バイクライフ・バイクツーリングの魅力を北海道から。
聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
峠を楽しく7 峠のブレーキングプラン

(カワサキのマシンによるHAYATEレーシングのマルコ・メランドリ選手のブレーキング。MOTOGP選手のブレーキングは究極で我々一般ライダーには関係ないように思われがちだが、個性的でも基本に忠実なのがトッププロというものである。大いに参考になる場合が多い。
出典は写真出典は、MOTOGPオフィシャルページより、この写真のURLはここ。)
それでは、峠を楽しく走るための峠でのブレーキングプランについて考えていきます。
話を分かりやすくするために、短い直線の後の回りこんだコーナー(つまりいつもの図のコーナー)を例に考えて見ます。

峠のブレーキング、通常は信号停止と違って停止までを視野には入れていません。
そのコーナーを安全に曲がれるスピードまで「調速」することが目的になります。
では、どれくらいのスピードでそのコーナーに飛び込んだらいいか。
最近では道の脇にコーナーの曲率を掲示した標識が立っていることも多いので、それが参考になることもあります。
これは、上り、下り、路面状況、タイヤの状況などによって安全な速度は全く変わってきますので、一概にこれくらいとは言えないものがあります。
それから、運動エネルギーは<重量>×<速度の二乗>ですから、速度が2倍になると、4倍曲がりにくくなります。
つまり、時速30キロと時速60キロでは60キロの方が4倍曲がりにくいので、コーナーの曲率が大きくなるにつれて、単純に進入速度を増していくと、大きなコーナーほど曲がるのが大変になり、危険になるということです。
30R(半径30m)のコーナーを時速30キロで軽く余裕で曲がれたからといって、60Rを時速60キロで曲がるとき、同じだけ余裕はない、ということですし、90Rを90キロで曲がるには、さらに余裕がなくなってきています。
我々ライダーが相手にしているのは、運動エネルギーであって「時速」という速度そのものではない、ということは、はっきり認識しておく必要があります。
さらに言えば、コーナー進入時には、コーナーの奥で何か異変を発見したとき、止まれるか、回避できるか、いずれかの速度まで落としてから進入することが大事です。
バイクの運動能力として可能な進入速度と、その時、その場所でそのライダーが侵入してよい速度とは違うのです。
これもはっきり認識しておきましょう。
コーナー進入では後続車につつかれてもいい。
その分立ち上がりで加速するのですから。
とにかく「スローイン」です。それが絶対に外せない鉄則です。
さあ、ではコーナーに向けてストレートエンドから減速してみましょう。
どのようにブレ-キングしたらよいでしょうか。
まあ、好きにすればいいのですが、一般論として峠を楽しく安全に走るための具体的方法論を述べてみます。
まず、よくありがちなブレーキングを想定してみましょう。
コーナーが近づいてきたが、なんとなく「これくらいのコーナーに減速しなきゃ入れないのは恥ずかしい」みたいな意識が働き、または、「ブレーキはなるべく後で、まとめて掛けるのがよい」みたいな感じがあって、少し我慢してから、制動に入ってしまいます。
コーナーが近くなってきているので、いきなりガツンとかけていますが、速い速度からだと、フルブレーキでタイヤが滑るのが怖いので、一定の強さでブレーキレバーを引いたまま、コーナー入り口まで行こうとします。
しかし実際にコーナー目前になると、曲がりきれないのでは、という不安が募り、さらにブレーキを強めざるを得なくなります。
コーナーはもうすぐそこですし、ブレーキを強めてスリップが怖いですし、曲がりはじめようにも上手くバイクは寝ないしで、いや~な感じ。
結局、曲がりながらも減速を続け、コーナーの中ごろまでブレーキを引きずって、前輪側に不安を感じながらなんとか向きを変え、コーナー後半につながっていきます。

(図が汚くてスミマセン!!)
ああ、これでは楽しくない。
しかも、頑張った割には、危ないし、遅い。
成り行き任せでブレーキングすると、どうしてもこんな傾向になりがちです。
この状態から脱出するためには、血のにじむような限界ブレーキングの特訓を教習所で受ける!…かわりに、ブレーキングのプランを自分の中に持つことが、まずは大事です。個々の技術の向上も大事ですが、プランがあり、そのための技術があるのです。
先にブレーキングについての認識を組み直しましょう。
1 まず、コーナーが迫ってきたら、どれくらいの速度で進入できそうか、大まかに予想します。道の見通し、地形、ガードレールやカーブミラーの角度、道の傾斜、路面状況など、さまざまな要素から目処をつけたら、余裕を持ってブレーキング開始ポイントを決めます。
この時、予想が建てにくく迷うようなら、視界に入っている道の一番奥の時点までに停止できるようにブレーキング開始ポイントを決めます。
2 ブレーキをかけて減速します。
ブレーキングの区間は大きく3つのパートに分けて考えます。
1)パッドがブレーキディスクにあたり、荷重が前によってFフォークが沈むまでの第1段の初期制動区間。レバー入力はわずかです。
2)本格的に減速する第二段、本格制動区間。レバーを引き込み、強い制動力を発揮させます。
3)ブレーキをゆるめ、解放してコーナリングに移行する「リリース」区間。レバーを解放します。
3 バイクをバンクさせ、コーナーに切り込んでいき、コーナリングします。
通常はだいたい1)と3)が1秒以内くらい、真ん中の2)が減速の度合いによって1~2秒から5~6秒くらいでしょうか。もちろん超高速域からヘヤピンに減速するときや、路面のμが極端に低い(すべりやすい)ときには、この区間は長くなります。
でも大切なのは、ブレーキングを減速する、という結果、効果としてのみ捉えるのではなく、コーナリングの一部として、意識的、積極的に取り組み、楽しむことだと思います。
そのためには、必ず1)~3)の各過程をしっかり作ることです。
イメージとしては『ぎゅ、わーん、すいっ』…という感じ。
「ぎゅ」が第1段階
「わーん」が第2段階
「すいっ」はブレーキの解放とコーナーへの切り込み(同時です)を示しています。

(ミサノサーキットでフル制動をかけるV.ロッシ選手。
