早朝に、和宮様が「珍しい蝶がいるわいなー」と叫んだので、あわてて起き出して現場の山側のガラス戸に直行する。室内から見たところ、一瞬クロアゲハかと思ったが、赤い斑紋が多いので、ジャコウアゲハのようだった。とすれば、ちょうど、食草の「ウマノスズクサ」が失敗しながらなんとか育ってきたので、それを食べに来たのかと心が躍る。
室内からの蝶の裏側だけでなく、表側も撮りたいとそろりと外から撮影を試みる。シャッターを切る直前でつまずいたため逃げられたが、すぐ近くにまた止まってくれた。ジャコウアゲハならすぐに飛び立つが、早朝のせいか眠そうだった。それで、音を立てないようそうっと近づいてシャッターを切る。こっちも、寝ぼけ眼でピントがずれる。それでも、体に赤い模様も見えるので、ジャコウアゲハらしいと見当をつける。
しかし、成体の大きさが60mmほどだったので、ちょっと小さ過ぎると思い調べてみたら、なんとこれは「蝶」ではなくて「蛾」であることが判った。ジャコウアゲハは有毒のウマノスズクサを食べることで、敵に有毒であることをアッピールしてきた。それをコピーして生き残り戦略にしたのが、「アゲハモドキ」(アゲハモドキ科)だった。両者の翅の筋を見ると違いがあるのがわかった。画像の右側がわが菜園にやってきたジャコウアゲハ(2019/5/6)。
和宮様の叫び声で、前から会いたいと思っていた「アゲハモドキ」に初めて出会った灼熱の夏だった。見事に騙された一日のスタートだったが、感謝感激。