バイクライフ・バイクツーリングの魅力を北海道から。
聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
ステア特性と補正4 特性変化

今日から実践編に行きたいと思います。
樹生さん、理想のステアバランスがニュートラルステア、つまり、「車体の傾きに応じて前輪が自然にイン側に切れ、車体が行きたい方向に引っ張られるように転がっていく状態」だとしても、いつでもそんな状態でコーナリングできるわけではありませんよね。
そうですね、今のバイクは非常によくできていますから、ノーマルでよく整備された状態である限り、癖が強くて乗れなかったり危なかったりするバイクはないと言っていいと思いますが、それでもどんな速度域やコーナリングの状態でも常にライダーがフロントに違和感なく、自然に、自身を持ってコーナリングできるかというと、そうではない場合もあります。
でも、普通、このステア特性で悩んでいる…という声はあまり聞きません。質問のはがきも来ていないのでしょう?
そうですね。
難しすぎて分からないというはがきや、工学的に不正確な部分があるぞ、というお叱りのはがきがパラパラあるだけで、質問は来てないです。
これは、別に困っていないからですか?
そうとも言えるんですが、ステア特性の変化に対応できず、コーナリングに苦手意識を持っているが、それがステア特性の補正の問題だと気づいていない場合も多いと思います。
…と言いますと?

例えば、「上りは得意だけど、下りのコーナーは苦手」だとか、「ぐるーっと長く続くコーナーが走りにくい」だとか、30~60㎞/hのコーナーは自信があるがそれより速いコーナーでは、バイクを倒してもすぐに曲がってくれない感じがして怖いし、低速コーナーではバイクを倒すと一気に倒れこんで転ぶのではないかと思ってしまい、倒せないままに、全然曲がれない地蔵状態で大外を固まったままやっとこさ曲がり、それ以来、低速コーナーは苦手」とか、そういう悩みです。
待ってください、それは、以前の「下りヘヤピン右回り」で対策を講じた事項じゃないんですか?
それはその通りです。
「下りヘヤピン右回り」では長く回りこんだカーブを「超低速多角形コーナリング」のラインをとることにより、角度の浅い向き変えとトラクションをきかせた走行パターンの繰り返しに分解して、不安をなくし、安全に楽しく抜けられるようにしようとしたものでした。
しかし、もともとはステア特性の変化にライダーが適応できていないために起こる不安なので、それが解消すれば、多角形コーナリングでなくても、安全に楽しく走ることは可能なのです。
つまり、ステア特性をつかみ、その補正ができるようになると、コーナリングがよりよくなると?
いえ、そこは誤解されやすいところなんですが、完全にバランスさせてぐるーっと旋回していくコーナリングも、加減速と向き変えを繰り返して抜けていくコーナリングもどちらが上ということはありません。
ただ、ライダーの引き出しが増えると、その時々に最適なコーナリングの方法をその都度選択できるようになるので、より安全に、より怖くないコーナリング、またはツーリングができる…ということです。
うーん、難しそうですが。
言葉にすると難しいのですが、ライダーなら誰でもある程度は無意識にしていることでもあります。
むしろ、コーナリングを頑張って、いろいろライテク本に書いてることを必死で操作することで、ライダーがバイクの自然な動きを邪魔し、それで乗りにくくしているケースも多いんです。
うーーん…。
もう少し、実際の場面に即して、具体的に説明してもらえますか?

わかりました。
まず、ステア特性を、定義から少し広げて、日常的にハンドリングについて感じる傾向ごとに整理しますね。
コーナリング中、もしハンドルを離しても何の問題もなくそのまま旋回が続くだろうという安心感に包まれている状態、これが「ニュートラルステア」。
例えば回り込んだ低速コーナーを普通にゆっくり走っていると、ハンドルがイン側に過剰に切れてくるので、ハンドルを持つ手で切れ込まないように押さえなければならない。これが「オーバーステア」。
高速道路のカーブで車体を倒しこんだのに、すぐにハンドルがインに入ってくれず、一瞬傾いたまま直進してからコーナリングが始まるような、ハンドルが切れてこない状態が「アンダーステア」です。
ああ、それなら身に覚えがあります。どれも自分のバイクで起きましたよ。
つまり、ハンドリングの「アンダー」とか「オーバー」とかいうのは、バイクによって決まっているのではなくて、走り方や速度、状態によって変わるものなのですか。
Exactly.(おっしゃるとおりです。)
一般的には乗り方を同じようにしていると、低速オーナリングではオーバーステア気味になることが多く、高速コーナリングではアンダーステア気味になることが多くなります。もちろん、すべての場合がそうではないですがね。

