山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

巧妙になるフィッシング詐欺

2022-08-31 22:34:30 | できごと・事件

 数年前、パソコンでフィッシング詐欺にあう。まだフィッシング詐欺が社会問題になる前かもしれない。ウイルスに感染している、詐欺被害にあっている、口座が停止されそうだとか脅されて、つい、誘導されるままにアドレスなどをあわてて記入してしまった。すると、以来毎日の様にメールが飛び込んできた。特にひどいのは宅配でよく利用していたAmazon関連のメールだった。

    

 そのうちに、こちらも慣れてきてどんな内容でどんなアドレスで送信しているかが面白くなってきた。偽amazonのアドレスには、次のような表記があった。

 「”a"mazon」「amazon”a”」「AMAZON」「am"o"zon」「am"eair"zon」「mazon」

 「Amホアzon」→ これは送信国がわかっちゃう。

       

 なかには、「amazon"h" acccount」、「Amazon "jp"」、「updyatet」とかいうのもあり、ひねり出している「苦労」が伝わってくる。それでも、数百万以上の収入があれば人を騙すのもちょろいものだ。

       

 さらに、Amazon表記のあとに小文字を付けていた。つまり、「amazon"h"」というわけだ。そうして、アルファベットの26文字のうち、使われていなかったのは、「g/u/e」の3文字だけだった。ひょっとすると、すべて使われていたのかもしれないがこちらのチェック漏れかもしれない。

  

 さらには、Amazonからだけではなく、カード会社・銀行・えきネット・ETC・你的名字(明らかな発信元だ)・楽天・税務署・アメリカンエクスプレス・ヨドバシなどの名前で送信してくるようになる。オイラのアドレスを使いまわしている気がする。大きな被害はなかったようだが、面白がっている場合ではない、早急にアドレスを変えなくちゃ。

            

 このところ、統一教会・偽旗作戦・フェイクニュースとか謀略的な機関のうごめきがはなはだしい。それだけ、本当のことが崩壊して、生きる不安感が増大しているということだ。進歩とは、幸せとは、人生の道筋とは、一見平和そうに見える暮らしの中に、揺らぐ時代に揺らぐ人間が根元を翻弄される。

   

 

 

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砲弾を収穫す!??

2022-08-29 21:31:30 | 農作業・野菜

 畑のあちこちに「冬瓜」(トウガン)の苗が縦横に勢力を伸ばしている。どうやら、生ごみの冬瓜の種があちこちで芽を出し、わがぐーたら農園を開放区にしてしまったのだ。しょうがないので、芽が出た苗を畑の畝に移植するがとても間に合わない。したがって、あちこちに砲弾のような実が熟し、無造作に転がっている。

 

 沖縄冬瓜だと半分くらいの大きさで食べるには程よいが、これだけ大きいと少ない人数では消化しきれない。そこで、どんどん近隣や知り合いに食べてもらうことになる。表面に白い粉(果粉、ブルーム)ができると収穫の合図だ。また、表面にはひげのような毛があるが、素手で触ると痛いがそれがなめらかになりツルツルになるとまさに収穫ゴーサインだ。

         

 体重計で重さを測ったら、8.1kgもあった。長さも50cmくらいもあった。これを食べるには確かに手ごわい。ただし、低カロリーのうえにカリウム・ビタミンCが豊富で、夏に疲れた胃を優しくケアする優れモノだ。

  

 毎朝飲んでいる野菜ジュースには、今は人参・リンゴと一緒になくてはならない野菜ともなっている。ここに、収穫して冷凍のブルーベリーもブレンドする。和宮様じきじきのお手製生ジュースなのでうやうやしくいただく。

 プーチンも破壊的な砲弾ではなく、方針転換して冬瓜をウクライナに発射すれば喜ばれるかもね。

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120年以上地図から消えた国!!

2022-08-26 22:34:35 | 読書

  『女帝エカテリーナ』に続き、池田理代子『天の涯まで、上・下巻/ポーランド秘史』(朝日新聞社、1993.1-2)を読む。読みたいと思ったのは、現在も進行しているロシアによるウクライナ侵攻に関連してポーランドがウクライナ避難民を500万人以上を受け入れていることだった。他国より5倍から10倍以上の避難民を受け入れている理由はなにかということだ。その受け入れ態勢は尊崇と感動に値する行為だ。女帝のポーランドに対する属国化・侵攻・裏切りは池田理代子は控えめにしか描かなかった。

  

