よむよま

よむ・よまない、それから。

高麗屋三代・二月大歌舞伎

2018-02-08 18:56:39 | 見る
二月の高麗屋三代襲名披露、昼の部を見てきました。
一番目の曽我ものを踊りにした舞踊もにぎにぎしく、
二番目の「一條大蔵譚」が新・幸四郎主演、
三番目の「暫」は海老蔵、
四番目の「井伊大老」は叔父さんの吉右衛門の演目。
実はあんまり内容を知らずにチケット取って行っちゃったんだけど、意外にも(?)どれも良かった。
こういうこともあるのね。

新・幸四郎のお披露目「一條大蔵譚」は大蔵卿の作りあほうが見せどころだけど、
私はこれの正解を知らなくて、勘三郎家の系列が正解なんでしょうかね。
亡くなった勘三郎、そのお父さんの勘三郎が、こうであるべきって感じで語られるようですが。
新・幸四郎のはその前段の作りあほうが、ちょっとコントっぽい。
俳優祭のコントみたいかなぁ。
この人の持ち味として、後段の見あらわしになって本性の凛々しさを見せるところのほうが合ってるから、
安心して見てられる。
作りあほうをテレビでやったのが、大河の「篤姫」の堺雅人でしたね。
十三代将軍家定を作りあほう解釈でやって、
篤姫が池に落ちそうになった時に、底を割って(しかたないという顔つきを見せて)抱きとめて、
キャー、カッコいい!と言わせてた。(突然、思い出した)

「暫」があるのを知らなくて、誰がやるの?アラ、海老蔵が出るんだ!と本日知った。
「暫」は楽しいよねえ。
ほかの人がやったりもするけど、この役はやっぱり市川宗家のこの人がやるのが一番。
理詰めじゃなくて、なんだかよくわかんないけど「でっけえ!」という、
海老蔵のいいところが出る役だし、
清き流れの市川の先祖からとか、成田の不動さまとかのセリフも、この人は本物だから、はまる。
高麗屋の襲名とひっかけたセリフもあり、「誰かと思えば成田屋のエビさま!」のセリフも楽しい。
私はあのハチャメチャな、小山のような大きい衣装が大好物なのです。
花道で袖(片袖が畳1.5枚分はある)を開くとき、お客さんの頭をはたかないように開いてるよね。
本舞台に来てから、その袖の中の棒(2本をバッテンにして染物を干すように入れてる)を抜くのにも、
そのあと、上半身の着物(布団みたい)から腕を抜くのにも、
両脇を後見さんに支えてもらってるの、すごいよ。
最後に花道を引っ込んでいくときは、
自分の体の後ろ方面にビラビラ流れ落ちてる大量の布地(長袴や脱いだ袖や)を引きずりながら、
「ヤットコトッチャ!ウントコナ!」と掛け声を掛けつつ引っ込んでいきます。
おもしろいよー。

最後の「井伊大老」は初めて見た。
雛の宵なのに冷えてきました、雪が降って来ましたという夜なので、
明日は桜田門外だなという設定で、井伊直弼と側室お静の方のしっとりした情愛のお芝居。
吉右衛門の井伊大老、雀右衛門のお静。
襲名にはあんまり?と思う内容だけど、この役がお祖父ちゃん、先代の白鸚の当たり役なんだって。
なるほど。
長野主膳も登場しますし、
「あんなにたくさん取り締まってもまだ浪士たちが狙っているのですか」とか、
「どんなに罵られても正しいご政道を行うだけだ」とか、
「のちの世にも私の苦悩はわかってはもらえまい」「それでもよいではありませぬか」とか、
今年、このお芝居をやりますかというところが、とってもよかったです。
(今年なら西郷隆盛だの龍馬だのやりそうじゃない?)
私は井伊直弼ファンだから、なおさら。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする