キュートなバアサンになるために

映画のこと、山のこと、街の風景、家の庭、いろいろを気ままに・・・

『崩れ』幸田文

2019-06-30 22:26:49 | 読書
                                
 作者は仕事で訪れた安倍峠から山の崩れた場所を見て 衝撃を受けた。
それから彼女は精力的に日本各地の『崩れ』を訪ねてまわった。
 有名な作家という肩書を武器に あちこちで便宜を図ってもらい、ある時は背負ってもらいながらも自然の力が生み出した『崩れ』を訪れた。
 そこまでして彼女が『崩れ』にこだわったのはなぜなのだろう?
自然は美しい、しかし美しいだけでなく 荒々しさも持ち、そして孤独感すら感じられる。
そんなところに彼女は心惹かれたのかもしれない・・・・

 『幸田さんは年齢72歳、体重52キロこの点をご配慮--どうかよろしく」と周囲の人から現地の人へ伝言があったそうです。
72歳になった時に突然 自然の荒々しさに惹かれたのはなぜだったのでしょう?
解説ではこの『崩れ』に父幸田露伴を重ねていたのではないか?と書かれていました。
 偉大で厳しかった父を持つ幸田さんの気持ちは推し量ることはできませんが もしかしたら自然の大きな力を父親に重ねていらしたのかもしれません。
そして 私は彼女が崩れを見ようと決意した72歳という年齢も気になりました。
 最近の70代はとてもお元気で ご自分の体力の衰えなど感じる方は少ないのかもしれませんが幸田さんの時代の70代では 自分がいつまで元気で動けるか自信がなくなったり 体力的な老いを感じることもあったのではないでしょうか。
 もっと老いてしまい、自分で遠くへ出向くことができなくなったり あらゆるものへの興味関心が無くなってしまったら?  それは作家としてはとても恐ろしいことだったのではないでしょうか?
 私自身、そろそろ若くはない年齢になってきました。 自分が山にこんなにも行っているのはやはり今の体力がいつまで続くか分からないという思いがあるからです。
あと数年で山には行かなくなるのではなく『行けなくなる』のでは?という心配をしたりもしています。
 『崩れ』から『老い』を考えるのは飛躍しているかしら?
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『天命』 鳴神響一

2019-06-20 22:38:12 | 読書
                       
 月に2~3冊くらいは本を読んでいますが 最近はシリーズ物の新刊が出たらそれを読むくらいが中心です。

 先日久しぶりにアマゾンさんからお勧めのリストを見ていたら ちょっとおもしろそうな本が。
それがこちらの『天命』なのですが サブタイトルが『おいらん若君 徳川竜之進』です。
 おいらんで若君? おいらんって女性だよね?・・・・・????
これは読むしかない!
 というわけで読んでみました。

 尾張徳川家の側室に生まれた竜之進だったが 命を狙われ甲賀の忍たちに助けられ、江戸の吉原に匿われた。 そして女装しおいらん『篝火太夫』として暮らしていた。
しかし、夜になると吉原を抜け出し 気の置けない仲間と様々な事件を解決していく・・・・

 勧善懲悪の時代劇、という感じでした。

若君がおいらんとなって身を隠すというのは斬新かもしれませんが・・・

続編を読むかどうかは微妙です。
 
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『ミニヤコンカ奇跡の生還』松田宏也

2019-05-17 20:12:50 | 読書
                  
 昨日は山岳会の読書会があり 久しぶりに参加してきました。
今回の課題図書は松田宏也さんの『ミニヤコンカ奇跡の生還』でした。

 今から37年前、松田さんは市川山岳会のメンバーとして 中国のミニヤコンカ登山隊に参加。
いろいろな事情から7人のパーティーで登山を開始し、山頂はパートナーの菅原信さんとふたりで目指すことになった。
 好天に恵まれ 登頂はすぐ、と思ったものの その後天候が悪化。 登頂を諦め下山を始めたが 厳しい天気のなか下山に失敗。やっと仲間の待つキャンプに戻ったが仲間はトランシーバーの故障をふたりが遭難したものと考え、下山したあとだった。 ついには菅原とも別れた松田は遭難19日後に麓の村から薬草を取りにきていた村人に発見され一命を取り留めた。しかし松田は凍傷により両手、両足を失った。

 昨日の読書会には作者の松田さんが来てくださり 当時の話をしていただきました。
本とは少し雰囲気が違うところもあり 直接ご本人からお話が聞けたのはとても貴重な時間でした。
 大変な経験をされた松田さんですが その後努力を重ねられ、冬の富士山の単独登頂をされたり 山スキーも楽しんでいらっしゃいます。 そして今は市川山岳会の中心メンバーとしても活動されています。
 実際にお目にかかった印象では 松田さんはとてもポジティブな考え方をされているなあ、ということでした。
登山だけでなく 生き方としてその考え方は大切だと思いました。

 それにしても登山って死亡率がかなり高いスポーツのように思うのは私の思い過ごしでしょうか?

登山は山に登っただけではまだ半分、無事に帰宅してやっと成功、というようなことを松田さんはお話しされていました。
たしかにその通りだと思いました。
 うん、気をつけて登山を楽しみたい、と思いました。
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『チーズスイートホーム12』こなみかなた

2019-02-13 20:54:21 | 読書
                     
 私がこのかわいい子猫に出会ったのは なんと今から14年も前になります。
たまたま本屋さんで手に取ったかわいい子猫にメロメロになり 新刊が出ると第一巻から読み直すというくらい夢中になりました。
 そしてこの子猫は私の想像以上に世界中の人を虜にしていきました。

 まさかこんなに長く続くなんて思っていませんでした。 といってもこの最終巻が出たのは今から4年前なのですが・・・・
最終巻が出た時にこれを読むとチーたちとお別れになっちゃうなあ、となんだか勿体ない気がしてなんとなく手に取るのを躊躇していました。
でもそろそろチーたちに会いたくなりとうとう手に取ってしまいました。

 第一巻で迷子になったチーはやっとママに会うことができました。そして自分の名前も思い出しました。
ここでチーは自分の将来を決めることになります。
 どこにいてもチーたちの幸せを祈り、そして 温かく楽しい気持ちにしてくれたチーたちに感謝です。

・・・・・ところで 前作と今回の作品のつながりが今ひとつ分かりませんでした。
で、気付いたことがありました。
 ガ~ン!!
 私、第11巻を飛ばしていました。 これは急いで買わなくちゃ
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『夜の光』坂木司

2019-01-23 20:37:23 | 読書
                         
 殺人事件の起こらない推理小説の作者坂木司さんの作品です。

本を買う前に 本の紹介文を読むと「高校生のスパイ」という単語が・・・
高校生でスパイ? これ現代小説? なんなんだ?・・・・と謎だらけだったのですが 坂木さんの作品なら間違いない、と買ってみました。

 なるほど高校生でスパイでした(笑)

 天文部に在籍する4人の学生たち。 彼らは密かなミッションを持ち高校生活を送っている。 お互いに約束は交わさない、別れはひきずらない、自分に課せられたミッションを遂行するだけ。 お互いをコードネームで呼び合う性格も付き合う友達も全く違う高校生たち。
 ミッションというのはそれぞれの抱えている問題。 彼らは表の顔では平気そうに暮らしているが裏ではそれぞれが大きな悩みを抱えている。しかし、お互いに自分の抱えている問題を話したりしない。ただ、月に一度学校の屋上で天文観察をして同じ時間を過ごすだけ。

 この本は4人のメンバーがひとりずつ語っていく4章と その後が描かれている最後の章で構成されています。

 やっぱり読んで大正解でした!!
謎解きもあるし、高校生たちが抱えている問題の重さも、それを自分の力で解決していく彼らのしたたかさ、しなやかさもとてもさわやかでした。
 なんだか自分が高校生の頃のことを思い出してしまいました。
あの頃、自分の中では結構大きな悩みを抱えていました。 きっとこんな悩みを持っているのは自分だけで友達はみんなのんびり暮らしているんだろう、なんて思って。
でも今ごろになって友人たちと話しているとあの頃みんなそれぞれが悩みを抱えていたんだなあ、と分かってきました。
なのでこの本を読んでとても懐かしくやさしい気持ちになりました。

 ちなみに この本はアマゾンで古本を買ったのですが本の扉の内側にこんなサインが。
                     
 これってサイン本だったのでしょうか? それともどの本にもこのサインが印刷されているのでしょうか?
本物のサインだったらうれしいのですけど。
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『不滅のあなたへ』大今良時

2019-01-09 21:15:36 | 読書
                   
 下の息子がインターネットでマンガを買って 自宅に届くようにし、私にぜひ読んで、と言ってきました。
我が家の息子たちは わりと本好きで 時々私に本を勧めてきます。
 ふたりの息子たち、それぞれ趣味が違うのですが 特に下の息子は一風変わったものが好きみたいです。

 今回は『聲の形』と同じ作者のマンガでした。
息子はこれをファンタジー、と位置付けて勧めてくれましたが 私はちょっと違うような気がします。

 『それ』は最初『球』だったが長い年月をかけて徐々に形を変え、感情をもつように変化していった。『それ』が変化できるものは 自分の前で命を失ったものたち。
『それ』は最初は名前も持っていなかったが いろいろな出会いをするなかで名前も与えられていった・・・・

 あらすじを書くのも難しいマンガでした。

まったく内容は違うのですが 以前息子が薦めてくれた『ジョジョの奇妙な冒険』みたいなニオイがします。
ひとことでいうと オバサンには理解が難しいわ、ということで

 下の息子が勧めてくれたマンガの次は上の息子が勧めてくれてる本が待ってます。 
いろいろな本との出会いは楽しいです。
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『山を渡る1』空木哲生

2019-01-06 21:12:07 | 読書
                       
 三多摩大学の山岳部に山に興味を少しだけ持ったふたりの新入生が訪ねてきた。
3年生ふたり、2年生ひとりの山岳部は廃部の危機になっており 三人は新入生を逃しては大変、とふたりに山の魅力を伝えるため まず高尾山に体験登山をする。
その場で たまたま山岳小説に興味を持っている学生に出会い彼女もいっしょに高尾山に登った。
 下山後三人は山道具を揃えるところから始めることに・・・・

 作品のレビューに読者の皆さんが書いていらっしゃいますが これは登山のことをよく知っている人が描いているマンガだと思います。

山道具って高い、とか 今どき未踏峰の山はないとか、山岳部は人気がない、とか、そんなマイナスなことが書かれていますが それでも人は山に登ることに魅力を感じている、という思いが伝わってきます。

 やっと先輩たちが部室に残していった『三種の神器』を自分たちが使えるように修理した三人は これからどんな登山をしていくのでしょうか?
これからが楽しみなマンガです。
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『二人のアキラ、美枝子の山』平塚晶人

2018-11-15 23:00:54 | 読書
                       
 山岳会の読書会に参加してきました。
今月は 平塚晶人さんの著書『二人のアキラ』で 著者が読書会に参加してくださりお話をたくさん伺うことができました。(最初に文芸春秋社から出された時は『二人のアキラ、美枝子の山』というタイトルだったそうですが ヤマケイ出版から出された時には『二人のアキラ』に改題されたそうです。)

