネルギーの挑戦

http://www.se.saga-u.ac.jp/rigaku/kaiyou/

佐賀大学では、エネルギーや環境問題に関心のある学生とともに
新しいエネルギーシステムの実現にむけて、積極的な取り組みをおこなっています。
現在、附属海洋温度差エネルギー実験施設において、海水の表層
と深層との温度差による海洋熱エネルギーを電気エネルギーに変換するシステム、
海洋温度差発電( Ocean Thermal Energy Conversion, 通称 OTEC)に関する
研究をおこなっており、この研究は、世界が注目しています。



詳細は、オフィシャルホームページへ(http://www.otec.saga-u.ac.jp/)

 

海洋温度差エネルギー

日本の経済水域での海洋温度差エネルギーの総量は、試算によると1年間に1014kWhになります。これは石油に換算すると約86億トンに相当し、

2000年に日本が必要とするエネルギーの約15倍に相当します。

仮に、日本経済水域内の温度差エネルギーの1%を利用するとすると、

年間8600万トンの石油を節約できることになります。

 

図1 海水の温度分布

海洋温度差発電の原理

海洋の表層部の温海水と深層部の冷海水との間には
約10~25℃
の温度差がある。この海洋に蓄えられた
海洋温度差エネルギーである熱エネルギーを、
電気エネルギーに変換する発電システムが
海洋温度差発電です。図3に基本的な海洋温度差発電
システムを示します。主な構成機器は、蒸発器、凝縮器、
タービン、発電機、ポンプであります。これらの構成機器
はパイプで連結され、作動流体としてアンモニアが封入
されています。作動流体は、液体の状態でポンプによって
蒸発器に送られます。そこで、表層の温海水によって
加熱され、蒸発し、蒸気となります。蒸気は、タービンを
通過することによって、タービンと発電機を回転させて
発電します。
タービンを出た蒸気は、凝縮器で約600~1000mの
深層より汲み上げられた冷海水によって
冷却され、再び液体になります。この繰り返しを行う
ことで、化石燃料やウランを使用することなく海水で
発電することができます。


 

次に、

世界初の海洋深層水温度差発電、インド洋上で発電実験を開始」2003

 「兵庫県明石市の環境関連ベンチャー「ゼネシス」と佐賀大学がインド政府と共同開発した世界初の海洋温度差発電の実証施設が完成、2003年2月上旬にインド南端の洋上で発電実験を始める。出力1000キロ・ワットで、2000人分の電気を賄う能力があり、火力発電よりコストは安く、汚染物質や温暖化ガスも出ない。その結果は、3月に京都市などで開かれる世界水フォーラムの関連行事で発表する。

 同施設は、長さ70メートル、幅16メートルのプラント船で、上原春男・佐賀大学長が開発した「ウエハラ方式」と呼ばれる熱交換器を積んでいる。インド近海の海面付近は水温約30度で、この暖かい海水で、高圧を加えて液化したアンモニアを蒸気に変え、タービンを回して発電、水深1000メートルからくみ上げた水温6度ほどの深層水で冷やして液体に戻す。

 海洋温度差発電は、100年以上前に考案されたが、温度差が小さいため効率が悪く、実用化は難しいといわれていた。しかし、94年に上原学長らが、アンモニアに少量の水を混ぜ、タービンを2つ使うことで効率を向上させた。

 研究グループは、10万キロ・ワット級の発電装置を作れば、火力発電の1キロ・ワット当たり約10円より2―3円安くなると試算。低コストの電力を求めていたインド政府が約8億円の建設費を提供することで合意した。

 2月初め、インド南部のトゥーティコリンを出航。35キロ沖合で発電を開始。4月ごろまで実験を続ける予定で、上原学長は「パラオなどの島国や中東諸国との共同計画も進んでいる」と話している。」とのこと。


さて、現状は

スマートジャパン» 2013年04月25日 11時00分 更新
海洋温度差で10MWの発電所、年間1億3000万ドル
の石油を削減
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1304/25/news039.html

(一部割愛しました。)
「海洋には膨大なエネルギーが隠れているものの、発電所の実用化は遅れている。米ロッキードマーチンは中国企業と共同で「海洋温度差発電」に取り組む。年間の石油コストを1億3000万ドル削減可能だという。・・・

再生可能エネルギーのうち、最も開発が遅れているのが海洋エネルギーだ。海洋エネルギーには、潮汐、波力、海流、海洋温度差などさまざまなものが含まれている。潮汐では200MWクラスの発電所が運用されており、波力は小規模な発電に多用されている。海流と海洋温度差はいまだ実験段階だ。

2013年4月、海洋温度差発電(OTEC:Ocean Thermal Energy Conversion)が、実用化に向けて一歩を踏み出した。米国の航空宇宙企業であるLockheed Martin(ロッキードマーチン)は、中国の不動産開発業者であるReignwood Groupと海洋温度差発電所建設に関する契約に調印、出力10MWの試験プラントの建設が2014年に始まるからだ。現時点では世界最大規模の海洋温度差発電所になる見込みだ(図1)。今後5年間をかけて両社はさらに大型の発電所に取り組むとした。

 今回の建設予定地は中国南部の海上。「海洋温度差」という名前の通り、海面と深海の間で海水温に差が大きな地域に適する発電方式だ。中国南部はこの立地条件に適合しているという(図2)。図2で黄色は温度差が18~20℃、オレンジは20~22℃、赤は22~24℃、濃い赤は24℃以上の領域を示している。世界80カ国に適用可能であり、東南アジアや中米に適していることが読み取れる。日本も九州以南であれば建設が可能だ

 図2 海洋温度差発電の適地

ベース電源に向く

 海洋温度差発電の発電量は、季節や天気、時刻などに依存しない。従ってピーク電源というより、ベース電源に向いている。発電量に変動がほとんどないため、石炭火力発電所と似たような使い方になるだろう。Lockheed Martinによれば、系統に接続しにくい島しょや、送電ケーブルの敷設に課題がある海岸沿いに向くという。

 今回建設する海洋温度差発電所は、Reignwood Groupが計画するグリーンリゾートの電力を100%まかなう計画だ。年間で130万バレルの石油を節約できる。1バレル100米ドルという石油価格を仮定すると、年間1億3000万ドルの燃料費が節約できる計算になる。加えて、CO2の排出量を年間50万トン削減できる。

 Lockheed Martinは、1970年代から海洋温度差発電の開発を進めており、米国で出力50kWの実験施設を3カ月間運用した実績もある。2009年以降、米海軍から1250万米ドルの研究資金を得て、基幹部品の開発とパイロットプラントの設計を進めてきた。今回の契約は、これらの研究開発が実を結んだ形だ。

 海洋温度差発電の仕組みを図3に示す。蒸気タービンを利用する原子力発電所といくぶん似た仕組みだ(放射線は全く発生しない)。まず図下の紫色のパイプでは沸点の低い作動液体がポンプによって、左上に運ばれる。水面から取り込んだ海水(オレンジ色)と円筒形の熱交換機で接触し、作動液体が蒸発、タービンを回して発電する。その後、深海の冷たい水(水色)で熱を奪われて再び液体に戻るというサイクルを繰り返す。・・・」という。

⇒地球温暖化の功罪が見え隠れする海洋温度差発電(OTEC:Ocean Thermal Energy Conversion)ですが、九州以南の条件を満たした海域での展開が期待されます。
アメリカ、中国の再生エネに賭ける意気込みを感じます。
関連投稿:
太陽熱温水器の普及率の高さ。次世代の太陽熱利用を制するのは中国か?

水陸両用車?とともに、海洋の有効利用には欠かせない発電方法と思われます。

上原サイクルとの違いなど別途調べる予定です。


脱原発と大幅な省エネ・節電で、再生可能エネルギー100%の安全な未来を!という。

2013-07-24 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

'13-07-24投稿

 原子力発電は1000年に一度という大地震・大津波による3.11後の放射能漏洩事故によって全く安全ではないこと、また、一度、破損事故が起きれば今なおその収束がされない現状から明らかですが、3.11後、頻発する震度5クラスの中規模地震には大半の国民は慣れてしまったようです。

 既報再生可能なエネルギーに係る記載(その19:再生エネの進展には普及状況の見える化と国民総意が必要か?)で記載しましたように、
エネルギー産業はその時々の社会の求める環境保全、エネルギー確保に係る安全性によって石炭火力→大規模水力ダム→天然ガス、原子力と盛衰してきました。

 わが国では原発事故後、地震大国であり原子力発電に対する安全性の確保、使用済み燃料棒の処置など数多くの問題を抱えています。

 再生エネルギーへの進展を今まで以上に期待している一人ですが、資源の枯渇と掘り尽くしによる地盤沈下などを考慮しなければ、今現在では化石燃料を使った火力発電方法がコスト的にも、エネルギー確保においても、手っ取りばやい方法なため、なかなか進展しないのも事実であると思っています。
 これは日本国民の特質もしくは哲学なのだろうか?特に、現在、経営トップで君臨する経営者、官僚の今までの収支至上主義の名残りだろうか???

 
 今後、更なる円安傾向によって輸入化石燃料の高騰が顕在化すれば、燃料輸入による赤字が年間3兆円以上ともいうが、今後、5兆円以上にもハネ昇るのか?
 したがって、火力発電以上に、設備および燃料が凍結されているもっと手っ取り早い原発再稼動に対する電力各社の要求が高まってくると予想されます。
 数年前ガソリンが高騰して車を乗るにも躊躇したことも記憶に新しい。・・・」

という趨勢にわが国のエネルギー政策になりつつあります。

 しかし、巨大地震が発生していない米国、欧州と比べて、わが国においてはいったん3.11並の天変地異が発生すれば、福島原発の被災状況で明らかになりつつある現状から、すなわち、国内54のうちのひとつが地震・津波によって破壊しただけで、後処理に半世紀もかかるともいう。

参考投稿:
福島第一原発 トリチウム汚染水の海洋放出に半世紀以上!?という。 環境水の性状異変に影響するのか?

地異に係る記載(その25:<追加>大規模な地盤陥没・地割れ地域では巨大地震は発生しないのだろうか?)
(2013-05-13)

 10数年来、数多くの方法が提案されている再生可能なエネルギーですが、量産化、コスト的にも見合って、一応それなりの商品化の目処が立っているのは太陽光、風力、バイオマス、小規模水力、地熱と想っていますが、如何せん、わが国の主導的な再生エネルギーの導入促進への際立った動機付けは見られません。

参考投稿:再生可能なエネルギーに係る記載(2050年100%のシナリオ)
 WWF出典の2050までに100%の再生エネルギーによれば、
日本では現在、発電量に占める再生可能エネルギーの割合は3%程度に留まっています。WWF気候変動プログラムの池原庸介は「気候変動問題の解決とエネルギー安全保障を見据え、全量固定価格買取制度などを適切なかたちで早期に導入し、再生可能エネルギーの大幅な普及拡大を図っていく必要がある」とコメントしています。・・・

 
                                        
 <<本文を詳しく読む>>

  一方、海外諸国に目を向けると、チェルノブィリ原発事故で悲惨な思いをしたヨーロッパ諸国のみならず、PM2.5で話題となった中国は再生エネの進展に力を入れていることが見受けられます。GDPで追い越されたように、日本発の再生エネ技術は他国に利用されて、その普及度においての立ち遅れが目立ちます。
参考投稿:
世界各国のエネルギー需給状態に係る記載を紹介します。(2013-07-15 )

太陽熱温水器の普及率の高さ。次世代の太陽熱利用を制するのは中国か?2013-07-14)

「珪藻土」と「もみ殻」で金属ケイ素の低コスト化
 太陽光発電用金属ケイ素の約90%は電気代の安い中国

日本の再生可能なエネルギーの現状('10-11-22~'011-07-14)