とてつもない運動エネルギーと戦い、グリップの限界でブレーキングするGPライダーだが、彼らも初期制動、本格制動、リリースと分けて考え、ブレーキングを実践している。
写真出典は、MOTOGPオフィシャルページより、この写真のURLはここ。)
それぞれのパートの役割と操作についてもう少し説明します。
1)「ぎゅ」
ブレーキのかけ始めです。
いきなりガツーン!とブレーキを握り締めてしまうと、2つの意味で危険です。
ブレーキを掛ける前のバイクは加速か巡航状態にあり、荷重は後ろよりか両輪均等に近い状態でかかっています。
強いブレーキングをすると、荷重がほとんど前輪に寄り、後輪はその分荷重が減った状態になるのはおわかりと思います。
前輪に荷重が集中していると、タイヤもそれだけ強い力で地面に押さえつけられているカタチになり、グリップ力が増しています。だから、かなり強いブレーキングでもタイヤはスリップすることなく、ブレーキング荷重を受け止めつつ、速度を落としてくれます。
ところが、ブレーキ入力をいきなりガツーンとやると、前輪の荷重が高まる前に強い制動力が前輪にかかることになります。荷重が高まっていないうちはグリップ力も高まっていないために、ロックしやすくなります。車重+ライダー重量の慣性力を止めるだけのブレーキングパワーが、まだ荷重のかかりきっていない前輪の回転を止めるために作用してしまうのですから、じわっと握ったときよりも遥かに低い限界点でFタイヤはロックしてしまいます。そうなると転倒の危険性がかなり高くなりますね。
もう1つは、いきなりロックさせるほど強くないにしても、あまりに急激な荷重移動は縮むFフォークに余計な加速度をつけてしまい、本来のバランスポイントよりも深くFフォークをストロークさせてしまうことです。本来のバランスよりも入り込んだFフォークとF荷重は、前輪の路面追従性を低下させてしまい、路面のギャップを吸収しきれずに撥ねてしまうこともあります。すると、撥ねた瞬間、車重+ライダーの重量を受けていた前輪がその慣性を失い、ロックするのです。
そうした危険を避けるためにも、ブレーキのかけ始めは、「じわっ」とかけます。
まずはレバーを軽く引いてパッドをディスクに軽く当て、荷重が前に寄せ、Fフォークを縮めます。そしてその後から入力を強めて本制動に入るのです。
この第1段階には、例えば雨の日のブレーキングなどで、ディスクとパッドの間にできる水膜を飛ばしてパッドがディスクに食いつきやすくする、そうした役割も兼ねています。
あれ?じゃあ「ぎゅわ」の「ぎゅ」よりも、「じわ」の「じ」ほうがいいのでは?
ここだけみれば「ぎゅ」より「じ」のほうが相応しいですね。
でも、イメージとしてはやっぱり「ぎゅ」を推奨したい。それにも2つ理由があります。
1つは、この第1段階、あまり長い間しないほうがいいのです。
この第1段階はどんなブレーキングでも必要で、それは急停止も場合もそうです。本制動に入る前の準備段階なのですから、この準備があまりに長いのは無駄ですね。とっさのときにさっと急制動に入れるようにするためにも、普段からこの第一段階の時間を短くしていく練習は心がけていたほうが、安全に近づけます。
場合にも寄りますが、長くても1秒以内。Fフォークが縮んで本来の位置に到達するまでですから、0.5秒もあれば通常は十分だと思います。(!車種やスピード、路面状況によって大きく変わりますから、決して鵜呑みになさいませぬよう、御注意下さい!)
上手い人はこの第1段階を確実に踏まえているのに、まるで第一段階を省いて第二段階にいきなり移行したのでは?と思うほど、短く滑らかに行います。
我々としては、確実に第1段階を作るということと、その時間を無駄に長く取らないという意味を込めて、「じわ」に「じ」よりもスピード感のある「ぎゅわ」の「ぎゅ」を推奨すると、そういうわけです。
理由の2つ目は、この第一段階を減ることで第二段階の本制動が今までよりも強く掛けることができるようになるからです。
そのことは次の「わーん」で。

(ケーシーストーナー選手のブレーキング。Fフォークがフルボトムしていない珍しい写真で、おそらく、「ぎゅわーん」の「ぎゅ」、つまり第1段階の写真だと思われる。GP選手の第1段階は非常に短い。限界まで無駄を切り落としていくからだ。しかし、いきなり鷲掴みは絶対にない。どんなに短くても第一段階を作る。究極の力強さには繊細な感覚が必要なのだ。
出典同上。写真URLはここである。)
2)「わーん」
第2段階のわーんは本制動です。
この区間で狙った速度まで車速を落とします。
ここで峠が苦手な人のブレーキ入力パターンが下図の左側のパターン。
あまり強くかけず、一定の強さでコーナーに向かうのですが、途中で減速しきれていないことに気づき、ブレーキングが強まっています。そのままコーナーの進入までいってしまい、進入速度が速いので、ブレーキを握ったままコーナリング開始。
いつ転ぶか、飛び出すかとひやひやのコーナリングになります。
楽しく安全なブレーキングの入力パターンは図の右側のパターン。

(横に振れている幅が広いほどブレーキを強くかけていることを表しています。)
第一段階で準備は整っていますから、強くブレーキングしても大丈夫。もちろん、力任せに握りこんではいけませんが、実は多くの人が思い込んでいるより、ブレーキは強くかけられるのです。
第一段階の「ぎゅ」でFフォークが縮み、パッドとディスクに熱が入り始めたら、レバーの根本の先で(ブレーキのマスターシリンダーのピストンで)粘土を握りつぶすようにレバーを引くように入力を強めます。
バイクの姿勢は安定したまま制動力がぐうっと強まるのが感じられるはずです。
角のない、しかし力強い減速Gが感じられ、タイヤがぎゅううううっと、路面に押し付けられつつ減速の仕事をしている実感が伝わってきたら、いいブレーキングができています。
レースならここで限界まで攻めるのですが、公道では安心感と自信が得られる範囲にとどめておきます。
それでも、第1段階なしにいきなりガツーンとやったときに比べると格段に強いブレーキングが安心してできることに気づかれると思います。
さて、この「わーん」の間ですが、ただ同じようにずっと減速するのではありません。
図の左側の赤線のように、「わーん」区間の初期のうちに強い制動をかけ、早い段階で速度を落としてしまいます。
