映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アヒルと鴨のコインロッカー

2016年11月02日 | 映画(あ行)
これぞ伊坂幸太郎ワールド



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本作は、何を隠そう私が、はじめて伊坂幸太郎さんを読んだ記念の作品。
・・・というのはどうでもいいですが、
でもなんとなく、映画の方はこれまで見そびれていました。
2006年の作品、ということで、なるほど皆さん微妙に若い!!


大学入学のため仙台に越してきた椎名(濱田岳)。
隣室の河崎(瑛太)から、会ったばかりというのに奇妙な計画を持ちかけられます。
同じアパートのドルジというひきこもりの留学生を救うために、
広辞苑を贈りたい。
そのために書店を襲撃しようというのです。
椎名は断りきれずに襲撃を手伝うことになってしまうのですが・・・。
いかにも、唐突で奇妙なこのシーン。
この意味を知るためには、少し時間を遡らなければなりません。
河崎とドルジ、そしてドルジの恋人で河崎の元カノ・琴美の3人の間には
椎名の知らないある物語があったのです・・・。


唐突なツカミ。
胡散臭い登場人物。
巧みな伏線。
そしてこれらはある人物の“熱い思い”を体現するためにある・・・
というような、伊坂幸太郎エッセンスに満ちた作品だと思います。
映画になっても、伊坂幸太郎ワールドのイメージそのまま。
いいんじゃないでしょうか。
今となっては、ということなのかもしれませんが、登場人物も豪華ですよね~。
椎名の友人役で岡田将生さんがチョイ出しているのを発見。
ブレイクのほんの少し前です。
こういう発見があったりするので、古い作品を見るのも面白いですね。


そうそう、本作中にボブ・ディランの「風に吹かれて」の曲が登場します。
重要なポイントになる曲で、
濱田岳さんのギターの弾き語りがあったりします!
これを見たほんの少し後に、ボブ・ディランのノーベル賞受賞のニュースがありました。
こんな偶然も、たまにはあるもんですね。


「アヒルと鴨のコインロッカー」
2006年/日本/110分
監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
出演:濱田岳、瑛太、関めぐみ、大塚寧々、松田龍平
伊坂幸太郎ワールド度★★★★★
満足度★★★.5