山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

「けんもほろろ」ではなかった

2022-04-29 21:34:32 | 生き物

 久しぶりに、キジがもどってきた。遠くから「ケーン、ケーン」という独特の鳴き声は聞こえたものの、その姿はなかなか見られなかった。それが最近、ごく近くで聞こえるようになったのだ。懐かしい。

   

 近所の畑にいたキジがわが家の畑のほうへ移動してきたようだった。オイラがこの地に初めてやってきたころの朝、ニワトリの代わりにキジの鳴き声で起こされたのを想い出す。その声はメスを呼ぶ声ともなわばりを宣言する声だともいう。しかし、引っ越し間もなくのオイラの不安のせいか、その声はむなしい悲哀の声に聞こえた。オイラの心にじっとり沁みてくる癒しの声でもあった。

  

 「けんもほろろ」という言葉がある。これはキジの鳴き声が語源だという。「けん」の鳴き声も「ほろろ」の羽ばたき音も、その鳴き声は不愛想にも聞こえるので、この言葉は相手の冷淡な処遇に対する意味で使われる。しかし、オイラにはいまだ不愛想には聞こえない。「どうして会ってくれないの」というオスの虚しさのようにも感じてしまう。

             

 オスは体が大きいし、模様もカラフルなので比較的見つけやすいが、小振りのメスはなかなか目撃できない。キジに近づいてみると、草むらに隠れてじっと動かない。ときおり、首をもちあげてあたりのようすを確認している。その振る舞いがなかなか不器用なのがいい。

 だから、国鳥でありながら、キジの料理にされてしまうんだなー。これからなんとか、朝の目覚めの一刻を奏でていってほしいと願うばかりだ。

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和宮様まさしく危機一髪

2022-04-27 21:03:57 | できごと・事件

 夕方、畑で和宮様が寒冷紗をめくり上げて小松菜を収穫していたときのこと。まさにそのとき、目の前にヘビがいたと言って慌てて家に戻ってきた。蛇の模様もよくわからなかったようだが、とぐろを巻いていたという。

    

 現場に直行して蛇を見たらまさしく、マムシだった。これは経験者に処置してもらおうと近所に応援を頼んだら、軽トラでタイミングよくすぐ来てくれた。マムシはとぐろを巻いたまま動かなかった。

  

 来てから1分もたたないうちに、火ばさみでマムシを掴んで見せてくれた。「小さいけど、子どもじゃなくて青年という感じだな」と言う。そして、火ばさみでマムシを捕まえて、金原明善が発明したという「金原鎌」の後ろ側で頭を直撃。すると、ピクピクしながらも動かなくなった。

          

 あっという間の処理だった。地元の農林業に生きるワザと知恵を見せてくれた。今年はやけにマムシが多い。ここにきて十数年になるが、わが地所でマムシをしっかり見たのは二度目のことだった。これからはもっと注意して作業をしなければならない。

     

 マムシの裏側の模様を見るのは初めてだった。その模様は図鑑にはほとんど出ていない。なかなか重厚な模様に驚く。大きさも長すぎず、むしろかわいいマムシちゃんだった。

 それにしても、和宮様とマムシとの距離が10cmくらいだったのが奇跡だった。触れていたら間違いなく咬まれていたところだった。すぐさま退却したから良かったのかもしれない。

 

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天をにらんで八重桜の塩漬け

2022-04-25 22:43:06 | 食彩・山菜・きのこ

 先週は地元でも八重桜の満開だった。わが家でも、「松月」という八重桜が満開。和宮様は、開花8割くらいの「松月」の花を収穫していく。周りは八重桜の代表の「関山(カンザン)」が圧倒的に多い。それもそのはず、見事な濃桜色たっぷりの八重だからだ。しかし、「松月」は、ほんのりした淡い桜色なので、関山より赤系色が弱い。だから、これを塩漬けにするとなると、桜色がうまく出るかどうか、和宮様は心配しながら作業を行っている。

   

 花が全開したものは白っぽくなるので、開花しつつある蕾を狙って収穫していた。収穫した花はよく洗わないと、ゴミや虫も付いている。きれいになったその花を一晩塩漬けし、水が揚がったら白梅酢液に二晩漬けていく。そうして、家庭用重石で圧力をかける。