そうすると、この強さで減速を続ければコーナー進入時にはむしろ遅すぎるくらいになることが感じられます。
そこで、「わーん」区間の後半はブレーキ入力を徐々に弱めつつ、速度調整区間に入るのです。
直前までフルブレーキしてしまうと、集中力・注意力をすべてブレーキングに取られてしまい、次のコーナーへの切り込みがおろそかになります。
余裕を持ち、徐々にブレーキを緩めつつ、倒し込みポイントに向かって最後の速度調整のつもりで向かえば、精神的にもゆとりができ、安全に、自信を持ってコーナーへの飛び込みができます。
「わーん」の区間は徐々に弱める。自然に息を吐きながら「ぎゅわーん」と言った時みたいに、ブレーキレバー入力も徐々に弱める方向でやってみると、俄然、ブレーキングに余裕と、狙った地点に狙った速度で到達するという目標ができ、楽しくなります。
(この狙った速度というのは、時速○○キロというような数字ではなく、自分の安全に曲がれる自信の持てる速度です。毎回違っていいですし、スピードメーターを気にする必要もありません。むしろ、コーナーアプローチでメーターなんか見ていてはいけません。前方を見ましょう。)
さあ、速度が狙ったとおりに落ち、コーナーが迫ってきたら、ブレーキレバーを離してコーナリングに入りましょう。

同じくケーシーストーナー選手。本格制動の後半区間に入り、そろそろ「すいっ」が近づいてきている。
一見、カウルとFフェンダーの間に隙間が空いているように見えるが、カウル先端の吸気口のした部分を黒く塗ったデザインの為で、フルボトムしている。
左足がステップから外れ、リヤタイヤはわずかに外側に流れてブレーキングドリフトのような状態になっている。もちろん、ドリフトといっても撥ねているわけではなく、非常にスムーズに外側に流している。このブレーキング後半の内足外し、最初はストーナーとロッシがしていたのだが、今年に入り、ペドロサ、ロレンソ等、他の選手も多く見せるようになった。リズムを取り、倒しこみに向けてライダーの荷重の乗せ換えの準備をしているのだと思われる。和歌山利宏氏風に2軸理論と常歩理論に当てはめれば、倒し込み時の内軸への乗せ換えの前に外軸に一度重心を移した状態ということになろう。
おそらくあと1~2秒で倒し込みポイント(カットインポイント)。視線、姿勢、すべてが来るべき倒し込みポイントに向けて研ぎ澄まされていることが読み取れるショットである。
出典同上。写真URLはここ。)
3)「すいっ」
この「すいっ」は、ブレーキレバーを離す様子の擬態語です。と、同時にコーナーに向けてバンクして入っていく様子の擬態語でもあります。
ブレーキを離すと同時にリーン(バイクを傾ける)。
そして同時にコーナーへくるっと向きを変えつつ入っていく。
この「すいっ」の瞬間こそ、コーナリングの要。
根本健氏や『ライダースクラブ』の言い方では『向き変え』の瞬間です。
ブレーキングとしてはここで終了です。
離し方は、コーナリングにより、または進入速度により変わります。
パッとリーンして直進時から瞬時にコーナリング体勢に入りたいときには「スパッ!」と一気に離します。
低速のヘヤピンのように、進入もバンクの速度もゆっくりしたい時には、「スーッ」とゆっくり離します。
それらも含めて、『向き変え』について、ライテクの次回記事から連載します。
☆☆☆注意☆☆☆☆☆☆☆☆
当ブログの記事は、当ブログ管理人が先達のライテクに学んだことや自分自身の経験から書いたものであり、正しさが保証されているものではありません。また、当ブログと異なる考え方を否定するものでもありません。読んでの判断はあくまで読者の方御自身がなさってください。
また、言うまでもなく、バイクライディングにおいては、ライダーが自己の誇りと責任を持ってライテクを考え、実践すべきものであり、当ブログをお読みになった方の実際のライディング上のあらゆる事態について、当ブログはその責任を負いません。
特にブレーキングのミスは事故につながりかねません。決して無理はなさらないようにしてください。
樹生和人(たっきかずひと)
(「ライテク記事 インデックスⅡ」へ。)
(「ライテク記事 インデックスⅠ」へ。)
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出典は写真出典は、MOTOGPオフィシャルページより、この写真のURLはここ。)
それでは、峠を楽しく走るための峠でのブレーキングプランについて考えていきます。
話を分かりやすくするために、短い直線の後の回りこんだコーナー(つまりいつもの図のコーナー)を例に考えて見ます。

峠のブレーキング、通常は信号停止と違って停止までを視野には入れていません。
そのコーナーを安全に曲がれるスピードまで「調速」することが目的になります。
では、どれくらいのスピードでそのコーナーに飛び込んだらいいか。
最近では道の脇にコーナーの曲率を掲示した標識が立っていることも多いので、それが参考になることもあります。
これは、上り、下り、路面状況、タイヤの状況などによって安全な速度は全く変わってきますので、一概にこれくらいとは言えないものがあります。
それから、運動エネルギーは<重量>×<速度の二乗>ですから、速度が2倍になると、4倍曲がりにくくなります。
つまり、時速30キロと時速60キロでは60キロの方が4倍曲がりにくいので、コーナーの曲率が大きくなるにつれて、単純に進入速度を増していくと、大きなコーナーほど曲がるのが大変になり、危険になるということです。
30R(半径30m)のコーナーを時速30キロで軽く余裕で曲がれたからといって、60Rを時速60キロで曲がるとき、同じだけ余裕はない、ということですし、90Rを90キロで曲がるには、さらに余裕がなくなってきています。
我々ライダーが相手にしているのは、運動エネルギーであって「時速」という速度そのものではない、ということは、はっきり認識しておく必要があります。
さらに言えば、コーナー進入時には、コーナーの奥で何か異変を発見したとき、止まれるか、回避できるか、いずれかの速度まで落としてから進入することが大事です。
バイクの運動能力として可能な進入速度と、その時、その場所でそのライダーが侵入してよい速度とは違うのです。
これもはっきり認識しておきましょう。
コーナー進入では後続車につつかれてもいい。
