山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

映画「小さいおうち」を観る、昭和モダンへの挽歌

2014-02-13 19:24:25 | アート・文化
 山田洋次監督最新映画「小さいおうち」(原作・中島京子/直木賞受賞作)を観る。
 昭和モダニズムが随所に漂う赤い屋根の家とインテリアが見ものだ。
 さらには、ほんとうの主人公である女中タキ(黒木華)の所作には、監督がこだわる日本の決め細やかな暮らしの技が満載だ。

                          
 戦時色が邁進するなか、また姦通罪がまかり通った時代のなか、ささやかな恋愛と秘密がうごめいていく。

 玩具会社の管理職の妻「時子」(松たか子)の和服姿といい、その色や柄の華やかさも昭和モダンがみなぎる。
 時代の縛りが厳しい中でも庶民はそこそこ小さな幸せを掴もうとしているところが監督の挑戦でもある。

 
       
 山田組で固めすぎのキャストが不満だが、老熟した息子役の米倉斉加年が最後を見事にしめくくってくれた。

 ささやかなしあわせも苦労も家屋も文化も、戦争というモンスターによって完膚なきまで粉砕される現実。

 しかし、「希望って、本当にはかないものだけれど、その希望をずっと持ち続けることが大事。」というメッセージを山田洋次は忘れない。

 むかし、開発と自然との矛盾を告発したにバートンの名作『小さいおうち』を読んで、絵本でこれだけのテーマを肉薄したことにえらく感動したものだが、そんな背景も考慮されている。




 
 
         
 

コメント (4)
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