再生可能なエネルギーに係る記載(その20:再生エネの進展の立ち遅れの挽回に係る雑感)

 

 また、米国では既報【追加・再掲】各種エネルギー確保の現状 および原発、再生エネの位置づけに係る情報に記載した
アメリカの原発事情(’03/11/25)によれば、

「・・・アメリカでは原子力発電が日本ほどは重宝されていない

原子力発電は、核分裂反応を継続し続ける仕組みであるため、一定出力を供給するという点で優れている。これは、[#036]の表でも説明したようにベース電力としては最適な物であるということだ(点検期間が長いのが問題だが)。これは貯水量に影響される水力発電や、大気汚染を気にする火力発電にはないメリットである。
 
・・・それは、他の資源があること、原子力発電の経済効率が高くなくなったこと、そして脱原子力の流れが日本よりも強いことも大きな要因だ(これについてはコラム参照)。・・・

 興味深いのは、日本では「資源の少ない日本ではオイルショックのようなことがあっては困るから(※1)」と原発を推進しているのに対して、アメリカではオイルショックにより、これまでの経済成長にかげりが見えて電力消費需要が鈍化し、インフレにより建設・維持コストが上昇してしまったが為に、原発のメリットが下がったことである。

 原発というものは、「大きければ大きいほど発電効率が良くなる」とされた施設の代表ではあるが、その分、停止した時の停電率が高くなったり、施設の巨大化は建設・運転・保守・点検(危険なものなだけに欠かせない)にコストがかかったりする皮肉な結果をもたらした。
 前者は当初は予期していなかった「トラブル」が原発につきものだということがさらに災いし、1978年の公営事業規制政策法(PURPA)成立に見るように分散化電力への道を広げることになり、後者は「安くて安定している」という原発のメリットを完全に否定される結果となった。これにより、電気事業者側が原発を建てるメリットが少なくなり、市民も「夢の発電施設」原発への信用をもたなくなったのである。

 スリーマイル島原発事故やチェルノブイリ原発事故以前に、原子炉の発注がゼロになったと言うことはそういう点が大きく影響していることを示している。これにアメリカならではの強い市民運動と、多くが自治体の公営電力会社であったことに加えて、「核廃棄物処理(※2)が未だ技術化されていない」という問題はその処理(埋める)の影響を被る各州政府・自治体も原発の必要性と経営陣の行動を疑問視し、電気事業者も「不安定」「非効率」「高価格」な原発に二の足を踏むようになり原子力ブームは終わりを告げる。・・・(後略)」という。

>>本文を詳しくみる

 

米 エイモリー・ロビンス氏のビジョン
(2012-12-30 )によれば、
「・・・
日本のエネルギー政策をどうみるか。
 「巨大な原発のような大規模集中型の電力供給に依存するのが日本の政策で、産業界もこれを前提にしている。だが、これは既に時代遅れになっており、そのリスクやコストはどんどん大きくなっている。福島の事故がその例だ」ともいう。

 

 まえがきが長くなりましたが、世界の趨勢に立ち遅れないためにも、以下、脱原発と大幅な省エネ・節電で、再生可能エネルギー100%の安全な未来を!という記載を調べました。

WWF

脱原発と大幅な省エネ・節電で、再生可能エネルギー100%の安全な未来を!

  

東京電力福島原子力発電所の事故は、改めて原発の問題の大きさを内外に知らしめるものとなりました。原発に頼らず、再生可能エネルギー100%で、世界全体が快適な生活ができる未来に向けて、今こそ歩みを進めるときです。WWFは2011年2月3日に「再生可能エネルギー100%」を全世界で達成することができる、という報告書を発表しました。これを日本でも実現していくには何が必要なのか、WWFジャパンは検討に着手しており、その過程を順次ご紹介していきます。検討プロセスには、専門家や事業者、NGOなどさまざまなステークホルダーに参画していただきたいと考えています。

  

震災と東京電力福島原発事故がもたらしたエネルギー政策の見直し

2011年3月に東日本を襲った大震災と、それに伴う福島原子力発電所事故は、地震や津波の影響を受けたエネルギー・インフラの課題や、原子力発電所のリスクを、これまでにない形で明確にする結果をもたらしました。

もちろん、これまでにも、地球温暖化対策という視点も踏まえて、日本のエネルギーのあり方の見直しは行なわれてきましたが、今回の震災は、その見直しの必要性をより強めることになりました。

また、「電力供給が不足する」との予測から実施されるようになった「計画停電」や節電は、私たちにとって「必要なエネルギーとは一体何なのか」、過剰ともいわれる電気消費に「無駄はなかったのか?」を改めて考え直させることにも、つながっています。

 

 これから日本が選ぶべきエネルギーの将来として、持続可能で、地球温暖化の防止にも貢献し、原発のような放射性物質のリスクもなく、利便性も損なわれないような「再生可能エネルギー100%」を達成するためには、一体何が必要なのか? 今そのことを、多くの人たちが考え始めています。

 

日本で再生可能エネルギー100%を目指してゆくために

WWFジャパンは、今後、以下の3点を前提にエネルギーの将来を達成するとしたら、何が必要になるのかを、既存の研究も参考にしながら、さまざまな専門家・事業者・NGOの意見を聞いて検討し、その過程をこのウェブサイトで随時ご紹介してゆきたいと考えています。

  • 風力、太陽光、バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーが、全てのエネルギー需要をまかなう
  • 大幅な省エネ(節電を含む)を通じて、エネルギーの消費量(需要)そのものを、その利便性を損なわずに、大きく減らす
  • 原子力発電所の新規増設は行なわない。現在運用されているものは、原則として、一般的な寿命と言われている40年がきたら順番に運転を停止・廃炉にする

 

【エネルギー・ワーキング・ペーパー 01】

 

再生可能エネルギー100%/原発の段階的廃止/大規模省エネの3つを同時達成していくには?(PDF形式)

 

>>> 日本のエネルギーは50%削減可能!省エネ・シナリオを発表

 

>>> 日本での自然エネルギー100%は可能 エネルギーシナリオを発表

 

」という。

>>本文を詳しくみる

 

 


太陽熱温水器の普及率の高さ。次世代の太陽熱利用を制するのは中国か?

2013-07-14 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

'13-07-13投稿

 円安による原油高によって、火力発電コストが増加する昨今。電力各社のその場しのぎ?とも思われる原発再稼動申請。これで、必然的に再生可能なエネルギー進展に対する機運が再び、殺がれてしまうのだろうか?

  原子力は夢のエネルギーとして、大地震の発生が少ない米国、欧州など世界各国で開発され、自国内に設置されてきましたが、エネルギーの安定供給以外にも、日本のように地震列島国では想像できない軍事バランスへの配慮もあるという。

 もし、安易に再稼動する機運なら、二兎を追うもの一兎をえずと同様に、トラブル時負担費、使用済み燃料処分費、回収した除染放射能に対する最終処分場の確保など、最終的な損益を度外視する、今までどおりの結果に輪を掛けた未曾有の事態となるのだろうか?

 しかしながら、地震大国であり、資源、エネルギーに乏しいわが国で真っ先に取り組むべきは自然エネルギーの有効利用ですが、国、電力会社、自治体など表立った推進の気配さえ感ぜられません。

 中国はインドと並んで現状化石燃料消費によって発生するPM2.5大量発生国のひとつであり、中東、アジア大陸で発生する黄砂による大気汚染、河川、海洋の汚染も手遅れなくらい進んでいて一部の地域で苦しんでいます。

 一方、

太陽光発電と並んで信じられない現象

自然エネルギーの普及の進展には目覚しいものがあります。

 50年前のわが国にみられ、現在は跡形もない新しい目標に対してなりふり構わず邁進する中国の姿が伺える記載を調べました。

バイオマストピックス

中国の太陽熱温水器産業は世界一http://www.asiabiomass.jp/topics/1209_06.html

(一部割愛しました。)
「太陽エネルギーを直接、熱として使用する太陽熱利用システム(温水器)の導入が、中国、欧州等で進んでいる。太陽熱温水器を用いて、太陽熱により温水を作り、家の給湯に用いる。特に中国では、2010年末の設置容量(累計)が世界の約70%を占め、2位のトルコに10倍以上の差をつけている。

中国で太陽熱利用の進んだ理由として、

  • 政府が環境対策の一環として積極的利用を促進
  • 中国の経済が発展し、生活水準が向上
  • 中国独自技術が進歩し、品質の良い製品が市場に供給

が挙げられる。特に、中国の太陽熱温水器産業は1970年代後半に始まり、材料の加工から温水器製品の製造、販売、サービスに至る総合的な産業チェーンが形成されている。

中国国内で数1,000社とも言われる太陽熱利用システムメーカーで、25社が「金太陽(Golden Sun)」の製品認証を受けている。ほとんどの製品は中国国内に設置されているが、アフリカや中南米の新興国向けに輸出されたり、欧州向けにも輸出され始めている。日本にも一部輸入品が入ってきている。


表 太陽熱利用システム設備容量(単位MW)

 20062007200820092010
中国 65,100 79,898 87,500 101,500 117,600
トルコ 6,615 7,105 7,446 8,425 9,323
ドイツ 5,638 6,579 7,246 8,377 9,182
日本 5,051 4,875 4,421 4,335 4,050
その他 19,898 22,251 25,699 29,272 33,338
102,302 120,708 132,312 151,908 173,492

出典:Solar_Heat_Worldwide-2007~2012
http://www.iea-shc.org/

 

図 太陽熱利用システム設備容量2010年(累積)
出典:Solar_Heat_Worldwide-2012
http://www.iea-shc.org/

図 太陽熱利用システム国別設備容量の推移

参考資料:
出典:Renewables 2012 Global Status Report
(http://www.ren21.net/)
環境エネルギー政策研究所(ISEP)
自然エネルギー世界白書2010
自然エネルギー世界白書2011  」という。

 


再生可能なエネルギーに係る記載(その23:池や沼にすむ藻の仲間ミドリムシからジェット燃料をという。)

2013-07-08 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

’13-07-08投稿

 既報メタンの地球環境に及ぼす影響に係る情報の整理(2013-07-04)で記載したように、メタンガスはシェールガス革命の主人公であり、湿地や水田で細菌によって有機物を分解したり、家畜の腸内発酵によって発生するといわれ、天然において微生物の作用によって再生可能なエネルギーが得られることが知られています。
>>詳しくは

 池や沼にすむ藻の仲間とされながら、動物と、光合成を行う植物の両方の性質を兼ね備えた「ミドリムシ(ユーグレナ)」がにわかにクローズアップされているという。

msn産経ニュース

論説委員・坂口至徳 ミドリムシからジェット燃料2013.7.7
http://sankei.jp.msn.com/science/news/130707/scn13070703250000-n1.htm

(一部割愛しました。)
池や沼にすむ藻の仲間とされながら、動物と、光合成を行う植物の両方の性質を兼ね備えた「ミドリムシ(ユーグレナ)」がにわかにクローズアップされている。エネルギー供給や地球環境の保全、健康を維持する食品の製造などさまざまな難問を解決する特性を持ち、日本発の技術が支えるスーパー微生物としての評価が高まってきた。

過酷な環境から得た能力

  ミドリムシは、5億年以上前に登場したとされる。その頃は、ほとんどの生物が水中にすみ、大気は二酸化炭素(CO2)の濃度が高いなど現在の地球に比べれば過酷ともいえる環境だった。その中で身につけて生き抜いた独自の能力が、有用な性質として科学の力で引き出されることになる。

 ミドリムシが最初に注目されたのは、食糧危機が叫ばれた1970年代で、太陽光によりCO2と水から炭水化物を作り出す光合成の能力が買われた。宇宙空間で食糧を生産するなどのアイデアもあったが、応用面では、すでに大量培養が成功していた緑藻の仲間、クロレラが先行した。