 さらにそれを、平ザルに花一束づつ並べて、天日干しにかける。これが天気に翻弄されるのだ。なかなかカラリとした快晴に恵まれない。

  

 なかなか乾ききらないので、天日干ししてから室内で灯油ストーブや扇風機で乾かしていく。涙ぐましい作業に勤しむ。おかげで、部屋のなかは桜と梅酢のミックスした匂いが漂う。

    

 ここまでやれば、ゴールは目前となる。手間がかかるので忙しい主婦ではなかなか手が出ない。今回だけは家庭用乾燥機で乾かして仕上げとする。

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「驕る日本」と闘った男

2022-04-22 21:59:07 | 読書

 ロシアの侵攻と市民虐殺の酷さは、これが21世紀の事実であることを剝き出しにしている。そんなこともあって、日露戦争後のポーツマス条約で側面から影響を与えた在米の日本人、朝河貫一を掘り起こした清水美和著『<驕る日本>と闘った男 / 日露講和条約の舞台裏と朝河貫一』(講談社、2005.9)を読みだした。帝政ロシアの時代からロシアは領土拡張の欲望が続いている。だから、北方領土なんか、返すつもりはさらさらないのだ。それを踏まえた交渉が必要だが、阿部くんのように北方の経済協力までサービスしてしまっているのは大きな読み違いだった。

   

 今回のウクライナ侵略はプーチンという諜報員だった男が大統領になって起こした独裁者の戦争犯罪だ。戦前の日本は、軍部と民衆・マスコミが一体となった戦時体制確立の歴史でもあった。それはもちろん、言論弾圧・人権抑圧・反体制勢力の封殺は前提だ。したがって、日露戦争で勝ったのにポーツマス条約ではその戦利品がわずかだったことで、群衆による焼き討ち事件が多発する。

 そうした状況を「戦勝に浮かれる日本人の増長を戒め、驕りと闘い、日本人が長じていたはずの<反省力>を発揮することを訴えた」朝河貫一の孤独な叫びを描いていく。作者はポーツマス条約案文に朝河とその盟友たちの大学ブレーンとの交流から克明な記録を探し出して、朝河が大きな影響力をもっていたことを解明していく。

   

 日本の現実は、やはり「国家主義志向」が戦争へと体現され、中国・朝鮮へと食指を伸ばし、太平洋戦争へと突き進み、それを止める勢力も壊滅していく。中国での日本軍は、「殺し尽くし、焼き尽くし、奪い尽くす」という「三光作戦」で無辜の民衆を犠牲にした。それは、現在のロシアのやっていることと酷似している。いや、それ以上の残虐を犯したものだったとも言える。

   

 著者は、「朝河のポーツマス条約原案作りへの関与」を、「<ポーツマス>から消えた男」と題して発表したのが、1998年11月だった。オイラが朝河貫一という名前を知ったのは恥ずかしながらつい最近のことだった。それほどに、マスコミや研究者は彼の果たした役割に鈍感であった。いまだに。

 日清・日露・日中戦争から太平洋戦争へと向かった日本のナショナリズムは、敗戦によって洗礼されたかのように見えるが、権力者の本流の思考は基本的に変わっていない。だから、過去の狂気、つまり本当のことは触れたくない。われわれも、過去の負の遺産は知りたくもないというのが本音だ。

   

 しかし、チェチェン紛争やシリア、そしてクリミア併合で犯したプーチンの蛮行は、ソ連がポーランドのカチンの森で二万人以上の将校・インテリを虐殺したのと同じことをしている。そっくりだ。     日本の平和ボケは、本当のことが知らされない。すると、その気配が人を狂気や「同調圧力」へと追い詰めていく。それが小さな噴火となって似たような事件が多発する。

  ということは、それらを知らないでいたこと、許してしまったことは、同じ事件・殺戮が起きるということだ。ウクライナ侵攻はそうした過去の教訓を継承していないという証左になってしまった。今できることとはーー。

 

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ウワミズザクラを見直そうじゃないか!!