その分立ち上がりで加速するのですから。
とにかく「スローイン」です。それが絶対に外せない鉄則です。
さあ、ではコーナーに向けてストレートエンドから減速してみましょう。
どのようにブレ-キングしたらよいでしょうか。
まあ、好きにすればいいのですが、一般論として峠を楽しく安全に走るための具体的方法論を述べてみます。
まず、よくありがちなブレーキングを想定してみましょう。
コーナーが近づいてきたが、なんとなく「これくらいのコーナーに減速しなきゃ入れないのは恥ずかしい」みたいな意識が働き、または、「ブレーキはなるべく後で、まとめて掛けるのがよい」みたいな感じがあって、少し我慢してから、制動に入ってしまいます。
コーナーが近くなってきているので、いきなりガツンとかけていますが、速い速度からだと、フルブレーキでタイヤが滑るのが怖いので、一定の強さでブレーキレバーを引いたまま、コーナー入り口まで行こうとします。
しかし実際にコーナー目前になると、曲がりきれないのでは、という不安が募り、さらにブレーキを強めざるを得なくなります。
コーナーはもうすぐそこですし、ブレーキを強めてスリップが怖いですし、曲がりはじめようにも上手くバイクは寝ないしで、いや~な感じ。
結局、曲がりながらも減速を続け、コーナーの中ごろまでブレーキを引きずって、前輪側に不安を感じながらなんとか向きを変え、コーナー後半につながっていきます。

(図が汚くてスミマセン!!)
ああ、これでは楽しくない。
しかも、頑張った割には、危ないし、遅い。
成り行き任せでブレーキングすると、どうしてもこんな傾向になりがちです。
この状態から脱出するためには、血のにじむような限界ブレーキングの特訓を教習所で受ける!…かわりに、ブレーキングのプランを自分の中に持つことが、まずは大事です。個々の技術の向上も大事ですが、プランがあり、そのための技術があるのです。
先にブレーキングについての認識を組み直しましょう。
1 まず、コーナーが迫ってきたら、どれくらいの速度で進入できそうか、大まかに予想します。道の見通し、地形、ガードレールやカーブミラーの角度、道の傾斜、路面状況など、さまざまな要素から目処をつけたら、余裕を持ってブレーキング開始ポイントを決めます。
この時、予想が建てにくく迷うようなら、視界に入っている道の一番奥の時点までに停止できるようにブレーキング開始ポイントを決めます。
2 ブレーキをかけて減速します。
ブレーキングの区間は大きく3つのパートに分けて考えます。
1)パッドがブレーキディスクにあたり、荷重が前によってFフォークが沈むまでの第1段の初期制動区間。レバー入力はわずかです。
2)本格的に減速する第二段、本格制動区間。レバーを引き込み、強い制動力を発揮させます。
3)ブレーキをゆるめ、解放してコーナリングに移行する「リリース」区間。レバーを解放します。
3 バイクをバンクさせ、コーナーに切り込んでいき、コーナリングします。
通常はだいたい1)と3)が1秒以内くらい、真ん中の2)が減速の度合いによって1~2秒から5~6秒くらいでしょうか。もちろん超高速域からヘヤピンに減速するときや、路面のμが極端に低い(すべりやすい)ときには、この区間は長くなります。
でも大切なのは、ブレーキングを減速する、という結果、効果としてのみ捉えるのではなく、コーナリングの一部として、意識的、積極的に取り組み、楽しむことだと思います。
そのためには、必ず1)~3)の各過程をしっかり作ることです。
イメージとしては『ぎゅ、わーん、すいっ』…という感じ。
「ぎゅ」が第1段階
「わーん」が第2段階
「すいっ」はブレーキの解放とコーナーへの切り込み(同時です)を示しています。

(ミサノサーキットでフル制動をかけるV.ロッシ選手。
とてつもない運動エネルギーと戦い、グリップの限界でブレーキングするGPライダーだが、彼らも初期制動、本格制動、リリースと分けて考え、ブレーキングを実践している。
写真出典は、MOTOGPオフィシャルページより、この写真のURLはここ。)
それぞれのパートの役割と操作についてもう少し説明します。
1)「ぎゅ」
ブレーキのかけ始めです。
いきなりガツーン!とブレーキを握り締めてしまうと、2つの意味で危険です。
ブレーキを掛ける前のバイクは加速か巡航状態にあり、荷重は後ろよりか両輪均等に近い状態でかかっています。
強いブレーキングをすると、荷重がほとんど前輪に寄り、後輪はその分荷重が減った状態になるのはおわかりと思います。
前輪に荷重が集中していると、タイヤもそれだけ強い力で地面に押さえつけられているカタチになり、グリップ力が増しています。だから、かなり強いブレーキングでもタイヤはスリップすることなく、ブレーキング荷重を受け止めつつ、速度を落としてくれます。
ところが、ブレーキ入力をいきなりガツーンとやると、前輪の荷重が高まる前に強い制動力が前輪にかかることになります。荷重が高まっていないうちはグリップ力も高まっていないために、ロックしやすくなります。車重+ライダー重量の慣性力を止めるだけのブレーキングパワーが、まだ荷重のかかりきっていない前輪の回転を止めるために作用してしまうのですから、じわっと握ったときよりも遥かに低い限界点でFタイヤはロックしてしまいます。そうなると転倒の危険性がかなり高くなりますね。
もう1つは、いきなりロックさせるほど強くないにしても、あまりに急激な荷重移動は縮むFフォークに余計な加速度をつけてしまい、本来のバランスポイントよりも深くFフォークをストロークさせてしまうことです。本来のバランスよりも入り込んだFフォークとF荷重は、前輪の路面追従性を低下させてしまい、路面のギャップを吸収しきれずに撥ねてしまうこともあります。すると、撥ねた瞬間、車重+ライダーの重量を受けていた前輪がその慣性を失い、ロックするのです。
そうした危険を避けるためにも、ブレーキのかけ始めは、「じわっ」とかけます。
まずはレバーを軽く引いてパッドをディスクに軽く当て、荷重が前に寄せ、Fフォークを縮めます。そしてその後から入力を強めて本制動に入るのです。
この第1段階には、例えば雨の日のブレーキングなどで、ディスクとパッドの間にできる水膜を飛ばしてパッドがディスクに食いつきやすくする、そうした役割も兼ねています。
あれ?じゃあ「ぎゅわ」の「ぎゅ」よりも、「じわ」の「じ」ほうがいいのでは?