 その後も大阪府立大学などで研究が進められるうちに、相次いで優れた性質が明らかになってくる。例えば、他の藻類など微生物が成育不可能な高濃度のCO2、弱酸性の培養液の中でも育つので、培養中に雑菌が混入しにくい。火力発電所の排ガスに15%以上含まれるCO2を引き込んで使えるので、温暖化防止のCO2削減に役立つ。

また、メチオニンなど必須アミノ酸を多く含み高栄養価のうえ、ビタミンCなどほとんどのビタミン類を生合成できる。脳機能を改善するドコサヘキサ塩酸(DHA)など不飽和脂肪酸も多くつくられる。機能性食品としても有用なのだ。

 ミドリムシの研究で知られる同大学名誉教授の中野長久・大阪女子短期大学学長は「アフリカや南アジアの食糧や栄養の不足に悩む国の子供たちのために技術や製品を提供できないか、と考えています」と語る。

次世代のバイオ燃料

  このようなミドリムシの特性の中で極めつきは、新たなバイオエネルギー源としてジェット機の燃料にも使える良質の油分を生産できることだ。

 ミドリムシは酸素の多い環境では、糖分が多数結合した「パラミロン」という物質を体内に多量にため込む。この物質自体は食物繊維としての働きや免疫力向上の機能があるとされる。

 ところが、酸素が少ない環境になると、この物質をもとにした発酵により、脂肪酸とアルコールが結合した油脂状の物質(ワックスエステル)を作り出す。そこから取り出された脂肪酸は比重が軽く、粘りが少ない軽質油の性質があり、ディーゼルエンジン、さらにジェット機の燃料にも混合して使えることが確認されている。・・・」という。

 

 


再生可能なエネルギーに係る記載(その22:日本の太陽光市場1位に 13年、2兆円規模に)

2013-06-13 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

’13-06-13投稿

 既報再生可能なエネルギーに係る記載(その21:「太陽光発電」と「農業」のとってもいい関係 農電併業とは)の引例gooニュース
「太陽光発電」と「農業」のとってもいい関係 農電併業とは
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20130602520.html
産経新聞2013年6月2日(日)によれば、太陽光発電の2013年度買い取り価格は、約1割引き下げられ、10キロワット以上の非住宅用太陽光は1キロワット時あたり税込み37.8円に、10キロワット未満の住宅用太陽光は38円になりました。買い取り期間は、10キロワット未満が10年間、10キロワット以上は20年間の据え置きです。・・・

 南相馬では稲の作付けが制限され、多くの田んぼが荒れた状況です。私たちは南相馬の一部の農家の協力を得て、6カ所で太陽光パネルを設置します。最初のソーラーシェアリングモデルは6月にも着工し完成の予定ですが、 初期投資などコスト面はプロジェクトの総額は約6000万円ですが、そのうちの約半分は自己資金で賄い、残りは借り入れる予定です。パネルの信頼性や国内産業の振興を考え、国産品を購入します。海外メーカーよりも割高で、50キロワットの太陽光発電システム設置で約1700万円の投資であり、パネルの信頼性や国内産業の振興を考え、国産品を購入します。海外メーカーよりも割高で、50キロワットの太陽光発電システム設置で約1700万円の投資という。

 買取価格は38円/kw、パネル価格は34万円/kw

とういうことで、形式的には以前と比べて進んでいるようです。

 47ニュース
日本の太陽光市場1位に 13年、2兆円規模 http://www.47news.jp/CN/201306/CN2013061201001070.html

「【ボン(ドイツ)共同】2013年に日本国内に新規導入される太陽光の発電能力は12年に比べて2・2倍の530万キロワットに拡大し、設備販売額や設置費用などを合計した市場規模が198億ドル(約1兆9100億円)とドイツを抜いて世界1位になる見通しとなった。米調査会社IHSが12日までにまとめた。

 昨年7月に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で太陽光発電の買い取り価格が高めに設定され、導入意欲が高まっているのが急拡大の理由。新規導入量では、中国が日本を上回るが、日本は設備の価格が海外に比べて割高なため、市場規模では1位になるという。2013/06/12 09:39   【共同通信】

関連記事

再生エネ発電量37%に拡大 2030年、英の調査機関試算2013年5月26日【共同通信】

UAEで世界最大級の太陽熱発電 2万戸分の電力供給2013年3月18日【共同通信】

太陽光発電1億キロワット超える ブーム続き4割超の増加2013年2月26日【共同通信】

再生エネで大型原発1基分達成 4~11月に発電開始2012年12月14日【共同通信】

関連記事

Kyodo Zoom固定価格買い取り制度(2011年8月25日)再生可能エネルギーによる発電を普及させるための助成制度。再生エネルギー特別措置法案で、家庭や企業が太陽光や風力などで発電した電力の全量を、発電側に有利な価格で長期間買い取るよう電力会社に義務付けた。費用は「賦課金」として電気料金に上乗せされ、最終的には家庭や企業が負担することになる。コスト増による国内産業の競争力低下を懸念する声も出ている

⇒一昔前はリードしていたが、ドイツに抜かれ、しばらくして、中国にも抜かれ後塵を浴びていましたが、補助のお陰でやっと追いついたようです。

今後は

発電効率など経済性の進展に着目したいと思っています。

個人的には、既報までに記載した断片的な内容をJust-in-timeでわかるように、

 再生エネの発電量(単位の一元化)、普及率と稼働率(単位などによって錯覚しないように)などを一般庶民が見てもわかり易く整理された「見える化」(グラフ化掲示)を期待しています。
おおよそ日本の電力消費は18兆kWh×0.053=0.954≒1兆kWh
                   1,083,142GWh(㌐ワット時)

 

ちなみに、530万キロワット 2兆円 →設置費は38万/kwhか?

太陽光発電の2013年増加分は0.00053%(おおよそ5ppm)でしょうか?

 


再生可能なエネルギーに係る記載(その21:「太陽光発電」と「農業」のとってもいい関係 農電併業とは)

2013-06-03 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

’13-06-03投稿

 既報再生可能なエネルギーに係る記載(その20:再生エネの進展の立ち遅れの挽回に係る雑感)にて記載しましたが、再生可能なエネルギーに係る新しい技術は数々提案されていますが、国民の負担をかけないで、その進展に期待していますが、その量産化は進んでいない?ようです。

 既報でも記載しましたが、妄想?誤解?かもしれませんことを
予め断っておきます。

 その原因として、高い発電コスト、気象条件に加えて、既報(その17):普及阻害要因 電力会社の発電事業者への電力買取拒否の実態で記載したように、わが国の場合、「見える化」が徹底していないため、国民の目の届かないところで再生エネの進展は阻害されているようです。再生エネの進展のために多少金銭的に犠牲を払っても国策として、震災による想定外の出費があると思われますが、積極的支援することが望まれます。送受電、蓄電など周辺インフラの整備が遅れていることも事実か?

 その発電規模はメガソーラー事業と比較して、小さいと思われますが、昨年7月に始まった再生可能エネルギー全量買い取り制度により、太陽光発電は加速度的に普及しているという。

  引用:WWF                                     
本文を詳しく読む>>

再生エネの普及は現状は微か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 関連投稿:
日本の再生可能なエネルギーの現状('10-11-22~'011-07-14)
【追加・再掲】各種エネルギー確保の現状 および原発、再生エネの位置づけに係る情報

gooニュース
「太陽光発電」と「農業」のとってもいい関係 農電併業とは
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/snk20130602520.html
産経新聞2013年6月2日(日)15:04
「昨年7月に始まった再生可能エネルギー全量買い取り制度により、太陽光発電は加速度的に普及しています。そんな中、農業と太陽光発電の可能性について活発に議論されています。4月1日、農林水産省がこれまで農地転用にあたるとして認めていなかった農地への太陽光パネルの設置を認め、その際の認可条件などを公表しました。これはソーラーシェアリング(農電併業)普及への追い風になりそうです。福島県南相馬市での市民力を活かした試みを紹介します。

 太陽光発電の2013年度買い取り価格は、約1割引き下げられ、10キロワット以上の非住宅用太陽光は1キロワット時あたり税込み37.8円に、10キロワット未満の住宅用太陽光は38円になりました。買い取り期間は、10キロワット未満が10年間、10キロワット以上は20年間の据え置きです。価格引き下げは、1キロワットあたりのシステム費用が下がっていることを反映したものです。この制度に基づく認定を受けた再生可能エネルギー全体の設備容量は12年12月末時点で523.6万キロワット。このうち太陽光は470.4キロワット(住宅用太陽光:84.7万キロワット、非住宅用太陽光:385.7万キロワット)に達しています。導入が加速しているのは、今が千載一遇のビジネスチャンスだからでしょう。

 南相馬市の総面積3万9850ヘクタールのうち農地は8400ヘクタールで、2700ヘクタールが津波の被害を受けました。大震災と原発事故に伴う避難で7万人超だった人口が一時1万人近くまで減りましたが、自治体や住民らの地道な取り組みにより、居住制限や帰宅困難な地域はあるものの現在は約4万6000人にまで回復しています。

 しかし、農業の存続について農家や市民らは危機感を感じています。米の作付け制限で農地が使えない、畑作も風評被害で外部に売りにくくなったなど、さまざまな問題を抱えています。

 農水省の許可条件は、太陽光発電を行うためには、農地に支柱を立てて架台を設置し、その下部の農地で農業生産が支障なく継続され、周辺の営農に影響を与えないこと。支柱の基礎部分については一時転用を許可し、期間は3年間。年1回の報告を義務付け、農産物の生産に支障が生じていないかチェックし、問題ない場合は再許可も可能です。この決定に先立ち、千葉県市原市でソーラーシェアリングの実証実験など、いくつかの事例も出ています。

 南相馬市の地元市民らで構成する一般社団法人えこえね南相馬研究機構では、農業と太陽光発電の共生により農業を継続していく可能性を探っています。共生モデルには主に3つの型があります。1つ目は農水省が認可した「ソーラーシェアリング」。2つ目はビニールハウスの屋根や側面を活かした「ハウスdeソーラー」。3つ目は「周縁deソーラー」で、農地の法のりめん面や周縁部などを活かします。

 この活動をサポートするエコ&未来エネルギー研究会南相馬・コーディネータの中山弘氏に伺いました。「南相馬では稲の作付けが制限され、多くの田んぼが荒れた状況です。私たちは南相馬の一部の農家の協力を得て、6カ所で太陽光パネルを設置します。最初のソーラーシェアリングモデルは6月にも着工し完成の予定です」。

 初期投資などコスト面はどうされるのですか? 「プロジェクトの総額は約6000万円ですが、そのうちの約半分は自己資金で賄い、残りは借り入れる予定です。パネルの信頼性や国内産業の振興を考え、国産品を購入します。海外メーカーよりも割高で、50キロワットの太陽光発電システム設置で約1700万円の投資となりますが、売電収入は年間210万円ほどになります。売電価格からローン返済などを差し引いて、1反(約1000平方メートル)あたり実収入30万円を確保したい。初期投資の回収は10年が目標です」

 ソーラーシェアと作物との関係ですが、植物にとって一定の光の強さ以上の太陽光は光合成に利用されず、強すぎる太陽光は葉が焼けたり枯れたりするなど有害となる場合もあります。そこで、上部に設置する太陽光パネルの面積を抑えることで必要とする光量を確保しながら、生育や収量への影響が少ないような作物と栽培法を選択することが大切です。6カ所で成功モデルを作り、南相馬の他の農家にも呼びかけ輪を広げていく計画です。ちなみにハウスdeソーラーも、農作業と収量に影響が少なければソーラーシェアリングに準じた考え方で、実現可能な見通しです。しかし、法面やあぜに関しては優良農地での転用は認められておらず、今のところパネルの設置は難しい見通しです。「今年度中には、経産省と農水省に再生可能エネルギー推進モデル地区として申請したいと思っています。市民力を活かした農業と再エネとの共生により、震災復興と地域の活性化を図りたい」(中山氏)

