4か月ぶりの「天浜線」だった。旧国鉄から第三セクターに経営が変わり、田園風景の中に一両の電車がすすむ姿は絵になる風景だった。波乱万丈の生涯を生きてきた親戚が亡くなり、その告別式に出席するため急遽関東に向かうことになった。車でもいいが、長距離運転はさすが自信がなくなった。
時間的には高校生が通学のため乗車していたのが目立った。高齢者としてはやはり鉄道があることは安心につながるが、その駅にたどり着くには車が必要となるので、そこまでは1時間かけてなんとか自家用車を使い、駅横の駐車場に一晩置かせてもらう。車両の外装も内装も斬新なデザインで「ラッピング」されていることに第三セクターの必死の経営努力が感じられる。
この列車は、「MTK」がプロデュースする浜松市出身のバーチャルアイドル「音街(オトマチ)ウナ」がデザインされていた。「新ジャポニスム」のバーチャルアイドルとしても世界にも進出している11歳。ジイジには浮世絵ほどのインパクトは感じられないが。
帰りの車両は、「長坂養蜂場」のキャラクター「ぶんぶん」と「るんるん」をデザインしたラッピング列車だった。その内装には、たくさんの農作物や自然環境が、ミツバチの交配や多くの支えなどで成り立っているという食育列車となっている。これは親子にはなじみやすいが若者にはどうだろうか。というわけで、大河ドラマの直虎や「どうする家康」をはじめアニメのキャラクターや企業の製品PRなど、ラッピング列車が活躍している。だから、田園風景の中の一両編成の列車を見るたびにどんなラッピングデザインなのかが楽しみな車両ともなっている。
深夜になった帰りだったが、わけありの告別式は感動的な出会いの坩堝(ルツボ)となって、心折れそうなオラの心の受粉を満たしたのだった。