ここだけみれば「ぎゅ」より「じ」のほうが相応しいですね。
でも、イメージとしてはやっぱり「ぎゅ」を推奨したい。それにも2つ理由があります。
1つは、この第1段階、あまり長い間しないほうがいいのです。
この第1段階はどんなブレーキングでも必要で、それは急停止も場合もそうです。本制動に入る前の準備段階なのですから、この準備があまりに長いのは無駄ですね。とっさのときにさっと急制動に入れるようにするためにも、普段からこの第一段階の時間を短くしていく練習は心がけていたほうが、安全に近づけます。
場合にも寄りますが、長くても1秒以内。Fフォークが縮んで本来の位置に到達するまでですから、0.5秒もあれば通常は十分だと思います。(!車種やスピード、路面状況によって大きく変わりますから、決して鵜呑みになさいませぬよう、御注意下さい!)
上手い人はこの第1段階を確実に踏まえているのに、まるで第一段階を省いて第二段階にいきなり移行したのでは?と思うほど、短く滑らかに行います。
我々としては、確実に第1段階を作るということと、その時間を無駄に長く取らないという意味を込めて、「じわ」に「じ」よりもスピード感のある「ぎゅわ」の「ぎゅ」を推奨すると、そういうわけです。
理由の2つ目は、この第一段階を減ることで第二段階の本制動が今までよりも強く掛けることができるようになるからです。
そのことは次の「わーん」で。

(ケーシーストーナー選手のブレーキング。Fフォークがフルボトムしていない珍しい写真で、おそらく、「ぎゅわーん」の「ぎゅ」、つまり第1段階の写真だと思われる。GP選手の第1段階は非常に短い。限界まで無駄を切り落としていくからだ。しかし、いきなり鷲掴みは絶対にない。どんなに短くても第一段階を作る。究極の力強さには繊細な感覚が必要なのだ。
出典同上。写真URLはここである。)
2)「わーん」
第2段階のわーんは本制動です。
この区間で狙った速度まで車速を落とします。
ここで峠が苦手な人のブレーキ入力パターンが下図の左側のパターン。
あまり強くかけず、一定の強さでコーナーに向かうのですが、途中で減速しきれていないことに気づき、ブレーキングが強まっています。そのままコーナーの進入までいってしまい、進入速度が速いので、ブレーキを握ったままコーナリング開始。
いつ転ぶか、飛び出すかとひやひやのコーナリングになります。
楽しく安全なブレーキングの入力パターンは図の右側のパターン。

(横に振れている幅が広いほどブレーキを強くかけていることを表しています。)
第一段階で準備は整っていますから、強くブレーキングしても大丈夫。もちろん、力任せに握りこんではいけませんが、実は多くの人が思い込んでいるより、ブレーキは強くかけられるのです。
第一段階の「ぎゅ」でFフォークが縮み、パッドとディスクに熱が入り始めたら、レバーの根本の先で(ブレーキのマスターシリンダーのピストンで)粘土を握りつぶすようにレバーを引くように入力を強めます。
バイクの姿勢は安定したまま制動力がぐうっと強まるのが感じられるはずです。
角のない、しかし力強い減速Gが感じられ、タイヤがぎゅううううっと、路面に押し付けられつつ減速の仕事をしている実感が伝わってきたら、いいブレーキングができています。
レースならここで限界まで攻めるのですが、公道では安心感と自信が得られる範囲にとどめておきます。
それでも、第1段階なしにいきなりガツーンとやったときに比べると格段に強いブレーキングが安心してできることに気づかれると思います。
さて、この「わーん」の間ですが、ただ同じようにずっと減速するのではありません。
図の左側の赤線のように、「わーん」区間の初期のうちに強い制動をかけ、早い段階で速度を落としてしまいます。
そうすると、この強さで減速を続ければコーナー進入時にはむしろ遅すぎるくらいになることが感じられます。
そこで、「わーん」区間の後半はブレーキ入力を徐々に弱めつつ、速度調整区間に入るのです。
直前までフルブレーキしてしまうと、集中力・注意力をすべてブレーキングに取られてしまい、次のコーナーへの切り込みがおろそかになります。
余裕を持ち、徐々にブレーキを緩めつつ、倒し込みポイントに向かって最後の速度調整のつもりで向かえば、精神的にもゆとりができ、安全に、自信を持ってコーナーへの飛び込みができます。
「わーん」の区間は徐々に弱める。自然に息を吐きながら「ぎゅわーん」と言った時みたいに、ブレーキレバー入力も徐々に弱める方向でやってみると、俄然、ブレーキングに余裕と、狙った地点に狙った速度で到達するという目標ができ、楽しくなります。
(この狙った速度というのは、時速○○キロというような数字ではなく、自分の安全に曲がれる自信の持てる速度です。毎回違っていいですし、スピードメーターを気にする必要もありません。むしろ、コーナーアプローチでメーターなんか見ていてはいけません。前方を見ましょう。)
さあ、速度が狙ったとおりに落ち、コーナーが迫ってきたら、ブレーキレバーを離してコーナリングに入りましょう。

同じくケーシーストーナー選手。本格制動の後半区間に入り、そろそろ「すいっ」が近づいてきている。
一見、カウルとFフェンダーの間に隙間が空いているように見えるが、カウル先端の吸気口のした部分を黒く塗ったデザインの為で、フルボトムしている。
左足がステップから外れ、リヤタイヤはわずかに外側に流れてブレーキングドリフトのような状態になっている。もちろん、ドリフトといっても撥ねているわけではなく、非常にスムーズに外側に流している。このブレーキング後半の内足外し、最初はストーナーとロッシがしていたのだが、今年に入り、ペドロサ、ロレンソ等、他の選手も多く見せるようになった。リズムを取り、倒しこみに向けてライダーの荷重の乗せ換えの準備をしているのだと思われる。和歌山利宏氏風に2軸理論と常歩理論に当てはめれば、倒し込み時の内軸への乗せ換えの前に外軸に一度重心を移した状態ということになろう。