2022-04-20 22:07:13 | 植物

 7年前に裏山の片隅に「ウワズミザクラ」があることを見つけたが、畑の隣にいただいたウワミズザクラを植えた記憶がある。なかなか花が咲かなかったが昨年あたりに初めて開花したような気がする。前頭葉・側頭葉があまり作動していないので記憶が定かではないのが心配だ。

 少なくとも、今年は立派な花が咲いたのは間違いない。じっくり眺めると、ブラシのような白い花はなかなかいいもんだ。ソメイヨシノの華麗さもいいが、ウワミズザクラの穏やかなブラシの花の持ち味がユニークではないか。

      

 名前の由来が吉凶を占うものからだというが、どうもわかりにくい。雌鹿の肩甲骨や亀の甲羅などにT字型の溝を掘り、そこに焼いたウワミズザクラの木をその溝に押し付けて、その熱でひび割れを誘う。その割れかたの形や方向で吉凶を占うというものらしい。「上溝」がなまって「ウワミズ」になったというのが一般的な説だ。

  

 天皇が即位して最初の大嘗祭に使用されるのもウワミズザクラでもある。それほどに、国の中枢にかかわるサクラなのだ。江戸で染井村で作られたソメイヨシノとは、「格」が違う!?

  かように、ウワミズザクラは古来から国の中枢で珍重された樹木なのだ。だからというのでもないが、その奥ゆかしいたたずまいをもう一度見直したいものだ。 

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イヌブナだった

2022-04-18 22:58:52 | 農作業・野菜

  バタフライガーデンに少しづつ手持ちの植木を定植している。その途中で、名前がわからない小さな木があった。早春には芽が出てきて今月には葉も伸びてきた。柔らかい葉の質感も春らしい萌黄色も魅力的だった。はて、どこで入手したのだろうか、すっかり忘れている。

 まずは図鑑で調べてみたら、「イヌブナ」だった。若葉のせいか、白い軟毛も目視できる。

             

 葉の基部が左右対称でないはずだが、比較的左右対称のように見えた。ひこばえが多数出ていたのを高尾山で確認したことを想い出した。いわゆる「ブナ」と「イヌブナ」の違いは、ひこばえがあるかないかが大きな違いだ。葉だけではなかなか同定できない。さて、まもなく定植したいが、成木になると背が伸び過ぎるので、電線に触れない場所を確認しなければならない。

        

 庭の「ヤマブキ」が開花している。わが家のヤマブキは「ヤエヤマブキ」だが、一重のヤマブキも魅力的だ。国道沿いの側壁には桜に代わり今を盛りにと、見事な春を謳歌している。花の少ない国道にこのシンプルな「ヤマブキ色」を見た時の衝撃が忘れられない。

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地域マガジン「第5号」を発行

2022-04-15 21:40:55 | 市民活動・まち育て

 10所帯しかないわが集落の超ミニ地域マガジン『小さな山里のアナザーワールド』第5号を発行する。毎回パソコンやプリンターのトラブルで手こずっていたが、今回はプリンターが比較的「お利口さん」してくれたので、先月末に100部ほどを印刷することができた。

 内容は、自分が住んでいる地域の植物・生きものの紹介と地元の歴史の証言を編集している。郷土史は図書館で見られるものの、その中心はやはり町の中心部だけの資料しかないのが現状だ。しかも、植物や動物・昆虫などの地元の記録はゼロに等しい。

   

 歴史も人物も自然も、都会や町にしか資料が残されていない。それは大河ドラマと同じじゃぁないか。歴史に翻弄されたフツーの人間ドラマや忘れられたような動植物を残すのも大切だと2018年創刊する。A4判5枚裏表のミニ情報誌で、1年に1回のスローペースで無理なく手作りの編集・印刷をしてきた。

             

 おかげで、カンパや切手をはじめメール・お手紙を毎回のようにいただいている。ときには直接お電話をかけてくださるかたもいる。とくに、故郷を離れたかたの思い入れが熱い。これらをバネに命が続けば第10号まではなんとか到達していきたいものだ。

 ところで、この小さな冊子を綴じるにあたって、中国製のステープラーの質の悪さに毎回地団太を踏む。針がすぐ折れてやり直すことたびたび。購入した時は中国製であることを確認しなかったせいもあるが。また、印刷インク代が高くてしかもすぐ無くなってしまう。安いインクを使うとトラブルも少なくない。というわけで、毎回の苦闘を経て発行があるのだが、それらを読み取る受け手が少ないのが残念。でも、毎回楽しく作業をしていることだけは間違いない。