 そのポーランドの歴史にオイラがいかに疎いかを晒す意味で池田コミックを読んだというわけだ。本書の舞台は18世紀から19世紀初頭で、三度にわたって周りの大国がポーランド分割をしてしまう疾風怒濤の時代だった。そんな背景に、ポーランド独立運動の英雄「ユゼフ・ポニャトフスキ」の生涯を描いたのが本書だった。

  

 冒頭、雪原から宮殿へと彼が赤ん坊として登場するところから物語が始まる。そこから、池田嬢が描く得意の奈落の愛と嫌がらせの人間関係の中で、武人として成長していく主人公。そのイケメン英雄は、女帝からポーランド国王に推挙された国王の甥であった。

  

 1772年・1793年・1795年と三度にわたって、ポーランドがロシア・プロイセン・オーストリアなどによって分割される。1807年、頼みだったフランスのナポレオンも失脚する。包囲されたポーランドはそのユゼフを中心に独立解放戦争を指導する。

 しかし、池田理代子の「美しきポーランド わが祖国よ。 汝の子らの空しきくわだてを慈しみたまえ。われらが哀しき叫びと熱き魂の 天の涯までもとどかんことを」という引用句とともに、戦死する。表題の『天の涯まで』はここに由来することをやっと知る。

  

 本書の貴人の物語はそこで終わったが、その後もポーランドの悲劇は続く。1918年の第1次世界大戦で独立をしたもののナチス・ソ連に分割され、1939年の第2次世界大戦では密約を結んでいたナチスとソ連に侵攻される。秘密にされた「カチンの森」では捕虜の25000人のポーランド指導者がソ連兵によって虐殺され、アウシュビッツではユダヤ人数百万人がナチスの犠牲となる。ポーランドはロシア・ドイツの墓場にされる。現在のロシアの残虐性がここでも発露されている。

 

 戦後の1952年には「ポーランド人民共和国」が誕生したもののソ連の衛星国として事実上主権を奪われる。1980年には「連帯」の民主化運動が起こり、1989年、現在の「ポーランド共和国」がやっと成立する。

 ポーランドの歴史は、ヨーロッパ諸国の強欲の吹き溜まりでもあった。くどいようだが、あまり知られていない「カチンの森」の虐殺はもっと解明されるべき史実なのだ。そこに現在のロシアのジェノサイドの本質とポーランドの慟哭がある。だから、ポーランドは500万人以上の避難民を前向きに受け入れた理由がこれでどくどくとわかってきたのだった。

 

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「卵かけご飯」の悦楽に浸る

2022-08-24 22:04:44 | 食彩・山菜・きのこ

 先日、友人からプリマスロックの卵をいただく。放し飼いで育てているだけに殻は固い。わが家は玄米に雑穀を混ぜたご飯を常食にしているので、シンプルに卵かけご飯にしようといただく。卵の黄身はふつうの卵よりキハダ色というか、レモンイエローというか、やや薄い黄色だった。しかし、生命力あふれる張りが輝く。

 醤油をかけてかき混ぜる。そして、口に入れ込むと懐かしい触感が脳髄を刺激する。一流シェフの作品のような触感だ。あっという間に、完食してしまう。ワサビに味付けのりで食べたらもっとオーケストラになるかもしれない。おかわりをじっと我慢して余韻に浸る。

              

 プリマスロックはアメリカ原産のニワトリだ。名前はマサチューセッツ州プリマスに由来する。卵・肉兼用種でブロイラーもうまいそうだが食べたことはない。白と黒との横縞模様が特徴だ。夏バテ気味になっているので次は、自家製の梅干し・赤しそをちょっぴり入れて食べるのもいいかも。秋には明太子にイクラを混ぜて食べるのもいいかなー、と次々妄想が浮かんでくる。醜い全国・国際ニュースの連続でストレスが蓄積気味のなか、気分を変えて卵かけご飯を堪能していきたいと思うばかりだ。       

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やっぱ、クサヤと焼き芋がなければ

2022-08-22 20:22:05 | 野外活動

 梅雨のような天候が続き、畑や庭の残滓を燃やす機会を失っていた。その残滓もすっかり濡れていて燃やすのに数倍の時間がかかってしまう。とくに、キュウリの葉はウドンコ病などカビが付いているので焼却処分が急がれる。

                 

  枯れた薪を中心に入れてなんとか火をつける。抜根した茶の木の細い先端部分はよく燃える。何回かピストンして枯れた茶の木を補給する。太い根の部分は濡れているのが多いので、焚き火の上の所で乾かしながら燃やしていく。もちろん、濡れて溶け出し始めた雑草も乾かしながら燃やす。そんなこんなで時間がかかり、定番のホットコーヒーのお湯は焚き火ではできなかった。珍しいことだった。