 日本の農地は455万ヘクタールほどで国土の約12%に過ぎず、食料の自給という観点からこの農地を維持することは大切です。一方、農家の収入が他産業よりも低いことから就農者は減少し続けています。海外の農産品に対して価格競争力が低いという問題もあります。

 政府がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加で将来の農業への影響が懸念される中、太陽光発電との共生は日本の農業を強くするための切り札になる可能性があります。農家にとっては経済的な効果だけでなく、パネルによる遮光効果で湿度が維持でき微生物の活動を助け良い土をつくりやすい環境になる、日照りを制限し夏の農作業が楽になるなどのメリットも言われています。

 一方で、課題もあります。たとえば、作物を作るより電気を作った方が反当たりの収入が増えるので、営農への意欲が削がれるのではといった懸念の声も出ています。作物への影響を検証し農業関係者の理解を得ていくこと、さらに国民に農家が売電収入を得ることを納得してもらうことも必要です。いろいろ課題はありますが、まずは第一歩を踏み出すことが大事でしょう。南相馬での試みが他の地域でも適用できるモデルとなることを期待しています。私も機会あればぜひ現場を見に行きたいです。(松本真由美)

 ◆まつもと・まゆみ 東京大学教養学部客員准教授(環境エネルギー科学特別部門)。上智大学在学中からテレビ朝日のニュース番組に出演。NHK-BS1ワールドニュースキャスターなどを務める。環境コミュニケーション、環境とエネルギーの視点から持続可能な社会のあり方を研究する傍ら、シンポジウムのコーディネーターや講演、執筆活動などを行っている。NPO法人国際環境経済研究所(IEEI)理事。」という。

⇒個人的には、既報までに記載した断片的な内容をJust-in-timeでわかるように、

 再生エネの発電量(単位の一元化)、普及率と稼働率(単位などによって錯覚しないように)などを一般庶民が見てもわかり易く整理された「見える化」(グラフ化掲示)を期待しています。

一例として、

発電効率など経済性の進展を知るためには

既報(その16):サハラ砂漠の2%で世界の電力をまかなう高効率太陽光発電 「おおよそ、高受光エネルギー(2倍)、高光電変換効率(30%)によって、わが国で市販されている一般的なシリコン太陽電池(15%)の4倍の発電量?が推定され、かつコンピュータ制御して熱も回収する」と想っています。 
 サハラ砂漠の面積は9,400,000 km² (google検索から引用)であり、
その2%は約20万km²
ということから、わが国の半分強

日本の農地は455万ヘクタールほどで国土の約12%
サハラ砂漠と比較してどうか?

南相馬市の総面積3万9850ヘクタールのうち農地は8400ヘクタール。

 既報(その15)の引例の記載によれば、「全世界で使用している電力は年間18兆kWh(100万キロワットの発電所にして2000基)という。

ウィキペディアによれば、消費電力 - Wikipedia

 

「2008年には日本では1,083,142GWh(㌐ワット時)の電力が消費された。これは世界で3 番目の消費量であり、全世界消費量5.3%であった。最大の電力消費国はアメリカで4,401,698GWhで全世界の22%、次が中国の3,444,108GWh(17%対世界)。」という。

⇒おおよそ日本の電力消費は18兆kWh×0.053=0.954≒1兆kWh
                   1,083,142GWh(㌐ワット時)

50キロワットの太陽光発電システム設置で約1700万円の投資。

初期投資の回収は10年が目標

補助期間

など見えてくると思われます。

 追加・修正予定。

参考投稿:
再生可能なエネルギーに係る記載(その19:再生エネの進展には普及状況の見える化と国民総意が必要か?)

関連投稿:
食糧およびエネルギーの自給率をあげる抜本改革を望みます。
異常気象、有事に強い工業的な農林水産技術の発展を期待します。


再生可能なエネルギーに係る記載(その20:再生エネの進展の立ち遅れの挽回に係る雑感)

2013-05-29 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

’13-05-29投稿

 既報(その19)にて記載しましたが、再生可能なエネルギーに係る新しい技術は数々提案されていますが、国民の負担をかけないで、その進展に期待していますが、その量産化は進んでいない?ようです。

関連投稿:
日本の再生可能なエネルギーの現状に係る記載(その4:「再生可能エネルギー」最新記事一覧)(2012-10-29)

既報でも記載しましたが、妄想?誤解?かもしれませんことを
予め断っておきます。

 仮に、3.11の原発事故がなかった場合はどうなっているか?考えてみました。

 CO2を排出しなく、安定固定電力源として優れ、気象条件に左右されない発電方法として、原発の拡大が再生エネの進展など二の次にして進んでいるものと推察されます。

 大地震・大津波による事故によって、今まで安全神話によって衆知されていなかった原発の脆弱性が露呈したのも事実ですが、それにしても 、3.11後、これだけ地震が世界中で発生し続けるとは思っていませんでしたが、もう一度、想定外の周期で巨大地震に直撃されたらと思うと、原発周辺地域の人々の安否が気遣われます。

 それにしても、再生エネが進展しないのは、「やはり高い電気代」に他ならないと思われます。

確かに、日照時間が短く太陽光発電には不利なわが国では、メガソーラーのみならず、家庭用でも進展し難いと思われます。

 また、風力発電にしても、ヨーロッパなどと比較して、安定した均等な風力が得られにくいため同様か?

 既報(その19):再生エネの進展には普及状況の見える化と国民総意が必要か?とも思われますが、現実問題として、既報(その17):普及阻害要因 電力会社の発電事業者への電力買取拒否の実態で記載したように、わが国の場合、「見える化」が徹底していないため、国民の目の届かないところで再生エネの進展は阻害されているようです。再生エネの進展のために多少金銭的に犠牲を払っても国策として、震災による想定外の出費があると思われますが、送受電、蓄電など周辺インフラの整備が遅れていることも事実か?

 一方、
 海外に目を向けると、(その16):サハラ砂漠の2%で世界の電力をまかなう高効率太陽光発電の夢のプロジェクトが始まりつつあり、トータルコスト的に成功するか否かは現状不明ですが、わが国と比べて日照時間が優位な地域においては進展しています。
 おおよそ、高受光エネルギー(2倍)、高光電変換効率(30%)によって、わが国で市販されている一般的なシリコン太陽電池(15%)の4倍の発電量?が推定され、かつコンピュータ制御して熱も回収するという。 
まさしく夢の発電と思われますが、 
 サハラ砂漠の面積は9,400,000 km² (google検索から引用)であり、その2%は約20万km²ということから、わが国の半分強で本当にいけるのだろうか?

 既報(その15)の引例の記載によれば、全世界で使用している電力は年間18兆kWh。100万キロワットの発電所にして2000基という。

 超伝導直流送電による送受電、燃料電池、二次電池による蓄電など周辺インフラの整備が完備されれば、未来永劫、電気には困らなくなるのだろうか?

 個人的には、淡水の供給に係るコスト負担と高効率太陽電池に使用する材料(詳細組成は不詳)の枯渇、高騰が気になるところですが、・・・。
参考関連投稿:
「水」とはどのようにあるべきか?に係る記載(その4:低コストな安全な水の供給に対する現状と問題点)(2013-03-31) 

 また、(その18):豪州で低コストな有機太陽電池の大型化に成功によれば、量産化の苦労話もネタされ今後の進展すら髣髴されます。低コストな有機太陽電池の量産化および広幅化の進展と光電変換効率がシリコン系太陽電池並みになれば、「エネルギー革命」が起こるのだろうか?
 現状のシリコン太陽電池に使用するシリコン(珪素:Si)は既報「珪藻土」と「もみ殻」で金属ケイ素の低コスト化に係る記載によれば太陽光発電用金属ケイ素の約90%は電気代の安い中国という。
 
 再生可能なエネルギーによる発電として、個人的には、既報日本の再生可能なエネルギーの現状に係る記載(その3:比率拡大時の問題点)に記載しました微生物を利用した人工の「メタン」「オイル」「水素」などのバイオマスの量産化技術の発展、小規模水力発電に着目していますが、
ウイキペディアによれば、
地熱発電、潮力発電 、波力発電、 他、記載されています。詳しく見る>>
適材適所の進展を期待していますが、現状どのようになっているのだろうか?
個人的には、よくわかりません。
参考投稿:
今までの「再生可能なエネルギーに係る投稿」の整理('11-5-21~'12-2-29)
 10数年前、技術的に優位に立っていたわが国の再生可能なエネルギー技術は量産化技術の立ち遅れ、恵まれない気象条件、島国のためヨーロッパなどと比べて電力の融通性に欠けること、原子力関連への偏重予算に加えて、大手電力会社になどによる発電事業者への電力買取拒否などからみて、および、ドイツ、中国などに後塵を浴びている現状から、再生可能なエネルギーの進展に係る積極的な政策誘導的な支援の成果すら見えません。

 「やはり高い」発電コストを脱却しなければならないのだろうか?

 日本の再生可能なエネルギーの現状に係る記載(その)の参考情報に記載したような画期的な発電方法による低コストな手法の進展が必要か?

 また、四方海で囲まれ多国間の電力融通性の不利を克服するため、既報で記載した水陸両用車を活用して太陽光発電二次電池(蓄電池)などとハイブリッドで、わが国の先端技術を集結して、排他的経済水域である海を有効に活用して開発していくことが望まれます。

 それにしても、3.11後の苦しい台所の現状であるにしても、国が唯一無二として進展を率先しないのは、
やはり、(その12):米 エイモリー・ロビンス氏のビジョンで言う「発電所を造れば造るほどもうかるという電気料金制度にも大きな問題がある。・・・大規模集中型のエネルギーシステムやそれを支える政策から決別し、原子力などへの補助金をやめて、フェアな競争を実現しなければならない。
 
政治家は勇気を持つべきだ。もし、日本人が省エネと再生可能エネルギーに多大な投資をし、得られたものを周辺の国と共有できれば、日本は世界に大きな貢献ができるだろう」を信じて、あくまで一時凌ぎの目先の収支に拘り、国防のために原発を捨てきれないこともあると想われますが、小さな発電でも(その5):再生可能エネルギー利用推進の村などを国を挙げて、極力バックアップする姿勢が重要か?と思われます。

 画期的な再生エネの夢のビッグプロジェクト、既報(その15):Mgを媒体とした発電・蓄電の現状と将来への展望によれば、
「・・・現在の火力発電所の燃料をMgに替えることができれば、蒸気タービンで発電する現在の化石燃料の代わりに“リサイクル可能な石炭”としてMgを使うこともできるので、既存のシステムを継承することができます。
 また、Mgは引火の危険がないため、大量のエネルギー貯蔵には向いている物質です。

 別の利用方法はマグネシウム燃料電池(空気電池)です。・・・リチウム原子の性能が、比容量3.83Ah/g、酸化還元電位3Vであるので、最高11.5kWh/kgが可能としても、500km走行可能な100kWhの電池を搭載する自動車が、現在世界中にある9億台に達するには、780万トンのリチウムが必要となる計算です。これに対してリチウム埋蔵量1100万トンは、余りにも少ない。・・・

還元剤無しでMgを還元することは、そう容易なことではないのです。MgOの還元は蒸発の潜熱や分解に要するエネルギーに打ち勝ちながら、4000度という高温を実現しなければなりません。このエネルギーを単純に温度に換算すると2万度近くにもなります。
 このエネルギーを太陽光で賄おうとしても、ただ太陽光を集めるだけでは、このような分解を達成できないことは明らかです。

 確かに太陽炉内で4000度近い高温を実現したという報告はありますが、これは単に加熱して到達した温度(顕熱)だけです。先に述べたように、蒸発・分解に要するエネルギーは顕熱に比べ桁違いに大きいので、その状態で物質を高温に保つことは不可能なのです。
 私は、この太陽光をレーザーに変えることができれば、更にエネルギー集中を高め、超高温を実現することができるであろうと考えました。加えて、レーザーでは容器全体を暖めずに局所的に高温を実現できるので、炉壁が超高温となることは無いというメリットがあります。・・・トルコでテストプラント建設がスタートしています。今後1年以内に、世界が驚くシステムが出現するでしょう(更に詳しい解説は、日経サイエンス6)とPHP新書7)をご覧ください)。・・・」という。

 このプロジェクトですら、中東で実施するのは太陽光励起レーザーの日照時間を稼ぐためなのだろうか? 