なるほど!例えば肌寒い雨の日のツーりング、路面が雨で光っていて、タイヤは溝が少なく(オイ!)、しかも下りで道幅が狭く、後ろからはカプチーノが煽ってくる(!)みたいなシチュエイションでは、低速での切れ込みをハンドルで押さえるのも、フロントグリップを失うのではないかと不安になりますし、高速でリーンしてもフロントが入ってくれないと、そのまま曲がりきれずに路外へ飛び出すのではないかなどと不安になりますもんね。
ニュートラルステアであれば、この不安は軽減されるということになるんですね。
あなた、どういうバイクライフ送ってるんですか?
さて、次回はまず、低速コーナーでのハンドルに切れ込みについて、具体的に考えて行きましょう。
ああ、やっと実際的になってきたなあ…。
(「ライテク記事 インデックスⅡ」へ。)
(ブログトップページへ。)
樹生さん、理想のステアバランスがニュートラルステア、つまり、「車体の傾きに応じて前輪が自然にイン側に切れ、車体が行きたい方向に引っ張られるように転がっていく状態」だとしても、いつでもそんな状態でコーナリングできるわけではありませんよね。
そうですね、今のバイクは非常によくできていますから、ノーマルでよく整備された状態である限り、癖が強くて乗れなかったり危なかったりするバイクはないと言っていいと思いますが、それでもどんな速度域やコーナリングの状態でも常にライダーがフロントに違和感なく、自然に、自身を持ってコーナリングできるかというと、そうではない場合もあります。
でも、普通、このステア特性で悩んでいる…という声はあまり聞きません。質問のはがきも来ていないのでしょう?
そうですね。
難しすぎて分からないというはがきや、工学的に不正確な部分があるぞ、というお叱りのはがきがパラパラあるだけで、質問は来てないです。
これは、別に困っていないからですか?
そうとも言えるんですが、ステア特性の変化に対応できず、コーナリングに苦手意識を持っているが、それがステア特性の補正の問題だと気づいていない場合も多いと思います。
…と言いますと?

例えば、「上りは得意だけど、下りのコーナーは苦手」だとか、「ぐるーっと長く続くコーナーが走りにくい」だとか、30~60㎞/hのコーナーは自信があるがそれより速いコーナーでは、バイクを倒してもすぐに曲がってくれない感じがして怖いし、低速コーナーではバイクを倒すと一気に倒れこんで転ぶのではないかと思ってしまい、倒せないままに、全然曲がれない地蔵状態で大外を固まったままやっとこさ曲がり、それ以来、低速コーナーは苦手」とか、そういう悩みです。
待ってください、それは、以前の「下りヘヤピン右回り」で対策を講じた事項じゃないんですか?
それはその通りです。
「下りヘヤピン右回り」では長く回りこんだカーブを「超低速多角形コーナリング」のラインをとることにより、角度の浅い向き変えとトラクションをきかせた走行パターンの繰り返しに分解して、不安をなくし、安全に楽しく抜けられるようにしようとしたものでした。
しかし、もともとはステア特性の変化にライダーが適応できていないために起こる不安なので、それが解消すれば、多角形コーナリングでなくても、安全に楽しく走ることは可能なのです。
つまり、ステア特性をつかみ、その補正ができるようになると、コーナリングがよりよくなると?
いえ、そこは誤解されやすいところなんですが、完全にバランスさせてぐるーっと旋回していくコーナリングも、加減速と向き変えを繰り返して抜けていくコーナリングもどちらが上ということはありません。
ただ、ライダーの引き出しが増えると、その時々に最適なコーナリングの方法をその都度選択できるようになるので、より安全に、より怖くないコーナリング、またはツーリングができる…ということです。
うーん、難しそうですが。
言葉にすると難しいのですが、ライダーなら誰でもある程度は無意識にしていることでもあります。
むしろ、コーナリングを頑張って、いろいろライテク本に書いてることを必死で操作することで、ライダーがバイクの自然な動きを邪魔し、それで乗りにくくしているケースも多いんです。
うーーん…。
もう少し、実際の場面に即して、具体的に説明してもらえますか?