  

  消し炭となった茶の木の根っこをくたびれた七輪に集める。すると、いつものように七輪の聖火が点火していく。焚き火の残骸は灰までは到達できなかったが、山となった。これらはいずれ畑に散布され、肥料や土壌改良の役割を果たすこととなる。

  

 七輪では、新島から取り寄せた「クサヤ」を焼いていく。消し炭と網との間にガス台の「五徳」が役に立っている。これがあると、火が強すぎるのを防御できる。火が弱いときは五徳を取ればよいというわけだ。

 また、定番のダッチオーブンもいつもより時間がかかったが、ジャンボジャガイモとサツマイモの焼き芋が出来上がる。もちろんこれらは、夕飯の主役となった。本当は昼食になる予定だったんだけどね。でも、いつものコースメニューができてホッとしたが、蒸し暑い陽気にまさに滝のような汗がTシャツをぐっしょり濡らしてしまったサー。

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経済成長を求めるほど多くの人が貧しくなる

2022-08-19 23:04:09 | 読書

 竹を割ったような経済評論で巨大な権力に挑む、浜矩子(ノリコ)さんの『国民なき経済成長/脱・アホノミクスのすすめ』(角川新書、2015.4)を読む。7年前に書かれたアベノミクス批判ではあるが、その基調は、序章の「そろそろ<その後>を考えよう」だった。安倍元総理が凶弾に倒れた現在の日本の情勢を見抜いていたシャーマンのような明快な言の葉が誌面に吐き出される。

  

 9年前に「今、アベノミクスという妖怪が日本の巷を徘徊している」と述べ、本書で「相変わらず鼻息は荒い。だが、やはりお疲れの色は漂う。…何しろ、常に毒ガスを吐き出し続けていないとことには、根拠なき熱狂は持たない」と、分析する。

 そしてその「安倍政権の経済政策は、人間に目が向いていない。」と本質を衝く。アダムスミスを引き合いに出して、人の痛みがわかる「共感性を持ち合わせている人間」であることが経済活動の基盤だとする。それをわれわれはついつい忘れて景気高揚を選挙の指標にしてしまう。

  

 そんな理想的なことより、なにより優先したのは盤石な政権を維持していく装置を構築したこと、それが「アホ」ノミクスの本質でもある。人事・権限の官邸支配は「忖度」を加速させ、文書改ざんしてもなお国民のための政策より政権維持優先が「成果」となる。頼りない野党の未熟さもあって国民はとりあえずの安定を選んでしまう。

  

 さらに、岸信介おじさんから綿々とつながりのある旧統一教会の禁じ手を使って票田を稼ぐ先頭にいたのが右寄りの安倍派だ。その持ちつ持たれつの関係の旨味は、安倍元総理の死という皮肉な結果をもたらした。日本だけがカルト集団を放任したことで、オウム真理教や統一教会の蛮行・謀略を許す結果ともなった。

 そんなこんなで、核軍縮・環境政策・エネルギー・女性活躍・幸せ度など日本は世界の新しい潮流についていけない後進国となってしまった。つまり、政策形成能力の劣化が著しい国になってしまったということでもある。

            

 安倍君の「日本を取り戻す」とは、「稼ぐ力」の強化でもあったが、それは、格差をますます産みだし無関心・無理解・無神経を蔓延させる。浜さんは、そうした溝を越えた人間と経済との共感性・双方向性のある社会をめざす。

 本書の帯には、「経済成長を求めるほど多くの人が貧しくなる」と浜さんの主張を的確にキャッチしているが、アホノミクス解体「その後」の展望については一般論になってしまい、快刀乱麻な切れ味の割には紙数が足りない気がした。

 

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伝統的な?「川施餓鬼」供養

2022-08-17 23:13:22 | 出会い・近隣

 先日、集落で初盆を迎えた家の「川施餓鬼」の準備と供養が、近くの河原で行われた。以前キャンプ場にもなった河原で、午前中「精霊棚=施餓鬼棚」の祭壇づくりと周辺の草刈りを粛々と行う。今では板でコンパクトにセットされた手作りの盆棚だが、むかしはすべて河原の竹で時間をかけて立派に作り上げたという。

 本番はその日の夕方6時に集合する。今回の初盆は1軒だけだったので位牌は一つだった。親族は喪服で、近隣の人は後かたずけがあるので平服で参列する。

       