おそらくあと1~2秒で倒し込みポイント(カットインポイント)。視線、姿勢、すべてが来るべき倒し込みポイントに向けて研ぎ澄まされていることが読み取れるショットである。
出典同上。写真URLはここ。)
3)「すいっ」
この「すいっ」は、ブレーキレバーを離す様子の擬態語です。と、同時にコーナーに向けてバンクして入っていく様子の擬態語でもあります。
ブレーキを離すと同時にリーン(バイクを傾ける)。
そして同時にコーナーへくるっと向きを変えつつ入っていく。
この「すいっ」の瞬間こそ、コーナリングの要。
根本健氏や『ライダースクラブ』の言い方では『向き変え』の瞬間です。
ブレーキングとしてはここで終了です。
離し方は、コーナリングにより、または進入速度により変わります。
パッとリーンして直進時から瞬時にコーナリング体勢に入りたいときには「スパッ!」と一気に離します。
低速のヘヤピンのように、進入もバンクの速度もゆっくりしたい時には、「スーッ」とゆっくり離します。
それらも含めて、『向き変え』について、ライテクの次回記事から連載します。
☆☆☆注意☆☆☆☆☆☆☆☆
当ブログの記事は、当ブログ管理人が先達のライテクに学んだことや自分自身の経験から書いたものであり、正しさが保証されているものではありません。また、当ブログと異なる考え方を否定するものでもありません。読んでの判断はあくまで読者の方御自身がなさってください。
また、言うまでもなく、バイクライディングにおいては、ライダーが自己の誇りと責任を持ってライテクを考え、実践すべきものであり、当ブログをお読みになった方の実際のライディング上のあらゆる事態について、当ブログはその責任を負いません。
特にブレーキングのミスは事故につながりかねません。決して無理はなさらないようにしてください。
樹生和人(たっきかずひと)
(「ライテク記事 インデックスⅡ」へ。)
(「ライテク記事 インデックスⅠ」へ。)
(ブログトップページへ。)
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う~んわかる!だけど自分は馬鹿だから
走らないとわからない!
『 走りたい!』と思わせる記事ですね
やはり自分は感性人間なので走って試してみたいですね・・・ホント
そろそろ仕事に戻ります・短コメですいません
私、いのぶーです。ぶー切れでした(笑)
何かあったら…曲がり切れなかったら…と思うので
“わーん”のパートでスピードを落とし過ぎかな?
って事が多かったりします。
繰り返し乗って、経験値を上げていくことかな。
安全第一で。
もっぱら、楽しむのは“コーナー後半”が多いです。
ありがとうございます。
ライディングについて語られることは、やはりライディングの中でしか確認できないことだと思います。
でも「走りたいと思わせる記事」は私にとって非常にうれしいほめ言葉です。
ありがとうございます。
マージンの確保の仕方と、ピタッと攻めきれる充実感の間のやり取りはなかなか難しく、だからこそライディングは面白いのかもしれませんね。
私は最近電車並のGしか発生させないという、メリハリ不足で、ちんたら走っています。
コーナリングの快感はやはりトラクション旋回からの立ち上がり加速ですよね。
そのためにも大切なブレーキングリリースと向き変え。
間を空けますが、また記事にトライしてみたいと思います。
恐怖感がなく、気持ちよく、尻がシートに沈み込む感じは、アクセルが開けられていて、きれいに旋回加速ができている状態だと思います。
その快感のために、進入速度を抑えて、スローンすることに徹してみてください。
ところで前輪から減るということですが、それは走り方にもよりますが、乗っているバイクにもよります。
前輪荷重の大きい最近のスポーツバイクは前輪の減りが早いようです。タイヤの減りがどちらが速いかよりも、走っている時の接地感、怖くないかどうか、などを基準に考えるのがいいと思います。
もし今、竹さんと私が走ったら、竹さんは私が遅いのにイライラするかもしれませんよ。
速いスピードは速いバイクに乗れば出ます。
速いバイクでも、1車線の住宅街の中を100キロで走る人はいないでしょう^^。時速なんて相対的なものです。安全で、充実感があるか、自分のペースで楽しいか、それが大事です。
速度を上げるトライもライテクにはありますが、速度をあげないまま、いかに効率よく走るか、というトライもあります。いかに力を入れずに走るかとか、しっかり開けつつもタイヤにやさしい運転はできないか…とか、トライの課題はたくさん見つかりますし、人によって好きな領域もさまざまです。
ライディングが好きで峠に通っていろいろ試している竹さんは、それだけでももう、バイクにとっても向いているんだと思います。
もし、竹さんのバイクがハイパワーなバイクだと、コーナリングで開け過ぎて後輪が滑り、バイクから投げ出されるという転倒もありえますので、峠でのチャレンジは必ず少しずつ、安全に十分に気をつけてしてくださいね。
お互い、無事故でバイクライフを楽しみたいものですね。
峠、最初は怖くて怖くて超大嫌いでした。
しかし、周り人にアドバイスをいただくようになってからは、お陰様で峠が少しずつ怖くなくなってきたと言うか・・・。
今は、(スピードは低速でも)自分のイメージでコーナーが走れた時の感触が楽しくて、特に切り返しの連続しているコーナーは大好きです。
しかしまだまだ未熟。 時には迷ってしまって「ふぅ、ヤバかった」と言う事も。
そんな時、参考のひとつにさせていただいているのが、この樹生さんのサイトでした。
正直言って、私には書いてある事が難しく、読んでいても???の時が多々あります。
それでも、何度か読んでみたり、時をずらして読み返してみると「あぁ、そう言う事かぁ」と思える事が。
こんないい加減な読者ですが、これからも読ませていただきますので、宜しくお願い致します。
「適切なアドバイス」なんていっていただくとうれしくて飛び上がりそうです。