まえがきが長くなりましたが、
相変わらず進展しない体たらくの実情に係る記載を調べました。

msn産経ニュース

メガソーラー暗雲 売電申請の7割、門前払いも2013.5.26 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130526/biz13052616260003-n1.htm

電力会社「容量オーバー」/事業者「商売敵の排除だ」

 
 太陽光など再生可能エネルギーで作った電力を電力会社が固定価格で買い取る制度がスタートして約11カ月。異業種の参入が相次いだ大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業が曲がり角を迎えている。建設計画が集中する北海道では、ソフトバンクなど事業者による売電申請の7割以上が門前払いされる可能性が出てきた。北海道電力の送電網に接続できる容量に限界があるためだが、高めの買い取り価格の設定で売電申請の殺到を招いた制度上の問題を指摘する声もある。

  ソフトバンクは北海道安平町と八雲町の計3カ所で計画するメガソーラーの建設について、中止も含む見直しを決めた。合計18万キロワット以上の発電を予定していたが「北海道電から『(送電網に)接続できないものが出る』と通告された」(ソフトバンク関係者)という。苫小牧市と釧路市の計3カ所で計4万4千キロワットのメガソーラーを計画する神戸物産も「計画を断念する可能性がある」と困惑を隠せない。

 北海道電は4月、固定価格買い取り制度導入に伴う大規模な太陽光発電の受け入れは、出力2千キロワット以上で40万キロワット程度が限度と発表。国から設備の認定を受けた事業者から87件、計156.8万キロワットの購入申し込みがあり、受け入れは申し込み順で判断する方針だ。

太陽光発電は天候次第で出力が変わる。電力の需要と供給の均衡が崩れると停電が発生する恐れもあるため、電力会社は火力発電の出力を増減させて需給バランスをとっている。北海道電は容量の限度を「技術的に制御できる限界」とし、理解を求める。

 資源エネルギー庁によると、昨年12月末現在のメガソーラーの認定状況を都道府県別でみると北海道がトップで、全体の25.9%を占める。広い土地が安く手に入りやすいためだ。

 経済産業省は約200億円を投じ、北海道電の変電所に世界最大級となる容量6万キロワット時程度の大型蓄電池を設置する対策を決定。蓄電池で受け入れ容量の拡大を狙うが、事業者の計画が再考を迫られる状況に変わりはない。

 送電網への接続が障害になる問題は北海道に限らない。再生可能エネを推進する財団法人自然エネルギー財団(東京都港区)が国内の太陽光発電事業者252社を対象に実施したアンケートでは、79社が回答を寄せ、2割に当たる15社が送電網の容量オーバーなどを理由に電力会社に接続を拒否されたと答えた。

 買い取り制度の根拠法では、再生エネ事業者からの申し出があれば、送電網に接続するよう電力会社に義務づけたが、一方で「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずる恐れがあるとき」は例外を認めている。

事業者側には、例外規定を盾に電力会社が商売敵になりかねない事業者の排除に動いていると映り、ソフトバンクの孫正義社長も「北海道電だけでなく、他の電力会社も同様に上限を設けて拒否する構えだ」と批判する。

 買い取り制度が始まったのは昨年7月。再生エネの普及に向けて大型投資を呼び込もうと、事業者がもうかる仕組みにした。中でも割高の価格設定となった太陽光では、用地が確保できれば、建設期間が比較的短くて済むため、メガソーラーへの参入が急増した。

 エネルギー政策に詳しい21世紀政策研究所の沢昭裕研究主幹は「北海道の問題は買い取り価格を決めて、量をコントロールしない制度の限界を露呈した。まずは各地域で必要な量を決めて、安く発電する事業者から電力を買う仕組みに見直すべきだ」と指摘している。」

 

 

 


再生可能なエネルギーに係る記載(その19:再生エネの進展には普及状況の見える化と国民総意が必要か?)

2013-05-24 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

2013-05-24 投稿

 エネルギー産業はその時々の社会の求める環境保全、エネルギー確保に係る安全性によって石炭火力→大規模水力ダム→天然ガス、原子力と盛衰してきました。

 わが国では原発事故後、地震大国であり原子力発電に対する安全性の確保、使用済み燃料棒の処置など数多くの問題を抱えています。

 再生エネルギーへの進展を今まで以上に期待している一人ですが、資源の枯渇と掘り尽くしによる地盤沈下などを考慮しなければ、今現在では化石燃料を使った火力発電方法がコスト的にも、エネルギー確保においても、手っ取りばやい方法なため、なかなか進展しないのも事実であると思っています。
 これは日本国民の特質もしくは哲学なのだろうか?特に、現在、経営トップで君臨する経営者、官僚の今までの収支至上主義の名残りだろうか???

 
 今後、更なる円安傾向によって輸入化石燃料の高騰が顕在化すれば、燃料輸入による赤字が年間3兆円以上のというが、今後、5兆円以上にも昇るのか?
 したがって、火力発電以上に、設備および燃料が凍結されているもっと手っ取り早い原発再稼動に対する電力各社の要求が高まってくると予想されます。
 数年前ガソリンが高騰して車を乗るにも躊躇したことも記憶に新しい。

 しかし、巨大地震が発生していない米国、欧州と比べて、わが国においてはいったん3.11並の天変地異が発生すれば、福島原発の被災状況で明らかになりつつある現状から、すなわち、国内54のうちのひとつが地震・津波によって破壊しただけで、後処理に半世紀もかかるともいう。

参考投稿:
福島第一原発 トリチウム汚染水の海洋放出に半世紀以上!?という。 環境水の性状異変に影響するのか?

地異に係る記載(その25:<追加>大規模な地盤陥没・地割れ地域では巨大地震は発生しないのだろうか?)
(2013-05-13)

 10数年来、数多く提案されている再生可能なエネルギーですが、量産化、コスト的にも見合って商品化の目処が立っているのは太陽光、風力、バイオマス、小規模水力、地熱と想っていますが、如何せん、わが国の主導的な再生エネルギーの導入促進への動機付けは見られません。

 関連投稿:買い取り法案に係る感想 先に、表明した2020年までに再生可能なエネルギー20%のシナリオ、2020年CO2 25%減の国際公約を今後どのように展開するのか?
事業者優先法なので、一部の事業団体との癒着が生じないように、現状の原発(含む、廃棄物処理費など)を含めた現行発電方法(火力、水力、・・・)および実績のある最新の太陽光、風力発電などの
発電原価(コスト)と
買い取り価格を俎上に挙げて正確に認識する必要があると想われます。
差額は国民の電気代
に跳ねります。

 唯一わかるのは数年以上前の普及状況の公開努力しかしていません。 それだけ、国家が今後のエネルギー自給に関して責任を負っていない?とも想われます。それはそうでしょう。今まで54の原発を設置していますから・・・。当然、その地域の政治家、官僚はその地域のエネルギー変換に伴う不利益の防護を立場的に優先するでしょう。

 関連投稿:
今までの「再生可能なエネルギーに係る投稿」の整理('11-5-21~'12-2-29)

 10数年前、技術的に優位に立っていたわが国の再生可能なエネルギー技術は量産化技術の立ち遅れ、恵まれない気象条件、島国のためヨーロッパなどと比べて電力の融通性に欠けること、原子力関連への偏重予算に加えて、大手電力会社になどによる発電事業者への電力買取拒否などからみて、再生可能なエネルギーの進展に係る積極的な政策誘導的な支援のかけらすら見えません。
参考投稿:再生可能なエネルギーに係る記載(その17:普及阻害要因 電力会社の発電事業者への電力買取拒否の実態 )から明らかなように、
日本は再生可能エネルギーの普及拡大を阻害しています。
 
 日本では現在、発電量に占める再生可能エネルギーの割合は3%程度に留まっています。WWF気候変動プログラムの池原庸介は「気候変動問題の解決とエネルギー安全保障を見据え、全量固定価格買取制度などを適切なかたちで早期に導入し、再生可能エネルギーの大幅な普及拡大を図っていく必要がある」とコメントしています。・・・

 
                                        
 <<本文を詳しく読む>>

とにかく、結果が全て。結果が10年後では遅い。

 現状の数%?からどのくらい増加、稼動率が推移しているか?掲示板、等での わかり易い「見える化」によって 再生可能エネルギーによる発電量が世界各国と比較して、今後どのように、進展しているか?も含めて 国民がわかるようなシステムがほしいところです。

参考までに、概念的な再生エネの現状と普及予測は

 わが国のみならず、既報世界の電源別普及率から、
 ヨーロッパ電力圏では、依然として原子力の比率が比較的高いことに驚かされる。また日本の電力源はイメージとして水力が他の国に比べ多いのかと思っていたが、ヨーロッパの方が大きい。日本のその他(自然エネルギーなど)はとても少ないが、ヨーロッパでもイメージ程大きくない。

 これは原発保有による国防的な効果も推察されます。このままでは、世界各国との立ち遅れが、今まで以上になることが推察されます。 


 再生可能なエネルギーの普及はひとえに、国家百年の大計

 参考投稿:再生可能なエネルギーに係る記載(2050年100%のシナリオ)
 WWF出典の
2050までに100%の再生エネルギー

政策と国民の総意にかかっていると想われます。

 現状、わが国以外の再生エネの進展の優位性がやけに目に付きますが、実際はそうでないことも、掲示板、等での わかり易い「見える化」によって正しく把握できると思います。

 
 再生エネルギーの普及に関して、海外の情報が個人的には感じています?