わかりました。
まず、ステア特性を、定義から少し広げて、日常的にハンドリングについて感じる傾向ごとに整理しますね。
コーナリング中、もしハンドルを離しても何の問題もなくそのまま旋回が続くだろうという安心感に包まれている状態、これが「ニュートラルステア」。
例えば回り込んだ低速コーナーを普通にゆっくり走っていると、ハンドルがイン側に過剰に切れてくるので、ハンドルを持つ手で切れ込まないように押さえなければならない。これが「オーバーステア」。
高速道路のカーブで車体を倒しこんだのに、すぐにハンドルがインに入ってくれず、一瞬傾いたまま直進してからコーナリングが始まるような、ハンドルが切れてこない状態が「アンダーステア」です。
ああ、それなら身に覚えがあります。どれも自分のバイクで起きましたよ。
つまり、ハンドリングの「アンダー」とか「オーバー」とかいうのは、バイクによって決まっているのではなくて、走り方や速度、状態によって変わるものなのですか。
Exactly.(おっしゃるとおりです。)
一般的には乗り方を同じようにしていると、低速オーナリングではオーバーステア気味になることが多く、高速コーナリングではアンダーステア気味になることが多くなります。もちろん、すべての場合がそうではないですがね。

なるほど!例えば肌寒い雨の日のツーりング、路面が雨で光っていて、タイヤは溝が少なく(オイ!)、しかも下りで道幅が狭く、後ろからはカプチーノが煽ってくる(!)みたいなシチュエイションでは、低速での切れ込みをハンドルで押さえるのも、フロントグリップを失うのではないかと不安になりますし、高速でリーンしてもフロントが入ってくれないと、そのまま曲がりきれずに路外へ飛び出すのではないかなどと不安になりますもんね。
ニュートラルステアであれば、この不安は軽減されるということになるんですね。
あなた、どういうバイクライフ送ってるんですか?
さて、次回はまず、低速コーナーでのハンドルに切れ込みについて、具体的に考えて行きましょう。
ああ、やっと実際的になってきたなあ…。
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バイクの選定にあたって、色々熟考した所、ネモケンさんの「らいでぃぐ~」で勉強しながら、SR400に乗って、トラクションを感じるのがいいかな、と、方向性が決まってきました。
SR400は、FIとキャブ仕様がありますので、キャブのOHもいつかはしてみたい。と言う願望もあり、諸々のお話しを聞きに、バイク屋さんに出向きました。
店員さんに「SR400で、リアステアの、後輪グリグリのコーナリングがしたい」と言うと、「それなら、250TRは回らないエンジンなので、ヤマハのトリッカー辺りで、ダートの練習するといいよ」と薦められました。
私の説明不足か、理解力の欠如だと思うのですが、オフ車は、前後タイヤサイズが違うので、オーバーステアだし、そもそも、ダートトラッカーの様な走り方じゃないかな?と思いながら帰ってきました。
帰宅してから、困った時のブログ検索で恐縮ですが、↑の記事に、「ハンドリングの「アンダー」とか「オーバー」とかいうのは、バイクによって決まっているのではなくて、走り方や速度、状態によって変わるもの」とありました。
話を整理すると、①店員さんは「リアタイヤでグリグリ」と言ったのでスライド走行的なものをイメージした。②バイク歴や体力を鑑み、足つきの良いトレール車を薦めた。③前後タイヤサイズが違うものは、オーバーステアな傾向が強い(アンダーステアでも走れる?)④SR400で、「後輪一本で操っている感覚」とは、車重や、又、低速時でもトルクを強く感じる為。と、こんなところでしょうか?
樹生さんにお聞きしたいのは、知る範囲で結構ですので、250TRの様な、シングル250のトルク感と、前後タイヤサイズが違う車両のオーバーステアとは、フロントが外回りをしている感じでしょうか?と言う点です
よろしくお願い致します。
PS:「ライディング~」では、女性ライダーが、SR400でを恐る恐る(?)乗っていて、私も勇気付けられますが、いつの間にかドカティ乗りになり「マジか?」と思いました。