 「施餓鬼」は宗派によってやり方が違う。 真言宗は、施餓鬼と護摩祈祷を重視するので毎日のように行う。禅宗(臨済・曹洞宗)は、修行として食事で米粒7つを供養。浄土宗は、お供え・お布施で食事を施し参加者で分かち合う。浄土真宗は、施餓鬼法要はしない。餓鬼道は死後ではなく現世の心の中にあるととらえる。日蓮宗は、法華経の文字を一文字ずつ小石に書いて川に投げ入れる。

 ただし、地域によって花火や灯篭流しをやるところもあり、さまざまだ。わが集落も死者の盆送りといった意味合いで、本来の「川施餓鬼」のやり方が変容していったように思われる。つまり、お盆と川施餓鬼の違いは場所が変わっただけのように思われた。

   

 前回は、松明とともに僧侶と親族が入場して供養が始まったが、今回はなかった。いよいよ僧侶の読経から始まりそれが終わると各自で線香を1本ずつ手向け、それが終わると近隣者が米粒をつまみ、香葉で水滴を散らしてお参りする。最後にまた読経があり全員で合掌して供養は終了する。

       

 太い竹を伐り出して刳り抜いた所に川砂を入れてそこにお線香を挿していき、参列者が多ければ3列でも5列でも焼香できるよう工夫されている。棚そのものも集落のアイディアが蓄積・満載されている。供養が終わってからは、古い卒塔婆や棚の盆提灯・飾り・ほおずきなどを河原のそばで燃やしていく。夕闇が迫っていく頃、散会となる。

 集落からまた一人いなくなった。少子化対策の遅れと都市中心主義の弊害がじわじわと地方を蝕んでいく。そこには、行政の情熱も地域活動の盛り上がりもない。あるのは地球温暖化・環境破壊という地球の悲鳴。そして領土侵攻という人間が起こした戦争・強欲だけだ。餓鬼道は真綿のようにくるまって姿を変えて人間界を支配している。宗教界の無力、国連の無力、人間力の無力が際立つ。

  

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国道横で立派な半鐘を発見!!

2022-08-15 21:25:23 | 特産品・モノ

 ときどき通る国道なのに、立派な半鐘を初めて発見した。いわゆる梵鐘の小型版である。半鐘とはいえ、立派な梵鐘なのに感心する。国道から手が届くそばにありながら盗まれないのが不思議なくらいだ。金属価格が上昇した2006年ごろには半鐘も含めて金属の盗難が相次いでいたというのに。それだけ、穏やかな地域でもあるという証左でもある。    

  その半鐘の形式は梵鐘とほぼ同じようなデザインでもあった(図版は越前小田文化歴史館のwebから)。「乳」もあるし、「撞座」も確認できる。ひょっとすると、お寺で使用していたものかもしれない。半鐘にはそれぞれの地域で工夫して提供しているのがわかる。この半鐘に匹敵するよう「双盤」という銅製の立派な楽器を利用している地域もいくつか見たことがある。こちらも手が届く所にあって、盗まれないのが不思議なくらいのしろものでもある。 https://blog.goo.ne.jp/takebei6491/d/20190609

 近隣の地区でよく見られたのは「中山式半鐘」だ。1990年代前後に広く売れた鉄製の半鐘と思われる。https://blog.goo.ne.jp/takebei6491/d/20140913

       

 戦時下では半鐘も供出された対象だった。したがって、現在まで生き残った半鐘もあれば、供出してしまった代わりの半鐘もあるというわけだ。その懐かしい姿には涙ぐましい歴史が刻印されているということに違いない。いまや、半鐘を鳴らすという行為はめったに見られないが、鳴らさないでいられる平和・安全を大切に思う気持ちを忘れてはならない、と思うばかりだ。

 

 

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鬼太郎が着た模様か??

2022-08-12 22:24:45 | 生き物

  畑の隣のちょっとしたスペースに背の高い雑草群がはびこっていた。少しづつ草刈りしていったら、黒と黄色のツートンカラーの「コガネグモ」がてっぺんにいた。一時はジョロウグモばかりが勢力を張っていた時もあったが、今は大きな目立つ蜘蛛は少なくなっている。3cm近い大きさの蜘蛛を外で見るのは久しぶりだ。

   

 いつもだと、大きな網を張っているコガネグモだが、網を張らず雑草に乗っているのは珍しいのかもしれない。いや、これから網を張る寸前だったのかもしれない。ゲゲゲの鬼太郎のちゃんちゃんこはこのコガネグモの模様を採用したのかもしれない。

 コガネグモと言えば、鹿児島姶良市(アイラ)の伝統行事「クモ合戦」が有名だが、目の前で動くものは捕食する。場合によっては、気に食わない小さなオス(5mmほど)さえ食べられてしまう。ぞくっ!!