私は所詮素人ですし、特別に上手いわけでもなく、走る速さはすごく遅いです。
私の返答コメントも、コメントいただいた文面から私なりに状況を想像して、こうじゃないかな…と考えながら書いているに過ぎませんので、私の読み違いや、とんちんかんなことを答えていることも多々あるかと思います。
バイクは命を乗せて走っているものですから、決して油断したり、なめてかかったりしてはいけませんが、上手くなったり、速くなったりしなければいけないというものでもないと思います。
安全に、自分の命と他人の命を奪わないように気をつけて、あとはマナーを守って各自が楽しく走れればいいと思うんです。
バイクって、ただ走らせるだけでもすごく幸せになれる、稀有な乗り物だと、私は感じています。
私はライテクを考えたり、ちょっとした自分なりの工夫をあれこれとしながら走ることと、風景を楽しみながら走ることが大好きなのでそうしているのですが、マスツーリングでの交流が楽しみという方もいれば、おいしいものを食べに行くのが何より好き、という方もいます。
バイクって、本当に楽しみ方に幅のある趣味だと思います。
楽しみながら、幸せになっていくこと、それがバイクに乗り続けることの意味のような気がしています。
竹さん、また、私のようなものの意見でもよければ、何でもご質問下さい。
また、これは余計なお節介ですが、私の言うことを完全には信じないように、お願いします。
ちゃんとしたプロのライテク記事や本を何通りか読み、またはスクールなどに行くも良いと思います。
いろんな言い方、考え方を知る中で、自分の感性に一番合いそうなものを見つけて、それを中心に他の考え方も合わせながら自分の流儀を作っていく。…これもまたライダーとしての成長過程だと思います。
昔、私が尊敬し憧れていた先輩に、どうしたら先輩のようになれますかと訊いたら、「僕みたいになっちゃだめだ。君は君になるんだろう」と言われました。
この言葉は、私の中で今でも生きています。
竹さんのバイクライフがますます豊かで素敵なものとなりますように。
竹さん、これからもよろしくお願いします。
ようこそいらっしゃいました。
お読みいただき、そしてコメントいただき、ありがとうございます。
CB400SF、名車ですね!
もしGPZ1100が壊れたら次のバイクの候補として、CBは何番目かに考えているバイクです。
yamaさんのブログも少しだけ拝見しました、お仲間とのツーリングやテクニックUP講習会の参加など、大変充実したバイクライフを送っていらっしゃるご様子。たくさんの写真と落ち着いた文章の中に、とても楽しく充実した感じが伝わってきました。
さて、私のライテクの記事は、自分でも1記事が長すぎるし、やたら理屈が多いしで、これは分かりにくいだろうなあ…となんとなくは思いつつも、どこがどう分かりにくいのか、どうしたら分かりやすくなるのか、分からないままになんとか書いている…という状況であります。
それでも参考にしていただいて、大変光栄です。
くどいようですが、(ホントにくどいですが)私は単にライテク談義が好きな素人オタクに過ぎません。私の記事が正しい保証はありませんので、どうぞ信じすぎないようにお願いいたします。やはり、プロと素人では決定的にレベルの違いがありますので。
また、ここが分かりにくいぞとか、この単語が聞いた事ない、とか、これは納得行かないとか、いろいろとご質問やご御指摘をいただけるとありがたいです。
そうしたことが私自身、ライテクを考えていくヒントになることが非常に多いのです。
例えば今回のシリーズも、峠でのライテクというとどうも速く走ることがメインにされることが多く、確かに速く走る技術はライテクの中でも本当に面白いものなのですが、それを安全マージンを大きくするための、そうして生まれる余裕をライディングを楽しむことに振り分けていくための技術としてとらえ直せないか…と考えたものです。
それは、いただいたコメントなどから、峠というと飛ばし屋が楽しむところで、速く走る技術は自分とは関わりがないと考えておられる方や、峠はやはり速く走らないとバイクに乗っている意味がかなりそがれてしまうのではないかと考えておられる方が、意外と多いのではないかと考えたからでした。
この私の考え自体、大勘違いの可能性もあるのですが、ここの原理や技術そのものだけでなく、一連の技術の考え方をとらえ直してみることに、私自身のバイクライフを変えていくような力になるものがあるのではないか…と思えたのです。
おおっと、こうして脱線しては関係ないことをくどくどと述べてしまうのが私の癖なのですが、どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。
御質問やご意見、御指摘など、お待ちしております。
また、どんなに古い記事でも、コメントくだされば対応します。
yamaさん、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
しかし自分が乗るようになって考えが変わりました。
私が見てきた↑の様な乗り方は、いかに危険であるかと。
まぁ、中にはきちんと安全マージンを保ちながら行なっている人もいると思うので、全否定はしませんけど。
バイクは "身ひとつで乗る" だから風を感じ空気を感じられ楽しい、しかし危険と一心同体。
バイクの運転って、四輪以上にイメージが大切だと思っています。
またそれによって必要なラインや操作など・・・
特に峠道は、それがシビアに出るので、いかにイメージに近く通過させるか・・・。
速く走る事 ではなく 安全に走るため に何が必要か・・・。
安全に走れる事が出来れば、怖かった峠が楽しくなる。
自分のイメージ通りに通過できた時ほど快感はなく、この快感が楽しくって峠にはまってしまいました。
と言っても一日峠を走っても1~2回ですけどね。
私自身どちらかというと、慣性より理屈が先に来てしまうタイプなんです。
間違った理屈やイメージは逆に危険になりますよね。
それでは楽しさ半減どころか・・・。
講習もライテク本も友人との会話も、もちろん樹生さんのサイトも、全て参考意見のひとつとしかとらえていません。
バイクも走る道も体格も判断力も全て違う訳ですからね。
いま興味があるのは、(既に記事に書かれているのかも知れませんが)、実際に失敗してラインに入ってしまった時やオーバースピードでコーナーに入ってしまった時、どうやって立て直すか・・・です。
自分のブログでもないのに、長々書いてしまいました。 失礼。
これからも宜しくお願いします。
バイクの運転はイメージが大切…、私もそう考えます。
根本健氏が未知のワインディングを駆け抜けて行くことは知的なゲームだと言っていました。
失うものを背中に多く背負い込んでしまっている中年ライダーならばなおさらのこと、リスクをなくしていくことに若い頃よりもさらに真剣にならざるを得ませんよね。しかし、そのことが、ライディングに幅や深みを与えてくれることもあると思います。
バイクライディングは、山登りと一緒で、命のかかっている遊びだということ、遊びではあるが、命やスリルをもてあそぶものではないこと、いわゆるレジャー、消費、とは違うものであること、それをいつも胸においておきたいと思います。
長コメント、大歓迎です(^^)(私も超長なので)
峠でコーナー入り口までにブレーキを一切かけず、
アクセルを戻すだけで、たぶんギアを落とすエンジン
ブレーキもかけてない?人をよく見かけます。
たぶんマージンが高いのだろうと想像していますけど、自分はエンジンブレーキやFRブレーキで減速してからコーナーに入って行きます。
ギア固定の人ほどFRノーブレーキで向き換えする
傾向があるように思いますね。
上手な人でも結構自己流が多いようですね。
今年はいろいろ相談に乗って頂き感謝しております。
来年も宜しくお願いします。
峠で本当に立ち上がり加速をきっちり決めると、ちょっとした直線でもすぐに三桁の速度に乗ることになります。
峠を速く走るとき、実は純粋な旋回中はあまりタイム差はでないんです。タイム差のほとんどは、コーナリングからの脱出への加速とそのあとの直線の加速によって出ています。ほんとに速い人は、大して無理してなくても、開けるべき所では丁寧に開け始めても滑らかに素早く開けるので、相当速度が乗ってしまいます。だから、カーブへはほぼ、ブレーキかけないと進入できない(速すぎるから)ようになってしまうのです。
このスピード感覚は、慣れも、感性も必要で、毎回言いますが、徐々にしか試してはいけない領域です。
昔の話になりますが、E.ローソンというレーサーは、サーキットの直線部分で、時速270㎞と時速272㎞の違いがはっきり体感で識別できたといいます。
彼らから見れば、峠でちょっと速いからと天狗になっている人など、詰めるべきところを全然詰めていない大甘の恥ずかしい口先野郎に見えるでしょう。
さて、今のバイクは相当限界が高いので、そのポテンシャルをちゃんと引き出せれば、かなりのペースでカーブは曲がれます。(やっていいというものではないですけれど…)
そんなに直線で速く走っていないなら、別にノーブレーキでもカーブは曲がれますので、そうして曲がって行く人も多いでしょう。
でも、私も含めて、ちょっと峠のキャリアがあるライダーってのは「俺はこれくらいのカーブでもこの速度からブレーキかけずに(速いままで)突っ込めるんだぜ、余裕だぜ、すごいだろ、俺の後ろの奴、見たか?」って、見栄を張りたくなる、しょうもない弱い心を持ってるもんなんですよ。
それで、結構ぎりぎりの速度の近くまで、わざとブレーキかけずにコーナーに入って行くときがあります。
でも、ここでも本当に上手い人は、ノーブレーキのままたらたらと流すときもあれば、もっとゆっくりのペースでも、きっかけのために一瞬でもブレーキをかけて荷重変化を起こし、面圧を高めてからブレーキ開放と共に浅くさっとバンクしてコーナーに入っていくこともあります。
結局、自分が安全に、気持ちよく、楽しく乗れるのが一番ですから、いろんなアプローチを試して見るのがいいと思います。(くどいですが、くれぐれも無理しない範囲で)
「見栄でノーブレーキ」
これは結構多くいますが、これを本人に「見栄なの?」って聞いてはいけません。
人は真実を突かれた時に一番怒るものですから。
また、もしも、「あれくらいのコーナー進入でブレーキかけてるの?」って聞いてくる人がいたら、その人は100%「見栄でノーブレーキ」マンです。
悲しいことに「自分の優越感のために人に教える」タイプのこともありますので、その人のいうことは信用するか、しないか、場合により、内容により、その都度判断なさるといいと思います。
おおっと、今日のお答えはちょっとブラックになってしまいました…。すみません。
山賊さん、質問ありがとうございました。
ご質問いただだくと、そのことで私自身、自分のライディングを振り返り、再考するいい機会となります。
山賊さんのご質問に答える中で、私自身も自分のライテクを見直し、いくつかヒントを見出すことができました。
冬季の路面凍結はむしろ今からが危険な日々ですね。
どうぞ、お気をつけて、楽しい、安全なバイクライフをお送り下さい。
来年もよろしくお願いいたします。
コーナー進入時のブレーキのことを調べていたらここにたどり着きました。今はとある動画にある8の字Aパターン①を練習しつつ一般道のコーナーに応用するということを繰り返しています。記事の中のコーナリングのイメージの表現が大変参考になりました。ありがとうございます。実は30年ぶりにバイクに乗ることができまして、ほぼ一からの学びなおしになり新鮮です。かえってまっさらになり基本を大切にしようとするのでとても楽しいです。
今後も勉強しに来ます。
ご訪問、ありがとうございます。
お読みいただき、光栄です。
また、ご訪問くださり、コメントいただければ、幸いです。
30年ぶりのバイク復帰、おめでとうございます!
どうぞ、安全で、素敵なバイクライフをお送りください。