 

   

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やはり「ゼンマイ病」に感染していた

2022-04-13 21:59:35 | 食彩・山菜・きのこ

 杖を使って4000歩のウォーキングの日課がやっとの和宮様が、なんと裏山の道草山に登っていた。しかも道のない藪からゼンマイを収穫していたのだ。というのも、昨年は体調が悪くゼンマイを採りには行かなかったというのに。

      

 したがって、今年はゼンマイが大量に群生したので、和宮様は「あれよ」という間に山に入り込んでしまった。夢遊病者のように「ゼンマイ病」に感染してしまったのだ。したがって、収穫は昨年を大きく上回っていたのは言うまでもない。「書を捨て、街に出よう」ではなく、「十二単衣を脱ぎ、作業着で山に出でよ」というわけか。

       

 さいわい、天気が良かったので「天日干し」を一気にやり遂げる。一本一本並べて乾かすと翌日にはそれをもみ込んでいき、また干していくという繰り返し。体調は良いわけではないにもかかわらず、休み休みだが継続していく気迫は衰えてはいない。

              

 そしてついに、ほぼ完成へ。箱ざるぎっしりだったゼンマイもビーフンのように細くなっていた。これで、中国産に頼らず一年じゅう国産ゼンマイを食べることができる。食糧自給率を高めることは国の安全保障を高めることでもある。ロシアのウクライナ侵攻の円安過程からもそれはわかってきた。

 さて、この乾燥ゼンマイを戻すのも手間がかかるので、ついつい食べるのが後回しになってしまうが、楽しみは後半に取っておくのがいい。

 

 

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シロハラかツグミか

2022-04-11 22:17:02 | 生き物

 裏山にツグミらしき野鳥がクリの木の下にいた。ときどきやってくるツグミは胸のまだら模様がはっきりしているが、今回のは白っぽいので惑乱させられる。動作を見ると枯れ葉をつつきながらときおり立ち止まって周りをきょろきょろする仕草は、ツグミそのもののように思えた。

  

 しかし、肉眼ではその腹の模様は白っぽく見えたのが気になる。嘴の上部が黒、下が黄色。目の周りが金色のアイリング。足が黄色。全体の色が淡い黒に見えた。端正な姿はなかなかイケメンである。

               

 「シロハラ」は雌雄同色なので、今回見られたシロハラの雌雄は残念ながらわからなかったが、模様が派手なツグミではなかったと同定する。冬鳥なのでそろそろ、中国や沿海州あたりへ渡るころとなる。

         

 のどの下の白い縦線模様もなんともオシャレだ。ふだんは、暗い林の中でゴソゴソ虫取りしているようで、なかなか姿を見る機会はない。同じ仲間の「アカハラ」は、字のとおりお腹が赤いがこちらもなかなかお目にかかれない。きっと、アカハラかなと思うことはあっても一瞬のできごとで、なかなかカメラには収められない。その意味で、野鳥を撮影する人に敬意をささげたい。

  

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舌が痺れないよう慎重に

2022-04-08 22:34:18 | 食彩・山菜・きのこ

 一昨日、数株だった「コゴミ」が、きょうには十数株に成長していた。コゴミは注意していないと収穫するタイミングを逃してしまう。ついに、きょうから山菜を食べる初日となった。コゴミは1分ほどさっとゆがいてから冷水でしめるとシャキシャキ感が出てくる。鰹節・醤油・マヨネーズをかけて食べるのが定番。これが今のところいちばんうまい。

        

 葉が伸びすぎていると食用にはならない。収穫するのが遅かったと舌打ちするしかない。すでに半分近くがそんな状態になっていた。なんという成長の早さだ。渦巻き状の新芽を「こごみ」といい、植物の正式名称は「クサソテツ」という。たしかに、葉はソテツのようだ。

  

 いっぽう、和宮様は昨日から「ワラビ」を収穫していた。ワラビのほうは重曹などでアクをぬかなければならない。竹輪や油揚げと和えて柔らかなワラビを自らお作りになった。こうして、きょうから山菜月間が始まった。山菜を食べ過ぎると舌が痺れてしまう。そうならないよう程よく山菜とお付き合いしようと神妙なオイラでもある。

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