映画と本の『たんぽぽ館』

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「新しい15匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険」 島田荘司

2016年11月05日 | 本(ミステリ)
もう一つのホームズ&ワトソン

新しい十五匹のネズミのフライ: ジョン・H・ワトソンの冒険
島田 荘司
新潮社


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「赤毛組合」の犯人一味が脱獄した!
ワトソン博士のもとに、驚天動地の知らせが舞い込んだ。
だが肝心のホームズは重度のコカイン中毒で幻覚を見る状態…。
犯人たちの仰天の大計画とは。
その陰で囁かれた謎の言葉「新しい十五匹のネズミのフライ」とは。
そして「赤毛組合」事件の書かれざる真相とは。
果たして、われらがホームズが復活する時は来るのか―。
さまざまなホームズ作品のエッセンスを、英国流のユーモアあふれる冒険譚に昇華させた大作。


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この本は確か今年のお正月頃に買ったのですが、
すぐ読むのがもったいなくて、後回しにしたきり忘れていた・・・というシロモノでした。
この度、無事発掘。


それにしてもこの不可思議な題名は一体何・・・???
という疑問をいだきつつ・・・。
本作は島田荘司氏によるシャーロック・ホームズのパステーシュ。
ワトソン博士がシャーロック・ホームズの解決した事件を書き留め、
本にするという、本家と同じ作りになっています。
こういう関係は、御手洗潔と石岡くんでもおなじみです。
しかし、本作のホームズの変人ぶりと言うより壊れ方は凄まじい・・・。
最近のTVドラマのホームズ像と同じく、コカイン中毒なのです。
もう殆ど人格が破綻するほどに・・・。
それなので、本作はかなりの部分ワトソン氏が活躍します。
だから、「ワトソンの冒険」。


本家の「赤毛組合」の事件、実はホームズが推理したのとは別の真相が隠されていた・・・
というところから始まって、
その投獄された犯人たちがあっさりと脱獄したという謎を追います。
しかもその合間にはワトソンの恋愛模様も・・・・。
愛する人を救おうとするから、ワトソンも必死で頑張るのです。


「新しい15匹の・・・」というのは、
彼らが脱獄した刑務所で、何故か囚人たちが時おり口ずさむ歌。
その意味は誰も知らないようにも思えますが・・・・。
実は、代々囚人たちに語り継がれた秘密のメッセージが込められているのです。
本作では多くの勘違いやコカイン中毒で、
名探偵としては立場のないホームズだったのですが、
この歌の謎を解いたのはさすがの切れ味、名探偵の面目躍如でした。


「新しい15匹のネズミのフライ ジョン・H・ワトソンの冒険」島田荘司 新潮社
満足度★★★★☆