        

 といっても、蜘蛛は基本的に益虫。益虫のランキングでは、①ミツバチ ②カイコ ③ミミズ ④クモ ⑤ゲジゲジ というわけで、蜘蛛は堂々4位に入っている。蜘蛛が糸を吐くのは口からだと思っていたがお尻(クモイボ)からだった。ちょうど、糸を吐いていたところだったらしい。そのため、その周辺は草刈りしないままにした。

            

 以前、コガネグモはふつうに見られた蜘蛛だったが、最近は関東近県では減っている。したがって、自然が豊かな里山周辺でないと会えないので、準絶滅危惧種に指定する県も増えてきた。つまり、言い訳を言えば、わが畑の隅々に君臨する雑草群落はそれなりに意味があるのかもしれない、と居直る。

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いまだ18世紀のままのロシア帝国??

2022-08-10 20:01:01 | 読書

  プーチンの時代錯誤なウクライナ侵略のルーツは帝政ロシアにあるとみた。16世紀の雷帝イワン4世は自らを「ツァーリ」(皇帝)と自称し、容赦ない絶対王政を確立する。「王政」は限定的地域を支配する王による絶対支配だが、国に一人しかいなくて広い地域を皇帝による政治で支配するのが「帝政」。17世紀にはプーチンが崇敬するピョートル大帝はロシアの「初皇帝」ということになる。

  それをひきついだのが女帝「エカテリーナ二世」だった。それで、池田理代子のコミック『女帝エカテリーナ』全3巻(中央公論、1994.9 、原作=H・トロワイヤ) を急遽読んだ。

            

 ドイツ生まれの地方貴族がロシアに嫁ぎ、後進国だったロシアを西洋をしのぐ位置を定位することで、自らのロシア化を最後まで貫いていく物語だ。閨房に侍らすハンサムな男たちとの恋沙汰や桎梏は少女漫画もどきだが、男の能力を引き出し、それを国の拡張や人間関係の調整に利用していく。この時代から、黒海やバルト海の不凍港の確保・クリミヤ侵略やポーランド分割などを実現していく。

     

 作品化にあたって原作者(ロシアからフランスに亡命)は、現代のロシアにある資料はすべてプロパガンダの匂いがすると指摘。エカテリーナ自身も世界の有名人とのコンタクトで自らの名声を広める巧者だったと評している。30年前にロシアのプロパガンダを見抜いていた原作者はさすが池田理代子よりシャープだ。

   

 ロシアの国民性を「温厚で従順なくせに時には狂ったように残酷になる、そして貴族を恨みながら主人なしにはいられない」と、池田理代子は民衆自身に語らせる。これはまるで、現代のロシアそのものの変わらない体質を描いているかのようだ。しかし、女帝がロシアの制度・芸術などの近代化を促進した功績は大きい。収集した美術品はエルミタージュ美術館として結実した。

  アレクサンドル2世が1861年(明治維新の7年前)に「農奴解放令」を出すが、農奴(全農民の約40%)は地主から土地を買わなければならず、名目は自由の身だとしても事実上解放されず、1917年のロシア革命の誘因となる。

           

 きらびやかな女帝や貴族らの衣装・髪型、建物や調度品のデザイン、宝飾品の数々、それらを検討するだけでも、当時の貴族のセンスがわかるというものだ。それは同時に、圧倒的多数の農奴の貧困化がそこにはあるし、貴族・官僚らの事なかれ主義・ニヒリズムの蔓延を忘れてはいけない。それはテロを生み出す背景ともなる。簡単に意見の合わない相手を殺戮してしまう事象は、ウクライナ侵略とつながってしまう。

   

 エカテリーナの一生は18世紀のロシア史そのものでもあった。在任中に起きたフランス革命に恐怖をいだいた女帝は革新思想を弾圧し、それらの焚書を命ずる。女帝が推進していた民衆の蒙昧を理性で啓くという「啓蒙思想」と矛盾するがなりふり構わない。結局は貴族の「上から目線」の限界だ。その女帝に日本人として初めて謁見したのが漂流してロシアに着いた船長・大黒屋光太夫だった。

 その後、民衆が主体だった1917年のロシア革命は内外に影響を与えた世界的事変だったが、いまだにいちばん変わらなかったのはロシア自身だったかもしれない。プーチンの侵略・残虐は、すでにエカテリーナ帝政が推進したものだった。池田理代子の女帝像には人権感覚も民衆との連帯もない上から目線の人間像を厳しく描かれていないのが残念。結果、ポーランドは地図から消えた。

     

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