 再生可能なエネルギーに係る記載(その16:サハラ砂漠の2%で世界の電力をまかなう高効率太陽光発電)によれば、通常の太陽光発電では太陽光のうち最大30%しか利用できないが、IBMは残りの7割の多くを熱として再利用することで、システム全体の熱損失を入射エネルギーの約20%まで減らせる「HCPVT(High Concentration Photovoltaic Thermal)」を開発して、1平方センチメートルの太陽電池チップ1枚で日中に平均200~250Wの電力が生成され、これは入射した太陽光のうち最大30%を利用していることになるという。
サハラ砂漠は日照時間(受光エネルギー)は当然わが国と比べて大きいわけで太陽光発電のメリットは大きく、わが国の日照時間は東南アジア、中東などと比較して短いので、このようなプロジェクトには不向き?なようです。

参考投稿:
「珪藻土」と「もみ殻」で金属ケイ素の低コスト化
 太陽光発電用金属ケイ素の約90%は電気代の安い中国
「世界の日照データ」
 わが国の日照時間は東南アジア、中東などと比較して短い

 また、再生可能なエネルギーに係る記載(その18:豪州で低コストな有機太陽電池の大型化に成功 )によれば、有機系の太陽電池の大型化すなわち量産化に成功して1平方mあたり10~50Wの電力を生みだし、改良によってシリコン系よりもエネルギー効率を高めることが可能であると考えられています。

 既報再生可能なエネルギーに係る記載(その15:Mgを媒体とした発電・蓄電の現状と将来への展望)で記載したように、全世界で使用している電力は年間18兆kWh。100万キロワットの発電所にして2000基分です。
 トルコでテストプラント建設がスタートという。中東で実施するのは太陽光励起レーザーの日照時間を稼ぐためなのだろうか?資源の乏しいわが国ではたとえ日照データのハンデがあるにしても、積極的に取り組んでもよさそうにも思えますが・・・。

 引き続き追加・更新予定です。

 


再生可能なエネルギーに係る記載(その18:豪州で低コストな有機太陽電池の大型化に成功 )

2013-05-21 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

'13-05-21投稿

 既報低コストかつフレキシブルな「有機太陽電池」の成長を期待します。(2010-09-05)

以前の「三菱ケミカルホールディングスの広告記事によれば、「太陽電池の市場規模は、現在2兆-3兆円、2015年には10兆円に達するといわれています。現状、住宅屋根に使われている太陽電池は、ガラス基板に結晶シリコンの半導体を載せたもので、市場の9割近くを占めています。
  
三菱化学は材料も製造法も異なる、塗布変換型有機化合物を塗布する太陽電池(OPV)を世界で初めて開発。従って工場や駅舎のスレート屋根等、重い太陽電池パネルを設置するには強度の足りない建物にも設置可能なほか、自動車にも貼れるなど、太陽電池の用途が大きく広がります。また、輪転機で印刷するように量産することも可能で、

 

三菱化学HPより引用   」と期待していましたが、

参考関連投稿:今までの「再生可能なエネルギーに係る投稿」の整理('11-5-21~'12-2-29)

 オーストラリアでも開発がされたという。

太陽電池をA3サイズのプラ板やスチール板に印刷する新たな技術が開発進行中 - GIGAZINE  2013-05 2021:13
http://ceron.jp/url/gigazine.net/news/20130520-vicosc/
(一部割愛しました。)

「実際に太陽電池がプリントアウトされている様子は以下のムービーから見ることができます。 Printing Australia's largest solar cells - YouTube VICOSCと呼ばれるこの研究はオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)とメルボルン大学、モナッシュ大学と産業パートナーの連携によって行われたもの。VICOSCはA3サイズの有機系太陽電池を印刷可能にして 従来の印刷技術を使用し、太陽電池をプラスチック板や金属板に印刷することで、柔軟かつ低コストな太陽電池を作ろうという試みがオーストラリアで行われています。この新技術で生み出される太陽電池は紙のような薄さで、高層ビルの壁面への設置やノートPC用ケースへの埋め込みなど、多様なシーンでの利用に向けての実用化が期待されています。

VICOSCと呼ばれるこの研究はオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)とメルボルン大学、モナッシュ大学と産業パートナーの連携によって行われたもの。VICOSCはA3サイズの有機系太陽電池を印刷可能にしており、研究者のScott Watkinsさんは「このサイズの太陽電池は私達に多くのことを可能にします」と語っています。実用化すれば、宣伝広告として利用したり、ライトの電力供給に用いたり、ノートPCのケースに埋め込んで充電を行うことも可能になるとのこと。

この太陽電池には20万オーストラリアドル(約2000万円)の価値があり、研究チームは爪ほどのサイズの太陽電池を3年間で10平方cmにすることに成功。新たなプリンターでは幅30cmの太陽電池の作成が可能になりました。

研究を行っているメルボルン大学のDavid Jonesさんは「我々は、あなたたちがTシャツにイメージをプリントするのと同じ技術を使っているのです」と語っており、このプロジェクトの偉大な点の一つが、入手しやすい、既存の印刷技術を使っていることだとしています。印刷には有機インクを使い、分速10mの速さで紙と同様の薄さにした鋼鉄やプラスチックの上に太陽電池をプリントアウトしていきます。これはつまり、2秒ごとに1つの太陽電池を作成している計算。非常に薄いため、実用化すれば太陽電池を直接プリントした素材を使って高層ビルを建てることも可能になります。

太陽電池にはシリコン系、化合物系、有機系などのタイプがあるのですが、VICOSCで採用されている有機系の太陽電池1平方mあたり10~50Wの電力を生みだし、改良によってシリコン系よりもエネルギー効率を高めることが可能であると考えられています。

プロジェクトは現在の産業パートナーに焦点を当てた開発を行っていますが、パイロット版やプログラムを運営していく中で他の企業とも手を組む可能性もあるとのことです。

・関連記事
2013年に世界を変えるであろう10個のテクノロジー - GIGAZINE

世界で利用する電力をカバーするのにどれくらいの太陽電池が必要かを表す地図 - GIGAZINE

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持ち歩き可能でPCやテレビを動かせるソーラー発電ユニット「The Forty2」 - GIGAZINE

全面が太陽電池パネルに覆われたすごいビル - GIGAZINE   」

⇒今後の進展がどのようになるか着目すべきエポックだと思われます。
 腕時計、ポケット計算機など小サイズには古くから利用されてきましたが、今回量産化に成功した有機系の太陽電池1平方mあたり10~50Wの電力を生みだし、改良によってシリコン系よりもエネルギー効率を高めることが可能であるとのことです。

 光電変換効率がシリコン系と比較して、詳細は不詳ですが、1平方mあたり10~50Wとのことから、現状、数%~10%くらいか?かと推察されますが、低コストに加えて、シリコン系の10数%前後まで改良されれば、太陽電池の普及は格段に進むと思われます。

 


再生可能なエネルギーに係る記載(その17:普及阻害要因 電力会社の発電事業者への電力買取拒否の実態 )

2013-05-20 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

'13-05ー20投稿

既報にも記載しましたが、新たな有望な化石燃料の創出などで当面凌ぐとしても、将来的には必ず有限であり、時期は個人的には不詳ですが、結果として化石燃料が高騰かつ枯渇することは必然であり、
 特に、わが国は電気の融通に関しても陸の孤島というハンデキャップをもち、かつ地震国なので耐震性のある発電手法を実施せざるを得ずコスト高にもつながり、その推進が難しいと思われますが、計画的に再生可能なエネルギーを増大せざるを得ないのでは?と思われます。

  日本の再生可能なエネルギーの現状に係る記載(その)の参考情報に記載したような画期的な発電方法の開発によって、低トータルコストな手法の進展が必要か?と思っています。

 異常気象など天変地異が日常化しつつある現状。

関連投稿:
異常気象など天変地異に係る投稿(その4 '13-01-03~'13-03-19)

 安定かつ平均的に効率的に利用できる太陽光、風力、水力などの自然が失われつつあり、以前にもまして自然エネルギーを有効に利用しなければならないと思われます。

 上記の技術的な問題点以外に、さまざま問題点も指摘されています。

既報、 今までの「再生可能なエネルギーに係る投稿」の整理('11-5-21~'12-2-29)の引例、

現状の問題点として、
ITmedia総合 「再生可能エネルギー」の記載によれば、
本文詳しく読む
 
太陽光発電や風力発電を電力源として大きく成長させるにはどうすればよいのか。1つの解が「固定価格買い取り制度(FIT)」だ。FITが他の制度よりも効果的なことは、海外の導入例から実証済みだが、問題もある。その問題とは電気料金が2倍になることだろうか、それとも……。「小寺信良のEnergy Future」、今回はFITにまつわる誤解を解き、FIT以外にも日本のエネルギー政策に大きな穴があるという。買い取り価格は、1kWh当たり太陽光が40円。バイオマスは32円、風力は22円*1)。向こう20年間、買い取り価格を固定する*2)ことで、発電事業の安定性を確保する狙いという。
 

関連投稿:再生可能なエネルギー進展時の問題点
(その2:太陽光発電進展時の問題点) (その3:比率拡大時の問題点)

 
 今回は、再生エネ普及の壁になっているという太陽光発電事業者への電力買取拒否の実態に係る記載を調べました。

msnトピックス
2013年5月18日 13:50 (サイゾー)
 
大手電力会社、多発する太陽光発電事業者への電力買取拒否の実態
 再生エネ普及の壁に
http://topics.jp.msn.com/wadai/cyzo/article.aspx?articleid=1845184
(一部割愛しました。)
「 昨年7月1日にスタートした「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、太陽光、風力、バイオマスなどの自然エネルギーで発電された電気を、電気事業者(いわゆる電力会社)が国の定める価格で買い取る制度だ。これにより、特に太陽光発電事業への新規参入が続いている。

 電力会社は太陽光発電事業者の電力を全量買い取らなければならないのだが、法律には例外規定が設けられており、「買取拒否」と送配電ネットワークへの「接続拒否」が認められている。これは新制度がスタートする前から問題点として指摘されていたのだが、自然エネルギー財団が実施した「太陽光発電の系統接続に関する事業者アンケート」によると、その懸念はかなり現実のものとなっているようだ。

アンケートに回答した太陽光発電事業者79社のうち、事前相談段階で電力会社から系統連系が拒否されたケースが15件、また連系制限があるとの回答を受けたケースが28件あった。また、大幅な設備容量の縮小要請や遠い連系点への接続要請などもあり、実質的に事業を断念せざるを得ないケースも多発している。
 
電力会社の関連企業丸儲けの構図
 
ここで、自然エネルギー事業者(ほとんどは太陽光発電事業者)と電力会社の契約について、簡単に触れておく。

 発電した電力を電力会社に買い取ってもらうためには、電力会社との間で「特定契約」という買い取りの条件などを規定した契約を結ぶ必要がある。発電量が契約よりも少なかった場合に、電力会社が不足分を補給する必要があり、その費用を発電する側が負担することに合意しなくてはならない。合意しない場合は、電力会社は買い取りを拒否することができる。それから、太陽光や風力などは気象条件によって発電量が安定しない弱点があるが、その不安定さによって、電力会社が適切なサービスを利用者に提供できなくなるおそれがある場合には、買い取りを拒否できることになっている。

電力ネットワークへの「接続」は、電力会社の送配電ネットワークを借用することを意味する。日本の送配電ネットワークのほとんどは地域別の電力会社が所有しており、発電した電力を利用者である一般消費者に送るためには、電力会社のネットワークを使う必要がある。」
 
 ここでも問題が起きる。まず、太陽光発電事業者の発電設備と電力ネットワークをつなぐための「電源線」の敷設費用負担だ。たいていの場合、電力会社が敷設工事を担当し、その費用は発電者側が負担しなくてはならない。しかし、ほとんどのケースで工事は電力会社の関連会社が行っているため、発電事業者側には金額や工期の妥当性を確認できる仕組みがない。発電事業者にすれば、複数の会社から見積もりを取って、安い会社に工事を発注できれば負担が少なくて済むのだが、電力会社側の言い値のような高い工事金額で契約させられているのだ。アンケートの回答の中には「連系工事負担金が当初よりも20倍もの高額で示された」なんていう、とんでもないケースもあった。
 
さらに、電力会社の事情によって、地域内の電力供給量が需要を上回ることが想定される場合、あるいは送電する量がネットワークの許容範囲を超えることが想定される場合には、受け入れる電力を減らしたり、接続を拒否したりすることができる。いずれの場合でも電力会社は明確な根拠を書面で説明するように義務付けられているのだが、その根拠に反論して状況を覆すことはほとんど不可能だ。

 このほか、公道内に送電線の敷設工事をする必要があっても発電事業者側では工事ができないため、電力会社に工事を依頼したが拒否されてできなかったというケースや、電力供給開始後に問題が起きて、発電事業者に追加の費用負担が発生するというケースなど、さまざまな問題がある。

接続手続きにかかる期間も長い。電力会社ごと、あるいは営業所ごとでばらつきがあるものの、連系協議にかかる時間は平均2.6カ月。4カ月以上たっても電力会社から回答がないケースもあったという。事前相談(平均1カ月)と特定契約(平均1.5カ月)の期間を合わせると、電力の買い取りまでに太陽光発電事業者は半年近い交渉を強いられることになる。