 私は日本の登山の歴史についてはまったく素人なので存じ上げない方だったのですが ひとり目の『アキラ』は松濤明さんという26歳で亡くなった伝説のクライマーで もうひとりの『アキラ』は山岳映画を撮られた奥山章さんです。『美枝子の山』の美枝子とはふたりと交流のあった山田美枝子さんです。
 平塚さんは美枝子さんに約1年間取材をし、往復書簡という形式でこの作品を作られたそうです。
美枝子さんの知っている松濤さんと東京で別の人に取材した彼では 内容が違うことがあったため両方の松濤像を描くために 著者と美枝子さんのやりとりという形が一番よかったのだそうです。
 平塚さんは 山での『読図』に関する著書も多いそうです。
日本の山岳史を残すためにこの本は大きな働きをしたのではないでしょうか。

 それにしても 著者から直接お話を伺う機会というのは貴重な時間でした。
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「山の不思議」発見!   謎解き登山のススメ   小泉武栄

2018-11-01 22:01:59 | 読書
             
 今週火曜日の夜だったのですが 『山の不思議発見! 謎解き登山のススメ』の作者の小泉武栄先生の講演会にツレアイとふたりで行ってきました。

主催は日本山岳会東京多摩支部の自然保護委員会でした。 
登山、というと当たり前ですが山に登ることを楽しんだり、景色を堪能したり いろいろな山野草を観察したり、と人それぞれの楽しみ方があります。
 小泉先生はそれを否定されているわけではないのですが 一歩進み「どうしてこういう地形なの?」とか「なぜ 近くなのにこことあそこで植生が違うの?」など いろいろな疑問を持って山に登る『知的登山』を、というお話でした。

 たしかに山に登る時って登るということが主軸になって 地形に疑問はもったりしていませんでした。 花が咲いていてもああ咲いてるね、とか言って 花に詳しい方に名前を教えていただき「ああそういう名前なんだ。」で終わってしまいしかもたくさんの花の名前を覚えきれなかったりして・・・・

 お話の中には ついこの前登った富士山の宝永山の植生の話が出てきたりして とても興味深かったです。
荒天の中の登山で登ることに必死だったので たしかに少し植物はありましたが 何が咲いているとか なぜあそこの場所にだけ?なんてまったく考えもしませんでした。
もし この講演会のあとに登山をしていたらもっと 楽しく自然を観察できたと思うとちょっと残念でした。
 もし次回再び宝永山に行くことがあったら まずこの本で確認してから登りたいと思いました。
『登山』っていろいろなアプローチの仕方があるのですね、おもしろいです。

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『神坐す山の物語』浅田次郎

2018-10-05 22:30:14 | 読書
                    
 こちらの本、実は私が入会した日本山岳会の同好会MMCの読書会の10月の課題図書です。
残念ながら私は読書会の日には他の予定が入っていて参加することはできないのですが せっかくだから読んだみたいな、と思って図書館で借りてきました。

 なんだか不思議な縁を感じる内容でした。

この秋から入った『富士山ウォーク』の説明会で読んでおくように言われていたのが 富士山の御師(おし)のことを書かれた新田次郎さんの『富士に死す』で そこで『御師』という言葉を初めて知りました。
 そして先月、御岳山に行った時に御岳山にも御師の集落がある、と教えていただきました。

 この『神坐す山の物語』の舞台がその御岳山の御師の家族の物語でした。

 作者の浅田次郎さんの母方の実家が御岳山の御師の家系だったのです。

こうした流れがありこの本の背景がある程度分かってから読んだので ますます内容に興味がわきました。

 主人公は『見えざるものが見える』力があるが それを苦痛と感じながら生きている。 彼の家系の一部の人が同じ能力があり 『神』を近くに感じている。
その『神』を感じながら生きている人々の物語です。

 いくつかのエピソードがあったのですが ちょっとゾクっとする話も多かったです。(深夜に思い出すとかなり怖いかも・・・)

日本の山と文化、信仰のつながりは深くもっと学びたくなりました。

 あっという間に読めるお勧めの本でした。
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