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「『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命」 池田理代子

2016年11月12日 | 本(解説)
今更ですが、フランス革命のおさらい

『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命 (ベスト新書)
池田 理代子
ベストセラーズ


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少女漫画の金字塔『ベルサイユのばら』。
男装の麗人オスカルやフランス王妃マリー・アントワネットなど、
フランス革命期という激動の時代を生きた人々の一生を壮大なスケールで描いた同作は、
通称「ベルばら」として長らく多くのファンに愛されている。
ベルばらは、もちろん歴史の教科書などではなく、史実をもとにしたフィクション作品である。
しかし、その時代を生きた人間の実像がありありと描かれている同作は、
教科書からは読み取れない歴史の重要な一面を、私たちに見せてくれる。
本書では、そんなベルばらを通してこそ見ることのできるフランス革命史を、
丁寧にひも解いていく。


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この本は書店で、ふと目に入りまして、
今さら「ベルばら」を引っ張り出すなんて・・・と思いながらよく見ると、
池田理代子さんご本人の著作でした。
ふむ、とすればやはり読まなければ!と、
ウン十年前の根っからのベルばらファンとしては思うわけです。


フランス革命とはそもそも何なのか、
それが起こったワケ、前後のヨーロッパ事情などが詳しく書かれています。
ベルばらのカットも満載。
自称ベルばらファンという方なら、やっぱり読まなければ・・・!


ベルばらの連載当時は、やはりオスカルとアンドレの心模様を主軸として読んでいて、
七面倒臭い革命の動きなどは殆ど読み飛ばしていたような気がします。
当時の王室の巨額な赤字は、マリー・アントワネットが浪費したから・・・
というような印象が一般にはあるのではないでしょうか。
ベルばらを読んだ私ですらも、そういう印象があったのですが、
でもこの本を読むと、マリー・アントワネットが嫁いできたときに、
すでに巨大な赤字を抱えていたということです。
太陽王ルイ14世のときにやはり、使いすぎていたようで・・・。
ただ、いかにも美しく豪華に着飾ったアントワネット、
首飾り事件のこともあって、庶民のやり玉に上がりやすかったということなのでしょうね。


韓国の誰かさんのように、庶民は毎日の生活を切り詰めて頑張っているのに、
あんな普段履きのような靴までプラダという贅沢さには、
実際怒りを覚えてしまう、あの心理と一緒ですね。


さて、フランスではその頃、天候不順で農作物の不作が続く・・・。
一方、平民の中でも貿易で富を得たブルジョワジーがどんどん力をつけていく。
また、当時、税金を払うのは平民のみで、貴族たちには課税されなかった。
だから王室の赤字の負担は庶民に重税となってのしかかるわけで・・・
いろいろな要素が絡み合って、ことは起こるべくして起こった、
ということなのでしょう。


それにしても血塗られた歴史・・・。
まともに読んでいくのは辛い感じです。
まあ、歴史というのは、いつもそんなものですけれど。


『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命 池田理代子 ベスト新書
満足度★★★☆☆