電力会社寄りの仲裁機関・電力系統利用協議会
 
太陽光発電事業者と電力会社の契約をめぐるさまざまな問題は、以前から漏れ伝えられていたものの、太陽光発電事業者は弱い立場に置かれているため、公にその不満を口にすることはできなかった。自然エネルギー財団はその点を考慮して、匿名でアンケートを実施したところ、電力会社のあこぎな実態が浮かび上がったというわけである。

 経済産業省のOBはアンケート結果を見て、次のように話す。

「電力会社の中でも昔からひどかったのは、東北電力と北海道電力。新しい電気事業者の接続なんて最初から受け付ける気がなかったようにすら見えた。中部電力も九州電力もひどかったけど、こう言ったら電力会社全部になってしまう。ただ、東京電力なんかは他に比べればマシなほうで、結局、首都圏は電力の大消費地だから、電気事業者から買っても消費されるということですね。それに、オール電化住宅を推進していたということもあるでしょう」

 さて、太陽光発電業者などが不利な立場に置かれた場合、実は、その旨を訴えるための仲裁機関がある。電力系統利用協議会(ESCJ)という一般社団法人だ。ESCJのWebサイトの事業概要には「相談、苦情、紛争解決」とある。そして「送配電等業務の公平性・透明性確保の原則、関係法令、上記ルール等に基づいて、送配電等業務の円滑な実施を確保するために必要な相談、苦情の処理、あっせん、調停および指導・勧告を行います」と書いてある。

 このESCJが正常に機能していれば、太陽光発電事業者らの不満も解消されたのだろうが、実際にはまったく機能していない。中立機関であるにもかかわらず、何を申し立ててもほとんど電力会社寄りの解決しかしないことで知られているからだ。前出の経産省OBはこう説明する。

「ESCJは04年2月に有限責任中間法人として設立されたのですが、理事の何人かは六ヶ所村の再処理施設工場の視察に招待されて、その後に浅虫温泉(青森県)で大変な接待を受けていたのを覚えています。だから、皆さん原発賛成派です。昔はなかなか良い論文を発表していた人たちですが……。ESCJは『電力自由化のフェアプレーのために』なんて看板を掲げていますが、実態はまったく逆で、電力自由化の阻害要因です」

 ESCJの役員や職員は電力会社から出向してきた人や電力会社の息のかかった人ばかりだというから、これでは太陽光発電事業者も相談する気にさえならないだろう。

発送電分離も骨抜きの懸念も

 さて、安倍内閣では先月、「電力システムに関する改革方針」を閣議決定した。家庭が電力会社を選べる電力の小売りについて、2016年をめどに全面自由化する方針だ。大手電力の発電部門と送配電部門を別会社にする発送電分離についても2018~20年をめどに実現を目指すという。

 報道された内容を見ると、かなり前進している印象を受けるが、このまますんなり電力自由化が進むかどうかは未知数だ。とくに発送電分離は注視していかなければならない。改革派官僚として知られた古賀茂明氏は2年前、筆者のインタビューに対し、電力会社を単純に発電会社と送電会社に分けるだけでは不十分だと言っていた。

「電力会社を発電と送電に単純分離しても、発電会社は巨大なまま残ってしまう。また、例えば東電を“東京発電”と“東京送電”に分離しても、兄弟会社やグループ会社のような資本関係が残れば、送電網は“東京発電”に有利な使い方になってしまい、公正な競争にはならない。“東京発電”をいくつかに分割して売却すれば、東電のDNAを薄めることができる」

 なお、ESCJに代わる本当の意味で中立な送配電ネットワーク監視機関が必要であることは言うまでもない。
(文=横山渉/ジャーナリスト)

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⇒ 再生可能なエネルギーに係る記載(その12:米 エイモリー・ロビンス氏のビジョン)によれば、「「企業や家庭に省エネの動機づけをする政策がないためで、電力会社は電気を売れば売るほど、発電所を造れば造るほどもうかるという電気料金制度にも大きな問題がある」・・・産業界や政治家を含めてすべての日本人が自国の再生可能エネルギーと省エネの大きな可能性を理解することが大切だ。大規模集中型のエネルギーシステムやそれを支える政策から決別し、原子力などへの補助金をやめて、フェアな競争を実現しなければならない。政治家は勇気を持つべきだ。もし、日本人が省エネと再生可能エネルギーに多大な投資をし、得られたものを周辺の国と共有できれば、日本は世界に大きな貢献ができるだろう。・・・」という。

関連投稿:
【追加・再掲】各種エネルギー確保の現状 および原発、再生エネの位置づけに係る情報

 

 

関連投稿:再生可能なエネルギー進展時の問題点
(その2:太陽光発電進展時の問題点) (その3:比率拡大時の問題点)

 

 

 

再生可能なエネルギーに係る記載(その16:サハラ砂漠の2%で世界の電力をまかなう高効率太陽光発電)

2013-05-06 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

'13-05-06投稿、追加

 エネルギー産業はその時々の社会の求める安全性に係る趨勢によって石炭火力→大規模水力ダム→天然ガス、原子力と盛衰してきました。原発事故後、再生エネルギーへの進展を期待している一人ですが、資源の枯渇と掘り尽くしによる地盤沈下などを考慮しなければ、固定電源として化石燃料を使った発電方法が手っ取りばやい方法なため、なかなか進展しないのも事実であると思っています。
再生可能エネルギーによる発電量がどのように、現状の数%からどのくらい増加推移しているか掲示板、等での「見える化」によって国民がわかるようなシステムがほしいところです。

 日本の再生可能なエネルギーの現状('10-11-22~'011-07-14)から二年。

 

既報日本の再生可能なエネルギーの現状に係る記載(その3:比率拡大時の問題点)

 

に引き続いて「再生可能エネルギー」の最新記事に係る記載を調べたので紹介します。

 msn産経ニュース
サハラ砂漠の2%で世界の電力需要をまかなう高効率太陽光発電http://sankei.jp.msn.com/wired/news/130502/wir13050218230003-n1.htm
「通常の太陽光発電では太陽光のうち最大30%しか利用できないが、IBMは残りの7割の多くを熱として再利用することで、システム全体の熱損失を入射エネルギーの約20%まで減らせる「HCPVT(High Concentration Photovoltaic Thermal)」を開発した。
IBM研究所が制作したHCPVTの試作品。

 チューリッヒにあるIBM研究所は4月22日(現地時間)、IBM社のスーパーコンピューター技術を応用した冷却システムにより、集光型太陽光発電(CPV:concentrated photovoltaic)の全体的な効率を劇的に向上させることに成功したと発表した

 同研究所に設置されたシステムは「HCPVT(High Concentration Photovoltaic Thermal)」と呼ばれ、他のCPVと同じように、入射する太陽光をパラボラ反射鏡で集めて太陽電池に集中させている。反射鏡は追跡システムを使って太陽の動きを追い、太陽光を2,000倍にして高効率のトリプルジャンクション太陽電池が搭載されたセンサーに集中させる。

こうしたシステムでは、1平方センチメートルの太陽電池チップ1枚で日中に平均200~250Wの電力が生成され、これは入射した太陽光のうち最大30%を利用していることになる。そして残りの70%のエネルギーは通常、熱として失われる。しかしIBM研究所の技術では、水を使ってその熱の多くを再利用することにより、システム全体の熱損失を、入射エネルギー全体の約20%まで減らせるようになったという。

この熱システムは、IBM社が製造して2010年からスイス連邦工科大学チューリッヒ校で稼働している6テラフロップスのスーパーコンピューター「Aquasar」に使われた技術を応用して作られたものだ。Aquasarでは水を冷却液として使用することにより、エネルギー消費量を同時期の空冷型マシンの3/5に減らした

 

熱せられた水は、大学の建物を温めるためにも利用できる。そのためAquasarの二酸化炭素排出量は、水を暖房に利用しなかった場合と比べて15%まで削減されるとIBM研究所では主張している。

IBM研究所が開発したHCPVTシステムでは、Aquasarと同じように直径50~100μmのマイクロチャネルを使って、水を熱源(Aquasarの場合はCPUだが、このシステムでは太陽電池)のすぐ近くまで運んでいる。そのため、より大規模な水路を使うほかのシステムと比べて、熱抵抗が1/10まで削減されるという。

「奇妙に聞こえるかもしれないが、このシステムでは温度の高い水で冷却することができる」とIBM研究所のブルーノ・ミシェル博士はSkypeで語ってくれた。「太陽電池チップは摂氏100度ほどで、冷却液の温度は90度だ」

IBM研究所では、副産物としての熱を利用することで、水を浄化したり、吸収式冷凍機(吸収力の高い液体に冷媒を吸収させて発生する低圧によって、別の位置の冷媒を気化させて低温を得る冷凍機)で建物を冷やしたりできるシステムを検討している。

 研究チームは今回、4cm四方の太陽電池チップを搭載し、約1kWを生み出す試作品を作成した。今後は、25cm四方の太陽電池チップを搭載する100平方メートルのシステム(以下の想像図)を作成したいと考えている。こちらは25kWの電気と50kWの熱を生み出せる予定だという。

 

 試算によれば、サハラ砂漠の2%をこのHCPVTシステムで覆い尽くせば、世界の電力需要を満たすことができるという(送電の問題は別の話だが)。もちろん、このシステムは砂漠に限らず、世界のどの場所でも使える。熱を利用できるため、応用例が広いという。

 

 このシステムは5年前から開発が行われているもので、最初はエジプトのナノテク研究センターと共同で研究が行われていた。」という。

⇒既報再生可能なエネルギーに係る記載(その15:Mgを媒体とした発電・蓄電の現状と将来への展望)で記載したように、全世界で使用している電力は年間18兆kWh。100万キロワットの発電所にして2000基分です。

今回開発されたHCPVTシステムの量産化が成功すれば、サハラ砂漠の2%で可能という。

参考:

 

  
     
(google画像検索から引用

 

太陽光発電でメリットを出すためには、高光電変換効率にすることが必要ですが、今回の試作品は地上の太陽光スペクトル相当分のエネルギーの80%を電気エネルギー30%を回収して、残りは水を効率的に循環して、その回収したエネルギーを工業的に利用できるようです。

 このような技術はわが国でも、既報日本の再生可能なエネルギーの現状に係る記載(その6:熱回収を備えた太陽光発電の紹介)同様な試みはなされています。

 サハラ砂漠での水資源のはどのようにしているのか定かではありませんが、海水の淡水化などを使うようなら、その電気代は高くなりトータルコストがどのようになるのか興味あるところです。

というのは、既報によれば、現状の問題点は海水の淡水化を例にとると、
地球上の水のうち97.5%は海水で占められ無尽蔵にありますが、 淡水を大量に供給するために 海水から淡水を製造することが実施されています。 淡水の製造法には. 蒸留法. 逆浸透法. などがありますが、世界の淡水需要は現状約5000億m3であるが、人口増加に伴って、約7000億m3が見込まれています。
ところが、この水不足に対して、逆浸透膜がそれを解決しようとすると、逆浸透膜で、30億人分の水を作るには、9兆kWhの電気が必要であり、世界中で使われている電気18兆kWhの50%の量とのことです。
 日本は電気代が世界の中でも高いことは世界的にも知られていますが、仮に、工業用単価を安く見積もって10円/kWhとした場合でも180兆円となります。

参考関連投稿:
「水」とはどのようにあるべきか?に係る記載(その5:低コストな淡水の供給に対する公開公報の調査 )

しかしながら、サハラ砂漠は日照時間(受光エネルギー)は当然わが国と比べて大きいわけで太陽光発電のメリットは大きく、わが国の日照時間は東南アジア、中東などと比較して短いので、このようなプロジェクトには不向きなようです。

参考投稿:「世界の日照データ」
引用:蒼幻閣(そうげんかく)世界の日照データによれば、http://www.loopyhill.com/hayashi_naoki/bro_nittsyoudeta.html

 


「水」とはどのようにあるべきか?に係る記載(その5-3:低コストな淡水の供給に対する公報の追加調査 )

2013-04-06 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

'13-04-06投稿

水不足によってもたらされる地球環境の諸悪の対策
「砂漠の緑化」
「安全な飲料水」
「灌漑による食糧の安定生産」
「黄沙現象の防止」

などに対して
低コストな淡水を製造する技術の普及が望まれます。

しかし、現状の問題点は海水の淡水化を例にとると、
地球上の水のうち97.5%は海水で占められ無尽蔵にありますが、 淡水を大量に供給するために 海水から淡水を製造することが実施されています。 淡水の製造法には. 蒸留法. 逆浸透法. などがありますが、世界の淡水需要は現状約5000億m3であるが、人口増加に伴って、約7000億m3が見込まれています。
ところが、この水不足に対して、逆浸透膜がそれを解決しようとすると、逆浸透膜で、30億人分の水を作るには、9兆kWhの電気が必要であり、世界中で使われている電気18兆kWhの50%の量とのことです。
 日本は電気代が世界の中でも高いことは世界的にも知られていますが、仮に、工業用単価を安く見積もって10円/kWhとした場合でも180兆円となります。

 既報(その5-2)に引き続いて、淡水化に属する公開公報を調べました。
目的は従来技術の問題点、どのような利用分野に対応しているかを把握するためです。
ただし、公開公報なので、現状の実用化の可否などは不詳を予め断っておきます。
大体2・3年以前に問題となった事象に対する提案と思われます。

既報に引き続いて、製造方法調べました。

 

 astamuse(アスタミューゼ)

 

逆浸透膜を用いた水処理システム 出願公開日時点(2013年04月04日)http://patent.astamuse.com/ja/published/JP/No/2013059732

背景

 

 

 従来、イオンや塩類などの溶質を含む汽水、海水、地下水または埋立地浸出水、産業廃水などを浄化して生活用水、工業用水、農業用水を得る方法として膜ろ過法が知られている。

 

膜ろ過法の1つとして逆浸透膜を利用する方法がある。逆浸透膜(RO膜)は、水を通しイオンや塩類など水以外の不純物は透過させない性質を持つ膜のことで、溶質の濃度に応じた浸透圧以上の圧力をかけることにより水と溶質とを分離する。

 

こうした逆浸透膜モジュールを利用した水処理システムである海水淡水化システムでは、逆浸透膜モジュールにおける膜の目詰まりであるファウリングが問題となっている。中でも微生物や藻類等が関与するバイオファウリングが主な原因とされるため、このバイオファウリングの生成を抑制することが重要となる。

 

海水淡水化システムなどの被処理水の水質は時間や季節による変動、さらには地理的差異があり、またファウリング要因物質もこれらの影響を受けるため、これらに応じて適切な対策を講じなければならない。

 

ファウリングを抑制する手段として、対象とする被処理水中に次亜塩素酸ナトリウム等の消毒剤を注入して、微生物を不活化させる技術を用いたものがある。・・・

効果

以上の本実施形態によれば、高圧ポンプで昇圧する前段で紫外線を照射し、その後紫外線照射の効果が低下すると考えられる逆浸透膜モジュールの直前段階の高圧部分では、高圧に耐えられるように電解装置の電極から消毒作用の強い銅イオンを発生させることで微生物や藻類の不活化を行うため、高い精度で逆浸透膜の目詰まりを防止することが可能である」

海水淡水化プラントシステム 出願公開日時点(2013年04月04日)
http://patent.astamuse.com/ja/published/JP/No/2013059743

背景
 
近時、渇水対策の一環として、海水から真水を生成する所謂海水淡水化プラントが用いられている。このような海水淡水化プラントとして、海水を逆浸透膜(以下、RO膜とも呼ぶ)に高圧状態で供給し、この逆浸透膜によるろ過水を淡水として生産し、この生産された淡水を、配水池を経て需要家に供給するプラントがある。・・・

目的

 

本発明が解決しようとする課題は、一定期間に求められる淡水生産水量を満足する制約の元、造水コスト(電力原単位)が最小となる一定期間の淡水生産水量計画をスケジューリングする機能を備えた海水淡水化プラントシステムを提供することにある・・・」

海水淡水化システム

 「近年、逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜によるろ過処理を用いた逆浸透膜処理装置を含んで構成された海水淡水化処理システムが増加する傾向にある。逆浸透膜は、セルロースやポリアミド等の素材で造られている。逆浸透膜処理装置は、海水にその浸透圧の2倍以上の圧力を加えて逆浸透膜を通過させることによって、塩分の透過を抑制して、淡水を得ることができる。逆浸透膜処理装置の透過性能を低下させる現象の1つに、バイオファウリングがある。・・・

目的

本発明の目的は、前記した従来技術の課題を解決し、逆浸透膜処理装置の前段側で多糖類を安定的に除去することによって、バイオファウリングによる逆浸透膜性能低下を防止して、逆浸透膜の交換寿命を延ばし、システム全体としての運転コスト低減できる海水淡水化システムを提供することにある

効果

逆浸透膜処理装置は、海水にその浸透圧の2倍以上の圧力を加えて逆浸透膜を通過させることによって、塩分の透過を抑制して、淡水を得ることができる。・・・」

⇒逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜の微生物や藻類等が関与するバイオファウリングが目詰まりによって、淡水の造水コスト(電力原単位)が高くならないように、工夫しているようです。

 


「水」とはどのようにあるべきか?に係る記載(その5-2:低コストな淡水の供給に対する公報の追加調査 )

2013-04-02 | 再生可能エネルギー・省エネ関連

'13-04-01投稿

 水不足によってもたらされる地球環境の諸悪の対策
「砂漠の緑化」
「安全な飲料水」
「灌漑による食糧の安定生産」
「黄沙現象の防止」

などに対して
低コストな淡水を製造する技術の普及が望まれます。

しかし、現状の問題点は海水の淡水化を例にとると、
地球上の水のうち97.5%は海水で占められ無尽蔵にありますが、 淡水を大量に供給するために 海水から淡水を製造することが実施されています。 淡水の製造法には. 蒸留法. 逆浸透法. などがありますが、世界の淡水需要は現状約5000億m3であるが、人口増加に伴って、約7000億m3が見込まれています。
ところが、この水不足に対して、逆浸透膜がそれを解決しようとすると、逆浸透膜で、30億人分の水を作るには、9兆kWhの電気が必要であり、世界中で使われている電気18兆kWhの50%の量とのことです。
 日本は電気代が世界の中でも高いことは世界的にも知られていますが、仮に、工業用単価を安く見積もって10円/kWhとした場合でも180兆円となります。

 既報(4-2)に引き続いて、

既報(その5)で淡水化に属する公開公報を調べました。
目的は従来技術の問題点、どのような利用分野に対応しているかを把握するためです。
ただし、公開公報なので、現状の実用化の可否などは不詳を予め断っておきます。
大体2・3年以前に問題となった事象に対する提案と思われます。

既報に引き続いて、製造方法調べました。

 

astamuse(アスタミューゼ)
・淡水製造方法 特許登録日時点(2012年03月16日)
http://patent.astamuse.com/ja/granted/JP/No/4945765

 
佐賀大学
「背景
離島、砂漠地帯等の水不足地域における水資源の確保を目的として、蒸発法、逆浸透膜法等の、海水を淡水化する方法がこれまでに開発されてきた。しかし、これらの方法は、その水処理コストが非常に高いため、これらの水不足地域における要求を満たすに十分な量の水資源の供給には適していない。また、これらの方法は高純度の飲料用水を得ることを目的としているため、これらの方法においては、海水に含まれる塩化ナトリウム以外の、植物の生育に必要な塩類も除去される。そのため、これらの方法により得られた脱塩水は、農作物の栽培に直接用いるためには好適ではない。

 目的

本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、海水から塩化物イオンを効率的に除去するために必要とされる高いイオン交換能を有し、かつ安価で安定性の高い陰イオン交換材に関し、ハイドロタルサイト様化合物を熱処理することにより塩化物イオン交換能が向上した淡水製造方法を提案することを目的とする。

効果

本発明によれば、海水から主に塩化ナトリウムのみを安価に除去する方法が提供される。本発明においてイオン交換剤として使用するハイドロタルサイト様化合物およびゼオライトは、両者とも安定な化合物であると共に再生、再利用が可能である。また、本方法の実施には特殊な設備を必要とせず、スケールアップも容易であるため、一度に大量の海水を処理することが可能である。したがって、本発明によれば海水の脱食塩化処理を経済的に行うことが可能になる。  ・・・

・海水からの淡水製造方法 
出願公開日時点(2012年07月19日)
http://patent.astamuse.com/ja/published/JP/No/2012135750
背景

海水の淡水化技術としては、従来から逆浸透法、蒸留法が実施されている。従来公知の逆浸透法を利用して海水を淡水化する方法は装置自体が高価で、且つ海水を加圧して逆浸透膜の反対側から淡水を回収する方法であるため、海水を浸透圧以上の圧力まで加圧するための動力費および目詰まりで交換する逆浸透膜の交換費が高価となる上、更に、その汚染されて閉塞した逆浸透膜産業廃棄物としての廃棄費も必要であった。また、塩分を除去するためには海水中の膜を汚濁する物質を除去するために数回の処理が必要である。このためには大型の淡水化装置にならざるを得ず、造水コストがアップするため淡水化装置として使用するには十分な物ではなかった。

一方、簡便な方法として蒸留法がある。この蒸留法は海水を沸点まで加熱して蒸発させ、その蒸気を冷却して真水を取り出す方法である。この蒸留法は古くから用いられてきが、この方法はエネルギー効率が低いことから、エネルギー効率を上げるため多段効用蒸発法、多段フラッシュ蒸発法などが考え出され、ともに広く利用されている。

多段効用蒸発法は効用缶と称する蒸発器に送られた加熱蒸気によって発生した蒸気を次段の効用缶の加熱蒸気として用い、これを多段に繰り返して行うことにより熱効率を高めたものである。

また、多段フラッシュ蒸発法は、蒸発器内部の圧力を海水の飽和蒸気圧以下にすることによって、海水を瞬間的にフラッシュ蒸発させ、これを多段に繰り返しエネルギー効率を高めたものである。

上述したこれらの蒸発法の各方式は、いずれも蒸発という相変化を伴うため、海水から真水を得るには、例えば多段フラッシュ蒸発法の場合では真水1m3を得るのに必要なエネルギーが226MJと多くのエネルギーを必要とする。

普通、蒸発法では海水を蒸発させるための熱源としてボイラにより過熱された蒸気を使用するが必要エネルギーが多いために蒸気を発生させるための燃料も多量に必要とする上、ボイラー効率なども考慮すると経済的であるとは言えない。

そのため、発電所蒸気タービンの排気蒸気や、ゴミ焼却炉排熱を利用して蒸発法による海水淡水化を行い、コストを下げることが検討されてきたが、原理的に多量の蒸気が必要になるため、大型設備以外には不向きであるという欠点があり、広く普及するには至っていない。

このように逆浸透法、蒸留法などの海水を淡水化するための技術は、大きなエネルギーを必要とし、大量のCO2を排出する。また、これらの方式では海水の前処理や工程の複雑さなどから巨額な投資が必要であり、ランニングコストも高額となる。

そこで、これらを解決する方法として膜蒸留法が検討されている。膜蒸留法とは、温めた海水を比較的低い温度例えば50℃〜70℃に温めることで発生する水蒸気を疎水性多孔質膜を使用し、冷水結露させることで淡水化する方式である。この方式は、図3に示すように装置がシンプルで交換部品がないためメンテナンスフリーにすることが可能である。・・・」