ご質問ありがとうございます。
「前後タイヤサイズが違う車両のオーバーステアとは、フロントが外回りをしている感じでしょうか?」
こちらから。
まず、「前タイヤのサイズの方が大きいとオーバーステアになる」とは言えません。
グリップ走行を前提とすると、前タイヤの方が大きいと、アンダー傾向になると思います。
感覚的な話をすると、記事とは表現が変わりますが、
フロントががっちり食いついて、リヤから滑り出してしまうのがオーバーステア、
リヤのグリップが勝って、フロントが滑り出してしまうというか、旋回力が少ない状態なのがアンダーステアです。
フロントタイヤが大きくてオーバーステアになることをイメージすると、
フロントタイヤが大きく、重く、そのせいで低速でハンドルが覆いに切れ込んで来て、フロントから引きずり込まれるようにコーナリングする…または、フロントタイヤに乗っている感じでコーナリングしている…というのが、オーバーステアです。
でもちょっと速度が乗ったり、加速状態になると、こういうオーバーステアは消えると思います。
この低速でのオーバーステア特性の時も、タイヤの軌跡はフロントが外回りするように描かれます。
では、ダートトラックでのドリフト走行のイメージはといいますと、こちらはよくある画像を見れば一目瞭然ですが、逆ハン状態になってリヤがフロントの外を回っていきます。
ただ、これも、プロの運転ですと、確かにバイクを基準と考えると、大きく逆ハンドルを切り、タイヤの軌跡もリヤが外側ですが、フロントタイヤの向きと実際のライダー込みの車体進行方向を見ると、実はフロントはイン側に切れていることも多いのです。つまり、進行方向から考えれば、インに切られたフロントの外側を、もっとインを向いたリヤタイヤがエンジンパワーで半分グリップを失いながら通っている…ということになります。
「頭文字D」のいう漫画のごく初期でガソリンスタンドの店長が「ドリフト中の車は基本アンダーステアなの」と言うシーンがありますが、グリップを失った状態でオーバーステアだと、安定したドリフトにならず、すぐスピンモードに入ってしまいます。だから、車体セッティングとしては、ドリフトを本当に多用して速く走る場合、「どアンダー」にセットして、ドリフトしてアンダーを消しながら曲がっていく…ということになります。
ああ、こういうふうに言うから、アンダーステアとオーバーステアが混乱するのですが……。
さて、
「250TRの様な、シングル250のトルク感」
ですが、実際に所有したことがないので、推測になります。
この答えは私が大間違いしている場合もありますので、注意してください。
250ccシングルとはいえ、エストレアと同じエンジンの250TRは、リヤタイヤで地面を蹴ってはしる感覚は、十分味わえると思います。
たぶんバイク屋さんは、「、リアステアの、後輪グリグリのコーナリングがしたい」から、
「ぐりぐり」を、半分スライドしてるみたいなイメージでとった(カブ乗りさんまとめの①で合ってる)
それで250ccでそういういざとなったら開けることで即座にリヤタイヤのスピン(スライド)に落ち込める、「弾けるレスポンス」のトリッカーエンジンを薦めた、ということだと思います。
で、
SR400がメインになる場合、セカンドバイクとして、ダートでスライドしたり、軽いジャンプしたりして遊べるトリッカーを、TRよりも薦める、というのは、正解だと、私も思います。
バイクの基本は、タイヤを滑らせる感覚を身体で理解することです。
これは、どんなバイクでも通用する、本当の基本になります。
それを低い速度で安全に体験できるダート、そして軽いオフバイクは、絶好のレッスンマシンになります。
振り回せるサイズ、250としては実は強力で、有効なエンジンパワー、そういうのを考えると、トリッカーはいい選択です。
セローも(もう中古でしか買えませんが)いい選択になると思います。
長すぎますね、すみません。
説明したりないところなど、疑問ありましたら、お願いします。