久々に家事をほっぽり投げ夢中で読んだ一冊です。
仕事にも恋にも疲れ 都会を離れた美容師、明里(あかり)は 子どもの頃一か月だけ過ごした今は空家の「祖父母」の自宅兼店にやってきた。
その町の商店街はすっかりさびれてしまい、シャッターが閉まっているお店が多かったが はす向かいに不思議なプレートを出している店を見つけた。
「おもいでの時 修理します。」・・・人の思い出を修理するってどういうことだろう? 明里は不思議に思う。
そして、その不思議なプレートを出している店が時計店で主に時計の修理をしている店だと知る。 その時計店の店主は商店会の会長も務めている若い男性、飯田修司だった。
修司はやさしく朝食に明里を誘ってくれた。 修司の店に入り浸っている大学生太一や商店街の人々との交流を通し明里は不思議でやさしい経験をしていく。
修司と明里はそれぞれの過去を見つめ そして癒し、再生され、未来を見つめるようになっていく。
好き嫌いは分かれる作品かもしれません。 こんなに都合よくいろいろなことは起きないよ、と言われてしまうかもしれません。
それでも やっぱり夢中になってしまう物語で、私もこのさびれた商店街に行って 明里や修司に会ってふたりを応援したいのです。
「思い出の時 修理します」というプレートが とてもロマンチックなのですが どうやら「思い出の時計修理します」が壊れてしまったようです。
でも、「思い出の時・・・」でも間違っていないような気がします。
だって 思い出の時計って その人の思い出の時間だと思うのです。 次々とお店に持ち込まれてくる思い出の時間をふたりがどう修復していくのか・・・
お時間があったら ふたりと一緒にその修理の時をぜひ共有してみてください。